ネット上のいじめを 未然に防ぐために 本日の研修の課題は「ネット上のいじめを未然に防ぐために」とし、研修を進めていきます。
中学2年生(男子)のA君は、いつも同じクラスの数人からいじめにあっていました。 事例研究 この事例の中で問題となる部分に線を引いてみましょう 中学2年生(男子)のA君は、いつも同じクラスの数人からいじめにあっていました。 いじめている数人のうち1人が、いじめの様子を携帯電話で動画で撮影。 皆がおもしろがり、動画共有サイトに投稿しようという話になりました。 動画共有サイトにいじめの動画が投稿されると、それを見たほかの生徒から、いじめられているA君への誹謗中傷が相次ぎました。 A君へいじめはさらに深刻になり、A君は学校に行けなくなりました。 平成26年度総務省調査研究「インターネットトラブル事例集」 2.書き込みやメールでの誹謗中傷やいじめ 事例2-3」 子どもたちが陥りやすい心理を踏まえて、事例を研究してみましょう。 「事例研究」を読む ①この事例の中で、どの部分が問題となりますか。線を引いてみましょう。 (引いたラインの部分を発表) まず、いじめにあっていたということを、学校が把握できる機会があったかなかったということが問題となります。 当然、予防を前提として問題となります。ただ、その後、この事例では情報機器を使ったいじめに発展しています。 いじめの様子を携帯電話を使って動画で撮影するという行為、そして、その動画をサイトに投稿する行為、そしてその動画を見て誹謗中傷する行為には、 相手を思いやるという気持ちが全く見られません。また、いじめの様子を動画で撮影し、動画サイトに投稿したことによって、このいじめは、さらに深刻化しました。 また、サイト上に発信した情報は、多くの人にすぐに広まってしまうことを知らなかったことがいじめをより大きくする原因となっています。 では、このようなことを引き起こさないためにも、子どもたちにどのような力を身に付けさせなければならないのでしょうか。
相手を意識したコミュニケーション力の育成 ①相手を思いやる気持ちやモラルを身に付ける! ②画面の向こう側にいる不特定多数の相手の存在を 意識する!(トラブルの入り口に立っている) 相手を意識してね! ・児童、生徒の道徳的実践力を高める! (道徳の授業、日常のモラル指導を通して) ・認め合い、思いやりのある仲間づくり! (友だちのがんばり、個性、発表、人の命を尊重する雰囲気 づくり) ・コミュニケーション能力の育成などの推進! (ソーシャルスキルトレーニング等) まず、第一に子どもたちの相手を意識したコミュニケーション力を育成することが必要となってきます。そのために、大切なことが二点あります。 一つ目は、相手を思いやる気持ちやモラルを身に付けることです。常に相手を意識して、優しい言葉かけができる子どもを育むことができれば、誹謗中傷などはなくなっていくはずです。 そして、このような力を身に付けるためには、ソーシャルスキルトレーニングが効果的です。ソーシャルスキルトレーニングとは、子どもたちが将来,社会に適応するために必要となる コミュニケーション・スキルなどのトレーニングによって、好ましい人間関係を築く能力を高めることです。 そして、道徳の授業や日常のモラル指導を通して相手を思いやる気持ちを身に付けていかなければなりません。 二つ目は、画面の向こう側にいる不特定多数の相手の存在を意識することです。相手が見えないことで、ついつい自分本位な言葉を書き込んでしまうことがあります。 やはり、「認め合い、思いやりのある仲間づくり!」が大切です。
情報の特殊性による危険を知る ① 発信した情報はみんなが見ている。 ② 違法情報や有害情報が含まれる。 ③ 書き込みが原因で、思わぬトラブルを招き、 傷害など別の犯罪につながる可能性がある。 (「足跡」はついている。) ④ 一度流出した情報は、簡単には回収できない。 “なりすまし”も起こっている! 次に、子どもたちが情報の特殊性による危険を知ることが必要となってきます。情報の特殊性については、大切なことが4点あります。 まず、一つ目に、発信じた情報は多くの人にすぐ広まることです。何気なくインターネット上に書き込んだ内容が、いとも簡単に世界中へ広がってしまうことを意識しておかなければなりません。 二つ目に、インターネットには違法情報や有害情報が含まれることです。情報の信ぴょう性を判断することが大切です。 三つ目は、インターネットは匿名性が高いということです。インターネット上では本人が公表しなければ匿名性が確保されています。匿名性を利用すると、自由に発言ができたり、発言に対する責任が無くなることが管理者により保障されます。しかし、それを利用してどんな発言をしてもかまわないという安易な考えに陥りやすいのも事実です。最初に示したLINEのトラブルなども、この匿名性によるものです。 しかし、実際は匿名性といってもIPアドレスからや契約している会社では、その発信がどこから行われたか、ログをとるなど分かる仕組みになっています。犯罪では、警察が提出を呼びかけます。「足跡」はついているのです。 四つ目に、インターネット上に書き込んだ内容は簡単に削除できないということです。さらに、書き込まれたページがコピーされてどんどん増えていく可能性もあります。インターネット上では、1カ所だけデータが残っていることはありません。
STOP “ストップ” ネットいじめ 2つの条件!! 学校、家庭両方で情報モラル教育を推進 ① 相手を意識したコミュニケーション力 の育成 “ストップ” ネットいじめ 2つの条件!! 子どもたちにとっての ① 相手を意識したコミュニケーション力 の育成 ② 情報の特殊性による危険を知る では、このような状況をふまえ、ネットいじめを予防する方法について考えていきたいと思います。 ネットいじめを予防するために、子どもたちにとって必要な条件が2つあります。 1つ目は、相手を意識したコミニュケーション力を育成すること、そして、2つ目は情報の特殊性による危険を知ることです。 この2つの内容を子どもたちに身に付けさせるために学校、家庭の両方で情報モラル教育を推進させてく必要があります。 学校、家庭両方で情報モラル教育を推進
学校・家庭での情報モラル教育の推進が不可欠 未然に防ぐ ためには 子ども 学校での 指導 家庭での指導 ネット上のいじめを未然に防ぐためには、学校、家庭の両輪で情報モラル教育を推進していくことが不可欠です。 最近では、PTA主催の研修会でサイバー犯罪に関することが取り上げられるようになってきています。 また、専門の講師の無償派遣も広まってきています。 学校・家庭での情報モラル教育の推進が不可欠 6
学校でできること ①インターネット上のいじめについて話し合う。 ②危険を避ける知識を習得! ③安全・安心に利用するための判断力や心構えを育む! ・アンケートを行い、児童・生徒の状況を把握する! ・情報モラルカリキュラムの作成。(各教科等への位置づけ) ・職員研修会で事例や対応策、法律的な知識の習得。 ・情報モラルの授業実践。 ・家庭での指導を啓発する。 (参観日・保護者会・懇談会・学級通信での発信) それでは、まず、学校でできることについて考えてみましょうか。「危険を避ける知識を習得」させること、そして「インターネットを安全・安心に利用するための判断力や心構えを育む」ことが大切になってきます。 では、そのためにできる具体的な方法を挙げてみましょう (クリック) まずアンケートを行い、児童・生徒の状況を把握することがスタートです。そこから、自分の学級(学校)の子どもたちに必要な課題を見つけます。 次に、情報モラルカリキュラムの作成し、道徳や各教科、特別活動における学習内容に位置づけます。 そして職員研修を通し、教師自身も情報モラルの授業実践力を身に付けることなど授業実践できる環境を整えていきます。そして、情報モラル授業を実践していきます。 さらに、子どもたちがインターネットを利用する機会は圧倒的に家庭が多く、情報モラル教育を家庭で実践することは必要不可欠なことです。そこで参観日、保護者会、 懇談会、学級通信を通して家庭へ発信していくことも必要不可欠になってきます。
情報モラル教育モデルカリキュラムの例 学校 (安)安全への知恵 (倫)情報社会の倫理 (法)法の理解と遵守 ここでは、カリキュラムの一例を紹介します。 このカリキュラムで出てくる (安)は 安全への知恵、 (倫)は 情報社会の倫理 、 (法) 法の理解と遵守、 (ネ)は公共的なネットワーク社会の構築を表しています。 この学校では、5、6年生で年間4時間、道徳と総合的な学習の時間を活用して情報モラル教育を実践しています。みなさんの学校では、どのようにカリキュラムを作成していますか。 (安)安全への知恵 (倫)情報社会の倫理 (法)法の理解と遵守 (ネ)公共的なネットワーク社会の構築
家庭でできること ①家庭でのルールづくり! ②保護者としての立場、心がまえを明確に ・子どもを守るのは保護者の責任と認識する。 ②保護者としての立場、心がまえを明確に ・子どもを守るのは保護者の責任と認識する。 ・ 子どもと一緒に問題を考える。 (トラブルがあったら相談する。) ③情報モラルのスキルアップ! ・ネットトラブルの実態を学ぶ。 ・研修会、講演会等への参加 そのことを踏まえ、情報モラル教育を推進していく上で、家庭でできることについて考えてみましょう。 まず、第一に家庭でのインターネット利用のルールづくりが必要になってきます。インターネットに対して無防備な子どもたちが制限なく利用している現状がまだまだあるのではないでしょうか。 あたりまえのことですが、保護者として子どもを守るのは当然の責任だと認識してもらい、子どもと一緒にインターネットの危険性を考えながら家庭でのルールづくりを進めていくことが大切です。 携帯電話やスマートフォンを持つ責任、持たせる責任を保護者に認識してもらいましょう。 最後に、教員も保護者自身も情報モラルのスキルアップが必要となってきます。日々、情報社会が進化している中で、起こってくるトラブルも常に変化してきています。積極的に研修会や講習会へ参加し、現在のトラブルの実態を学んでもらい、予防策や対処法を知ってもらうことが必要です。 また、最近ではPTAが主催するサイバー犯罪に関する講演会や研修会も行われています。そのような連携が大切になってきます。
「家庭のルール」(携帯電話)<青少年と保護者の比較> 続いて、このグラフを見てください。携帯電話について親と子どもに家庭で何らか のルールを決めているというアンケートを行ったものですが、親と子の間に認識の ギャップがあり、親は、きっちりルールを決めていると思い込んでいる現状がある ことがわかります。 やはり、子どもと親が一緒に学び、考える場が必要ではないかと考えます。 学校としては、そのためのアプローチが必要となることが分かります。 ○平成25年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」 平成25年1月(内閣府) 保護者と子どもの認識にギャップがある。 子どもと親が一緒に学ぶ場、考える場が必要。
親子でインターネット、携帯電話の ルール作りが大切 家庭 親子でインターネット、携帯電話の ルール作りが大切 安全に、安心してインターネット、携帯電話を使うためには、どんなルールを決めておけばいいでしょうか。 料金については 時間場所は マナーは そこで、親子でインターネット、携帯電話のルール作りをすることも有効です。(クリック) ここで安全に安心してインターネット、携帯電話を使うためにはどんなルールを決めておいたらいいか。考えてみてください。(クリック) (クリック) (クリック) 例えば料金について、時間や場所、マナーについてはどうでしょうか。 携帯電話を使う 目的についてもね
☆家庭でのルールの一例☆ • 食事中や入浴中はケータイを使わない • 写真を撮るときは相手に了解をとる •インターネット上に、自分や友達の名前、 住所、顔写真などを公開しない • 違法なサイトからダウンロードしない • 不安や心配があればすぐに親に相談する • チェーンメールや知らない人からの メールは無視する TCA 社団法人電気通信事業者協会 まもろう!ケータイルールより抜粋 見えるところに貼っておこう さて、ほんの一例ですが、家庭で決めるルールの一例を挙げます。(クリック) 例えば、「食事中や入浴中は携帯電を使わない」といったように、それぞれの家庭の状況に応じて、家族で相談し、家庭のルールを決めましょう。 子どもと一緒に「自分たちで決めたルール」をつくることで保護者、子ども両方の安全・安心への意識が高まります! ただ、特に意識を高めないといけないのは、スマートフォンの活用です。スマートフォンのフィルタリングについては、 ぜひ、先生方に別に研修していただきたいと思います。 情報モラルには、これはしてはいけないという指導の陰の部分と有効に活用しようという光の部分があります。先生方も判断でき、 インターネットを楽しく有効的に使えるようになればいいですね!(クリック)
保護者と一緒に考えるモデル教材 内容 「個人情報公開によるトラブル事例」 ねらい ・ネットの特殊性を学び、危険性を考える。 内容 「個人情報公開によるトラブル事例」 ねらい ・ネットの特殊性を学び、危険性を考える。 ・保護者と共に考え、情報モラルを身につける。 ・ネット上の情報活用における安全な使い方について学ぶ。 教材の活用 ・保護者と一緒にすすめる。 では、次に家庭での話し合いや参観日などで子どもと保護者が一緒に考える、モデル教材を紹介します。 【内容・ねらい・教材の活用を話す】 著作権は一般財団法人コンピュータ教育推進センターに帰属します。 http://www.cec.or.jp/net-walk/chu_ichiran.html
【すべての場面を読み、状況を把握してもらう】 著作権は一般財団法人コンピュータ教育推進センターに帰属します。 http://www.cec.or.jp/net-walk/chu_ichiran.html
ではこの問題について、一緒に考えてみましょう。 著作権は一般財団法人コンピュータ教育推進センターに帰属します。 http://www.cec.or.jp/net-walk/chu_ichiran.html ではこの問題について、一緒に考えてみましょう。
ワークシート(例) 1.サヤカさん(写真)とカナさん(アドレス)の情報が出会い系サイトに載ってしまったことで、これからどのような問題おこる事が考えられますか? 2.なぜこんなことになったのでしょう。 3.注意したことはどのようなことですか? 4.おうちの方と一緒にネットを使う時の約束事を決めましょう。 ・いたずらメールが届く。 ・学校や、町で見知らぬ人から声をかけられる。 ・いじめられる。家から出たくなくなる。 ・家の方にも迷惑がかかっていく。 ネットの危険な部分と被害について共通理解を図る。 ・個人情報を載せたから。 ・ネット社会の危険な部分を考えてなかった。 保護者の意見と子どもの意見を互いに尊重しながらすすめる。 ・個人が特定される情報は載せない。 【ひとつ、ひとつ意見を聞いていく】 保護者と一緒に行うモラル教材のポイントは、 ①ネットの危険な部分と被害について共通理解を図る。 ②保護者の意見と子どもの意見を互いに尊重しながらすすめる。 ③ネット利用におけるルールを決める この流れを参考にしていただき、他の事例でも、保護者と行うモラル教材を作成してもらえればと思います。 親子で、「こんなことをのせたらいいよね」、「これをのせちゃうとどうなっちゃうんだろう」と話し合いながら考えるのもいいですよね。 ・情報を発信・活用するときの注意。 ・サイトを見るときに注意すること。 ・ネットを利用するときの約束。 ルールを決める。
『まとめ』 (ネット上のいじめを未然に防止するために) ① ネットトラブルの現状を知る。 ② 学校・家庭で連携して情報モラル教育を 推進していく。 家庭での携帯電話の必要性を考えよう! では、最後にまとめましょう。 ネット上のいじめを未然に防止するためには、 1 ネットトラブルの現状を知る。 2 学校、家庭で連携して情報モラルを推進していくことが大切です。 また、家庭で、携帯電話について必要かどうかを考えていくことも必要ですね。
未然防止のためには、家庭での指導が不可欠ですよ! 学校での情報モラル指導を充実させるとともに、家庭での指導を充実させることが必須となってきます。 保護者と緊密に連携・協力するとともに、双方で指導を行えるように積極的に行動をしていきましょう! ご清聴ありがとうございました。 18 18
兵庫県青少年愛護条例施行規則 保護者は、子どもの携帯電話にフィルタリングをしないといけない。 第24条の4 保護者は、その監護する青少年が携帯電話インターネット接続役務の提供を受ける契約の当事者となる場合又はその監護する青少年を端末設備の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、当該青少年が就労しており、フィルタリング・サービスを利用することで当該青少年の業務に著しい支障を生ずることその他の規則で定める正当な理由があるときは、携帯電話インターネット接続役務を提供する電気通信事業者に対し、フィルタリング・サービスを利用しない旨の申出をすることができる。 実際に、兵庫県青少年愛護条例施行規則第24条の4項では、携帯電話のフィルタリングをしない場合保護者が電気通信事業者に申し出ることになっています。 つまり、保護者は子どもに対して携帯電話のフィルタリングをしなければならない責任を持っているということになり、言い換えれば、保護者は子どものインターネット利用に対して、責任を持たなければならないことを示していると言えます。 保護者は、子どもの携帯電話にフィルタリングをしないといけない。 保護者は、子どものインターネット利用に責任を持たなければならない。
・サイバー犯罪対策-情報セキュリティ対策ビデオ http://www.npa.go.jp/cyber/video/index.html 情報モラルの指導に役立つウェブサイト等 ○授業に利用できるサイト ・キッズ・パトロール http://www.cyberpolice.go.jp/kids/index.html ・サイバー犯罪対策-情報セキュリティ対策ビデオ http://www.npa.go.jp/cyber/video/index.html ・財団法人インターネット協会 「インターネットルール&マナー検定」 http://rm.iajapan.org/ ・「情報モラル 授業サポートセンター」 http://www.nctd.go.jp/g_support/index.html ここでは、今後の情報モラル指導に役立つウェブサイトをまとめておきました。ご活用ください。 平成27年9月現在