2580地区 職業奉仕セミナー 職業奉仕の 原理と実践 製作 2680地区 PDG 田中 毅 2580地区 職業奉仕セミナー 職業奉仕の 原理と実践 前回は「奉仕理念の提唱者アーサー・フレデリック・シェルドン」すなわち職業奉仕理念についてお話をしましたが、今回は「職業奉仕の原理と実践」というテーマで、毎日の職業生活のなかでどのようにしてロータリーの職業奉仕理念を実践に移すかについてお話をしたいと思います。 本題に入る前に、前回お話した、アーサー・フレデリック・シェルドンの提唱した職業奉仕理念の要点を復習してみたいと思います。 職業奉仕は理屈っぽくて難しいものと思われがちですが、決してそうではありません。職業奉仕の実践とは企業経営の方法すなわち私たちの毎日の職業生活に他なりません。他の奉仕活動は受益者がロータリアン以外の人であり、ロータリアンは常に地域社会や国際社会の人たちのニーズに従って奉仕活動をし続けなければなりませんが、職業奉仕に関しては受益者はロータリアン自身であり、実践活動の成果はロータリアン自身の利益として還元されるのです。ロータリーの特徴は職業奉仕にあるわけですから、私たちは毎週ロータリーの例会に参加して、どのようにして継続的に右肩上がりの利益を得るかについて学んでいるのです。 製作 2680地区 PDG 田中 毅
シェルドンによる 職業奉仕の定義 ロータリーにおける職業奉仕の理念は He profits most who serves best 最もよく奉仕する者、最も多く報いられるというモットーで表されています。 職業奉仕とは、アーサー・フレデリック・シェルドンがミシガン大学経営学部のマスター・コースで専攻した販売学を基本として、1902年に自らが設立したシェルドン・ビジネス・スクールで、20世紀の経営学の基本理念として教えていた考え方を、そのままロータリーが受け入れて、ロータリーの奉仕理念として提唱したものであり、自分の儲けを優先するのではなく自分の職業を通じて社会に貢献するという意図を持って事業を営めば、結果として継続的な事業の発展が得られるという独自の思考です。
事業を営むことは経営学という科学(学問)を実践すること 販売学とは末長く利益をもたらす顧客を確保する方法を学ぶこと 科学には必ず法則がある 法則に則って実践すれば必ず成功する 法則に則った企業経営をすれば必ず大きな利益が得られる シェルドンはどんな手段を講じようとも、富を得たものが成功者としてもてはやされた19世紀の人間の本能をむきだしにした弱肉強食の自由競争を否定すると共に、20世紀の事業はこれを科学として捉えることを提唱しました。事業を営むことは経営学という科学(学問)を実践することです。 事業の発展は、末長く利益をもたらす顧客を確保することであり、それを具体的に学ぶのが販売学です。 科学には必ず法則があり、すべての事柄は法則に則って実行すれば必ず成功します。 すなわち法則に則った企業経営をすれば必ず大きな利益が得られるのです。 シェルドンはこの企業経営の法則のことを職業奉仕と定義しているのです。 企業経営の法則・・・職業奉仕理念
利益を優先するのではなく、自らの職業を通じて社会に奉仕するため 職業奉仕とは科学的な企業経営方法 仏教や儒教と職業奉仕とは無関係 カルビニズム、プロテスタンティズム、マックス・ウエーバーの天職論とロータリーの職業奉仕は無関係 結果として倫理高揚につながるが、倫理高揚を目的としたものではない 職業奉仕とは科学的な企業経営の方法のことです。 ロータリーの職業奉仕理念が東洋的発想と似ていることから、多くのロータリーの指導者たちが仏教や儒教のような東洋思想を引き合いにして職業奉仕を語っていますが、たとえ似ている側面はあったとしても、その本質はシェルドンの職業奉仕理念とは根本的に違うものであることを特に強調しておきたいと思います。 ヨーロッパではキリスト教の天職論と職業奉仕を結びつけて考える人が多いようです。マックス・ウエーバーの天職論がロータリーの職業奉仕の根底にあると説く人もいますが、これも明らかな間違いです。マックス・ウエーバーが彼の代表的著作である「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を発表したのは1905年のことであり、シェルドンはそれよりはるか以前に職業奉仕の理念を構築して、それを実社会で応用するためのビジネス・スクールを経営していたからです。 職業奉仕を倫理高揚運動と説く人がいますが、これも大きな間違いで、職業奉仕とは科学的かつ合理的な企業経営方法のことであり、シェルドンの職業奉仕理念に則った企業経営をすれば、当然のことながら高い職業倫理を備えた事業所であるという結果が現れます。しかしそれは職業奉仕を実践した結果現われる現象に過ぎず、この運動の出発点は職業倫理高揚を目的とした活動ではありません。 利他の心を持って、他人の成功を願うことが、自らが成功する秘訣なのです。ロータリアンの職業は利益を得るための手段ではなく、その職業を通じて社会に奉仕するためにあるのです。 利益を優先するのではなく、自らの職業を通じて社会に奉仕するため
顧客に満足度を与える具体的経営方法 高い品質 安全性・賞味期限 適正な価格 需要供給のバランス 経営者・従業員の接客態度 豊富な品揃え 高い品質 安全性・賞味期限 適正な価格 需要供給のバランス 経営者・従業員の接客態度 豊富な品揃え 公正な広告 虚偽・誇大広告 高い商品知識 高度な専門知識 アフター・サービス PL法 シェルドンの説く職業奉仕とは、顧客に満足を与える具体的な企業経営方法のことなのです。彼は、持続して繁栄し発展しているいくつかの企業に共通して見られる特徴を、サービスと名づけました。 販売する商品や提供するサービスの品質が高いことが大切です。特に食品の場合には味覚に加えて安全性が重要なポイントになります。 価格が適正であることも大切なことです。品薄の機会を捉えて一時的には暴利を貪ることができても、一旦価格が安定すれば顧客は戻ってはきません。 店主や従業員の顧客への態度や気配りも大切です。無愛想な店には二度と行きたくないのは誰しも同じです。豊富な品揃えもうれしいものです。現在では当たり前になっている公正な広告も、当時のロータリアンの努力によって立法化されたものです。商品や業務に対する知識、アフターサービス、顧客が感じる満足感と公平感、こういったもの全てがサービスであり、サービスの良い店には必ず顧客がリピーターとなって再三訪れたり、別の顧客を紹介してくれます。一見さんだけを相手にしていたのでは事業の発展は望めません。その事業所のサービスに満足した客がリピーターとなって訪れたり、別の顧客を紹介してくれて、始めて継続的な繁栄が約束されるのです。 顧客の満足度の高い事業所は、結果として高い職業倫理を持った事業所だと言うことができます。顧客の満足度を高めるサービスこそが企業の永続的発展と成功を保証する唯一の方法なのです。 リピーター新規顧客の獲得 結果として高い職業倫理に繋がる
事業における人間関係学 職業奉仕の受益者は 顧客と事業主の双方 事業上得た利益は、事業主のみのものではない。 事業は、経営者、従業員、取引業者、顧客、同業者すべてによって支えられている。 これらの人々と、利益を適正に配分すれば、自らの事業は継続し発展することを、自らの事業所で実証する。 自らの事業所でそれを実証することによって、業界全体の職業倫理が向上する。 更にシェルドンは人間関係学から職業奉仕を説いています。事業上得た利益は、決して自分一人で得た利益ではありません。従業員、取引先、下請け業者、顧客、同業者など、自分の事業と関係を持つすべての人々のおかげで得たことを感謝し、その利益を適正にシェアする心を持って事業を営めば、必ず最高の利益が得られることを自分の職場で実証し、その方法こそが正しいやり方であることを、地域全体の職業人に伝えていかなければなりません。まず、ロータリアンの企業が職業奉仕理念に基づいた正しい事業経営をし、それによって事業が継続的発展をすることを実証すれば、必ずや他の同業者たちもその経営方法を見習うはずです。それが結果として、業界全体の職業倫理高揚につながるはずです。 すなわち職業奉仕実践によって大きな利益を得るのは顧客と事業主の双方なのです。 職業奉仕の受益者は 顧客と事業主の双方
顧客の満足度を最優先して、自らの職業を通じて他人に奉仕する 職業奉仕実践のまとめ 顧客の満足度を最優先して、自らの職業を通じて他人に奉仕する リピーターと新規顧客の獲得 シェルドンの職業奉仕理念をまとめて見ましょう。自らが儲けるために職業に就いているという考えを捨てて、顧客の満足度を最優先しつつ、自らの職業を通じて他人に奉仕をするという考えで事業を営めば、 その真摯な態度が顧客の心を捉えて、リピーターとして何度も事業所を訪れたり、新規の顧客を紹介してくれるはずです。 その結果大きな利潤が得られるとともに、その事業所は継続的に発展していきます。 そして、そのような事業所は結果として高い職業倫理を持っているはずです。職業奉仕は職業倫理を高揚することではなく、職業奉仕の実践が結果として高い職業倫理につながるのです。 継続的な事業の発展 職業倫理の高揚
職業奉仕理念が確定し、この理念を具体化するために作られたのが道徳律です。 1915年に採択された道徳律はガイ・ガンディカーによってまとめられた 「A Talking knowledge of Rotary」に収録され、全会員に配布されました。
レストラン協会の道徳律制定 ガイ・ガンディカー 労使関係、従業員対策 職業倫理基準高揚 接客態度、サービス 取引関係 同業者対策 行政との関係 それから後のロータリー運動は、その道徳律をいかに自分の事業所や所属する業界に適用するかという運動に変わっていきました。そのためには、先ず、ロータリアン自身が同業組合に入って、すなわち医者は医師会に、飲食店は食品関係の業界団体に入って、その業界の指導的立場になって、その業界に道徳律を広める活動に発展します。1925年のRIの発表によると、ロータリアンが自ら制定に関与して、正しく実行されている、全世界の企業の道徳律は145に上ることが報告されています。 業界が採用した道徳律の中で有名なのが、ガイ・ガンディカーが作ったレストラン協会の道徳律です。若年労働者の深夜労働が当たり前だった時代に、現在の労働基準関係諸法や就業規則とまったく引けを取らないような規約を定め、雇用、新しい従業員の融和、昇給の機会、研修、労働条件、解雇、福利厚生、利益の条件、能力のある者と無い者との評価の判定、休暇、安全を公正に取り扱うための規則、省力化機器、健康、教育などが定められ、さらに食品の検査、代用品を使わない規格化された献立、不当表示や過大広告の廃止、定価販売、礼儀正しさ、注意深さ、チップをくれる客だけを選り好みしない、間違った説明をしないことなどを、こと細かく決めて、それを守っていったのです。
職業奉仕の実践例 1920年 禁酒法とマフィアの台頭 シカゴ防犯協会の活躍 チャンバリン大佐 保釈保証人の告発 ボビー・フランク殺人事件 1920年 禁酒法とマフィアの台頭 シカゴ防犯協会の活躍 チャンバリン大佐 保釈保証人の告発 ボビー・フランク殺人事件 法制化運動 貿易 広告宣伝 1920年から1930年にかけての10年間が、ロータリーの職業奉仕が社会に大きな影響を及ぼした爛熟期といえます。 1920年にアメリカに禁酒法が制定され、期を一にしてマフィアがシカゴで活動を開始します。前述のレストラン協会の道徳律は、禁酒法の絡みで、マフィアのターゲットになったレストラン業界を防衛するためにガイ・ガンディカーが作ったものです。 シカゴ・クラブは退役軍人のチャンバリン大佐をシカゴ市の防犯協会の会長として送り込み、マフィアの息のかかった大量の保釈保証人を告発したり、ロータリアンを証人として出廷させてボビー・フランク殺人事件を解決します。ロータリーは禁酒法に関連した貿易に関する他国法遵守、贈収賄禁止、適正広告などの法制化運動にも大きく関与します。こういった活動は多分に政治がらみだったとはいえ、職業奉仕を前面に押し立てて、堂々とマフィアと対峙したロータリーに世間の人が喝采を送ったことは否定できません。ロータリアンはロータリアンであることに誇りを持ち、一般の人たちもロータリアンになることを夢見たわけで、ロータリーは大きな発展をとげたのです。
四つのテスト ハーバート・テーラー 1954年 RI会長 1929年から始まった世界大恐慌の時期に、ロータリアンがなしとげた大きな業績の一つに、四つのテストの制定があります。ハーバート・テーラーは、包装済食品の戸別訪問販売の職業分類を持つシカゴ・クラブの会員でしたが、やりがいのある職業を捨てた彼は、折からの経済恐慌の煽りを受けて、40万ドルの負債を抱えて、倒産に瀕していたクラブ・アルミニウム社の社長に就任します。 景気は冷え込んでいるし、社員の勤労意欲も落ち込んでいます。もしその操業が止まれば、250人の従業員が仕事を失うことは間違いありません。 普通の人ならば決してそのような役目は引き受けなかったでしょうが、ハーバートは、敢えてその困難な仕事に挑戦したのです。そして、こんなときにこそ、全員が倫理的なターゲットを掲げて、正しい営業活動を行えば、必ず会社が再建できるのだということを実証するために、画期的な経営管理の指針を考え出したのです。 ハーバート・テーラーが「四つのテスト」を社員に提示した当日に、「世界で最も優れた調理器具」と書かれた広告の校正刷りが、彼の机に届きました。彼は、そのことを証明することはできないし、真実ではないかもしれないと言って、広告担当のマネジャーを呼び、すべての「最高」とか「よりよい」とか「最もよい」とか「最も見事な」のような単語を使うことをやめて、製品についての事実だけを述べるように指示しました。 それから2ヶ月経って、会社が再び収益を上げ始めた頃、それぞれ宗教の違う四つの部署の責任者を呼んで、四つのテストが信仰上の教義に反しないことを確認した上で、全社員にこれを全ての職場で適用すること了解させました。大向こうをうならせるような、派手な出発ではありませんでしたが、従業員たちは印刷されたその文章を手にしながら、それぞれの職場でそれを実行し始めたのです。まさしくその単純さが効果的であり興味をそそったのです。 会社が印刷所に、低い入札価格によって大きな注文をするという事件が起こりました。印刷所が品物を届けてしまった後に、見積価格を大幅に間違ったことに気き、無理とは思いながらも、会社にその差額を払ってもらえないかと尋ねてきました。合法的にまた社会通念上からも、会社はその訴えを無視することは可能でしたが、四つテストの2番目の「すべての人に公平か?」に当てはまるとして、全額が支払われました。 クラブ・アルミニウム社の業務は改善を続け、5年後には、その借金は利子と共に完済し、15年後には、株主に多額の配当を分配するまでになりました。四つのテストは理想主義をはるかに越えて、極めて実用的なものだったのです。
シカゴ・クラブがその四つのテストの存在を知ったのは、1939年になって、ハーバート・テーラーが商工会議所でその話をした時に、偶然、二人のロータリアンがゲストとして居合わせたからです。ハーバート・テーラーが1939-1940年にクラブの会長になり、更に、国際ロータリーの会長を歴任した際、[四つのテスト]があまりにも素晴らしいので、全ロータリアンの職業奉仕の指針にしたいという声があがり、彼がRI会長に就任した1954年に、その版権がロータリーに寄付され、今日に至っています。 四つのテストは世界各国の言葉で翻訳され、広く活用されていますが、その位置付けに関しては、「いかなる意味においても規則として取り扱われてはならない」と規定されており、人間関係における高度の道徳的水準の向上を図り、それを維持するために、書簡箋や印刷物に使用することが奨励されているものの、販売や利益を増すための広告と結びつけることは禁じられています。 日本語の訳文は、ロータリー創立50周年記念事業の一環として、広く日本中のロータリアンから公募し、東京クラブの本田親男氏の訳文が採用されましたが、原文の精神が適切に表現されていないという指摘もあります。
戦前の門司クラブのユニークな訳文を紹介します。 <モットーとする奉仕を> 皆様に次の事を實行なさる様におすゝめします (一) 嘘を云はず眞實であるように (二) 誰にも公正で不公正のないように (三) 人に對し好意と友情を増すようにつとめ決して敵意と憎悪を招か ないように (四) 全体の為になるように働き誰人の不利にもならないように (門司ロータリー倶樂部) この四つのテストは倒産の危機に瀕した会社を立ち直らせるための純然たる経営上の指針ですから、その使用を事業上の取引に限定すると共に、邦訳や解釈を厳密にする必要があります。 医師が末期の癌患者に死期を告知をする際、四つのテストを適用すべきかどうかという議論を聞きますが、とんでもないことです。四つのテストはあくまでも事業上の取引に使うものであって、日常生活に適用するものではなく、いわんや学校や駅に張り出すような性格のドキュメントではありません。
Four way test 1. Is it the truth ? 2. Is it fair to all concerned ? 3. Will it build goodwill and better friendships ? 4. Will it be beneficial to all concerned ? 1.真実かどうか? 2.みんなに公平か? 3.好意と友情を深めるか? 4.みんなのためになるかどうか? 事実かどうか ? すべての取引先に対して公正かどうか ? Four-way test 四つのテスト 「事業を繁栄に導くための四通りの基準」ならば、当然Four-way testsと複数形になるはずです。これが単数形であるのは、事業を繁栄に導くためには、四通りの基準を一つずつクリアーすればいいのではなく、四つ纏めたものを一つの基準として、そのすべてをクリアーしなければならないことを意味します。ロータリーの綱領がObject of Rotaryと単数形であり、四つの項目が渾然一体となって、一つの綱領を形作っているのと同様です。 Is it the truth ? 真実かどうか 商取引において、商品の品質、納期、契約条件などに嘘偽りがないかどうかは、非常に大切な基準です。真実というのは、「80%の真実」という言葉が示すように、人間の心を通じたアナログ的な判定であるのに対して、事実とはその事実があったのか、無かったのかの二者択一を迫るデジタル的判定ですから、ここでは「事実かどうか」「嘘偽りがないかどうか」という言葉を用いるべきでしょう。 Is it fair to all concerned ? みんなに公平か fairとall concernedという言葉の翻訳に問題があります。fairは公平ではなく公正と訳すべきでしょう。公平とは平等分配を意味するので、例え贈収賄で得たunfair不正なお金でも平等に分ければ、それでよいことになります。all concernedはallだけが訳されており、肝心のconcernedが省略されています。冒頭に述べたように四つのテストは「商取引」の基準として定めた文章ですから、このconcerned (関わりのある人、関係する人) は「取引先」のことを意味することは明白です。従ってこのフレーズは「すべての取引先に対して公正かどうか」ということを意味します。 Will it build goodwill and better friendship ? 好意と友情を深めるか goodwill は単なる好意とか善意を表す言葉ではなく、商売上の信用とか評判を表すと共に、店ののれんや取引先を表します。すなわち、その商取引が店の信用を高めると同時に、よりよい人間関係を築き上げて、取引先を増やすかどうかを問うものです。「信用を高め、取引先をふやすかどうか」と訳すべきです。 Will it be beneficial to all concerned ? みんなのためになるかどうか Benefitは「儲け」そのものを表す言葉です。商取引において適正な利潤を追求することは当然なことであり、決して恥ずべきことではありません。ただし、売り手だけが儲かった、また買い手だけが儲かったのでは公正な取引とは言えません。その商取引によって、すべての取引先が適正な利潤を得るかどうかが問題なのです。「すべての取引先に利益をもたらすかどうか」と訳すべきでしょう。 このような厳密な翻訳を試みることによって、四つのテストが純然たる会社再建の指針であると共に、会社経営の指針であることが理解できるのです。 信用を高め取引先をふやすかどうか ? すべての取引先に利益をもたらすかどうか ?
シェルドンの逝去 1929年 世界大恐慌 1930年 シェルドン退会 モットー廃止問題 社会奉仕活動へ移行 1929年 世界大恐慌 1930年 シェルドン退会 モットー廃止問題 社会奉仕活動へ移行 1935年 シェルドン逝去 テキサス州ミッション 後にアンナ・グリフィス夫人の出生地 ニューヨーク州キングストンに埋葬 1929年に世界大恐慌が起こり、1930年には職業奉仕理念の提唱者であるアーサー・フレデリック・シェルドンがロータリーを退会します。その理由は定かではありませんが、相変わらず続いていたHe profits most who serves bestを廃止しようという提案が、1929年のダラス大会で決議29-7として提案され、賛成と反対が伯仲して、危うく通過しそうになったことや、同じ国際大会で、身体障害児童の救済事業をロータリーの最優先課題として実践することが決定したためとか、ポール・ハリスとの意見の対立が決定的になったとか、単に病気のためとかいろいろの説がありますが、真の理由は定かではありません。 1921年以降、シカゴ・クラブの年次報告書を含めたロータリーのすべての文献の中からシェルドンの名前は忽然と姿を消します。 1930年、シェルドンはシカゴ・クラブを退会し、1935年にテキサス州ミッションで亡くなります。現在、彼のお墓は、アンナ・グリフィス夫人の出生地であるニューヨーク州のキングストーンにあります。彼のお墓には質・量・モードを表す奉仕の三角形と、He profits most who serves bestの文字がはっきりと刻み込まれています。
奉仕こそわがつとめ パーシー・ホジソン 1949年RI会長 パーシー・ホジソン 1949年RI会長 過去のロータリー運動の中で取上げられた職業奉仕の具体的な事例を豊富に盛り込んだ解説書 そんな中にあって、職業奉仕に光を当てたのが、1949年にRI会長を務めたパーシー・ホジソンです。1948年、彼はジェームス・ウオッチャーストと共に職業奉仕の実践手引きとも言える「Service is my business 奉仕こそわがつとめ」を書きました。 この本の表題になったチャールズ・ディッケンスのクリスマス・キャロルから引用された「Mankind was my business」という言葉が巻頭を飾っています。 この本は過去のロータリー運動の中で取上げられた職業奉仕の具体的な事例が豊富に盛り込まれていて、職業奉仕を実践するに当って、ロータリアンが取り組まなければならない課題を、項目別に問題提起したものです。 なお、パーシー・ホジソンは自分が会長を務める年度の奉仕理念を分かりやすく示すための方法として、今日のRI会長テーマ の原型ともいうべきObjectives of Our Team for 1949-50 を掲げ、その最初のテーマの中心となった言葉が「奉仕こそわがつとめ Service is my Business 」です。
奉仕こそわがつとめ 職業倫理の高揚 同業者と協力 職場の人間関係 職人魂の高揚 公正な商習慣、公正な宣伝広告基準 顧客との関係 労使関係 マンパワー開発 この本は15章の具体的な職業奉仕実践項目、すなわち、 職業倫理の高揚 同業者と協力 職場の人間関係 職人魂の高揚 公正な商習慣、公正な宣伝広告基準 顧客との関係 労使関係 マンパワー開発 などで構成されていますが、それぞれの項目の中には現在でも通用する多くの実践例が集められていますので、ぜひご一読ください。
職業奉仕理念の衰退 1931年 道徳律の頒布禁止 1948年 RI職業奉仕委員会廃止 1951年 道徳律の廃止 1931年 道徳律の頒布禁止 1948年 RI職業奉仕委員会廃止 1951年 道徳律の廃止 1980年 道徳律という文字の抹消 1987年 職業奉仕に関する声明発表 クラブが行う職業奉仕の実践 ボランティア活動の定義 1988年 RI職業奉仕委員会廃止 人道的奉仕活動が活発になっていくに伴って、職業奉仕理念が衰退していきます。内容が厳しすぎるとか宗教色が強いという理由で1931年に道徳律が頒布禁止になります。 ロータリーの中核となる奉仕理念が職業奉仕であるにもかかわらず1948年にはRIの職業奉仕委員会が廃止になります。 さらに1951年には道徳律そのものが廃止され、1980年にはRI細則に細々と残っていた道徳律という言葉も抹消されます。 1987年に40年ぶりに復活されたRI職業奉仕委員会が、「職業奉仕に関する声明」を発表しますが、実はこの中に書かれている、「クラブが職業奉仕を実践する」という文章について疑義が生まれてきます。何故ならば、シェルドンの職業奉仕理論の中からは、クラブが職業奉仕の実践を行うという発想は出てこないからです。職業を持っている個人だから職業奉仕の実践ができるのであって、職業を持たないロータリー・クラブがどうやって職業奉仕の実践をするのかということです。 さらにRIはその具体例としても職場訪問、優良従業員の表彰、ボランティア活動をあげていますが、これが職業奉仕活動かどうか、疑問の残るところです。素晴らしい職業奉仕の実践をしているクラブの会員の事業所を訪問するのならばともかく、ほとんどの職場訪問は、ビール工場へ行って一杯よばれて帰るのが定石ですし、優良従業員の表彰は、その人の地域社会における職業上の功績を表彰するのですから、厳密には社会奉仕であって職業奉仕とは言えないのではないでしょうか。 もう一つの間違いは、ボランティア活動を職業奉仕の範疇に入れることです。医者という立場でフィリピンに行って白内障の手術をするのは職業奉仕ではありません。何故ならば、その医者はこの活動の受益者ではないからです。国内でボランティア活動をすれば社会奉仕、外国ですれば国際奉仕です。ボランティア活動をする活動の場所がどこであるかによって、社会奉仕か国際奉仕に分かれてくるとしても、これが、職業奉仕活動ではないことは確かです。 そして、この非常識な声明を発表したRI職業奉仕委員会は1988年に廃止されて現在に至っています。
職業奉仕理念の衰退 の順位格下げ 第二モットーとなる 2001年6月RI理事会 第二モットー使用停止 1989年 He profits most who serves best の順位格下げ 第二モットーとなる 2001年6月RI理事会 第二モットー使用停止 「手続要覧」の決議23-34から第二モットーの削除 2001年11月RI理事会 使用停止を撤回 2004年 規定審議会 They profit most who serve best 2007年 規定審議会 He / She profits most who serves best 職業奉仕理念の衰退、職業奉仕活動の混乱に引き続いて、今度はその矛先がHe profits most who serves bestというモットーに向けられてきました。 1989年の規定審議会で、このモットーは第二モットーに格下げになり、Service above selfが第一モットーとして優先されることになりました。 2001年の規程審議会で、あらゆるロータリーの文書や声明には、性限定用語を使わないという決議案が採択されたのを理由に、2001年6月のRI理事会は、He profits most who serves bestを使用停止にする決定し、手続要覧からこのモットーを削除しました。 これはとんでもない話であり、このモットーは1950年の国際大会で採択された正式なモットーであると共に、決議23-34に明記されている文章でもあります。従って、規程審議会の議を経ずして、理事会が勝手に使用停止にすることはできないはずだということで、私たちは猛反対のキャンペーンをしました。その結果、日本がこれだけやかましく言うのなら止めておこうということで、RIは急遽、使用停止を撤回しました。 しかしながら、2004年の規程審議会には、HeをOneに変えるという改正案がRIから提出され、結果的にこの第二モットーがThey profit most who serve bestに変更されました。 しかし、主語がtheyであることが団体奉仕を連想させるという理由から、2007年規定審議会でtheyをhe/sheに変更するという決議案が採択されましたが、RI理事会はこの変更には従わないことを決定しました。 ただし歴史上、理念上重要な文書や声明は原文を尊重すべきであるという提案が2004年規定審議会で採択されていますから、私たちが従来どおり、He profits most who serves bestを使用することは可能ですし、邦訳には何らの影響もないことがせめてもの慰めです。
2008年11月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 1923年の社会奉仕に関する声明 2008年11月 ロータリー章典 決議23-34の本文抹消 歴史的文書としての記載なし 1923年の社会奉仕に関する声明 理事会は、歴史的な価値を考慮して 手続要覧の将来版の発行に当たって社会奉仕に関する1923年の声明を含めることを事務総長に要請した。 つい先日「ロータリー章典11月」が発表されました。過去のロータリー章典にはその全文が掲載されていた決議23-34は跡形なく抹消されており、歴史的文書としての別途記載するという理事会決定も守られていません。その代わりに「8.040.2. 1923年の社会奉仕に関する声明」という項目が新設されて、「理事会は、歴史的な価値を考慮して手続要覧の将来版の発行に当たって社会奉仕に関する1923年の声明を含めることを事務総長に要請した。(2008年6月RI理事会)」という記載が加わっています。 すなわちのロータリー章典には「1923年の社会奉仕に関する声明」という言葉だけが残ったものの決議23-34の本文は完全に姿を消してしまい、現時点では歴史的に貴重な文献という項目は、RIの諸規約、公式文献、ウエブサイトのどこを見ても見当たりません。かつて道徳律が公式文献が排除され、なんとか道徳律という言葉だけが国際ロータリー細則16条に残ったものの、やがて道徳律という言葉そのものも消えていったことを思い出し、決議23-34も同様な経緯をたどりはしないかと心配しています。
職業奉仕の 実践上の諸問題 私たちのまわりではいろいろなことが起こっています。私たちは自分に貸与された職業分類の代表者としてロータリークラブに属している関係上、最も大きな関心事は職業奉仕の実践上起こる諸問題ではないかと思います。企業の不祥事がマスコミに報道されるたびに、どうかロータリアンでないようにと祈りながら全国会員名簿を検索するのは私だけではないと思います。そして残念なことにはその名前を全国会員名簿に発見することも多くなりました。
産業構造の変化に対応した職業奉仕の実践を開発する努力を怠った 産業別人口割合の激変 第一次産業 農業・漁業・林業 4.8 % 第二次産業 鉱業・製造業・建設業 26.1 % 第三次産業 上記以外の産業 69.1 % 新しい分野の職業の出現 サービス・情報通信・金融 ロータリー創立当初から20世紀の後半頃までは、第一次産業、第二次産業、第三次産業がバランスよく均衡を保っており、それぞれの産業別に職業分類を設定すればよかったのですが、最近はこれが大きく変わってきました。 2006年の日本における産業別人口割合は、第一次産業(農業・漁業・林業等)4.8 %、第二次産業(鉱業・製造業・建設業等)26.1 %、第三次産業(上記以外の産業)69.1 %となっています。 特に第三次産業の伸びは著しく、サービス・情報通信・金融などの分野で新しい分野の職業が生まれ、既存の職業分類表は今や無用の長物に化した感があります。 職業奉仕の理念は哲学ですから万古不変のものです。しかし実践方法は時代の変化と共に変わっていかなければなりません。ロータリーが創立された当時から産業構造が大きく変化しているのに、職業奉仕は完成したものと勘違いして、RIは1948年以来職業奉仕委員会を廃止していますし、クラブも産業構造の変化に見合った新たな職業奉仕の実践方法を開発する努力を怠ってきました。 現在多発する事業上の諸問題は、新しい時代に適応した職業奉仕の実践方法を開発しなかったことに起因するのではないでしょうか。 産業構造の変化に対応した職業奉仕の実践を開発する努力を怠った
ロータリアン企業の不祥事に対するマスコミの反応 職業に対する考え方の変化 従来の職業感 額に汗して働く・勤勉 永年雇用・年功序列・会社への忠誠 労使の目的意識の変化 雇用体系の変化 職業に関する目的の変化 かつて私たちは、陰日なたなく額に汗しながら、もくもくと働く姿を尊いものだと教えられてきました。会社は永年雇用、年功序列を原則とし、社員は会社に忠誠を誓うことを当然だと考えてきました。しかし昨今はその考え方が大きく変わってきました。労使の目的意識が変化し、雇用体系も変化てきました。効率よく働くことが美徳とされ、生活費を稼ぐのに必要な時間だけ働いて、余暇を楽しむという風潮さえ生まれました。職業に関する目的も大きく変化し、企業は利益の追求を第一義に考えて会社を運営し、従業員は高い収入を得ることを第一義に考えて働くようになってしまいました。 こういう風潮の中から、世間を騒がすような企業の不祥事が続出していることは、職業奉仕を錦の御旗にしているロータリアンとして慙愧の念に耐えません。 昨今一連の不祥事を起こした企業の中に、ロータリアンの企業も数多く含まれています。ミートホープ然り、赤福餅然りです。職業奉仕を標榜する組織のオーナーが職業倫理にもとるような犯罪を犯したわけですから、当然マスコミもこれらのオーナーがロータリアンであることを大きく取り上げてロータリーを袋叩きにするはずなのに、どの新聞にもどのテレビにも一向にロータリーの名前がでてきません。すなわちマスコミも一般の人たちも、ロータリーが職業奉仕の実践と職業倫理を高めることを主な目的にした団体であることを認識せず、数多く存在するボランティア組織の一つくらいにしか考えていないことを意味するのではないでしょうか。広報活動の不足を逆に喜ばざるを得ない事態が、これまた非常に残念かつ情けないことです。 ロータリアン企業の不祥事に対するマスコミの反応
実業と虚業 実業 虚業 アーサー・シェルドンによる職業の定義 職業を通じて社会に奉仕するために働く 社会に奉仕するための事業 私たちは何のために働いているのでしょうか。お金を儲けるため、それとも・・・。 ロータリーに職業奉仕の概念を導入したアーサー・フレデリック・シェルドンは、1921年に行った「ロータリー哲学」という表題のスピーチの中で、われわれの職業は、金儲けをする手段ではなく、その職業を通じて社会に奉仕するために存在すると述べています。現実にはありえないとしても、パン屋、洋服屋、米屋、銀行と、どんな職業であっても、ある日突然その職業を営む人が全員いなくなったとしたら、社会の人々は大いに困るに違いありません。そういう事態を迎えて初めて、すべての職業は社会に奉仕するために存在することが、判るのかも知れません。 ロータリーでは社会に奉仕するための事業を実業と定義しています。ほとんどの事業は程度の差こそあれ社会に貢献していますから実業です。 これに対して社会には全く貢献せず、自分が儲けることのみを第一義に考える事業は虚業だと言えるでしょう。なお例え実業であっても、社会に奉仕することを忘れて、自分の利益を優先した企業経営を行えば、その企業の将来は必ず不幸な末路をたどることでしょう。 自分が儲けるための事業
虚業による不祥事 エンロン・・不正経理・粉飾決算 ライブドア・・不正経理 村上ファンド・・インサイダー取引 スチール・パートナーズ 会社・従業員・顧客の利益のためのM&A 実業 会社乗っ取りのためのM&A 虚業 事業主は実業であると信じていたかも知れませんが、明らかに虚業である幾つかの企業が起こした不祥事を振り返ってみましょう。 テキサス州ヒューストンに本拠を置く総合エネルギー企業エンロンは、不正なガスと電力取引によって巨大な利益をあげました。しかし不正な株価操作と粉飾決算が内部告発によって表面化して結果的に倒産しました。 ライブドアは世間の誰もがやらないような方法で法律の抜け道を潜って、会社の実態の伴わない株式分割をしたり、時間外取引や投資事業組合やペーパー・カンパニーを使って、株の買占めや粉飾決算をしました。 これらの二つの会社の共通点は、株価至上主義に走ったあまり、本来は会社の業績を示す指標であるはずの株価を、利益のかさ上げや、損失のとばし、デリバティブによって人為的に上げようとしたことにあります。 物言う株主として脚光を浴びた村上ファンドはニッポン放送株のインサイダー取引によって実刑判決を受けました。堀江氏や村上氏のやり方に対して、ファンドだから「安ければ買い,高ければ売る」のは当然だという擁護論もありますが、社会に対する奉仕を第一義に考えず、自分の利益を優先させたことは、ロータリーの職業奉仕理念とは程遠いことは明らかです。 敵対的買収で有名なスチール・パートナーズについても同様なことがいえます。東京高裁の下した判断が世界の経済界の常識に反するという批判もありますが、金を儲けることだけを目的としたブルドッグソースや明星食品に対するするTOBは果たして社会に対する奉仕なのでしょうか。M&Aと書くと格好よく聞こえますが、会社や従業員や消費者の利益のためのM&Aでなければ、これは「会社乗取屋」に過ぎません。「会社乗取屋」を含めた世間の人達が疑義を抱くような方法で巨万の富を築くような事業は、ロータリーが定義する世に有用な職業ではなく、虚業に過ぎないのです。ロータリーは、こういった事業をまともな職業だと判断して入会を許した経済団体の轍を踏むようなことがあってはならないのです。
経営方法の誤りによる不祥事 隠蔽 鳥インフルエンザ 原材料・産地偽装 ミートホープ・船場吉兆・三笠フーズ 賞味期限改変 鳥インフルエンザ 原材料・産地偽装 ミートホープ・船場吉兆・三笠フーズ 賞味期限改変 雪印・白い恋人・フジヤ・赤福餅 職業を通じて社会に奉仕することを忘れて、自分の利益を優先するところから、数々の不祥事が起こります。 2005年の春に、鶏インフルエンザを巡って、浅田農産という会社の倒産と社長の自殺という痛ましい事件がありました。近畿圏の生協に広く鶏卵を納入していたことからもこの会社が堅実な事業経営をしていたことが判ります。平常は10羽単位だった鶏の死亡率が、100羽、1000羽単位と対数曲線を描いて増えていったことに、もしや、鶏インフルエンザに罹ったのではないかと疑ったことは容易に想像できます。一瞬の判断のミスが致命的な結末に繋がります。もし、彼が食品の安全性を第一義に考えていたなら、きっと正直に届け出たのではないでしょうか。当然、会社にとっては一次的に大きなダメージがあったとしても、自ら命を絶つような事態には陥らなかったに違いありません。同じ時期に、同様な事態に陥った近所の養鶏場が、いち早く届出をしたために、一次的には大きな損失を被ったものの、行政から感謝状まで貰って、事業を継続していることから考えても、自己の利益を優先せずに事業生活を営むことの大切さをしみじみ感じた事件でした。 豚肉や鶏肉を牛肉と偽装表示したり、肉に水を注入して重さをごまかしたミート・ホープや、牛肉の原産地を偽装した船場吉兆、汚染米を食用に売った三笠フーズの例は、偽物を売ったことで明らかに消費者の信頼を裏切った行為です。 賞味期限を偽った雪印乳業、白い恋人、フジヤ、赤福餅も消費者の信頼を裏切った行為には違いありませんが、より新鮮で美味しい食品を消費者に届けようという善意から生まれた賞味期限というあまり学問的な裏づけのない日付設定にふりまわされたという感があります。賞味期限と食品の安全性とは別問題であることは、これらの会社の製品を食べて事故が起こった例がないことからも明らかです。外国では食べ残しの食品を「Doggy Bag」に入れて持ち帰るのが普通なのに、日本ではすべて廃棄処分にするという法律も、食品のほとんどを輸入に頼っているわが国の現状から見ても考え直す必要があるのかも知れません。 不祥事を起こして糾弾される企業がある一方で、経営破綻を起こしたスパーダイエーの創業者中内功氏が社会的に厳しく糾弾されたことがないことも興味ある事実です。売上高日本一のスーパーを育て上げた一方で野心的な事業拡大が裏目となって、経営破綻を招きましたが、彼の流通革命の功績は高く評価され尊敬の念は薄れていません。彼の評価が高いのは,顧客の立場に立って大手メーカーとの衝突しながら,価格破壊を推進したことです。さらに阪神・淡路大震災に当たっては、被災地店舗の壊滅的な損害にも関わらず、被災者の生活必需品の供給に全力を挙げたことも大きな評価です。すなわち自らが儲けることよりも、社会に奉仕することを優先したのです。企業に継続的な利益をもたらすはずのロータリーの職業奉仕理念を実践したダイエーが、なぜ経営破たんに陥ったか、その真の理由を解明する必要があります。 ダイエー・中内功氏の評価 なぜ経営破綻に陥ったか
会社は誰のものか アメリカ的思考 日本的思考 株主のもの・・経営者は株主の代理人として株主の利益を最大化するために働く 会社の存在理由は利益の最大化 社員や顧客のもの・・会社は事業を通じて社会に貢献するため。株主は資金の提供者。社員と顧客が満足度を持てば、結果的に利益があがり株主が儲かる 日本的思考 ライブドアや村上ファンドの株式買収劇、スチール・パートナーズのM&Aなどの一連の事件を通じて、日本でもやっと「会社は誰のものか」という議論が闘わされるようになってきました。 経営学的思考からは、当然のこととして会社は株主のものだという答えが返ってきます。経営者は株主の代理人として、株主の利益を最大化するために働くわけであり、もしも株主の期待通りの働きをしなければ、いとも簡単に更迭させることも可能です。会社の存在理由は利益の最大化であり、ほとんどのアメリカ人はその考え方で会社を経営しているようです。 しかし日本人の多くはそのように単純には考えず、会社は事業を通じて地域社会に貢献するために存在するもの、すなわち社員や顧客のものだと考える人が多いようです。株主は資金を提供するために存在するのであって、社員や顧客が満足度を持てば、結果的に利益があがり株主が儲かることになります。シェルドンの職業奉仕理念はアメリカで生まれたにも関わらず、ほぼこれと同じ考え方です。このことが日本人のロータリアンがシェルドンに魅かれ、職業奉仕理念に魅かれる大きな理由なのかも知れません。
会社は誰のものか 最近の考え方 現代社会において、経営者や従業員の暴走を止める力を持っているのは株主ではなく、顧客や取引先 Yahoo リサーチ・モニターの調査 株主のもの 31.6 % 従業員のもの 25.2 % 経営者のもの 15.6 % 地域社会のもの 15.3 % 最近では、現代社会においては、経営者や従業員の暴走を止める力を持っているのは株主ではなく、むしろ顧客や取引先であると考える人も多く、Yahooリサーチ・モニターの調査によれば、会社は株主のものと考える人31.6 % 、従業員のものと考える人25.2 %、経営者のものと考える人15.6 % 、地域社会のものと考える人 15.3 % という回答になっています。
Jリーグの所有者は誰か 株主の企業・スポンサーの自治体 人気を牽引する選手・監督・役員 サポーター・地元社会 メディア・スポーツ用品メーカー 対戦相手 観客 Jリーグの所有者は誰かを考えてみてください。チームの株主となっている親企業やスポンサーとなっている自治体が所有者であることには間違いありませんが、人気を牽引する選手や監督や役員、サポーターである地元社会の人たち、メディアやスポンサーとなっているスポーツ用品メーカーの存在無しにはチームを維持することはできません。さらには、対戦相手のチームや観客なしには試合は成立しません。すなわちチームに関わるすべての関係者が支えあっている社会なのです。 プロ野球にも同じことが言えることは、阪神タイガース・フアンの熱烈な応援ぶりからも伺えます。村上ファンドに対する拒否反応は、自分の儲けのために阪神タイガースを阪急電鉄の支配下に置いたことに対する反発がかなりのウエイトを占めていることは、阪神タイガース・フアンの偽りのない感情でしょう。 全ての関係者が支えあっている社会
企業の社会的責任 社会性を果たす 公共性を果たす 公益性を果たす 顧客の求める商品やサービスを、適正価格で、適時に提供する 環境破壊、独占禁止法違反、粉飾決算、詐欺商法等の反社会行為や公共の福祉に反する商行為をしない 国家や社会への貢献 公共性を果たす 企業は社会性、公共性、公益性という社会的責任を負っています。 社会性を果たすためには、顧客の求める商品やサービスを、適正価格で、適時に提供する必要があります。 公共性を果たすためには、環境保護、独占禁止法違反、粉飾決算、詐欺商法等の反社会行為や公共の福祉に反する商行為をしないことが必要です。 公益性を果たすためには、国家や社会に対する貢献度が問われます。 こう考えていくと、シェルドンの職業奉仕理念はこれらのすべてを要求していることに、今更ながら驚きます。 公益性を果たす
アメリカの賞賛される企業 フォーチュン誌 2007年 1 GE 革新性 2 スターバックス 人的管理 3 トヨタ 資産活用 フォーチュン誌 2007年 1 GE 2 スターバックス 3 トヨタ 4 バークシャー・ハサウエイ 5 サウスウエスト航空 6 フェデックス 7 アップル 8 グーグル 革新性 人的管理 資産活用 社会的責任 経営の質 財政の健全さ 製品・サービスの品質 長期投資 最近の風潮として、単なる売上高や収益率によって企業をランク付けするのではなく、優良企業の判定基準に社会的責任や製品やサービスの品質の高さを加味する傾向が加わってきました。 フォーチュン誌が発表しているアメリカで賞賛される企業の判定基準には革新性、人的管理、資産活用、社会的責任、経営の質、財政の健全さ、製品・サービスの品質、長期投資などの項目があります。企業のランク付けの中に社会的責任や製品・サービスの質が加わっていることは、ロータリアンとして喜ばしい限りです。2007年度における上位10社は次の通りです。 1 ゼネラル・エレクトリック(GE) 電子機器 2 スターバックス 飲食 3 トヨタ自動車 自動車 4 バークシャー・ハサウェイ 保険 5 サウスウエスト航空 航空 6 フェデックス 運輸 7 アップル コンピューター 8 グーグル インターネット 9 ジョンソン&ジョンソン 医薬 10 プロクター&ギャンブル(P&G) 家庭用品
事業所における実践 虚偽表示・隠蔽 適正な利潤分配 公平な従業員対策・技能評価 内部告発への対処 株式不正取引 会社乗っ取り・M&A 新しいサービス・商品の開発 事業所における職業奉仕実践の第一歩は顧客の信頼を失うような不正行為をしないことです。すでに述べた通り、つい先日も、賞味期限や原材料を改ざんしたミルク・菓子・食肉会社の虚偽表示や汚染米の目的外使用や隠蔽事件がマスコミを賑わしました。このような不正行為をして一旦顧客の不信を買えば容易に信頼を回復することはできません。 事業主だけが利益を独占するのではなく、利益はすべての関係者に適正に再配分しなければなりませんし、従業員の技能を適正に評価し、公正な従業員対策をしなければなりません。新製品開発や発明などによって会社に大きく貢献した社員にはそれなりの配慮をすることを忘れてはなりません。 これらの企業犯罪が表面化するのは、つもり積もった従業員の不満が爆発して内部告発となり、会社の屋台骨を揺るがす事態に発展することを忘れてはなりません。 社会に奉仕するために職業が存在することを忘れた人たちが虚業に群がって、自己の利益を追求するために株式の不正取引や会社乗っ取りにうつつを抜かします。会社を立ち直らせるためのM&Aは立派な実業ですが、自らの利益を追求するためのM&Aが虚業であることは、いまさらスチール・パートナーズに対する東京高裁の判断を仰がなくても、100年も前からロータリーの職業奉仕哲学に明記されている原則なのです。 常に新しいサービスや商品を開発する努力も必要です。これらの努力が会社を発展させるための職業奉仕活動の実践なのです。
業界における実践 不公正競争の是正 贈収賄、談合 公取法違反 自由競争 下請対策、看板方式 代金決済 手形 同業者との協力 業界全体の繁栄 不公正競争の是正 贈収賄、談合 公取法違反 自由競争 下請対策、看板方式 代金決済 手形 同業者との協力 業界全体の繁栄 同業者の不祥事はロータリアンの責任 業界全体として取り組まなければならない職業奉仕は、談合、贈収賄といった不公正競争や公取法違反の事件を起こさないことです。業界の慣習だから、自分の会社だけでは是正できないと言い訳をする人もいます。しかし、ロータリアンは業界に派遣された大使として、ロータリーの提唱する職業奉仕理念をその業界に広める義務があるのですから、敢えてその困難に立ち向かわなければなりません。最も大切なことは、構造的な犯罪とも言われる不公正競争を是正することです。贈収賄や談合を業界の慣習として是認するのではなく、これを恥ずべき犯罪として粛清する勇気と努力が必要です。 ロータリーは自由主義経済を前提として生まれた組織です。自分の会社で作った素晴らしい製品を、それを必要とするすべての顧客に届けるのが原則であり、その意味からは、日本ではごく当たり前になっている系列化とか、一社に直属した下請制度は、ロータリーには馴染みません。親会社の指示によって、生産ラインを増強しても、その製品を必ず親会社が引き取ってくれるという保障はありません。一社に頼らず、どこの会社にも納入できる素晴らしい製品を常に開発することが、企業を生き残らせる大きな要素なのです。一世を風靡した「看板方式」も、自社で作った部品を能率よく製造ラインに届けるのならばともかく、下請け会社のリスクで行うのならば、ロータリーの職業奉仕とはかけ離れた行為と言わざるを得ません。 現在、約束手形を使っているのは、世界中で日本と韓国だけで、それ以外の国では使っておりません。この約束手形は零細な下請業者を泣かす大きな原因になります。弱い業者ほど、高い割引料を払って現金化しなければなりません。支払元が倒産でもすれば、ただの紙切れにしか過ぎません。ロータリアンの取引は双方が満足する取引であることが原則ですから、相手にリスクを負わせる手形決済はロータリーには馴染みません。 事業を発展していくためには、世間から受け入れられる経営態度が必要です。業界の代表であるロータリアンは、同業者を競争者としてライバル視するのではなく、自分たちの仲間として協力しながら、業界全体の繁栄を図る必要があるのです。 ロータリアンがその職業分類の代表として業界に派遣されている以上、業界における職業奉仕の実践もロータリアンの使命といえます。このような不祥事を自らが起こさず、自らの属する業界からも起こさないようにすること、すなわち職業倫理高揚が、職業奉仕活動実践の側面であることを忘れてはなりません
クラブにおける実践 職業奉仕理念の学習 職業奉仕事例研究 職業情報交換 ロータリアンの不祥事はクラブの責任 クラブが行う職業奉仕とは何でしょうか。職業を持っているロータリアンは、自らの職業を通じて奉仕活動の実践をすることができます。しかし、ロータリークラブは職業を持っていませんから、直接職業奉仕活動を実践することは不可能です。しかし、職業奉仕とは何かをロータリアンに教えることは可能です。クラブの職業奉仕委員会が中心になって、正しい職業奉仕の理念を会員に周知徹底してください。また、クラブ内外のロータリアンが行っている職業奉仕活動の事例を集めたり、各種の職業情報の詳細を伝えることも有意義な活動の一つです。 不祥事を起こす本人が悪いのは当然ですが、そのような人を出したクラブにも大きな責任があります。クラブの中に真の親睦が存在すれば、またクラブの中にどんなことでも相談できる雰囲気があれば、その不正行為を思い留まらせることが可能であったはずです。すなわちそのクラブには真の親睦が存在しなかったことを証明しているのです。親睦の存在しない組織では、保身のためにお互いが悪い意味でかばいあい、往々にして悪貨が良貨を駆逐し、腐った林檎がまわりの林檎を腐らせるものです。
地域社会における実践 事業紹介ビューロー マンパワー紹介ビューロー 職業情報の交換と提供 グローバル・ネットワークの活用 不良サイト監視 禁制品監視 最後に地域社会における職業奉仕の実践について考えてみたいと思います。ロータリアンは、まず自分の事業の繁栄を考え、次に自分が属する業界全体の繁栄を考え、究極的には地域社会全体の繁栄を図らなければなりません。 日本のロータリアンには優れた技術を持っている零細企業や中小企業のオーナーが沢山います。電子レンジの技術として開発され、結果として携帯電話やコンピューターやステルス戦闘機にまで取り入れられた電磁波吸収塗料、あらゆる物質に可能なメッキ技術、ナノの単位の金属加工技術、こういったものは、全て日本の小さな町工場で開発された技術です。また、目を閉じていても、リンスかシャンプーかが判るように、キャップの形を変えた洗剤メーカーも立派な職業奉仕の実践者です。 ロータリアンはその業種の代表者ですから、ロータリアンだけではなく、地域社会のこういった優れた技術を国際的に紹介したり、仲介する責任を持っているはずです。WCSの交換プロジェクトのような技術登録バンクを作って、お互いに利用できるようなシステムを作り、クラブ・レベル、地区レベル、世界レベルに拡げていくことも、新しい観点からの職業奉仕になるのではないでしょうか。 若干、本来の職業奉仕からは外れるかも知れませんが、特殊の技能を持った人材を広く内外に紹介することも、地域の産業に大きく寄与する活動です。 最近はインターネットを通じた情報が入り乱れています。特に青少年に大きな影響を与えている不良サイトが問題になっています。ロータリアンが経営しているプロバイダーも数多くあると思いますので、これらの人が中心になってこの業界から青少年に悪い影響を与えている不良サイトをなくする運動を進めることも可能だと思います。同様にインターネットを経由して取引される麻薬や銃などの禁制品も、郵便事業に携わるロータリアンの世界的な結びつきを利用して防止することも決して不可能なことではありません。また、ロータリー親睦活動のネットワークを通じて、数々のボランイテア活動を同業者に呼びかける活動も必要です。
世界は絶えず変化しています。そして私たちは世界とともに変化する心構えがなければなりません。ロータリー物語は何度も書き替えられなければならないでしょう ロータリーがその適正な運命を理解するとしたら、ロータリーは必ず進歩しなければなりません。時には革命が起こる必要があります 「世界は絶えず変化しています。そして私たちは世界とともに変化する心構えがなければなりません。ロータリー物語は何度も書き替えられなければならないでしょう。」 「ロータリーがその適正な運命を理解するとしたら、ロータリーは必ず進歩しなければなりません。時には革命が起こる必要があります。」 これは、ポール・ハリスが残した有名な言葉です。この言葉を例に出して、ロータリーは変わらなければならないことを力説する人も多いようですが、ロータリーにおいて、「変えなければならないもの」と「変えてはならないもの」をはっきり分類しておく必要があります。 ポール・ハリス語録より
ロータリーの奉仕理念 He profits most who serves best 変えてはならないもの ロータリー哲学 ロータリーの奉仕理念 He profits most who serves best Service above self まず、絶対に変えてはならないものは「ロータリーの哲学」すなわち「ロータリーの奉仕理念」です。ロータリーの哲学を変えれば、それはロータリーではなくなるからです。 「決議23-34」には、「この哲学はService above Selfの奉仕の哲学であり、He profits most who serves vestという実践倫理に基づくものである。」と明記されています。すなわち、ロータリーの奉仕哲学は、He profits most who serves vestと Service Above Selfの二つのモットーであり、この二つのモットーはどんなことがあっても絶対に変えてはならない奉仕理念なのです。
変えなければならないもの RI・地区、クラブの管理運営 奉仕活動の実践 奉仕活動はロータリアンの思いつきで選択をすべきではなく、社会のニーズに従って実践する必要があります。産業構造の変化、需要供給のバランスの変化などの様々な要素によって、地域社会のニーズは変化していきます。その変化に伴って奉仕活動の実践も変化していかなければならないのです。
ロータリーが生き残る道 ロータリー固有の奉仕理念の堅持 職業奉仕を捨て去り、ボランティア組織に移行することの愚かさ 組織管理運営方法の改革 職業奉仕を捨て去り、ボランティア組織に移行することの愚かさ 組織管理運営方法の改革 地域的特色や言語を尊重した中間管理組織 グローバル・スタンダードに基づいた管理運営 社会のニーズに適応した奉仕活動の実践 地域社会の人々が真に望むプロジェクト 会員の減少によってすべての奉仕団体は存亡の危機に立たされています。 それを打開するためにも、ロータリー固有の奉仕理念は変えてはならないことを再確認する必要があります。ロータリーが他の奉仕団体と本質的に違う点は職業奉仕の概念を持っていることです。職業奉仕の理念を捨て去ってボランティア組織に移行することの愚かさを自覚しなければなりません。今からボランティア組織に看板を塗り替えたところで、数ある先発ボランティア組織の影に埋没してしまうことは必至です。 組織の管理運営は時代の変化に応じて思い切った改革を試みる必要があります。ロータリーの組織を全世界に広げるためには、異文化を尊重して地域特性や言語を尊重して、連邦制のような中間管理組織による運営が好ましいと思います。現在のアメリカン・スタンダードではない、真のグローバル・スタンダードに基づいた組織管理に改める必要があります。 奉仕活動の実践内容は地域社会のニーズの変化に適応したものに変えていく必要があります。そのためには机上の空論ではなく、真に地域社会の人々が必要とするプロジェクトを見つけてそれに全力を傾注すべきです。 こういった改革なしには、ロータリーという組織が次の世紀に生き残ることができないことを肝に銘じなければなりません。
2580地区 職業奉仕セミナー 職業奉仕の 原理と実践 製作 2680地区 PDG 田中 毅 2580地区 職業奉仕セミナー 職業奉仕の 原理と実践 前回は「奉仕理念の提唱者アーサー・フレデリック・シェルドン」すなわち職業奉仕理念についてお話をしましたが、次回は「職業奉仕の原理と実践」というテーマで、毎日の職業生活のなかでどのようにしてロータリーの職業奉仕理念を実践に移すかについてお話をしたいとおもいます。 職業奉仕は理屈っぽくて難しいものと思われがちですが、決してそうではありません。職業奉仕の実践とは企業経営の方法すなわち私たちの毎日の職業生活に他なりません。他の奉仕活動は受益者がロータリアン以外の人であり、ロータリアンは常に地域社会や国際社会の人たちのニーズに従って奉仕活動をし続けなければなりませんが、職業奉仕に関しては受益者はロータリアン自身であり、実践活動の成果はロータリアン自身の利益として還元されるのです。ロータリーの特徴は職業奉仕にあるわけですから、私たちは毎週ロータリーの例会に参加して、どのようにして継続的に右肩上がりの利益を得るかについて学んでいるのです。 製作 2680地区 PDG 田中 毅