集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について

Slides:



Advertisements
Similar presentations
何でもおたずねください 長崎がん相談支援センター 長崎がん相談支援センター 吉原律子・平山美香・木場英郎 緩和ケア普及のための地域プロジェクト 野田剛稔・藤井 卓 白髭 豊・ 鳥山ふみ子 長崎がん相談支援センター.
Advertisements

カウンセリングナースの 実践 と評価 不知火病院 カウンセリングナース 不知火病院 カウンセリングナース 国崎孝子 国崎孝子.
カウンセリングナースによる 新しい治療システム -ストレスケア病棟での治療体験と カウンセリングナースの導入- 福岡県大牟田市 不知火病院 院長 徳永雄一郎.
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
看護師がお宅へ訪問し、 疾患や障がいを持っていても、 在宅で安心して生活してゆけるよう お手伝いします。
平成26年度 診療報酬改定への要望 (精神科専門領域) 【資料】
体幹&呼吸エクササイズ 教室 開催日時 : 毎週金曜日 20:00~21:00 定員 : 4名 金額 : ¥1,000-
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備③ 医療・福祉・教育の連携
Yokohama City Save Hospital ☆Emergency and Critical Care Medicine☆
ターミナルケアとホスピスの看護研究の動向: 医中誌1983年~2007年デ ータのテキスト マイニング
ホスピス外来における STAS-Jを活用した看護の実際
NPO法人 日本ホスピス・在宅ケア研究会 がん患者さんへのピアサポーター養成講座
ICU退室後のPTSDと家族の精神状況 おもしろいとおもいます。 しかし、統計学的手法が難しい研究ですね。
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明
緑茶の洗浄効果に関する研究について 23030171 長谷川尚子.
2006年度からのリハビリ日数制限と発症後60日以内の入院制限の影響
聖マリアンナ医科大学救命救急医学教室 今西 博治
治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
チュートリアルシリーズ 検索事例編③ 小児の頭部外傷 リスク評価について (CT検査は必要か?)
在宅ホスピスケア実施におけるSTAS-Jの有用性
緩和ケア.
装具完成までの期間の検討 葛西循環器脳神経外科病院 リハビリテーション室1) 同脳神経外科2) 早川義肢製作所3)
Hironori Kitaoka.
Journal Club 2013/11/19 聖マリアンナ医科大学 救急医学 吉田英樹
Outcomes Among Patients Discharged From Busy Intensive Care Units
Liverpool Care Pathway(LCP)日本語版の概要と開発経過
VAP(人工呼吸器関連肺炎) の予防 JSEPTIC_Nursing.
チュートリアルシリーズ 検索事例編② 静脈血栓塞栓症(VTE) 予防 ガイドラインの参照について
訪問看護における看護管理のあり方 ステーションの管理者に求められるもの 在宅看護学 遠山 寛子.
 クリティカルケア領域に             おける家族看護     ICU入室中の患者家族の      ニードに対する積極的介入について              先端侵襲緩和ケア看護学                    古賀 雄二 
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護
学習目標 1.急性期の意識障害患者の生命危機を回避するための看護がわかる. 2.慢性期の意識障害患者の回復に向けた看護がわかる. 3.片麻痺患者のADL獲得に向けた看護がわかる. 4.失行・失認の患者が生活に適応するための看護がわかる. 5.失語症の患者のコミュニケーション方法の確立に向けた看護がわかる.
中山和弘(聖路加看護大学) 戸ヶ里泰典(東京大学大学院健康社会学)
長崎がん相談支援センター なんでもおたずねください 吉原律子・平山美香・木場英郎 白髭 豊・ 鳥山ふみ子 長崎がん相談支援センター
地域医療構想と地域包括ケア 千葉大学予防医学センター 藤田伸輔 2016/7/2 新潟朱鷺メッセ.
SAMPLE 1.人間の活動・運動の意義が理解できる. 2.随意運動の成り立ちが理解できる. 3.同一体位による身体への影響が理解できる.
4.生活習慣病と日常の生活行動 PET/CT検査の画像 素材集-生活習慣病 「がん治療の総合情報センターAMIY」 PET/CT検査の画像
血液透析患者の足病変がQOLに与える影響の調査 ~SF-36v2を使用して~
出席される事業者の皆様へ 医療保護入院者の早期退院に向けた会議に
Interventions to Improve the Physical Function of ICU Survivors            (CHEST 2013;144(5): ) 聖マリアンナ医科大学 救急医学 田北 無門.
クリティカルケア領域における 家族看護の研究動向 ―質的研究と量的研究の文献の比較- (★タイトル変更しました) いとうたけひこ(和光大学) 迫田典子 城丸瑞恵(札幌医科大学大学院) 日本計算機統計学会  テキストマイニングスタディグループ 研究会 2012年7月10日(火)14:00-17:00.
トータス往診クリニック 国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 大橋 晃太
がん患者の家族看護 急性期にあるがん患者家族の看護を考える 先端侵襲緩和ケア看護学 森本 紗磨美
各論1A【症例2】 訪問看護 1 痛みは緩和できているが寝たきり →本人の希望?ポート、カテーテルによる?
疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.
St. Marianna University, School of Medicine Department of Urology 薄場 渉
地域リハビリテーション -訪問リハビリテーションを中心に-
患者さんへの説明補助イラスト -脳せきずい液中のオステオポンチン に関する疾患比較研究- 版
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
STAS-Jでの情報収集に困難を感じるのはケアの困難さと関連があるのか
在宅医療とは 入院・外来に次ぐ『第三の診療体系』 入院 外来 在宅 ・定期的な居宅での診療(診察) 慢性疾患の重症化予防、健康維持管理
子どもに対する 生活習慣病予防の 取り組み           健康情報分析学            三輪 夕起.
院内の回復期リハ病棟間の成果比較  -予後因子(入院時年齢・FIM・発症後日数)の階層化による測定法を用いて-
千葉県脳卒中連携意見交換会 MSW部会 倉石 智穂 (公益財団法人日産厚生会佐倉厚生園病院)
筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美
背景:在宅医療の現状と意義 入院・外来に次ぐ『第三の診療体系』として 入院 外来 在宅 意義 ・多様化する病態や『生き方』への対応
Good Start ! Great Future !
ナラティブ・アプローチの看護への有効性の検討
「アルコール依存症者の回復過程における看護師の役割」
SWOT分析 看護師 転職例 強み (Strengths) 弱み (Weaknesses) 機会 (Opportunities)
アウトカムによる        ケアマネジメントの評価 在宅ケア看護学 奥富 幸至.
STAS-J症状版の作成と 評価者間信頼性の検討
出席される事業者の皆様へ 医療保護入院者の早期退院に向けた会議に
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education 1.
「JSEPTIC-BW ICU における体重測定の意義」 経緯と今後
千葉大学予防医学センター 臨床疫学 藤田伸輔
Presentation transcript:

集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について 集中治療室入室経験者の  その後の生活・人生について 2003.9.9看護管理学特論 先端侵襲緩和ケア看護学 M1 木下佳子

背景 集中治療室(ICU)では、その場その期間だけでなく、その後の患者の人生・生活を考えて看護する必要がある。 しかし、患者がどのような生活・人生を送っているのかということはわかっていません。 そこで、今回の文献検討により、患者のICU退院後の生活、入室経験が人生・生活に及ぼす影響を知ることを目的としました。 ICU退院後どんな生活をしているのか ICU入室経験が人生・生活に与える影響

文献検索 2件; ICU体験の意味するものと現在の生活にもたらしたもの(事例研究) 臨死体験‐終末医療における意義の検討 医中誌で、1998~2002年   ICU or 集中治療 and 経験 or 体験 and退院 2件; ICU体験の意味するものと現在の生活にもたらしたもの(事例研究) 臨死体験‐終末医療における意義の検討 文献検索ですが、医中誌で1998~2002年・・・・・で検索したところ、2件該当しました、しかし、目的とする文献ではありませんでした。

文献検索 OVIDで、1998~2003年、English,human ICU and Experience 130件 ICU退院後の生活、ICUの影響 11件 そこで、OVIDで・・・・で検索したところ130件が抽出され、そのうち目的と思われたものが11件該当しました。 その文献を概観してみると、次の5つがKEYWORDになっていることがわかりました。 そこで、このKEYWORDにより、再度検索をしてみました。 今回は、QOLとPTSDについて、発表します。 KeyWord; QOL,PTSD,Memory,Psychosocial,Psychological

ICUとQOL 原著論文58件 レビュー14件 会議録2件 ICU退院後のQOLについては、15件 医中誌;1998~2002年 原著論文 医中誌;1998~2002年 原著論文    ICU or 集中治療 and QOL   OVID;1998~2003年  English,human     ICU and  QOL or Quality-of-life 3件ICU退院後 ではない 原著論文58件 レビュー14件 会議録2件 ICUとQOLについて、医中誌で・・・で検索を加えた結果、3件抽出されましたが、目的とする文献ではありませんでした。そこでOVIDで・・・で検索をしたところ、原著論文58件そのうちICU退室後のQOLについて調査されたものが15件ありました。 ICU退院後のQOLについては、15件

ICU退院後のQOL ICU入室患者の死亡率(長期入室患者) 復職率は、6ヶ月で40~98% ほとんどの患者が自宅に帰っている。 病院内累積死亡率17~34% (28.5~53%) 退院後6ヶ月累積死亡率31~43% 復職率は、6ヶ月で40~98% ほとんどの患者が自宅に帰っている。 QOLの文献をまとめた結果です。 まず。死亡率ですが、 ()内は、長期の入室患者を調べた研究の結果です。 6ヶ月で、半数以上が生存しています。 復職率は、幅広いですが、・・・ ほとんどの患者が自宅に帰っています。

ICU退院後のQOL ICU入室患者を総合的にみるとQOLは、ほぼもとのQOLに回復 ARDSや長期人工呼吸器管理患者のQOLは、有意に低下 バイタリティ、活力の低下、 身体機能、可動性の低下、痛み(ARDS,長期人工呼吸管理) 入室患者を総合的にみると、とほぼ元のQOLに戻っています。 しかし、これに、ARDSという侵襲が原因でおこる重篤な呼吸器障害患者や長期人工呼吸管理の患者に絞ると一般人に比較して有意に低下しています。 その低下した患者の特徴は、バイタリティ、活力の低下と報告した文献が多く、ARDSや長期人工呼吸患者は、身体機能、可動性、痛みなどが特徴的でした。 ARDS:acute respiratory distress syndrome (成人窮迫呼吸症候群)

ICU退院後のQOL QOLに関連する要因 長期の人工呼吸 疾患の重症度、外傷、ARDS 入院前のQOL QOLを改善させる要因 社会支援 健康状態の認識 短期入院 さらに、QOLに関連した要因では、・・・・

ICUとPTSD 医中誌;1998~2002年 原著論文 ICU or 集中治療 and PTSD or 外傷後ストレス症候群 0件 医中誌;1998~2002年 原著論文     ICU or 集中治療 and  PTSD or 外傷後ストレス症候群  0件 次にPTSDですが、 同じように、   では0件で OVIDで・・・・で原著論文が5件該当しました。 OVID;1998~2003年  English,human   ICU and PTSD   原著論文5件

ICUとPTSD ARDS患者はPTSD発生が有意。(28%) PTSD発生患者はQOLが低い。 それらをサマリーすると

アクションプラン:臨床 ほとんどの患者が自宅に帰っている。 →生活する上での自立を考えた看護、支援者への 援助  →生活する上での自立を考えた看護、支援者への  援助 ARDSや長期人工呼吸はQOL低下の原因  →ARDS移行を阻止、人工呼吸の早期離脱 身体可動性の低下、疼痛  →長期臥床による廃用萎縮の影響か? PTSDの発生と記憶の関係  →鎮静法の検討、錯覚に対する援助の検討 以上のことから臨床におけるアクションプランを考えてみると、 ほとんどの患者が、自宅に帰っていることから、患者が自律出来るような援助が必要である。それは、家族など患者の支援者になる人へも同様である。 ARDSや長期人工呼吸管理がQOLの低下になることから、ARDSへの移行を防ぎ、人工呼吸器の早期離脱の援助が必要である。 長期人工呼吸管理の患者に身体可動性の低下、疼痛などが起こっていることは、臥床期間が長くそれが、廃用萎縮を促している可能性も考えられる。早期リハビリテーションなどの検討が必要である。 最後にPTSDの発生と記憶に関係があることから、鎮静法の検討、錯覚などの記憶の混乱にどのように対処していけばよいかを考えていく必要がある。