山口市における ヒートアイランド現象の解析

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山口市における ヒートアイランド現象の解析 環境生態学研究分野(山本晴彦研究室) 黒圖 奈々 2001年2月22日

ヒートアイランド現象 都市と郊外の気温差が大きくなる現象で, 気温分布を等温線で表すと熱の島が現れる。 この時の都市と郊外の気温差を  都市と郊外の気温差が大きくなる現象で, 気温分布を等温線で表すと熱の島が現れる。  この時の都市と郊外の気温差を ヒートアイランド強度(郊外の気温-都市の気温) といい,ヒートアイランドの大きさを表すのに 用いられる。

都市におけるヒートアイランド形成の原因 ・植生の減少,舗装道路の増加 などによる地表面状態の改変 蒸発散量の減少 ・人口増加,人間活動に伴う  エネルギー消費量の増加 排熱の増加 ・建造物の増加 熱容量の増加 換気率の低下 建造物,大気汚染物質,樹木等は天空を遮蔽 夜間冷却量の減少 上向き長波放射を遮蔽

目的  山口市におけるヒートアイランド現象の現状を 明らかにし,ヒートアイランドに対する建造物などの 影響について天空画像を用いて考察する。

定点観測 観測期間 (冬季)2000年2月11日-2000年2月16日 (夏季)2000年7月25日-2000年8月25日 観測期間 (冬季)2000年2月11日-2000年2月16日        (夏季)2000年7月25日-2000年8月25日 解析に用いた時間 (冬季)18:00-6:50              (夏季)19:00-5:50 観測地点 (冬季)21地点        (夏季)26地点 測定間隔 (冬季)5分        (夏季)2分

定点観測地点14(ホテルニュータナカ付近)を 県道 204号線 椹野川 山口測候所 国道9号線 定点観測地点14(ホテルニュータナカ付近)を 都市の気温とし,その他の地点の ヒートアイランド強度を算出した。 山口大学 県道 61号線

定点観測測器設置状況 放射避け 気温センサに放射の 影響を取り除く。 (センサは地上1.5m高)

移動観測 より詳細な気温分布を測定するため,定点観測を補完する 移動観測地点を設定した。 自動車に気温センサを取り付け移動観測地点を周回し, 各地点に約1分間停車し,気温を観測した。 なお,1回の観測には約1時間を要した。 観測期間 (冬季)2000年2月12日-2000年2月13日        (夏季)2000年8月23日-2000年8月24日 観測時間(±30分) 21時,0時,3時,6時 観測地点 48地点 測定間隔 1秒

移動観測地点 山口大学

移動観測測器設置状況 センサの設置状態 周囲に触れないように 放射避けの中に設置 センサ地上1.5m高

天空率の解析方法 魚眼レンズ 天空:白,遮蔽物:黒に2階調化した画像 魚眼レンズにより撮影した天空画像 山口大学正門(夏季) ホテルニュータナカ付近(夏季) 山口大学正門(夏季) 天空:白,遮蔽物:黒に2階調化した画像 ホテルニュータナカ付近(夏季)

冬季におけるヒートアイランド強度の分布

夏季におけるヒートアイランド強度の分布

ヒートアイランド強度の経時変化 2000年2月11日-2000年2月16日 ヒートアイランド現象が 顕著に現れない

冬季の気象 強風

ヒートアイランド強度の経時変化 2000年8月20日-2000年8月25日 ヒートアイランド現象が 顕著に見られない

夏季の気象

 冬季,夏季ともにヒートアイランドは 雲量の少ないよく晴れた夜間に顕著に 見られた。  また、冬季においては風速による影響 が大きい傾向があった。

定点観測により求めたヒートアイランド強度と天空率の関係 (1)2000年2月12日-2000年2月13日 負の相関が見られる 夏季よりも冬季で相関が高い 天空率の影響は冬季に大きい 郊外においては,天空率が大きい ほど,夜間のヒートアイランド現象 は顕著となる。 (2)2000年8月23日-2000年8月24日

まとめ 1. ヒートアイランド強度と気象要素 比較的小規模な都市である山口市に おけるヒートアイランド形成は,大都市で まとめ 1. ヒートアイランド強度と気象要素  比較的小規模な都市である山口市に おけるヒートアイランド形成は,大都市で 観測されたものと同様に,雲量が少なく, 風速の弱い夜間に顕著であった。

負の相関が見られ,天空率が大きい,つまり 建造物が少ない河川周辺や郊外,農地ほど ヒートアイランド現象は顕著に現れた。 2. 天空率とヒートアイランド強度  天空率とヒートアイランド強度の間には 負の相関が見られ,天空率が大きい,つまり 建造物が少ない河川周辺や郊外,農地ほど ヒートアイランド現象は顕著に現れた。  天空率とヒートアイランド強度の相関は夏季 よりも冬季において大きい傾向が見られた。