超磁歪アクチュエータを用いた キャビテーション発生機構における 機械的特性の解析 A-4 超磁歪アクチュエータを用いた キャビテーション発生機構における 機械的特性の解析 磁気応用研究グループ 電気電子システム工学科 中村 翔太郎
目次 ・研究背景・目的 ・キャビテーション発生機構の等価回路 ・ピストン駆動時周波数特性測定 ・まとめ ・今後の課題
研究背景 近年、河川などの水質汚濁が世界的に問題となっている キャビテーションの圧力衝撃波・熱分解作用を利用した水質浄化の研究が多くされている 高出力・高速応答を特徴とする超磁歪アクチュエータを用いたキャビテーション発生機構を提案し,微生物によって汚濁した河川などのバイオ環境の浄化を目指す
研究背景 キャビテーション現象 液体を微小時間内に断熱膨張・圧縮させると,無数の小さな泡が 発生・崩壊する現象 液体を微小時間内に断熱膨張・圧縮させると,無数の小さな泡が 発生・崩壊する現象 気泡(キャビテー)崩壊時に微小空間に大きな熱・圧力衝撃波 温 度 液体 固体 気体 圧 力 P Pv 沸騰 キャビテーション 薬品を使用しない 生態系への影響なく水質汚濁の原因である微生物を滅菌・不活性化できる可能性 水の状態図のモデル
研究背景 超磁歪アクチュエータ 超磁歪アクチュエータは超磁歪素子Terfenol-Dの伸縮によって変位を得る装置 超磁歪アクチュエータ 項目 パラメータ 超磁歪素子 Terfenol-D 励磁コイルの巻数 1200 turn 定格起磁力 6,000 AT 最大磁気歪量 120 mm 発生応力 8,300 N 超磁歪アクチュエータ ・キャビテーション発生条件 キャビテーションを発生させるのに十分な発生応力(減圧能)がある Pv:水の蒸気圧,P:外圧
研究目的 <現在> キャビテーション発生機構を用い,2種類の微生物を滅菌・不活 性化することが明らかとなっている 駆動周波数を上げればキャビテーションによる効果は増大するが,励磁コイルのインダクタクスが増大し電源電圧が不足 共振状態で駆動させピストンの振幅・力積を大きくし,水に印加する圧力変化を大きくすることでキャビテーションによる効果上昇を図る ピストン駆動時の共振周波数(348Hz)が駆動可能周波数より高いため,共振周波数を駆動可能周波数(240Hz)付近まで下げることを目指した
キャビテーション発生機構の等価回路 スペースの関係上2.0kgの質量負荷が最大 キャビテーション発生機構の全体図および等価回路 質量負荷(エネルギー損失にならない) スペースの関係上2.0kgの質量負荷が最大 キャビテーション発生機構の全体図および等価回路
キャビテーション発生機構の等価回路 共振周波数が約120Hz減少し、振幅が約3dB増加 -90 120Hz 3dB ピストン(3.8kg)+2kg ピストン(3.8kg) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 等価回路解析におけるピストンの振幅と位相の周波数特性比較 共振周波数が約120Hz減少し、振幅が約3dB増加
ピストン駆動時周波数特性測定 共振周波数が約20Hz減少し、振幅が約10dB減少 ピストンの振幅と電流に対する位相の周波数特性比較(実験) ピストン(3.8kg) 実条件に当てはめた計算値 ピストン+質量負荷 (2.0kg) (3.8kg) 1 3 5 4 7 6 2 8 9 (102) 10 1 3 5 4 7 6 2 8 9 (102) 10 ピストン(3.8kg) ピストン+質量負荷 (2.0kg) (3.8kg) -270 駆動電流: 0.5A(実5A) -90 20Hz 10dB ピストンの振幅と電流に対する位相の周波数特性比較(実験) 共振周波数が約20Hz減少し、振幅が約10dB減少
まとめ キャビテーション発生機構のピストン駆動時における共振周波数(348Hz)を240Hz付近まで下げることを目指した ・ 等価回路を作成し,ピストンの質量を2kg増加させてシミュレー ションを行った結果,120Hzの共振周波数の減少と3dBの振幅 の増加という結果であった ・ ピストンに2kgの質量負荷を接着して測定を行ったところ20Hz の共振周波数の減少と10dBの振幅の減少が得られた ・ ピストンの質量を増加させる方法では共振周波数を目標値 (240Hz付近)まで下げるのは困難 ・ ピストンの質量を変えない場合において,350Hzまでのピストン 駆動時の振幅の周波数特性を計算できた
今後の課題 ・ キャビテーション発生機構の等価回路の改善 近似条件を見直し計算値と測定値を近づける ・励磁コイルの巻き数を減らす ・ キャビテーション発生機構の等価回路の改善 近似条件を見直し計算値と測定値を近づける ・励磁コイルの巻き数を減らす 励磁コイルのインダクタンスを減らすことで駆動電圧を減少 させ,より高周波での駆動を目指す
ご静聴ありがとうございました
超磁歪素子Terfenol-D ・Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Fe(鉄)の 元素から成る超磁歪合金 ・2000ppm前後の磁歪が得られる l:磁歪[ppm] DL:磁歪による変位[m] L:超磁歪素子の長さ[m] Terfenol-D
磁歪現象 磁性体に磁界を印加すると、その長さが変化する現象 磁界
バタフライ特性 オフセット
等価回路におけるパラメータ m:超磁歪振動子の等価質量[kg] 0.35 m1:自由端の質量+超磁歪振動子の等価質量[kg] 1.7 4.2 k1:柱の等価スチフネス[N/m] 3.1×108 k2:超磁歪振動子の合成等価スチフネス[N/m] 1.0×108 k3:皿ばねのばね定数[N/m] 6.8×105 c:水の粘性減衰係数[N・s/m] 8.0×103 f:アクチュエータの出力[N] 8.3×103
・ピストンの変位と電流に対する位相(計算値)
ピストン駆動時周波数特性測定 I V 1 V = 1 A OFFSET:0.25V AMPLITUDE:0.5V 水槽 質量負荷 ピストン プローブ部 (2kg) レーザ出力部 キャビテーション発生機構 水 I V 1 V = 1 A OFFSET:0.25V AMPLITUDE:0.5V ピストン駆動時周波数特性測定系
計算値と実験値の比較 計算値 測定値 336Hz ピストン駆動時周波数特性比較 11dB 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) 90 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 (102) ピストン駆動時周波数特性比較
超磁歪アクチュエータ駆動時間によるファージ不活性化影響
キャビテーション発生機構のインピーダンス L=2.5 [mH] インピーダンスの周波数特性
駆動電流での駆動系 キャビテーション発生機構 駆動電流での駆動系