磁気モーメントを用いた 磁力線再結合域の推定

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 銀河系力学構造の 構築について 上田晴彦 ( 秋田大学 ) 郷田直輝, 矢野太平 ( 国立天文台 ) 竹原理論物理学研究会 2011年6月7日 ホテル大広苑.
Advertisements

宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
オンセットアークの構造化と 背景電場の変化
Nagai laboratory.
高精度画像マッチングを用いた SAR衛星画像からの地表変位推定
「ひさき」衛星(EXCEED)による ジオコロナ観測と プラズマ圏のEUV 観測 1.イントロダクション 2.地球周辺の電離大気の撮像 3.EXCEED/ひさきの観測 東京大学 吉川 一朗.
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
ERG衛星搭載用低エネルギーイオン分析器(LEP-i) の開発の現状(勉強中)
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
2005年8月24日の磁気嵐を 引き起こしたフレア・CMEと、 活動領域NOAA 10798のアネモネ構造
・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係
REIMEI EISA Viewerの使い方
自作電波望遠鏡による木星電波の検出 園田愛実 冨田敬人 静岡県立磐田南高等学校 地学部 天文班
地球内部磁気圏探査に向けた 高エネルギーイオン観測器の設計
GPS3点観測によるF領域 イレギュラリティのドリフト速度の測定
真夏の磁気圏境界層 長谷川 洋 STPセミナー 2009/09/16.
スパッタ製膜における 膜厚分布の圧力依存性
「Constraining the neutron star equation of state using XMM-Newton」
電磁気学C Electromagnetics C 7/13講義分 電磁波の電気双極子放射 山田 博仁.
流体のラグランジアンカオスとカオス混合 1.ラグランジアンカオス 定常流や時間周期流のような層流の下での流体の微小部分のカオス的運動
重力レンズ効果を想定した回転する ブラックホールの周りの粒子の軌道
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 06MP111 吉竹 利織
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
Taurus-Auriga association
HⅠ輝線を用いた 高銀緯分子雲の観測的研究
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
技術コンサルタント 高須 知二 Tomoji TAKASU
水(?)はプレート間カップリングを 変化させるか? ー 茨城・福島沖の場合 ー 名古屋大学 山中 佳子 昨年度のシンポジウムで
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
超並列宇宙プラズマ粒子シミュレーションの研究
応用課題 8.太陽風磁気圏相互作用 ベクトル化とベクトル並列化(MPI)の3次元グローバルMHDコードを用いて、SUNワークステーションとベクトル並列型のスーパーコンピュータ Fujitsu VPP5000で太陽風と地球磁気圏相互作用のシミュレーションを行い、惑星間磁場(IMF)が北向きと南向きの場合の磁気圏構造を調べる。図形処理として、PostScript言語を用いた断面図や3次元磁力線の描画、VRMLを用いた3次元可視化を実行する。
ガンマ線連星 LS I 放射モデル 2009/12/14 永江 修(広島大学).
Fermi Bubble における粒子加速の時間発展と放射の空間依存性
Fermi Bubble における粒子加速の時間発展と放射の空間依存性
星間物理学 講義2: 星間空間の物理状態 星間空間のガスの典型的パラメータ どうしてそうなっているのか
今後の予定(日程変更あり!) 5日目 10月20日(木) 小テスト 1~2章の内容 講義(3章)
倉本研究室 宇宙理学専攻 修士1年 岡澤直也.
極冠域電離圏における低エネルギー降下電子の起源について
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
統計的震源モデルと 半無限平行成層グリーン関数 による高振動数強震動の計算法
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
大阪市立大学 宇宙物理(重力)研究室 D2 孝森 洋介
MHD Simulation of Plasmoid-Induced-Reconnection in Solar Flares
ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
Astro-E2搭載XISの電荷注入機能を用いた 較正方法の 開発
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 B4 近藤 奨
強結合プラズマ 四方山話 − 水素とクォーク、高密核融合、 クーロンクラスター、そして粘性 −
宿題を提出し,宿題用解答用紙を 1人2枚まで必要に応じてとってください 配布物:ノート 2枚 (p.85~89), 小テスト用解答用紙 1枚
惑星と太陽風 の相互作用 惑星物理学研究室 4年 深田 佳成 The Interaction of The Solar
原子核物理学 第7講 殻模型.
地球近傍における宇宙線陽子・反陽子空間分布シミュレーション
スケールモデルを用いた建物群周りの        気温分布の検討 藤原 孝三 指導教員  成田 健一.
大型ヘリカル装置における実座標を用いた 粒子軌道追跡モンテカルロコードの開発
北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 4 年 堺 正太朗
「データ学習アルゴリズム」 第3章 複雑な学習モデル 報告者 佐々木 稔 2003年8月1日 3.2 競合学習
研究紹介:山形大学物理学科 宇宙物理研究グループ 柴田研究室
INDEX衛星によるオーロラ微細構造のin-situ観測
電離圏イオン流出現象 山田学,渡部重十(北大・理) プラズマ圏・内部磁気圏研究会(2002/03/13)
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
Presentation transcript:

磁気モーメントを用いた 磁力線再結合域の推定 ○奥 朋之[1]、渡部重十[1] 向井利典[2]、松岡彩子[2] 福西 浩[3] 、笠原禎也[4] [1]北大・惑星大気、[2]宇宙研、 [3]東北大、[4]京都大

カスプ領域での粒子変動 左図・・・Cowley[1982]が考案し、Smith and Rogers[1992]が観測したD型分配関数。 Magnetosheathのマクスウェル分布が磁力線方向にVHT速度で加速されている。 この分布の特徴 ( f0 、 VHT速度、温度、距離 ) は電離圏で観測されたLEPデータ(ピッチ角、速度、分布関数 ) から推定可能か?

位相空間上での速度変化 ノーズ近傍で同じ の角を 持っていたイオンA’,B’は 磁気モーメントの保存 と、エネルギーの保存 ノーズ近傍で同じ の角を 持っていたイオンA’,B’は 磁気モーメントの保存 と、エネルギーの保存 より、電離圏で と のピッチ角で観測される。 →   を与えて  を仮定 

温度、VHT速度、距離の推定 VHT速度だけシフトしたシース起源のマクスウェル分布 ↓ 同じピッチ角 を持っていたA、Bを代入すると、

結果・・・90年1月21日20時 10Re

結果・・・90年1月22日00時 10Re

結果・・・90年1月27日23時 10Re

考察および結論 IMFが北向きの場合 IMFが南向きの場合 2種類のイオン(P,R)はVHT速度が異なる →北向きのイオンの進入経路の違い VHT速度の異なる粒子(赤道側、極側)の進入 →南向きはMultiple injection? 速い粒子(赤道側)は12Re以上でvarianceが最小 →ノーズ近傍での加速の証明 遅い粒子(極側)はvarianceが2.3~4.2Reで最小 →磁気圏極域での加速?

まとめ 電離圏で観測されるLEPデータのピッチ角、速度、分布関数から、エネルギー保存、磁気モーメントの保存を仮定、最小二乗法を用いて磁力線再結合域と、その際の温度、VHT速度を推定した。 結果、南向き、北向きともに、VHT速度の大きく違う粒子があけぼの衛星に観測されていたことになり、multipleなinjectionが疑われる。 温度は、非常に誤差が大きく求まらなかったが、VHT速度に関しては、誤差も小さく、南向きの場合、遅い粒子で約300-500km/s、速い粒子で約500-1000km/sとなった。 また、加速領域は南向きの速い粒子は従来の理論通り、磁気圏境界面のノーズ近傍と考えられるが、速度の遅い粒子は磁気圏極域で加速されていることが疑われる。