集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について 集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について 2003.9.9看護管理学特論 先端侵襲緩和ケア看護学 M1 木下佳子
背景 集中治療室(ICU)では、その場その期間だけでなく、その後の患者の人生・生活を考えて看護する必要がある。 しかし、患者がどのような生活・人生を送っているのかということはわかっていません。 そこで、今回の文献検討により、患者のICU退院後の生活、入室経験が人生・生活に及ぼす影響を知ることを目的としました。 ICU退院後どんな生活をしているのか ICU入室経験が人生・生活に与える影響
文献検索 2件; ICU体験の意味するものと現在の生活にもたらしたもの(事例研究) 臨死体験‐終末医療における意義の検討 医中誌で、1998~2002年 ICU or 集中治療 and 経験 or 体験 and退院 2件; ICU体験の意味するものと現在の生活にもたらしたもの(事例研究) 臨死体験‐終末医療における意義の検討 文献検索ですが、医中誌で1998~2002年・・・・・で検索したところ、2件該当しました、しかし、目的とする文献ではありませんでした。
文献検索 OVIDで、1998~2003年、English,human ICU and Experience 130件 ICU退院後の生活、ICUの影響 11件 そこで、OVIDで・・・・で検索したところ130件が抽出され、そのうち目的と思われたものが11件該当しました。 その文献を概観してみると、次の5つがKEYWORDになっていることがわかりました。 そこで、このKEYWORDにより、再度検索をしてみました。 今回は、QOLとPTSDについて、発表します。 KeyWord; QOL,PTSD,Memory,Psychosocial,Psychological
ICUとQOL 原著論文58件 レビュー14件 会議録2件 ICU退院後のQOLについては、15件 医中誌;1998~2002年 原著論文 医中誌;1998~2002年 原著論文 ICU or 集中治療 and QOL OVID;1998~2003年 English,human ICU and QOL or Quality-of-life 3件ICU退院後 ではない 原著論文58件 レビュー14件 会議録2件 ICUとQOLについて、医中誌で・・・で検索を加えた結果、3件抽出されましたが、目的とする文献ではありませんでした。そこでOVIDで・・・で検索をしたところ、原著論文58件そのうちICU退室後のQOLについて調査されたものが15件ありました。 ICU退院後のQOLについては、15件
ICU退院後のQOL ICU入室患者の死亡率(長期入室患者) 復職率は、6ヶ月で40~98% ほとんどの患者が自宅に帰っている。 病院内累積死亡率17~34% (28.5~53%) 退院後6ヶ月累積死亡率31~43% 復職率は、6ヶ月で40~98% ほとんどの患者が自宅に帰っている。 QOLの文献をまとめた結果です。 まず。死亡率ですが、 ()内は、長期の入室患者を調べた研究の結果です。 6ヶ月で、半数以上が生存しています。 復職率は、幅広いですが、・・・ ほとんどの患者が自宅に帰っています。
ICU退院後のQOL ICU入室患者を総合的にみるとQOLは、ほぼもとのQOLに回復 ARDSや長期人工呼吸器管理患者のQOLは、有意に低下 バイタリティ、活力の低下、 身体機能、可動性の低下、痛み(ARDS,長期人工呼吸管理) 入室患者を総合的にみると、とほぼ元のQOLに戻っています。 しかし、これに、ARDSという侵襲が原因でおこる重篤な呼吸器障害患者や長期人工呼吸管理の患者に絞ると一般人に比較して有意に低下しています。 その低下した患者の特徴は、バイタリティ、活力の低下と報告した文献が多く、ARDSや長期人工呼吸患者は、身体機能、可動性、痛みなどが特徴的でした。 ARDS:acute respiratory distress syndrome (成人窮迫呼吸症候群)
ICU退院後のQOL QOLに関連する要因 長期の人工呼吸 疾患の重症度、外傷、ARDS 入院前のQOL QOLを改善させる要因 社会支援 健康状態の認識 短期入院 さらに、QOLに関連した要因では、・・・・
ICUとPTSD 医中誌;1998~2002年 原著論文 ICU or 集中治療 and PTSD or 外傷後ストレス症候群 0件 医中誌;1998~2002年 原著論文 ICU or 集中治療 and PTSD or 外傷後ストレス症候群 0件 次にPTSDですが、 同じように、 では0件で OVIDで・・・・で原著論文が5件該当しました。 OVID;1998~2003年 English,human ICU and PTSD 原著論文5件
ICUとPTSD ARDS患者はPTSD発生が有意。(28%) PTSD発生患者はQOLが低い。 それらをサマリーすると
アクションプラン:臨床 ほとんどの患者が自宅に帰っている。 →生活する上での自立を考えた看護、支援者への 援助 →生活する上での自立を考えた看護、支援者への 援助 ARDSや長期人工呼吸はQOL低下の原因 →ARDS移行を阻止、人工呼吸の早期離脱 身体可動性の低下、疼痛 →長期臥床による廃用萎縮の影響か? PTSDの発生と記憶の関係 →鎮静法の検討、錯覚に対する援助の検討 以上のことから臨床におけるアクションプランを考えてみると、 ほとんどの患者が、自宅に帰っていることから、患者が自律出来るような援助が必要である。それは、家族など患者の支援者になる人へも同様である。 ARDSや長期人工呼吸管理がQOLの低下になることから、ARDSへの移行を防ぎ、人工呼吸器の早期離脱の援助が必要である。 長期人工呼吸管理の患者に身体可動性の低下、疼痛などが起こっていることは、臥床期間が長くそれが、廃用萎縮を促している可能性も考えられる。早期リハビリテーションなどの検討が必要である。 最後にPTSDの発生と記憶に関係があることから、鎮静法の検討、錯覚などの記憶の混乱にどのように対処していけばよいかを考えていく必要がある。