大気環境監視の重要性と 測定運動 -大阪NO2測定運動ソラダス2012に向けて-

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大気環境監視の重要性と 測定運動 -大阪NO2測定運動ソラダス2012に向けて- ■大気汚染の推移 ■簡易測定法による市民測定運動 ■ソラダス測定運動の経過 ■最近の大気汚染(自動車排ガス)と健康影響 ■ソラダス2012へのお誘い 2011年6月15日 西 川 榮 一

環境基準の役割 判断基準の役割 ■環境基準は達成計画をつくり、それを推進しなければ役割果たせない ■環境基準は環境行政全般にわたる   判断基準の役割   ◇汚染状態の評価   ◇規制、対策、保全など環境管理政策   ◇被害補償行政     被害の認知、補償施策 ■環境基準は達成計画をつくり、それを推進しなければ役割果たせない

大気環境監視の重要性 ■環境基準が判断基準として機能するためには、全国にわたる正確な汚染測定値が必要 ■正確、適確な大気監視網の効果  ◇環境基準適合不適合の評価、  ◇汚染改善計画や施策の妥当性評価  ◇汚染の改善、悪化の動きの把握  ◇汚染のひどい地点の把握  ◇既存汚染源の影響の監視、新汚染源の発見  ◇住民への汚染状態の伝達  ◇汚染推定モデルの妥当性や開発の基礎データ

二酸化硫黄SO2、二酸化窒素NO2 全国平均濃度の推移

SO2、NO2 SPM 平均濃度の推移

自動車排ガスの健康影響 環境省が今月初め調査結果を発表 「局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査」(そらプロジェクト) 幹線道路沿道での自動車排出ガスへの曝露とぜん息発症等の関係を調べた大規模調査 ■調査地域  関東、名古屋、関西(43号線、中央環状線沿道域)など ■調査期間  平成17年度~平成21年度 ■調査対象 学童調査(小学校1-3学年)、幼児調査(1.5歳、3歳)、            成人調査(40~75歳、約11万人) ■汚染物質 NOX(NO+NO2)及び元素状炭素ECを自動車排ガスを代表す          る指標物質として採用し、それらの調査対象者への暴露量とぜ           ん息などとの関係を調べる  [ノート]「環境基準のあるNO2、SPM、PM2.5とNOX、ECとは一定の関連性有すると想   定されるものの、あくまでも大気環境基準項目とは異なるものである」とただし書き ■個人曝露推計値  生活パターンを考慮して、個人暴露量を推定

そらプロジェクト調査結果の概要 ■学童調査 ◇「自動車排出ガスへの曝露とぜん息発症との間に関連性 が認められた」  ◇「自動車排出ガスへの曝露とぜん息発症との間に関連性 が認められた」  ◇影響の程度については、曝露量推定に不確定性大きいた め、確定するのは難しい。 ■成人調査  ◇ぜん息発症とEC曝露濃度帯とのオッズ比統計学的に有意  ◇持続性せき・たんの有無とEC及びNOX屋外濃度推計値とのオッズ比    統計学的に有意  ◇COPDについても一部の解析で、関連性が統計学的に有意 等の結果が出たが、全体として関連性の結論づけできない ■関連性注視必要、リスク低減に向け一層の対策は当然必要

NO2の汚染影響と特徴 ■ NO2自体の健康影響 ■ オゾン生成、硝酸や微小粒子2次生成 ◇短期暴露(WHO2005では200μg/立方㍍(97ppb)、長期暴露で年平均40μg/立方㍍(19ppb)を超えると影響)  ◇現在の環境基準はこれらNO2自体の健康影響によって設定 ■ オゾン生成、硝酸や微小粒子2次生成  ◇NO2は炭化水素類と太陽紫外線とでオゾン(それ自体健康 影響、光化学スモッグ)を生成する  ◇NO2は硝酸生成、さらに微小粒子(PM2.5)を生成 ■ 現在の大気汚染の指標的存在  ◇汚染物質のほとんどは化石燃料燃焼に由来  ◇とくに自動車交通(デイーゼル車)由来が大きい  ◇NO2、PM(とくにPM2.5)、多様な炭化水素類の複合影響

PM2.5とNO2濃度との関係 (東京都足立区の測定例)

簡易法による住民の測定運動 ■簡易測定法 ◇精度;公定測定法で検証 ◇NO2以外の汚染物質は簡便な方法難しい  ◇精度;公定測定法で検証  ◇NO2以外の汚染物質は簡便な方法難しい   (注)主要汚染源が化石燃料燃焼生成物、       NO2が汚染指標に使える ■簡易法の特徴  ◇短時間の濃度変化  ◇多数の測定点で同時測定可能   ・詳細な濃度分布を把握   ・汚染源の影響が把握(例;道路沿道)  ◇住民自身で汚染問題を知る

天谷式NO2簡易測定法について 1 天谷式カプセル3型 絶対開けない!(上から外気が入ったら台無しになる) 白いネジふた 上 ■トリエタノールアミンの20%水溶 液を浸み込ませてある ■通気膜を通って空気中のNO2が、 この液に吸収される 透明の円筒容器 (深さ40mm 内径15mm) 円形のNO2吸収ろ紙 容器の底面は 薄い通気性の膜 青いキャップをはずすと、この通気膜を介して外気がろ紙の下面に通じる 下   青いゴムキャップ (この図ははずした状態) 測定の間(24時間)だけはずし、それ以外はシッカリかぶせておく 天谷式カプセル3型のスケッチ

天谷式NO2簡易測定法について 2 NO2の吸収原理と注意する点 ◇ろ紙の面積に比例 ◇通気膜面積に比例  ◇通気時間に比例 ◇カプセル温度高いと増える ◇風強いと増えるが影響小 白いネジふたで密閉して、ろ紙の上面は外気と遮断 詳細 ろ紙 × (マズイ!) 通気膜 (薄いので破かないように) ■汚さない ■濡らさない NO2に汚染された空気

天谷式NO2簡易測定法について 3 ろ紙に吸収されたNO2量の分析 ■原理(ザルツマン法)は国の指定測定法の1つ ■ザルツマン試薬がろ紙に吸収されたNO2と反応して発色する ■色の濃度が吸収されたNO2量に比例する ■色の濃度を測ることでNO2の量を求められる 白ふたをはずし、ザルツマン試薬を注入する NO2濃度低い NO2濃度高い 化学反応 吸光計器で色 の濃度を測る

底の通気膜は汚さない、ゴミなどつかないように カプセルを取り付ける時の注意 カプセル番号確認して、白ふた側を上にして垂直に設置する できるだけ日陰側に(日光の直射を避ける) <曇りなど日照りでなければ気にしなくてよい> 白ふたは はずさない 中のろ紙は 平らに底につける 固定テープで 通気膜が覆われないように 青いゴムキャップ、 はずして保管 1メートル半ぐらい 底の通気膜は汚さない、ゴミなどつかないように 取り付け終ったら、時刻などをメモします 取り付け例(樹や柱の場合)

ソラダス2012測定運動(枠組み) ■天谷式NO2簡易測定カプセルによる大阪全域に わたるNO2測定運動及び健康アンケート ■主な作業  ◇天谷式カプセルの作成  ◇カプセル設置の準備(参加者組織(地域実行委)、設置地    図作製など)  ◇天谷式カプセルの設置測定  ◇健康アンケート用紙の配布回収  ◇カプセルの分析  ◇地域のデータ整理 ■ソラダス2012全体のデータ分析と報告書づくり   なくす会(公害環境測定研究会が支援) <参加者>幅広い成人、学生、青年の参加

ソラダス2012の調査概要(イメージ) <カプセル調査> ■メッシュ測定 大阪府全域対象のNO2濃度分布の把握だが、 とくに以下を考慮  ◇府域主要道路周辺を重点的  ◇大きな道路建設計画のある地域  ◇汚染の高い地域(大阪市域43号沿道、住之江、南港、大正区など)  ◇「あおぞらプロジェクト」関係 ■自主測定    個人団体問わず、参加受け入れ <健康アンケート調査> ■できるだけ多く、とくに汚染の高い地域、対照地域 <PM2.5調査> ■調査点限られるが実施