超磁歪アクチュエータを用いた キャビテーション発生機構における 機械的特性の解析

Slides:



Advertisements
Similar presentations
減衰自由振動の測定 理論と実験手順. この資料の内容 振動現象の重要性 実験の目的 学んだ振動の種類と特徴 振動のメカニズム 実験装置と方法.
Advertisements

Paroscientific 社・水晶振動式深度計への ナノレゾリューションテクノロジーの適用 Paroscientific 社日本総代理店 東邦マーカンタイル株式会社 大井 拓磨.
円線図とは 回路の何らかの特性を複素平面上の円で表したもの 例えば、ZLの変化に応じてZinが変化する様子 Zin ZL
磁歪素子を用いた3軸球面モータの 駆動原理と特性評価
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
超磁歪アクチュエータ駆動による キャビテーション現象を応用した水質浄化に関する研究
24 両端単純支持梁に対する外乱抑制制御系の製作
減衰自由振動の測定 実験装置と実験方法.
Korteweg-de Vries 方程式のソリトン解 に関する考察
耳穴装着型中空骨伝導スピーカの開発  金沢大学 三浦英充,上野敏幸,山田外史.
1.Atwoodの器械による重力加速度測定 2.速度の2乗に比例する抵抗がある場合の終端速度 3.減衰振動、強制振動の電気回路モデル
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
歩行運動を電気エネルギーに変換する 磁歪振動発電デバイスに関する研究
磁歪式振動発電の 高出力化と発電床への応用
3.8 m望遠鏡主鏡エッジセンサ 開発進捗 京都大学 理学研究科 M2 河端 洋人.
MnCuNiFe合金の低温における 内部摩擦の研究
ー 第3日目 ー ねじれ型振動子のブラウン運動の測定
電子回路Ⅰ 第2回(2008/10/6) 今日の内容 電気回路の復習 オームの法則 キルヒホッフの法則 テブナンの定理 線形素子と非線形素子
不安定な補償器を用いた 低剛性・高慣性比の 二慣性ねじり振動系における 外乱抑制制御性能の改善
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
電子回路Ⅰ 第12回(2009/1/26) 整流回路、電圧安定化回路.
電子回路Ⅰ 第11回(2009/1/19) 電力増幅.
京大岡山 3.8m 望遠鏡 分割鏡制御に用いる アクチュエータの特性評価
機械創造工学課程 08104288 鈴木翔 担当教員 小林泰秀 准教授
情報電子実験Ⅰ-説明 測定器の使い方.
蒸気圧と沸点 『水の沸点は変化する』.
電界効果トランジスタの静特性 FET(Field Effective Transistor)とは 電圧制御型の能動素子
分布定数回路(伝送線路)とは 電圧(電界)、電流(磁界)は回路内の位置に依存 立体回路 TE, TM波
演習問題解答例 3. Fパラメータが既知の二端子対回路に電圧源 Eとインピーダンス ZGが接続された回路に対する等価電圧源を求めよ。 I1
2013/05/18 主鏡制御の進捗状況 京都大学 木野 勝、 長友 竣.
ミリ波帯電力増幅器における発振安定性の検討
28 PICマイコンを用いた能動騒音制御系の制御性能
坂本彰弘(岡山天体物理観測所) 栗田光樹夫(京都大学)
電力 P ( Power ) 単位 ワット W = J / sec
31 ループ管熱音響システムにおける管内圧力の可視化 長岡技術科学大学 機械創造工学課程 梅本康平 担当教員 小林泰秀 准教授
機械創造工学課程 西久保智昭 担当教員 小林泰秀 准教授
コンピュータサイエンスコース、ナノサイエンスコース4セメ開講
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
電子回路Ⅰ 第10回(2009/1/5) 発振回路.
テスラコイルの製作.
低インピーダンス伝送線路を用いたミリ波帯VCOの低雑音化の検討
電気回路学 Electric Circuits 情報コース4セメ開講 分布定数回路 山田 博仁.
ー 第3日目 ー ねじれ型振動子のブラウン運動の測定
26ロバスト制御に基づく片持ち梁の外乱抑制制御系の設計
エレベータの振動解析 (ロープ・かご) 富山大学 大学院理工学研究部(工学) 木村弘之 台北101国際金融センター.
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
DPFのマスモジュールにおける残留ガス雑音の研究II
30 両端単純支持梁に対する外乱抑制制御系の製作 機械創造工学課程 11307489 古澤大輔 担当教員 小林泰秀 准教授
電子回路Ⅰ 第10回(2008/1/7) 電力増幅.
熱音響コアが多段接続された 電力フィードバック進行波型熱音響発電機の 発振条件及び実験
水ジェットキャビテーションによる 有機物分解効率の向上に向けた基礎研究 2002年12月26日
ナイキストの安定判別に基づく熱音響システムの自励発振解析における発振余裕と 定常発振状態における圧力振幅の関係
電力フィードバック回路の調整による 熱音響発電機の発振余裕の最大化
フィードバック制御に基づく 熱音響発電システムの検討
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
低剛性・高慣性比の二慣性系の 外乱抑制制御問題に対して 任意の制御性能を達成する 不安定な補償器
落下水膜の振動特性に関する実験的研究 3m 理工学研究科   中村 亮.
34 PICマイコンを用いた能動騒音制御系の製作
誘導起電力は 巻数と 磁束の時間変化 に比例する.
DSPを用いた高電界誘電特性解析システムの開発
物理学実験 II ブラウン運動 ー 第2日目 ー 電気力学結合系の特性評価 物理学実験II (ブラウン運動) 説明資料.
KAGRA用防振装置のプレアイソレータの性能測定
固体材質同士の接合面における機械損失について
電子物性第1 第10回 ー格子振動と熱ー 電子物性第1スライド10-1 目次 2 はじめに 3 格子の変位 4 原子間の復元力 5 振動の波
キャビテーションを応用した水質浄化方法に関する研究
振動体の振幅を一定とする 振動発電機負荷のフィードバック制御 長岡技術科学大学 ○ 永井 和貴 齋藤 浄 小林 泰秀
長岡技術科学大学 大学院 工学研究科 機械創造工学専攻 髙山 誠 指導教員 小林 泰秀 准教授
圧電素子を用いた 高エネルギー素粒子実験用小型電源の開発
臨界温度比推定のために熱音響エンジンを 定常発振させる時変ゲインを用いた 定エネルギー制御系の安定性解析
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
Presentation transcript:

超磁歪アクチュエータを用いた キャビテーション発生機構における 機械的特性の解析 A-4 超磁歪アクチュエータを用いた キャビテーション発生機構における 機械的特性の解析 磁気応用研究グループ 電気電子システム工学科 中村 翔太郎

目次 ・研究背景・目的 ・キャビテーション発生機構の等価回路 ・ピストン駆動時周波数特性測定 ・まとめ ・今後の課題

研究背景 近年、河川などの水質汚濁が世界的に問題となっている キャビテーションの圧力衝撃波・熱分解作用を利用した水質浄化の研究が多くされている 高出力・高速応答を特徴とする超磁歪アクチュエータを用いたキャビテーション発生機構を提案し,微生物によって汚濁した河川などのバイオ環境の浄化を目指す

研究背景 キャビテーション現象 液体を微小時間内に断熱膨張・圧縮させると,無数の小さな泡が 発生・崩壊する現象  液体を微小時間内に断熱膨張・圧縮させると,無数の小さな泡が 発生・崩壊する現象   気泡(キャビテー)崩壊時に微小空間に大きな熱・圧力衝撃波 温  度 液体 固体 気体 圧 力 P Pv 沸騰 キャビテーション 薬品を使用しない 生態系への影響なく水質汚濁の原因である微生物を滅菌・不活性化できる可能性 水の状態図のモデル

研究背景 超磁歪アクチュエータ 超磁歪アクチュエータは超磁歪素子Terfenol-Dの伸縮によって変位を得る装置 超磁歪アクチュエータ 項目 パラメータ 超磁歪素子 Terfenol-D 励磁コイルの巻数 1200 turn 定格起磁力 6,000 AT 最大磁気歪量 120 mm 発生応力 8,300 N 超磁歪アクチュエータ ・キャビテーション発生条件 キャビテーションを発生させるのに十分な発生応力(減圧能)がある Pv:水の蒸気圧,P:外圧

研究目的 <現在> キャビテーション発生機構を用い,2種類の微生物を滅菌・不活 性化することが明らかとなっている 駆動周波数を上げればキャビテーションによる効果は増大するが,励磁コイルのインダクタクスが増大し電源電圧が不足 共振状態で駆動させピストンの振幅・力積を大きくし,水に印加する圧力変化を大きくすることでキャビテーションによる効果上昇を図る ピストン駆動時の共振周波数(348Hz)が駆動可能周波数より高いため,共振周波数を駆動可能周波数(240Hz)付近まで下げることを目指した

キャビテーション発生機構の等価回路 スペースの関係上2.0kgの質量負荷が最大 キャビテーション発生機構の全体図および等価回路 質量負荷(エネルギー損失にならない) スペースの関係上2.0kgの質量負荷が最大 キャビテーション発生機構の全体図および等価回路

キャビテーション発生機構の等価回路 共振周波数が約120Hz減少し、振幅が約3dB増加 -90 120Hz 3dB ピストン(3.8kg)+2kg ピストン(3.8kg) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 等価回路解析におけるピストンの振幅と位相の周波数特性比較 共振周波数が約120Hz減少し、振幅が約3dB増加

ピストン駆動時周波数特性測定 共振周波数が約20Hz減少し、振幅が約10dB減少 ピストンの振幅と電流に対する位相の周波数特性比較(実験) ピストン(3.8kg) 実条件に当てはめた計算値 ピストン+質量負荷 (2.0kg) (3.8kg) 1 3 5 4 7 6 2 8 9 (102) 10 1 3 5 4 7 6 2 8 9 (102) 10 ピストン(3.8kg) ピストン+質量負荷 (2.0kg) (3.8kg) -270 駆動電流: 0.5A(実5A) -90 20Hz 10dB ピストンの振幅と電流に対する位相の周波数特性比較(実験) 共振周波数が約20Hz減少し、振幅が約10dB減少

まとめ キャビテーション発生機構のピストン駆動時における共振周波数(348Hz)を240Hz付近まで下げることを目指した ・ 等価回路を作成し,ピストンの質量を2kg増加させてシミュレー ションを行った結果,120Hzの共振周波数の減少と3dBの振幅 の増加という結果であった ・ ピストンに2kgの質量負荷を接着して測定を行ったところ20Hz   の共振周波数の減少と10dBの振幅の減少が得られた ・ ピストンの質量を増加させる方法では共振周波数を目標値  (240Hz付近)まで下げるのは困難 ・ ピストンの質量を変えない場合において,350Hzまでのピストン   駆動時の振幅の周波数特性を計算できた

今後の課題 ・ キャビテーション発生機構の等価回路の改善 近似条件を見直し計算値と測定値を近づける ・励磁コイルの巻き数を減らす ・ キャビテーション発生機構の等価回路の改善  近似条件を見直し計算値と測定値を近づける ・励磁コイルの巻き数を減らす  励磁コイルのインダクタンスを減らすことで駆動電圧を減少  させ,より高周波での駆動を目指す

ご静聴ありがとうございました

超磁歪素子Terfenol-D ・Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Fe(鉄)の 元素から成る超磁歪合金 ・2000ppm前後の磁歪が得られる l:磁歪[ppm] DL:磁歪による変位[m] L:超磁歪素子の長さ[m] Terfenol-D

磁歪現象 磁性体に磁界を印加すると、その長さが変化する現象 磁界

バタフライ特性 オフセット

等価回路におけるパラメータ m:超磁歪振動子の等価質量[kg] 0.35 m1:自由端の質量+超磁歪振動子の等価質量[kg] 1.7 4.2 k1:柱の等価スチフネス[N/m] 3.1×108 k2:超磁歪振動子の合成等価スチフネス[N/m] 1.0×108 k3:皿ばねのばね定数[N/m] 6.8×105 c:水の粘性減衰係数[N・s/m] 8.0×103 f:アクチュエータの出力[N] 8.3×103

・ピストンの変位と電流に対する位相(計算値)

ピストン駆動時周波数特性測定 I V 1 V = 1 A OFFSET:0.25V AMPLITUDE:0.5V 水槽 質量負荷 ピストン プローブ部 (2kg) レーザ出力部 キャビテーション発生機構 水 I V 1 V = 1 A OFFSET:0.25V AMPLITUDE:0.5V ピストン駆動時周波数特性測定系

計算値と実験値の比較 計算値 測定値 336Hz ピストン駆動時周波数特性比較 11dB 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 90 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) ピストン駆動時周波数特性比較

超磁歪アクチュエータ駆動時間によるファージ不活性化影響

キャビテーション発生機構のインピーダンス L=2.5 [mH] インピーダンスの周波数特性

駆動電流での駆動系 キャビテーション発生機構 駆動電流での駆動系