14章 パクス・ブリタニカの盛衰 1 国際金本位制とポンド体制

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マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチ. マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチの 特徴 内外資産が不完全代替( ← 為替リス ク) 分散投資(ポートフォリオ)によって リスクを軽減可能。 経常収支黒字累積 → 外国資産流入 → 国 際ポートフォリオ → 為替相場.
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1章 国際決済と外国為替 1 国民通貨と決済システム 貨幣の発生とその機能 / 商品貨幣と名目貨幣 / 現金通貨と預金通貨 / 銀行決済システムと中央銀行 2 国際決済と外国為替 内国為替と外国為 替 / 並為替と逆為替 / 信用状付輸出手形 3 国際決済と銀行 外国為替取引と銀行間決.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
『マクロ金融特論』 ( 2 ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論
金利、金融政策及び資金循環 金利の概念 金利体系 日本銀行の政策手段 資金循環. 金利の概念 金利とは:資金の貸借取引における資 金の価格である。 金利の機能:資金の配分や景気の調整。
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
1 国際金融市場 伝統的金融市場 オフショア市場 ユーロ市場 デリバティブ市場. 2 国際金融市場の意義 資金過剰部門から資金不足部門への, 国際的な資金の調達や運用が行われる 場 個別経済次元 ①再生産に関わる資本 の節約や有給貨幣資本の動員 ②ヘッ ジ,投機,裁定のための取引 ③手数 料稼ぎ 国民経済次元.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
1 15章 パクス・アメリカーナ の時代 1 アメリカの戦後構想と IMF 体制 2 IMF 体制の成立と発展,ドル危機 3 固定相場制の崩壊と変動相場制 4 パクス・アメリカーナの再編とド ル MohriR.
第10章 国際通貨体制 社会・政治制度をつなぐ歴史的秩序.
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
2 国際収支と国際貸借 2-1 国際収支と国際収支表 2-2 国際収支と国民経済 2-3 国際収支と国際貸借.
信用貨幣の創造と銀行 中央銀行の発展 金本位制の変質
21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博
国際収支表をどう読むか 国際収支の均衡 国際収支とGDP
15 パクス・アメリカーナの時代 1 アメリカの戦後構想とIMF体制 2 IMF体制の成立と発展,ドル危機 3 固定相場制の崩壊と変動相場制
1. Departamento de Consultoria e Assessoria
5章 国際金融市場 1 国際金融市場 国際金融市場の意義/国際金融市場の構成 2 伝統的金融市場とユーロ市場 3 デリバティブ市場
ユーロ危機の中でケインズとハイエクから学ぶ
中国バブルの          真実.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
為替相場制度の理論と実証 MBA国際金融2015.
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
グローバル・インバランスと世界金融危機の中の国際通貨問題
通貨統合 第5回 国際金融論.
3 外国為替市場と  外国為替相場 1 外国為替相場 2 為替取引と為替相場 3 為替相場の決定理論.
国際収支と為替相場 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
3.1 単一市場・単一通貨へ 3.2 中・東欧諸国のEU加盟 3.3 米欧枢軸
ECの成立へ マーストリヒト条約の成立 通貨統合
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
戦時中の高度成長期 高度成長期にはいくつかの制度がある。 一つ目は金融機関の専門化戦中に金融機 関が均質化したのとは著しくことなり、 高度成長期の金融制度は各金融機関ごと の分業主義に沿って組織化された。
2章 外国為替市場と 外国為替相場 1 外国為替市場 2 為替取引と為替相場 3 為替相場の決定理論
(出所)小峰隆夫(2003)『最新日本経済入門[第2版]』、日本評論社、p.186。
国際収支と為替相場の基礎的概念 MBA国際金融2015.
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
国際収支 2007年6月1日.
第70回 しがくセミナー ~日本のグランドデザイン~
14 パクス・ブリタニカの盛衰 1 国際金本位制とポンド体制 2 両大戦間期の国際通貨体制と通貨ブ ロック 3 戦後IMF体制とポンドの凋落
世界金融危機と国際通貨体制 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
第8章 国際収支と国際投資ポジション 対外経済関係の鳥瞰図.
スペイン財政支援の是非 <否定派> 田中・棚倉・川村・石塚.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
固定為替相場制度 vs. 変動為替相場制度 マクロ金融論2010.
金 融 統 計 金融市場の基本概念 金融統計の体系 マネーサプライ統計 金利統計 資金循環分析 証券投資分析.
セルビア共和国 経済・構造改革 ー挑戦と達成ー
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
経済学(第10週) 第3章 貨幣と金融取引[2-1] 前回の確認とキーワード ■ 貨幣需要と債券需要 ・ 証券の利益を構成する2つの要素
ギリシャはユーロを離脱するべきか ~肯定派~
4 国際通貨 1 国際通貨の基礎理論 2 国際通貨の機能と選択 3 管理通貨制度下の国際通貨 国際金融2002(毛利良一)
国際経済学入門 11 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2014年1月23日
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
国際経済学入門 10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2013年12月23日
第8章 開放マクロ経済学.
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
『マクロ金融特論』 (3) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論2016.
為替介入 MBA国際金融2016.
通貨統合と最適通貨圏 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
マクロ経済学初級I 第4回.
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
『ギリシャはユーロから          離脱すべきか?』 【否定派】 長谷川 雄紀 田中 道信 山本 恵美.
世界金融危機とアジアの通貨・金融協力 日本国際経済学会関東支部研究会2010年1月9日.
国際貿易の外観.
V. 開放経済のマクロ経済学.
VI 短期の経済変動.
V. 開放経済のマクロ経済学.
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元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
現代資本主義分析 フォード主義的蓄積体制の危機 藤女子大学人間生活学部 内田 博.
IV 長期における貨幣と価格.
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14章 パクス・ブリタニカの盛衰 1 国際金本位制とポンド体制 国際金融2002(毛利良一) 14章 パクス・ブリタニカの盛衰 1 国際金本位制とポンド体制   金本位制の成立/金本位制下の外国為替相場/   金本位制と国際収支調整/ポンド体制の展開 2 両戦間期の国際通貨体制と通貨の地域化  再建金本位制の時期/金本位制から管理通貨性へ/通貨ブロックとスターリング地域 3 戦後IMF体制とポンドの凋落 IMF体制下のドルとポンド/ポンド危機とバーゼル協定/スターリング地域の崩壊 2013-15 MohriR http://mihama-w3.n-fukushi.ac.jp/ins/mohri

14-1国際金本位制とポンド体制4-1-1 金本位制の成立 14-1国際金本位制とポンド体制4-1-1 金本位制の成立 パクス・ブリタニカ Pax Britanica 金本位制 金を本位貨幣とする制度 イギリス 1816年 金1オンス=3ポンド17シリング10 ペンス (1ポンド=純金7.32239グラム) 法定価格で金の無制限売買,金貨の自由な鋳造,溶解,輸出入 2013-15 MohriR

14-1-1② 金本位制の3タイプ 金貨本位制 gold coin standard 14-1-1② 金本位制の3タイプ 金貨本位制 gold coin standard 金地金本位制 gold bullion standard 金為替本位制 gold exchange standard 19世紀後半に金本位制が支配的となる  背景:①先進国英が採用,周辺国も為替相場の安定が求められた.②南ア,米,豪で金鉱発見. イギリス1816,ドイツ1871,フランス1876,   日本,ロシア1897,アメリカ1900 2013-15 MohriR

14-1-2 金本位制下の 外国為替相場 金本位制国間で固定相場制が成立 金1オンス=3ポンド17シリング10 ペンス 14-1-2 金本位制下の      外国為替相場 金本位制国間で固定相場制が成立 金1オンス=3ポンド17シリング10 ペンス  =20.67ドル →1ポンド=4.86ドル(等価関係の成立)  為替平価 exchange parity  金現送費(金の輸出入が生ずる為替相場の上下限)=船積費+保険料+金利 為替相場変動は為替平価±金現送費 2013-15 MohriR

14-1-3金本位制と国際収支調整 主要国の金本位背が長期に維持された.中心国イギリス 1816~1914 景気循環はあったが,金の法定価格維持,物価安定 物価・正貨流出入機構説 price-specie flow mechanism 物価上昇→輸出減少・輸入増大→貿易収支悪化→為替相場下落→金流出→金準備減少→兌換銀行券発行高減少→物価下落 金本位制「ゲームのルール」を“中央銀行が守った”   実際には,①物価や金利は国際的に同調して動く傾向, ②金準備減少が公定歩合を引き上げる場合でも,中銀は国内資産を増加させた,③経常収支黒字の先進国から,経常収支赤字の周辺国へ巨額の長期資本輸出が行われた. 2013-15 MohriR

14-1-4 ポンド゙体制の展開 ポンドは最も重要な国際通貨(貿易の取引・決済通貨)として機能 ロンドンは,世界の決済機構の中心地 14-1-4 ポンド゙体制の展開 ポンドは最も重要な国際通貨(貿易の取引・決済通貨)として機能 ロンドンは,世界の決済機構の中心地   ポンド残高(各国の政府や中央銀行,民間銀行はロンドンに流動的な資産を保有し,決済にあてた) 世界最大の国際金融市場 ロンドン宛て為替手形 bill on London  輸出業者はポンド建て為替手形を振り出し,引受商社が満期日に支払いを保証した銀行引受け手形はロンドン市場で第1級の手形として割引かれた. 2013-15 MohriR

14-2戦間期の国際通貨体制とポンドの地域化 14-2-1 再建金本位制の時期 14-2戦間期の国際通貨体制とポンドの地域化 14-2-1 再建金本位制の時期 第1次大戦勃発→金本位制停止(銀行券の金兌換の停止,金輸出の禁止など) 1920年代の金本位制復帰 「相対的」安定期 イギリス 1925年 金地金本位制,旧平価    アメリカ1919,ドイツ1924,フランス1926,イタリア1927,日本1930 イギリス 経常収支黒字縮小し,巨額の資本輸出維持 (短期借り・長期貸し) アメリカ 債務国から債権国へ転化 2013-15 MohriR

14-2-1-2再建金本位制 戦債(英仏は戦費を米から調達,独賠償金で支払うという資金循環) ドイツ賠償問題(ニューヨーク市場でのドイツ公債の発行) 世界の公的金準備に偏在が生じた(米が貨幣用金の半分を保有,英は7%) 複数基軸通貨体制(NY市場が台頭し,ドル保有が高まった) 国際金為替本位制(金不足の懸念から,イングランド銀行もドル保有を増やし,普及させようとした) 2013-15 MohriR

14-2-2金本位制から管理通貨体制へ ・1930年代世界大不況→主要国の金本位制離脱(国際的には短期資本の海外流出=金兌換が引き金,対内的には不況・失業問題への対処) ・管理通貨制 managed currency systemの採用.国民通貨と金とのリンクを断ち切り,通貨の発行を国家(中央銀行)の裁量に委ねる.英で歴史的な低金利政策 為替相場は変動相場制にならざるを得ないが,多くの国で為替管理が導入された.自由な為替相場が建っていたのは,米ドル,英ポンド,仏フランの金ブロックのみ.為替安定基金,為替切り下げ競争を伴った管理フロート 2013-15 MohriR

14-2-3通貨ブロックとスターリング地域 1930年代は世界経済と通貨のブロック化が進展 スターリング・ブロック sterling bloc イギリス本国,自治領(南ア,豪,NZ),植民地(インド,マラヤ)・保護領.貿易・金融上密接な国(スカンジナビア,バルト3国,ポルトガル,エジプト,イラク,シャム,アルゼンチン) 通貨圏としての特徴:固定相場の維持.介入通貨,外貨準備としポンドを利用.地域通貨に後退. スターリング地域の英を中心国とするネットワーク:  特恵関税制度,起債の優遇措置,英系植民地銀行による媒介 ・仏フラン・ブロック,大東亜共栄圏 2013-15 MohriR

14-3 戦後IMF体制とポンドの凋落 14-3-1 IMF体制下のドルとポンド 14-3 戦後IMF体制とポンドの凋落 14-3-1 IMF体制下のドルとポンド 第2次大戦中,世界経済は通貨ブロックの強化,為替管理の導入によって分断化 スターリング・ブロックの為替管理体制①英本国とともに,居住者としての扱い,②ポンドの外貨交換性に制限,③域内でドル・プール制(金・外貨準備をイギリスの為替平衡勘定に集中) ・米国は「自由・無差別・多角主義」を掲げ,英の「管理・差別・双務主義」を批判.1945.12「英米借款協定」で,ポンドの交換性回復を条件に,武器貸与法債務の大幅免除,37.5億ドルの借款供与. ・第2次大戦後のポンドは,交換性を回復しないまま,第2位の準備通貨の地位を維持. 2013-15 MohriR

14-3-2 ポンド危機とバーゼル協定 英ポンド危機 英経常収支60年代に赤字,長期資本収支も赤字.ポンド残高は非スターリング地域にとって過剰保有されており,他通貨に転換されるたび,危機発生. 英当局の矛盾した対策:①金融引締め策,②国債費抑えるために低金利政策→インフレ. スイス・バーゼルのBIS(国際決済銀行)と西欧7か国のポンド救済融資(1966年,1973年,1977年).しかし保有ポンドの大部分にドル保証を付けることを約束しても,ポンド離れ拡大. 1977.4公的ポンド残高を削減←米ドル,独マルク,スイス・フラン,日本円建て中長期債を発行.凋落決定的. 2013-15 MohriR

14-3-3 スターリング地域の崩壊 「慣性の法則」を破壊したネットワークの解体 14-3-3 スターリング地域の崩壊 「慣性の法則」を破壊したネットワークの解体  ①国際収支調整:英とスターリング・ブロック諸国との間の相互補完的・垂直的国際分業関係  英では成長鈍化のため周辺国から輸入財を吸収する能力が低下,独立国は工業化を志向,英自体が関税同盟であるECに加盟  ②国際流動性供給(ポンドを調達通貨とする仕組み)→資金供給余力の低下,ユーロダラー市場の発生,米系資本の域内浸透,国際機関の援助  ③ポンドの信認:「カレンシーボード制」や「ドルプール」など,ポンドを準備通貨として保有する慣行が弛緩←貿易圏の縮小,植民地の独立,対外準備保有の強まり. 2013-15 MohriR