第32回MR基礎講座 (関西) 2010.7.31 京都国際会館 画像法の原理(6) 拡散画像1 荏原病院放射線科 井田正博.

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これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
弱電離気体プラズマの解析(LXXVI) スプラインとHigher Order Samplingを用いた 電子エネルギー分布のサンプリング
(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
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FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
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第32回MR基礎講座 (関西) 2010.7.31 京都国際会館 画像法の原理(6) 拡散画像1 荏原病院放射線科 井田正博

今日から拡散画像を勉強 する方へ 拡散とは 拡散を測定する 自由拡散と制限拡散 ADCを求める 拡散テンソル 拡散画像の画質改善 結語 位相、勾配磁場 b値 自由拡散と制限拡散 ADCを求める Multi-exponential 拡散テンソル 拡散画像の画質改善 結語 画像法の原理(6) 拡散画像

SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD MR信号:スピンエコー(SE)系 MR 信号 SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD プロトン密度 T1緩和 縦緩和 縦磁化の回復 T2緩和 横緩和 横磁化減衰 拡散 TE/2 TE/2 90°パルス 180°パルス 90°パルス 時間t MR信号 (エコー) エコー時間 TE 繰り返し時間 TR

SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD MR信号:T1強調画像 MR 信号 SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD プロトン密度 T1緩和 縦緩和 縦磁化の回復 T2緩和 横緩和 横磁化減衰 拡散 e -TE/T2 ≒ 1 TR, TEと画像コントラスト(画像強調) TR 長い 短い TE 長い T2強調画像    短い プロトン強調画像 T1強調画像

SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD MR信号:T2強調画像 MR 信号 SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD プロトン密度 T1緩和 縦緩和 縦磁化の回復 T2緩和 横緩和 横磁化減衰 拡散 (1 - e -TR/T1) ≒ 1 TR, TEと画像コントラスト(画像強調) TR 長い 短い TE 長い T2強調画像    短い プロトン強調画像 T1強調画像

SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD MR信号:プロトン密度強調画像 MR 信号 SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD プロトン密度 T1緩和 縦緩和 縦磁化の回復 T2緩和 横緩和 横磁化減衰 拡散 (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ≒ 1 TR, TEと画像コントラスト(画像強調) TR 長い 短い TE 長い T2強調画像    短い プロトン強調画像 T1強調画像

SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD 双極傾斜磁場 bipolar gradient MR信号 b: b値 D: 拡散係数 MR 信号 SI = N(H) ・ (1 - e -TR/T1) ・ e -TE/T2 ・ e -bD プロトン密度 T1緩和 縦緩和 縦磁化の回復 T2緩和 横緩和 横磁化減衰 拡散 90deg 180deg   MR信号 RF pulse MPG Motion probing gradient G diffusion 双極傾斜磁場 bipolar gradient Phase shift

今日から拡散画像の勉強をする方へ 拡散画像 拡散が抑制された(低下した)病変 脳梗塞超急性期の細胞性浮腫 DWI 拡散強調画像DWI みかけの拡散係数ADC 拡散が抑制された(低下した)病変 拡散強調画像(DWI)で高信号 みかけの拡散係数(ADC)は低下 ADC画像では低信号 脳梗塞超急性期の細胞性浮腫 DWIで高信号 DWIは、T2WIやT1WI、CTよりも早期 に超急性期脳虚血を検出 ただし灌流画像はDWIよりも早期に脳虚血 を検出する DWI ADC

今日から拡散画像の勉強をする方へ 拡散画像 :Spin-echo型Echo-planar(EPI)法 T2強調画像 b=0 信号輝度S(0) 拡散強調画像DWI b=1000 信号輝度S(h) 拡散低下→高信号 拡散係数ADC画像 D “みかけ”ADC 拡散低下→低信号

脳虚血超急性期 拡散強調画像と拡散係数ADC画像 and low in apparent diffusion coefficient, ADC 拡散強調画像DWI 拡散係数画像ADC 拡散 DWI  拡散係数 病理     上昇 Low 上昇 Gliosis, 血管性浮腫 低下 High 低下 細胞性浮腫,細胞密度上昇 10

脳虚血超急性期:拡散画像 SE-EPI b=1000 –1200 sec/mm2 Trace強調画像(isotropic DWI) DWI 心原性塞栓 60 min SE-EPI b=1000 –1200 sec/mm2 超高速撮像法 救急対応可能 Trace強調画像(isotropic DWI) anisotropic DWIで診断する際は 異方性に注意 脳虚血による組織障害を最も早 期に検出 検出感度; 81-100% 特異度; 100% DWIではCTやT2WIよりも早期 に脳梗塞の診断が可能 心原性塞栓 2 hrs. DWI can identify early ischemic change that is hard to detect on CT or T2-weighted imaging. The sensitvity of DWI has been reported 81 to 100%, and the specificity was 100%. Spin-echo type -EPI is widely used for diffusion imaging, with b value of 1000 sec/mm2 The advantage of EPI is the rapid acquisition of the order of tens milliseconds. Therefore, EPI-DWI can be clinically practical method on a emergency basis DWI CT 11

細胞性浮腫と血管性浮腫:拡散異常の病態生理 脳虚血超急性期 細胞膨化 細胞間隙狭小化 水分含有量不変 拡散低下 DWI 高信号 ADC 低下(低信号) 血管性浮腫 PRES 細胞は正常 細胞間隙拡大 水分含有量増加 拡散亢進 DWI 低信号 ADC 上昇(高信号)

DWIとT2WI所見を比較することにより、脳梗塞の病期判定が可能 脳梗塞:MR所見の経時的変化 病期 病態 T2WI DWI ADC 超急性期 代償期 異常なし 異常なし 異常なし   細胞性浮腫 異常なし 高信号 低値 急性期 血管性浮腫 高信号 高信号 低値 亜急性期 浮腫消退 高信号 高信号  低値 →信号低下 →上昇 T2 shine through 慢性期 グリア化、萎縮 高信号 低信号 高値  DWIとT2WI所見を比較することにより、脳梗塞の病期判定が可能

脳梗塞:拡散環境の経時的変化 正常 超急性期 :細胞性浮腫 慢性期 細胞壊死、グリア化 細胞膨化 細胞間隙拡大 細胞間隙狭小化 拡散亢進 DWI 低信号 ADC 上昇(高信号) 細胞膨化 細胞間隙狭小化 拡散低下 DWI 高信号 ADC 低下(低信号) 14

ADCが低下する病態 正常 脳虚血超急性期 悪性腫瘍 細胞密度増加 細胞性浮腫 細胞間隙狭小化 細胞間隙狭小化 拡散低下 拡散低下 細胞密度の高い腫瘍 細胞密度増加 細胞間隙狭小化 拡散低下 DWI 高信号 ADC 低下(低信号) 細胞性浮腫 細胞間隙狭小化 拡散低下 DWI 高信号 ADC 低下(低信号) 15

D = kT / 6phr Stokes-Einstein式 拡散現象は 絶対温度に比例 粘稠度および分子の大きさに反比例 D : 拡散係数 m2/s k : ボルツマン定数  T : 絶対温度 (K) h: 粘稠度 (kg/sm) r : 分子径 D = kT / 6phr 拡散現象は 絶対温度に比例 粘稠度および分子の大きさに反比例

水分子のブランウン運動 = 拡散 H20 Robert Brown, 1827 生物学的な運動? Albert Einstein, 1905 「水に浮かべた花粉が浸透圧で破裂し、小粒子が 水中で不規則に動き回る」 生物学的な運動? Albert Einstein, 1905 「熱運動をしている水分子が花粉(小粒子)に衝突す ることによって動く」 水分子の不均衡な衝突による、ブラウン粒 子の不規則な運動 媒質中(液体、気体、固体)に浮遊する微粒子が、 不規則に運動する現象→拡散現象 MRで測定する拡散  ≒ 水分子(プロトン)のブラウン運動 ブラウン粒子 ブラウン運動(ぶらうんうんどう) (Brownian motion)とは、1827年(1828年という記述もあり)、ロバート・ブラウンが、花 粉が水の浸透圧で破裂し水中に流失し浮遊した微粒子を顕微鏡下で観察中に発見した現象。液体中のような媒質 中(媒質としては気体、固体もあり得る)に浮遊する微粒子(例:コロイド)が、不規則(ランダム)に運動する現象であ る。 長い間原因が不明のままであったが、1905年、アインシュタインにより、熱運動する媒質の分子の不規則な衝突に よって引き起こされる現象であるとして説明する理論が発表された。 ブラウン運動はかなり広い意味で使用されることもあり、類似した現象として、電気回路における熱雑音(熱電子によ る)や、希薄な気体中に置かれた、微小な鏡の不規則な振動(気体分子による)などもブラウン運動の範疇として説 明される。 ブラウン運動と確率過程 Aspects of Brownian Motion (Universitext) Mansuy, Roger, Yor, Marc October 2006, Approx. 300 p., Softcover EUR 39.95 ISBN: 3-540-22347-9 確率的な運動方程式によって記述されるブラウン運動と確率過程としての記述について解説している.確率解析と 微粒子の偏位運動理論は,ブラウン運動や不規則な確率的な運動に関する精確な結果や漸近的な結果を得るた めの有効な手法で,本書では,下記の特殊なブラウン関数に焦点を置いて主題について論じられている. ブラウン運動のガウス空間の部分空間 ブラウン2次関数 ブラウン局所時間 ずれをもつブラウン運動の指数関数 ひとつの点や多数の点,直線や曲線周辺のひとつや多数のブラウン運動の回転数 位数(一方の)上限以下のブラウン運動の時間 Brown運動は,1827年イギリスの植物学者ブラウンによって見出されたのに因んで,このように呼ばれている. 彼は, 水を吸って破裂した花粉から出る微粒子が水中で不規則に激しく動く事を発見し,その運動が粒子さえ微小なら他 のものでも起こる事を発見した. また,これが水分子の熱運動に起因すると考えたが,エネルギーの等分配を証明す る試みは失敗した.その後,アインシュタインの論文(1905)を経て,ペランが証明し(1908-11),同時に分子の実在の 決定的証明となった. (参考:理化学辞典) 17

MRで測定される拡散:微視的拡散 巨視的な拡散:勾配→定常 MRで測定される拡散:微視的拡散 自己拡散 self-diffusion Fickの法則:移動∝濃度勾配 MRで測定される拡散:微視的拡散 自己拡散 self-diffusion 周囲の熱的揺動による水分子の動き 非常に短い時間に連続的 不規則で乱雑 random walk 微視的 10 – 100 mm

拡散と灌流 Diffusion, Perfusion, Confusion!? Incoherent motion 方向性のないランダム 拡散 不規則なvoxel内の動き Coherent motion 一定方向の動き 灌流 位置移動を伴う定常的な 動き

拡散による位置移動:ガウス分布 t < x2 > = 2Dt Einstein-Smoluchowski 拡散している分子 Guassian分布(確率分布) 距離 t Einstein-Smoluchowski 平均2乗変位 < x2 > = 2Dt x: 変位距離 t:拡散時間 D:拡散係数 拡散による分子の平均変位距離の 2乗は拡散係数と拡散時間に比例