やさしい内部監査 IRCA QMS審査員 中山 金男
2仕事の仕組み プロセス システム QMSの要求事項 アウトプット 対比 自社の規定・標準・手順 資源を使用し、 どのような手順で 仕事を行い、 その活動状況を どのように 管理するか QMSの要求事項 プロセス 対比 システム 自社の規定・標準・手順 アウトプット
失敗の原因
失敗の行動
失敗の結果
作業手順の方法 作業手順書 文書化 文書化していない
負のスパイラル (作業者が手順を遵守していない場合) モラールの 低下 やる気が なくなる 作業手順の遵守 作業手順を 無視する 上司から 注意される 不良品を作る 手直しをする 後工程・顧客から クレーム発生
監査の対象 (負のスパイラルに陥らないための内部監査) 仕事の仕組み ↓ 作業手順 正しく行われているかを確認 内部監査
内部監査の仕組み P D C A 監査部門 被監査部門 監査計画の立案 監査計画の確認 内 部 監 査 の 実 施 監査結果の報告 内 部 監 査 の 実 施 C 記録① 監査結果の報告 監査結果の確認 A 是正計画立案及び実施 記録③ フォローアップ監査 記録② 是正結果の確認 是正結果の報告 記録①②③ 記録の保管 マネジメントレビューへインプット
内部監査の構造 プロセス イン アウト 確 認 質 問 対 照 記録 結果 監 査 基 準
内部監査の事前準備 品質マニュアルをよく読む 監査対象業務の概要を作業手順書で確認する 品質マニュアルをよく読む (改訂されている、監査対象の内容を理解する、内容を忘れている場合) 監査対象業務の概要を作業手順書で確認する (仕事の仕方を事前に認識) 監査対象業務からのアウトプットには何があるかを確認する (どんな種類のアウトプットがあるかを、品質マニュアルや関連文書などから抽出) 質問のチェックシートを作成する (業務がどのように実施され、結果が出ているかを確認するための質問をする →森を見てから木を見る) 内部監査の手順書をよく読んで内部監査の手順を理解する (内部監査員から手順を遵守→たまに監査するので手順を忘れている)
監査の実施 記録 業務の実施状況 手順 手順書 照合 監査基準 結果 監査証拠 の収集 記録 監査報告書
手順の監査方法 文書化されている手順の監査方法 文書化されていない手順の監査方法 作業手順書どおりに仕事を実施しているかを確認 過去の結果の記録を確認する 監査中の作業を手順書どおりに実施しているかを 確認する 文書化されていない手順の監査方法 作業の方法を作業者に確認して、そのとおりに 仕事を実施しているかを確認 過去の結果の記録を確認する 何人かで作業を行っている場合は、2,3人に作業の 方法を確認する
質問の仕方 作業手順に関する質問 ×:作業手順はありますか? ○:作業はどのような方法で実施していますか? ○:いつもこの手順で作業を行っているのですか? 記録に関する質問 ×:記録はありますか? ○:記録の記入方法を説明してください 不良品の取り扱いに関する質問 ×:不良品置き場はありますか? ○:不良品が出た場合の処置をどのようにしていますか? 測定機器の校正に関する質問 ×:測定機器は校正していますか? ○:測定機器の校正時期はいつですか、それは何で決まっていますか? はい、いいえと言う答えではなく、説明をしてもらえる質問をする。
問題点発見の手がかり ただ漠然と監査したのでは問題点を発見することはできない。 下記の事項に着目すると効果的な監査が出来る。 仕事のばらつきに着目 仕事のやり方が一定していない場合に、品質に関する問題が発生して いないかなどに着目する。 不良品に着目 不良品の取り扱いに問題がないかなどに着目する。 品質データに着目 品質データの分析が行われ、予防処置を検討しているかに着目する。
不適合の表現方法 手順 記録 手順書 業務の実施状況 差 差が明確になるように記述する どちらが正しいと 事象が再現できるようにする いう表現はしない 事象が再現できるようにする
不適合報告書の記述 不適合の表現のポイント * 事実が再現できるように記述 証拠を示さなければならないので、再現性が要求される。 * 監査基準と実態の差が明確になるように記述 監査基準との差の実態に問題であるので、これが明確に理解できる ことが重要である * 監査基準が正しい方法とか実態が正しい方法であるといった記述はしない どちらが正しいかは被監査部門が考えることであり、内部監査員が判断する ことではない 不適合の記述事例 * 事例1 最終検査で検査員は限度見本を使用していなかった。 QC工程表(A-001)では、最終検査で限度見本を使用することになっているが、 5月21日の監査対象のC製品では検査者Bは限度見本(007)を使用していなかった. * 事例2 資材管理手順では、部品は先入れ・先出しを行うことになっているが、4月1日の 支給部品が20個あるのに、5月18日の支給部品を50個使用していた。 資材管理手順(S-001)では、部品は先入れ・先出しを行うことになっているが、 A部品では4月1日の支給部品が20個あるのに、5月18日の支給部品を50個使用していたことが支給部品管理台帳に記入されていた。
QMS規格用語の解釈 ~すること→~をしなければならない ~を確実にする→~を確実にするための仕組みが 必要である ~を確実にする→~を確実にするための仕組みが 必要である ~を承認する→~を認める必要がある ~を識別する→~見分けられるようにする必要がある ~を確立する→~についての仕組みが必要である ~を提供する→~を与える必要がある ~を明確にする→~を誰でも分かるようにする必要がある
内部監査員の役割 業務の結果の適合性の評価を行う プロセスのアウトプットが目的を果たしているかを評価 時間を守る 業務に影響を与えないようにする 被監査者の説明をよく聞く 分からないことがあれば質問する 相手が分かるように質問する 被監査者の目線に合わせて質問する QMS要求事項を理解する 監査対象の要求事項は事前に確認しておく 監査技術を磨く 効果的・効率的に行えるかは監査技術に左右される
経営者の認識 不適合が多いことを非難すべきでない 非難すると問題があっても闇の中に葬ってしまわれる 内部監査の結果と品質実績を比較すべきである 不適合・改善がほとんど無いのは内部監査の質が低いと言う事である 内部監査では品質問題だけを抽出すべきでない 経営システムの運営状況を評価できるツールと考える必要がある 内部監査を通じて内部監査員のマネジメント 能力を育成せよ 内部監査を適切に出来ると言うことは、監査員のマネジメント能力が 高いという証拠である。監査を通じてマネジメント能力開発が可能に なることを認識すべき。つまらないマネジメント研修よりも効果が高い。
内部監査員の認識と知識 内部監査が仕事と別物であると考えないこと 監査が出来るという事は、マネジメント能力があるということである 内部監査では数多くの問題点及び課題を 抽出すること 監査基準に問題がないか、更に改善すべき点がないかも 検出することが、質の高い監査になるということを認識すべきである 監査の結論は論理性をもたすこと 報告を受けた人が理解し納得できるように論理的に展開する必要がある 監査時間を遵守すること 監査は時間との勝負であり、決められた時間で完了する必要がある 研修監査員を評価すること 事前準備の段階から指導し適切なアドバイスを与え、監査中は評価する
被監査者の認識 内部監査は日常管理のチェックと考えよ 自分で確認しても見えない問題が、他人の目線では見える事がある 内部監査は改善の機会と考えよ この機会を通じて不適合は是正、改善は予防処置の改善活動を行う 内部監査ではすべてオープンにすること 日常管理活動が有効かを確認するために情報は全て提供すること 指摘された問題はすぐ対処すること 再発を防止するために即座に対処し、そのままにして忘れることを 防止するために、最優先で取り組むこと
内部監査責任者の認識 戦略的な内部監査計画を作成すること 中期経営計画・年度経営計画と整合するような計画を作成すること 内部監査員の教育を充実すること 監査員の力量の維持・向上を図るため、OJT教育を実施すること 内部監査プログラムのPDCAのサイクルを 回すこと 監査が終了する都度レビューを行い、効果的で効率的な 内部監査が出来るように、監査の継続的改善活動を行うこと 内部監査の効果を把握すること 内部監査にかけたコストに見合う改善が出来ているか測定すること