基礎地学II 宇宙論(2/3) ー自然哲学から自然科学へー

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 宇宙は何からできてくるか ? 理学部 物理 森川雅博 宇宙を満たす未知のエネルギー:暗黒エネル ギー 局在する見えない未知の物質:暗黒物質 銀河・星・ガス 何からできているか … 2006/7/25.
Advertisements

第 21 章 私たちはひとりぼっち か? 宇宙の生存可能性についての疑 問
関西学院大学オープンセミナー 2010年6月12日.  決定論的現象 天体の運動のように未来が現在により決 まっている現象  偶然的現象 偶然的な要素が加わり、未来の予測が不可 能な現象 気象、地震、災害、事故、宝くじ 株価、寿命、 … … … … … … … ….
1 銀河系力学構造の 構築について 上田晴彦 ( 秋田大学 ) 郷田直輝, 矢野太平 ( 国立天文台 ) 竹原理論物理学研究会 2011年6月7日 ホテル大広苑.
宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
宇宙のはじまり ー 地球・生命の起源をもとめ て ー 野沢 貴也 東京大学 国際高等研究所 数物連携宇宙研究機構( IPMU ) 葛飾区郷土と天文の博物館 第61回 星の講演会 2011年10 月29日.
天王星の発見  ハーシェル:偉大なる観測家 ハーシェル – アマチュア天文学者出身  妹カロリーネの献身カロリーネ  親友:マスケリン  最高の望遠鏡を裏庭に裏庭  恒星の距離測定を目指して  運命の夜:1781年3月13日 運命の夜  次へ 次へ.
天王星の発見  ハーシェル:偉大なる観測家 ハーシェル  アマチュア天文学者出身  妹カロリーネの献身カロリーネ  親友:マスケリン  最高の望遠鏡を裏庭に裏庭  恒星の距離測定を目指して  運命の夜:1781年3月13日 運命の夜  次へ 次へ.
Venus は 五芒星 を描く? 天動説の複雑さに秘められた幾何学的秩序 --- 『ダビンチ・コード』
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
ケフェウス座δ(二重星) 天体観望会 2002/11/08 文部科学省 国立天文台.
天動説と地動説
赤外線で見通す銀河系               ー木も森も見たいー 長田哲也 (宇宙物理学教室) 夜空.
星の測り方 ~「星を測る」とは?~ 天文普及ボランティア 浅井 直樹 近代天文学において、星を測ることにどんな意義があったのか。
自己紹介 山﨑 孝治(やまざき こうじ) Koji Yamazaki
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
理科教育法ー物理学ー 羽部朝男 物理学専攻.
宇 宙 宇宙観の変遷.
人類を変えた望遠鏡.
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
科学概論 2004年12月9日
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
「Constraining the neutron star equation of state using XMM-Newton」
小惑星を探れ! 村仲 渉 (木曽高校)  杉本 寛 (上宮高校)  佐藤 駿 (オイスカ高校)  鈴木 寿弥 (磐田南高校) 池内 苑子 (大宮高校)  吉川 優衣 (広島国泰寺高校)  斎藤 杏奈 (洗足学園高校)  §1.はじめに ②太陽から小惑星までの距離 小惑星の軌道は円と仮定する。小惑星の軌道半径をaA、周期をTA、地球の軌道半径をaE、周期をTEとすると、時間tでの小惑星の移動距離dA、地球の移動距離dEは、
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
原子が実在する根拠 岡山理科大学 理学部 化学科 高原 周一.
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
北海道大学・環境科学院 藤原正智 地球惑星科学II 宇宙論(2/4) 北海道大学・環境科学院 藤原正智
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
Philosophiae Naturalis Principia Mathematica
準光速ロケットでのブラックホール旅行における時間の遅れ
大阪工業大学 情報科学部 情報科学科 学生番号 A03-017 犬束 高士
物理学セミナー 2004 May20 林田 清 ・ 常深 博.
メディア技術と教育 メディア(media):情報媒体 情報(コンテンツ)と媒体(メディア)の分離性と依存性 人は「情報」とどのように接するか
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
第5章 運動を解明した人々: コペルニクス・ケプラー・ガリレオ
実習テーマの選定 ①星の年齢推定 :散開星団 ②天体までの距離推定 :球状星団 ③銀河系の構造 :星夜掃天 ④星雲の色と星の色 :星雲
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
宇宙観の変遷 膨張する宇宙 超新星と観測的宇宙論 天文学入門講座 「宇宙論入門」 2005年5月7日
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
銀河・銀河系天文学 星間物理学 鹿児島大学宇宙コース 祖父江義明 .
オリオン座流星群の ダストトレールはもっと古い
運動の規則性と不規則性 科学的認識の芽生えと発展 2012/8/4 京都教育大学 オープンキャンパス.
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
パルサーって何? 2019/4/10.
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
銀河 galaxy 現在までの認識.
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力
柴田 晋平 山形大学理学部 With 早坂 由美子 NHK山形 キャスター
超新星爆発.
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
銀河座 12月番組 製作:高梨 ダークが支配 我が宇宙 2011年度 ノーベル物理学賞 解説.
3.8m新技術望遠鏡を用いた 超新星爆発の観測提案 -1-2mクラス望遠鏡による成果を受けて-
宇 宙 その進化.
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
P5 田中貴浩(教授)、細川隆史(准教授)、瀬戸直樹(助教) 担当:天体核研究室の教員
Introduction to the X-ray Universe
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
MOAデータベースを使った セファイド変光星の周期光度関係と 距離測定
大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科 学生番号 B02-014 伊藤 誠
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
2011年8月金沢大学集中講義 「X線天文学」 第2回 相対性理論とブラックホール
ガリレオ Turning Point of Modern Science.
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
VLBI観測によって求められたプレートの移動速度
科学概論 2005年1月27日
Presentation transcript:

基礎地学II 宇宙論(2/3) ー自然哲学から自然科学へー 北海道大学・環境科学院 藤原正智 http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ギリシャ時代の天文学(~プトレマイオス(AD2C)の「アルマゲスト」で完成) アラビア・イスラム世界(中東~北アフリカ)~インド世界    プトレマイオス体系(天動説)が継承される     (幾つか批判的研究もあったが天動説の域は出ず)    天文観測技術の高度化、暦の精緻化 中世ヨーロッパ:     ルネサンス(14~16C)       ギリシャ・ローマの古典古代への(キリスト教世界観からの)復帰    ローマ教会(バチカン、カトリック、“旧教”)、宗教改革(“新教”、プロテスタント)、    宗教戦争から政治戦争へ(絶対主義的皇帝 対 封建主義的諸侯)    ローマ教会: アリストテレス・プトレマイオス体系である地球中心説を教義に採用    大学の誕生: 聖職者養成が始まり神学、法律学、医学、人文学を持つ大学へ。                  大学教授・研究者の多くは、アリストテレス体系の注釈者。

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ニコラス・コペルニクス(1473-1543、ポーランド)     フラウェンブルグ寺院大管区長-「神が創った宇宙は美しいはず」     プトレマイオス体系は不完全(誤差の累積)、        美しくない(“円”が多すぎる、一様円運動でない)      試行錯誤の末、アリスタルコスの太陽中心説を“仮説として”復活:         「コペルニクス的転回」「コペルニクス革命」         (教会を刺激せぬよう大変気を遣う)       ただし、依然として不完全。       ケプラー、ガリレオらがのちに支持。 ティコ・ブラーエ(1546-1601、デンマーク)   (望遠鏡発明以前では稀代の天文観測家):     超新星爆発の発見(1572年 カシオペア座・                   銀河系内)       恒星世界は永久不変ではない。      21年間に渡る天文台での観測。     年周視差が検出されないので地動説採らず。     (地球の周りを太陽が回り、      太陽の周りを惑星が回ると考えた) [宇宙論のすべて、より]

超新星爆発とは: 恒星の最期、supernova (爆発により星本体は四散。中心部に 中性子星やブラックホールが残る場合あり。 ) SN 1054 おうし座・かに星雲(銀河系内) (1054年;日本・中国・朝鮮・北米に記録あり) SN 1987A かじき座(大マゼラン星雲内) (1987.2.23 (16.4万光年・年前);カミオカンデ等で  ニュートリノ検出  2002年小柴昌俊、ノーベル物理学賞) http://hubblesite.org/gallery/album/

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ヨハネス・ケプラー(1571-1630、ドイツ)      神は宇宙を神聖な調和に従って創造したはずという信念。      数や図形の神秘性・美しさを追究      数学の才能あり。コペルニクス説に感銘。ガリレオと多数の手紙を交換。      ティコの弟子として火星の観測データから3つの経験則(地動説に則る)を発見。      (1)円ではなく楕円軌道      (2)面積速度一定      (3)公転周期の2乗            ÷平均軌道半径の3乗         = 一定 [地学図表より] http://jp.wikipedia.org/

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ガリレオ・ガリレイ(1564-1642、イタリア)(1/3)     実験科学、実証科学=近代科学の創始者(アリストテレス体系と注釈者たちを批判)     運動論(“ピサの斜塔”)、機械学(滑車、さお秤、てこの原理、斜面上の物体)、     そして天文学へ。     オランダで望遠鏡発明という噂を聞き、早速自作し人類初の天体観測を行う。     また、望遠鏡の製作・販売により家計の足しにする 中央図: 「ガリレオ」、中央公論社 左・右図: http://        amazing-space.stsci.edu         /eds/tools/

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ガリレオ(2/3)    地動説の証拠、示唆となる現象多数発見。 「星界の報告」「天文対話」。     「天の川は無数の星(太陽)の集まり」太陽系の相対化     「月は光球ではなく表面には凹凸あり地球と同じ」         アリストテレスの“天上世界”も地球と同質     「木星のまわりを4つの衛星がまわる」         運動の中心となりうる天体(重さを持つ)が地球以外にもある     「金星の満ち欠け」コペルニクス説の方で説明可(金星も月と同様)   「太陽の黒点の存在と太陽の自転」完全であるべき太陽にしみ   「運動の相対性」を指摘:    地球の動きは地球上に    いる者には分からない    (船に乗って石を落とす) ガリレオがスケッチした月の表面模様 http://amazing-space.stsci.edu  /eds/tools/

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ ガリレオ(3/3)  ローマ教会により2回の宗教裁判を受け“異端誓絶”。      (背景に旧教・新教の対立や教皇・諸侯の対立など。)   「それでも地球は動いている」      (晩年は自宅に幽閉され、「新科学対話」を執筆。)      (1992年にローマ教会(ヨハネ・パウロ2世、2005.4逝去)       はようやく間違いを認める。)      (同時代のジョルダーノ・ブルーノ(ドメニコ会士)は、       「神は無数の太陽と無数の地球を作った」と主張、       長い逃亡生活の末、1600、ローマ教会により火あぶりの刑に。)    ガリレオ裁判、当時の科学界や哲学界に悪影響を与える。     以降、イタリアに代わり、ニュートンのイギリス、ライプニッツのドイツ、     パスカルのフランスにて、近代科学は発展していく。 「星界からの報告」、「天文対話」、「新科学対話」、岩波文庫 「ガリレオ・ガリレイ」青木靖三著、岩波新書・評伝選 「ガリレオ」豊田利幸・責任編集、中公バックス・世界の名著第26巻

地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ アイザック・ニュートン(1643-1727、イギリス)   「奇跡の18ヶ月」(20代前半。ペスト(黒死病)流行で大学閉鎖): 光学、微積分法、万有引力と運動の法則    1687、ニュートン力学の集大成「プリンキピア」: ケプラーの法則が説明可能、          他にも多くの現象(潮汐、地球が回転楕円体であること、等)が理解可能    以降、太陽中心説は自然に受け入れられていく(直接証拠の観測はさらに50年後) 左: http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/~history/PictDisplay/Newton.html 中央:http://en.wikipedia.org/wiki/Isaac_Newton (46歳) 右: http://amazing-space.stsci.edu/eds/tools/ (中世ヨーロッパの“科学者”は社会(キリスト教社会)からどの程度独立だったのか、現代の科学者はどうか)

地球の自転はなかなか実感できない フーコーの振り子 (新札幌駅そばの札幌市青少年科学館でみることができます) フーコーの振り子   (新札幌駅そばの札幌市青少年科学館でみることができます) 1851、仏の実験物理学者フーコー、パリのパンテオン寺院で地球自転を証明する実験実施 振り子は、宇宙から見ると同じ面内で振動、しかし、回転する地球上で見ると振動面が回転 北極・南極で実験すると1日に1回転する(当たり前)。 (極から離れると1回転するのに1日以上かかる。赤道では回転しない。  パリでは1時間に約10度回転)   振り子があたかも進行方向に直交する方向に力を受ける:転向力/コリオリ力    (この力は小さいので、長時間(例えば数時間以上)、長距離(例えば100km以上)、     動かなければ見えてこない) http://www.gfd-dennou.org/library/gfd_exp/exp_j/index.htm http://ja.wikipedia.org/wiki/       (左写真:パリ・メチエ博物館)

地球の自転はなかなか実感できない http://kakuda.ed.niigata-u.ac.jp /semi/ob/thesis/99niwata_thesis2-21/ space/foucault/foucault.html http://ja.wikipedia.org/wiki/ (自転)

太陽系の描像の確定 万有引力により統一的に理解できる: 惑星は太陽から距離の2乗に反比例する力を受けて楕円運動 [地学図表より] 万有引力により統一的に理解できる: 惑星は太陽から距離の2乗に反比例する力を受けて楕円運動 公転方向は太陽自転方向に一致(惑星の成因に関係) 軌道面はほぼ同一平面上(冥王星は今や惑星ではない) E. Halley: ニュートンと親しく「プリンキピア」刊行促す、ハレー彗星の軌道計算(約78年周期) 世界初の科学観測船にて、グローバルな磁場分布、測地、地表風系等の観測

宇宙は有限か無限か、定常か非定常か 「ニュートンの無限宇宙」 万有引力の帰結  宇宙が永遠であるなら無限でなければならない    なぜなら、もしも宇宙に中心と端があれば、万有引力により 宇宙は中心に向かって潰れてしまう 「万有引力がある限り、宇宙に永遠は存在しないのではないか」      無限の空間に物質が均等分布        あちこちで塊を形成するだろう        無数の大きな塊が散在(これが太陽や恒星の成因だろう) 「惑星や彗星による摂動太陽系はやがて破壊される」 (ニュートンへの反論) 中心や端はないが有限な宇宙は考えられる。(二次元世界なら球面がその一例) 宇宙は永遠でなくてよく、膨張・収縮していてもいい。 星・元素等の生成に十分な寿命さえあれば将来潰れてもいい。

宇宙は有限か無限か、定常か非定常か 「夜空のパラドックス」(オルバース、1826年) 夜空が暗いのは大変不思議である もしも宇宙が永遠かつ無限で星が一様分布しているなら、   夜空はまぶしく輝いているはずである   なぜなら: 星と星のすき間には必ず別の星が見えるはず 星のみかけの明るさは距離の2乗の反比例   星の数は距離の3乗に比例       夜空の明るさは宇宙の大きさに比例するはず

宇宙は有限か無限か、定常か非定常か 「夜空のパラドックス」を解くには、仮定の再考を。例えば: 宇宙は無限であっても永遠でない     (有限の年齢を持つ ― まだ全ての光が届いていない) 宇宙は永遠であっても無限でない 星は一様分布していない・有限個数しかない 他の要素?    星雲が遠くの星の光をさえぎっているのでは(オルバース)     (雲は無限に光を吸収できるわけではない。再放射してしまう。) 20世紀に入り解決: “宇宙は一様に膨張していた”   従って、寿命は有限となり、光が到達しうる範囲も有限「宇宙の地平線」     ドップラー効果(遠ざかる場合波長のびる)による赤方偏移(低エネルギー側へ) 実は夜空は明るい(一様な背景放射の存在)    可視光(0.4~0.8μm)では暗いが、赤外線(1~100μm)やX線(0.1~1nm)では    ほぼ一様に明るい       X線:遠くの銀河の中心核、赤外線:遠くの星の光(過去の星形成の情報)       (なお、ビッグバンの証拠であるいわゆる「宇宙背景放射」は電波領域(1cm~1m)。        星ではなく宇宙空間そのものが昔熱かった名残り)

天体望遠鏡の発達史 (*:「ガリレオ」、中央公論社) (宇:宇宙論のすべて) ガリレオ[左、*]とニュートン[右、宇]の望遠鏡 電波望遠鏡アレイVLA[宇](26m21km) (米・ニューメキシコ) ティコ・ブラーエの天文台[宇] ハッブル宇宙望遠鏡(1990~) [野本、ハッブル望遠鏡の宇宙遺産、岩波新書] ハッブルのウィルソン山天文台[宇] [地学図表]

宇宙の大きさ 恒星の距離を測る 年周視差の検出(1838年、ベッセルによるはくちょう座61番の星の観測)     地動説の確認とともに、この星が11光年(*)離れていること判明    (現在では視差を用いた方法で100~1000光年先の星の距離を決定できるが、     我々の銀河(天の川銀河・銀河系)の半径が50,000光年。その先は?) 脈動変光星(特にセファイド型)という特殊な星の性質を利用       (“遠い星ほど暗い”という性質を利用)    脈動変光星:ある決まった周期(1~1000日)で膨張・収縮を繰り返し明るさ変化    セファイド型(<50日):平均の明るさ(絶対等級)と周期に簡単な関係があり    天球上に脈動変光星を見つける周期から経験則にて絶対等級決定      みかけの明るさより距離決定 1920年、シャプレー・カーティス論争:     「アンドロメダ“星雲”の位置は      天の川の中か外か」        天の川の外と判明。     天の川内-“星雲”     天の川外-“銀河”と区別 (*)光年: 光が1年に進む距離 約9.5兆km [地学図表より]

「銀河宇宙」という描像 “天の川”は、我々の太陽系が属する“天の川銀河”(“銀河系”)の円盤面方向に対応 天の川銀河は、アンドロメダ銀河に似たひとつの渦巻銀河 [全て、地学図表より]

まとめ ー 宇宙論(2/3) ー 地球中心説(天動説)から太陽中心説(地動説)へ コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラー   - 中世ヨーロッパの人々の“常識”“社会通念”との戦い -       コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラー       ガリレオ・ガリレイ、ニュートン 地球の自転はなかなか実感できない   - フーコーの振り子 ー 太陽系の描像の確定 「ニュートンの無限宇宙」と「夜空のパラドックス」 天体望遠鏡の発達と、宇宙の大きさの測定 「銀河宇宙」という描像