ロビンソー・クルーソー経済.

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公共経済学 完全競争市場.
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ロビンソー・クルーソー経済

ロビンソー・クルーソー デフォーの小説(1719) 経済学で様々な形で取り上げられている。 入門の教科書では、一人経済 絵に描けるように財は、二つ ここでは、果物と魚

生産関数 x時間労働すると F(x) の魚が取れるとする。 F(x) :生産関数 単位は、連続とする。

生産関数の図 魚の生産 これだけ魚が取れる これだけ働くと 労働の投入

限界生産物 この傾きが 限界生産物 魚の生産 一単位の追加的な労働による産出の増加 この投入のとき 式ではF’(x) 労働の投入

限界生産物逓減 限界生産物が小 魚の生産 限界生産物が大 限界生産物は逓減的 式ではF”(x)<0 労働の投入

限界生産物が逓減する理由 沖に行かないと魚が取れない 高い木に登らないと果物が取れない

収穫逓減 収穫逓減(decreasing return) より一般に投入が二倍になっても、産出が二倍以下にしかならないのが 固定的な投入がある(土地・経営資源) このときは、収穫逓減の法則が支配

x時間でF(x) の魚が得られる 生産フロンティア (F(x), G (8-x) )の組合せが生産(消費)可能な組合せ

果物だけ生産 したとき 果物の生産 別の可能な生産の組合せ 果物の生産関数 可能な生産の組合せ 果物をとる時間 魚の生産 生産フロンティア D 果物の生産関数 可能な生産の組合せ B 果物をとる時間 A 魚の生産 生産フロンティア C 魚の生産 果物への 労働投入 魚だけ生産 したとき 魚の生産関数 合計の時間は8時間 魚を捕る時間 魚への労働投入

生産フロンティア 生産可能な魚と果物の組合せ 右下がり・・・トレード・オフの存在 トレード・オフは、経済問題の基本 果物の生産 生産可能な魚と果物の組合せ 右下がり・・・トレード・オフの存在 トレード・オフは、経済問題の基本 傾きが(魚の果物で計った)限界転形率 H B A G 魚の生産

限界転形率 (魚の果物で計った)限界転形率 一単位魚の生産を増やすために必要な果物の量 一単位魚の生産を減らすと余分にできる果物の量 限界代替率 の一種 果物で計った魚の限界費用

資源配分 経済全体で、どのように生産が行われ、どの家計がどれだけ消費するか 「経済学は、資源配分について、研究する学問で、資源配分は、経済学の研究対象」 非効率な資源配分も含めると、ロビンソン・クルーソー 経済の実現可能な資源配分は、生産フロンティアの左下の各点

生産効率を満たす 生産効率を満たさない (魚の果物で計った)限界転形率 生産フロンティア 実現可能な資源配分 魚と果物の生産を同時に増やせる C B 生産効率を満たす A F D 魚の生産 実現可能な資源配分 魚と果物の生産を同時に増やせる 生産効率を満たさない

ロビンソン・クルーソー の問題 生産フロンティアから、一つの点を選ぶ 魚の生産 果物の生産 A B F D C

消費と選好 経済活動の最終目的は、消費 ロビンソン・クルーソーは 、実現不可能なものも含め、すべての資源配分について、どちらがいいか、あるいは、同じぐらいか判断できるとする。

Aと無差別な点は、残りの領域にある この範囲はAより選好されない この範囲はAより選好される。 この資源配分はAより選好される 果物の消費 この範囲はAより選好される。 一つの資源配分 B この範囲はAより選好されない A C この資源配分はAより選好されない 魚の消費 Aと無差別な点は、残りの領域にある

無差別曲線 Aとおなじぐらいだとが判断するような消費の組合せは、Aと無差別 そうした組合せをプロットしたのがAを通る無差別曲線 前の図のように右下がり 一般には、次図の形(原点に凸)

Aと無差別な点の組合せ 果物ばかりより Aを通る 無差別曲線 バランスがいいほうがいい 一つの資源配分 魚ばかりや 原点に凸 果物の消費 果物ばかりより Aを通る 無差別曲線 F G バランスがいいほうがいい 一つの資源配分 A E 魚ばかりや 原点に凸 魚の消費

限界代替率 無差別曲線の傾き 魚の消費を一単位減らしたときに、満足度を下げないのに必要な果物の消費量 魚の消費を一単位増やしたとき、減らしてもいいな果物の消費量 (果物で計った魚の)限界代替率 果物で計った、魚の主観的限界的価値

傾きは急 魚が果物と比べ少ない 魚の果物で計った価値は、大 傾きはフラット (魚の果物で計った)限界代替率 魚の果物で計った限界的価値 果物の消費 魚の果物で計った価値は、大 F 傾きはフラット (魚の果物で計った)限界代替率 A 魚の果物で計った限界的価値 E 魚が果物と比べ多い 原点に凸 魚の消費 魚の果物で計った価値は、小さい

果物の消費 E A Aより魚が少ないが傾きが急とは限らない 魚の消費

選好体系 右の無差別曲線群で表される (i) 各点を必ず、一本の右下がりの無差別曲線が通る。 果物の消費 魚の消費 右の無差別曲線群で表される (i) 各点を必ず、一本の右下がりの無差別曲線が通る。 (ii) 右上の無差別曲線のほうが、より選好される消費の組合せに対応する。 (iii) 各無差別曲線は、原点に凸である右の無差別曲線群で表される 異なる無差別曲線は、交わらない(←(i)(ii))

最適な資源配分の決定 実現可能で 一番選好される資源配分

非効率な資源配分はどんな選好体系でも選ばれない 果物の生産(消費) Bより選好されるが 実現不可能 Bが選好される J B 生産フロンティア 結局Bが選択される 非効率な資源配分はどんな選好体系でも選ばれない A F Aや Fより 無差別曲線群 (選好体系) 魚の生産(消費)

魚の果物で計った限界的評価 < 魚の果物で計った限界的費用 無差別曲線の傾き = 生産フロンティアの傾き 限界代替率 = 限界転形率 果物の生産(消費) 無差別曲線の傾き = 生産フロンティアの傾き B A 限界代替率 = 限界転形率 魚を減らして果物を増やしたほうがいい 魚の果物で計った限界的評価 = 魚の果物で計った限界的費用 魚の生産(消費)

生産者としてのロビンソン・クルーソーと 消費者としてのロビンソン・クルーソーの分権 ここと 線分全体が入る 果物の生産 二つの集合を分離 B 分離定理の例 交わらない凸集合を支持超平面が分離する 価格は、支持超平面 ここが入ると 魚の生産

生産者としてのロビンソン・クルーソー p: 魚の価格 q: 果物の価格 x: 魚の生産 y: 果物の生産 P= p x+ q y : 売上・・利潤に対応 (費用は、8時間の労働で一定) 価格比を共通接線の傾きにしてPを変える

非効率的な点では魚と果物の生産を増やすと利潤が増える Jは、より利潤が高いが生産不可能 果物の生産 生産フロンティア J 結局Bで利潤最大化 B 非効率的な点では魚と果物の生産を増やすと利潤が増える Bのほうが利潤が大きい F A 等利潤線群 Aより 魚の生産

果物の生産 フロンティアの傾き = 価格比 J B 魚の果物で計った限界費用 = 魚の果物で計った価格 F A 魚の生産

魚の果物で計った価格 魚1匹= p円 果物1個= q円 果物1/ q個=1円⇒果物p / q個= p 円 魚1匹= p円=果物p / q個

完全競争の仮定 魚の価格と果物の価格を一定として、行動 する 財が均質で多数の売り手と買手がいる。 売り手は、少し高く売ろうとすると、他の売り手が売ってしまう 買い手は、少しでも買い叩こうとすると他の買い手が買ってしまう

寡占と差別化 売り手が少数なのは寡占 製品ごとに質などが異なるのが製品差別化 完全競争に近い例は多くない 自動車・ビール 少し価格が高くても、買う人がいる 完全競争に近い例は多くない しかし、簡潔に経済全体をモデル化できる 価格のシグナル機能を中心とした市場経済の厚生的な意味を明らかにする。

消費者としてのロビンソン・クルーソー p: 魚の価格 q: 果物の価格 x: 魚の消費 y: 果物の消費 生産者としてのロビンソン・クルーソーの利潤を所得として受け取る・・・ I= P p: 魚の価格 q: 果物の価格 x: 魚の消費 y: 果物の消費 p x +q y = I = P : 予算制約 価格を所与として、予算制約を満たす一番選好する点を選ぶ

予算制約 無差別曲線群 (選好体系) 果物の消費 魚の消費 Jはもっと選好されるがお金が足りない Kより 結局Bが選ばれる Bが選好される A Bが選好される Aや 無差別曲線群 (選好体系) 魚の消費

果物の消費 K J 予算線の傾き = 無差別曲線の傾き B 魚の果物で計った価格 = 魚の果物で計った限界代替率 A 魚の消費

均衡 重ねると元の図 生産者としてのロビンソー・クルーソーが選ぶ点と 消費者のロビンソン・クルーソーが選ぶ点が一致 両市場が均衡 果物の生産 魚の生産 果物の生産 B A 重ねると元の図 生産者としてのロビンソー・クルーソーが選ぶ点と 消費者のロビンソン・クルーソーが選ぶ点が一致 両市場が均衡

果物の超過需要 魚の 超過 供給 魚が果物と比べ高すぎる 別の価格 消費者のロビンソン・クルーソーが選ぶ点 果物の生産 B 果物の超過需要 B 別の価格 生産者のロビンソン・クルーソーが選ぶ点 魚の 超過 供給 A 魚が果物と比べ高すぎる 魚の生産

ワルラス法則 片方の財の市場が均衡すれば、もう片方の財の市場も均衡する。 一般に一つの財以外の市場が均衡すれば、その財の市場も均衡する。