日本行動計量学会第29回大会 於:甲子園大学 (2001/9/14-16)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
計量的手法入門 人材開発コース・ワークショップ (IV) 2000 年 6 月 29 日、 7 月 6 ・ 13 日 奥西 好夫
Advertisements

マルチレベル共分散構造分析 清水裕士 大阪大学大学院人間科学研究科日本学術振興会. 本発表の概要・目的 個人 - 集団データの階層性 個人 - 集団データの階層性 階層的データは従来の方法では十分な分析が できない 階層的データは従来の方法では十分な分析が できない 従来の方法は何が不十分なのか?
社会調査データの分析 社会調査・実習. 分析の手順(1) 1 1 入力データの点検 (全部の調査票 に目を通す) 2 2 通し番号の入力。必要ならば回答の コード化。 3 3 入力フォーマットの決定 4 4 データ入力( Excel, エディターなど)
統計学入門2 関係を探る方法 講義のまとめ. 今日の話 変数間の関係を探る クロス集計表の検定:独立性の検定 散布図、相関係数 講義のまとめ と キーワード 「統計学入門」後の関連講義・実習 社会調査士.
1 徹底討論「主成分分析 vs 因子分析」 主成分分析は因子分析ではない ! 狩野裕 (大阪大学) 日本行動計量学会第 30 回大会 於:多摩大学.
入門B・ミクロ基礎 (第4回) 第2章 2014年10月13日 2014/10/13.
心理測定論 信号検出理論.
グラフィカル多変量解析 ----目で見る共分散構造分析----
白井ゼミ 豊田秀樹(2008)『データマイニング入門』 (東京図書)。4章
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 社会統計 第13回 重回帰分析(第11章後半) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部
因子分析,共分散構造分析 Factor Analysis Structural Equations Model
コメント 狩野裕 (大阪大学 人間科学研究科).
小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 谷口尚子(帝京大学) 2004年9月19日 数理社会学会 山形大学
多変量解析 -重回帰分析- 発表者:時田 陽一 発表日:11月20日.
共分散構造分析(SEM)は パス解析,因子分析,分散分析のすべてにとって代わるのか?
コメント 「ファセット・アプローチの 魅力とパワー」
重回帰分析入門 経済データ解析 2009年度.
周育佳 東京外国語大学地域文化研究科博士後期課程
因子分析と共分散構造分析 狩野 裕 大阪大学人間科学部 日本行動計量学会 春の合宿セミナー
実証分析の手順 経済データ解析 2011年度.
大学院に向けての学習の進め方 〔注意〕 *この資料は、「このとおり学習すれば合格する」と保証するものではありません。 *筆記試験以外に「面接試験」があります。「筆記試験の成績さえ良ければ合格する」ということではありません。 *「ここに掲載しているテキストから試験問題が出題される」という意味ではありません。
攻撃性尺度の分析:小学生vs中学生Ⅱ ---- 多母集団の同時分析&男女間の平均を調整 ----
GD07WS マルチレベル共分散構造分析 指定討論
コメント 狩野 裕 大阪大学人間科学部 日本心理学会ワークショップ 「探索的因子分析における変数の選択(3)」
突然ですが、 金政分析へのコメント 大阪大学大学院人間科学研究科 平井 啓 2017年3月13日(月)
第37回日本看護研究学会学術集会 シンポジウムII 20011/8/8(月)(デブの日)14:40~16:40 中山和弘(聖路加看護大学)
分布の非正規性を利用した行動遺伝モデル開発
Bassモデルにおける 最尤法を用いたパラメータ推定
重回帰分析入門 経済データ解析 2011年度.
初歩的情報リテラシーと アンケート集計のためのExcel・SPSS講座
因子分析や3相因子分析による分析の問題点を整理する 狩野裕+原田章(行動工学講座)
回帰分析.
寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部 社会統計 第12回 重回帰分析(第11章前半) 寺尾 敦 青山学院大学社会情報学部
臨床統計入門(3) 箕面市立病院小児科  山本威久 平成23年12月13日.
第4日目第2時限の学習目標 検査(テスト)の信頼性について学ぶ。 (1)検査得点の構成について知る。 (2)検査の信頼性の定義を知る。
主成分分析                     結城  隆   .
12月4日 伊藤 早紀 重回帰分析.
回帰分析/多変量分析 1月18日.
ワークショップ ユーザーとメーカーの公開相談会
構造方程式モデリング(SEM) Structural Equation Modeling.
高次元データにおける幾つかの検定統計量の漸近分布について
平均構造モデル・多母集団の同時分析 実験データの分析 潜在曲線モデル
相関分析.
第4日目第3時限の学習目標 検査の信頼性(続き)を学ぶ。 妥当性について学ぶ。 (1)構成概念妥当性とは? (2)内容妥当性とは?
PCAからICAへ? 狩野裕+清水昌平 (大阪大学人間科学部) 日本行動計量学会:東京大学 平成12年10月.
T2統計量・Q統計量 明治大学 理工学部 応用化学科 データ化学工学研究室 金子 弘昌.
多母集団の同時分析 豊本満喜子 大阪大学人間科学部.
指標の数と信頼性・ 内容的妥当性 指標の数は多いほうがよい.
潜在変数に交互作用がある 構造方程式モデル(共分散構造モデル): 二段階最小二乗推定値
独立成分分析 (ICA:Independent Component Analysis )
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
予測に用いる数学 2004/05/07 ide.
主成分分析 Principal Component Analysis PCA
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
説明可能なAI(Explainable AI)
多変量解析 ~主成分分析~ 1.主成分解析とは 2.適用例と解析の目的 3.解析の流れ 4.変数が2個の場合の主成分分析
尺度化について 狩野 裕 大阪大学人間科学部.
再討論 狩野裕 (大阪大学人間科学部).
大学生における援助要請行動の 調査研究.
部分的最小二乗回帰 Partial Least Squares Regression PLS
対応のある共分散分散行列の同時分析 ーー 震災ストレスデータの同時分析 ーー
1.因子分析とは 2.因子分析を行う前に確認すべきこと 3.因子分析の手順 4.因子分析後の分析 5.参考文献 6.課題11
米国GAISEプロジェクトにおける 統計教育カリキュラムと評価方法
藤本翔太1, 狩野裕1, Muni.S.Srivastava2 1大阪大学基礎工学研究科
重回帰分析入門 経済データ解析 2008年度.
心理学研究の自己点検(6): 心理学研究における 探索的因子分析の基本問題 企画・講演:堀 啓造氏
N人関係のデータ構造と家族関係の分析 藤澤  等(県立長崎シーボルト大学) .
森 裕一(岡山理科大学) 山本義郎(岡山大学自然科学研究科) 渡谷真吾,尾高好政(倉敷芸術科学大学) 垂水共之,田中 豊(岡山大学)
第4日目第2時限の学習目標 検査(テスト)の信頼性について学ぶ。 (1)検査得点の構成について知る。 (2)検査の信頼性の定義を知る。
転移学習 Transfer learning
Presentation transcript:

日本行動計量学会第29回大会 於:甲子園大学 (2001/9/14-16) 公開回答・指定討論 狩野 裕 大阪大学 大学院人間科学研究科

FA for ipsatized data SEMの活用で分析可能になっている Chan & Bentler (1993). The covariance structure analysis of ipsative data. Sociological Methods and Research, 22, 214-247 豊田(2000). 共分散構造分析[応用編].朝倉書店 小笠原(2001).本大会予稿集

特徴と問題点 加算的 ipsative model 個人ごとのバイアスが調整される essentially τ-equivalent test

Qs from Sayuri 方法の違いが結果の違いとして現れない場合,主成分分析でなく,因子分析を採用しなければならない理由があるのか 論文が採用されることを重視すると,審査者が理解できない新しい分析法を用いるより,前例の多い手法を採用した方が安全である 先行研究で用いられた方法を使った方が比較に都合がよい

方法の違いが結果の違いとして現れない場合,主成分分析でなく,因子分析を採用しなければならない 理由があるのか PCAが重宝がられる理由 FAでは分析がうまく行かないから FAと結果が似ているから FAよりアピーリングな結果だから 理論的に,因子負荷量の値が高く出る FAの方がむずかしいから ソフトのデフォルトがPCAだから ○ ×

原理・原則を守りたい 主成分分析(PCA) 因子分析(FA) 合成変数を作りたい 次元縮小,変数のグルーピング 観測変数の原因となる潜在変数に興味 尺度化,信頼性分析

つづき 分析結果はかなり違う 同じであればFAを報告することに抵抗感は ないはず 因子負荷量から信頼性係数を計算すると かなり違う グルーピングはあまり変わらない 因子負荷量から信頼性係数を計算すると かなり違う α係数は近々過去の遺物になるだろう

論文の価値を低めるな!! PCAはいつもうまく行く,FAは結構うまく行かない FAがうまく行くためには,以下が必要 十分な標本,連続変数(二値変数が含まれない), 偏りや尖りのある項目がない データの発生機構がFAモデル これらを達成するため無尽の苦労をするのに,どんなデータでも分析できるPCAで報告するのは何ともったいないことか PCAで報告するのは,データが dirty でFAではうまく分析できないからではないかと勘ぐられる

論文が採用されることを重視すると,審査者が理解できない新しい分析法を用いるより,前例の多い手法を採用した方が安全である 審査者の教育が必要 上記の主張は学会先進国でも通用するのだろうか.もしそうなら,方法論の発展はなく,それを利用する実質科学の発展も期待薄 日本で,このような主張がまかり通りそうなのはなぜだろう 若手の研究者から,旧態依然たる学会を変革していく声を上げないといけないのではないか

先行研究で用いられた方法を使った方が比較に都合がよい そのとおりである 新しいより洗練された方法論を用いた場合は,比較のために古い方法でも分析しておく 論文にはその旨少し記述すればよい

Qs from Ako 投網とタモ網 結局,ぐるぐるするの 禁断の多母集団同時分析 探索的分析と検証的分析 SEMは原則として検証的分析 双方向因果モデルもあるが…. 禁断の多母集団同時分析 非正規性 多母集団を構成する属性変数

「ある社会心理学者からの問い合わせ」   「中絶に対する態度の日米比較」に関する投稿論文に対するエディターのコメントで、日本人のサンプルのほうがアメリカ人サンプルよりもいろんなスケールでのReliabilityがひくいので、それをコントロールするためにより洗練された分析方法、たとえばLISRELとかEQSとかつかえ、といってきました。意味が今一つよくわからないのですが、これって、Latent Variablesを用いろということでしょうか。それとも、重回帰や相関係数でのみ議論しているところを、なんとかEQSに持ちこめば、Manifest Variableを扱っていても、EditorがいうようなReliabilityのコントロールということが果たせるのでしょうか。

信頼性の異なる母集団の比較 A国                     B国

信頼性の異なる母集団の比較 CFAによると「宗教」と「道徳」から「責任帰属」への因果構造に違いはない. 「道徳」の測定モデル(信頼性)が異なる. 尺度化すると,因果構造に違いが出てしまう A国          B国