アルギン酸 アルギン酸とは‥ 化学構造 ・昆布、わかめに代表される褐藻類の細胞間物質の主成分

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アルギン酸 アルギン酸とは‥ 化学構造 ・昆布、わかめに代表される褐藻類の細胞間物質の主成分 ・含有量は乾燥藻体の30%~60%(褐藻の種類や採取時期などによっても大きく異なる) ・藻体中では、海中に含まれる様々な金属イオンと塩を形成し水に不溶の状態で存在(この場合はカルシウムイオンで代表される二価以上の陽イオンによって架橋構造をとっている) 化学構造 ・C-6位がCOOHになったいわゆるウロン酸から構成される直鎖状の酸性多糖類 ・β-D-マンヌロン酸(M)とα-L-グルロン酸(G)のウロン酸からなる1,4結合のブロック共重合体 ・MからなるMブロックとGからなるGブロック、両残基が交互に入り混じってMMM、 GGG、GMGM、からなる3つの型のセグメントから成り立っている

M-M結合のみから成る <Mブロック> リボン型 G-G結合のみから成る <Gブロック> バックル型 MとGがランダムに配列した <ランダムブロック>

M/G比 アルギン酸を3つのタイプに分けている ・ハイMタイプ(M/G比1~1.5)          「エッグボックス」 M/G比 アルギン酸を3つのタイプに分けている ・ハイMタイプ(M/G比1~1.5)  カルシウムを取り込みやすいのでゲル強度が高いが、脆く熱安定性に優れたゲル  を形成する ・中間タイプ(M/G比1前後) ・ハイGタイプ(M/G比0.5~1)  カルボキシル基にカルシウムがイオン結合している為にハイGタイプほどゲル強度  は高くはないが、凍結解凍安定性のある弾力あるゲルを形成する M/G比を調整することでゲル特性を変えることができる M/G比は藻種、部位、季節によって変動する

アルギン酸の性質 アルギン酸塩の水溶液は熱の変化によるゲル化ではなく金属塩によるゲル化 である ・温度の影響  アルギン酸塩の水溶液は熱の変化によるゲル化ではなく金属塩によるゲル化  である ・温度の影響  温度の上昇と共に粘度が低下する(温度が5.5℃上昇すると粘度が12%低下)  カルシウムイオンがあると熱に対して安定である ・アルコールの影響  アルコールやグリコールを添加すると粘度が上昇する。濃度が高くなると沈殿する ・pHの影響  pHの影響は強く受ける  pHが4以下ではアルギン酸塩類がアルギン酸に変化しゲル化または沈殿する  pHが10以上になるとβ脱離と分離が生じて粘度低下が起こる ・塩の影響  食塩、炭酸ナトリウムなど一価の塩があると粘度が低下する  水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム溶液にはよく溶ける

アルギン酸ゼリー 応用 アルギン酸ゼリーは他のゲル化剤と異なる性質を持っている ①耐熱性である 加熱によって融解しないので、煮沸殺菌が可能  アルギン酸ゼリーは他のゲル化剤と異なる性質を持っている  ①耐熱性である   加熱によって融解しないので、煮沸殺菌が可能  ②冷水でできる   加熱を必要としないので、非常に簡単にできる  ③耐凍結性がある   ナトリウムとカルシウムとの比率により凍結、解凍しても離水の少ないゼリーができる 応用 ・食品‥アイスクリーム、ゼリー、パン、乳酸菌飲料、ドレッシング、即席麺、ビール等 ・捺染用糊料‥服地、スカーフ、タオル等 ・溶接棒‥フラックスのバインダー ・飼肥料‥ペットフード、養殖魚の餌等 ・医薬品‥錠剤の崩壊剤、胃壁の保護材等 ・化粧品‥落ちない口紅等