睡眠時無呼吸症候群 “昼間の眠気といびきのある方要注意!” 茅ヶ崎徳洲会総合病院 呼吸器内科 大江元樹
チャールズ・ディケンズ (1812-1870) Pickwick症候群 (肥満肺胞低換気症候群) ・肥満 ・傾眠 ・痙攣 ・チアノーゼ ・周期性呼吸 ・多血症 ・右室肥大 ・右心不全 The Pickwick Papers ,1836
睡眠時無呼吸症候群によると 考えられる産業事故 1979年 スリーマイル島の原子力発電所事故 1986年 チャレンジャー号の爆発事故 1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故 1989年 アラスカ沖のタンカー座礁による原油大量流出事故 1995年 豪華客船スタープリンセス号の座礁事故 2001年 ミシガン州での列車衝突事故
病気とはしらなかったのに..….
日本における睡眠時無呼吸症候群に よると考えられている事故 2003年 名古屋鉄道新岐阜駅で電車がホーム端の車止めに衝突 2004年 羽田発山口宇部行の全日空航空機で機長が居眠り 2005年 名神高速道路で多重衝突事故(7人死亡)
睡眠時無呼吸症候群の分類 閉塞型 中枢型 無呼吸:10秒以上の気流の停止 低呼吸:10秒以上続く50%以上の換気量低下
閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群 昼間の過度の眠気 睡眠中の窒息感またはあえぎ、繰り返す中途覚醒、睡眠後の不快感、昼間の疲労感、集中力の欠如のうち2項目 1時間の睡眠中に5回以上の閉塞型の呼吸 「AあるいはB」とCの基準を満たすこと
睡眠時無呼吸症候群の有病率
SASの症状 症状 出現頻度(%) 睡眠中のいびき 93 睡眠時の無呼吸指摘 92 日中の過剰傾眠 83 睡眠時の異常行動 54 全身倦怠感 51 寝汗 起床時熟睡感の欠如 夜間2回以上排尿 40 睡眠中の窒息感を伴う覚醒 38 夜間3回以上の覚醒 35 起床時の頭痛 集中力の低下 28 不眠 19 日本臨床2002;60:120
睡眠の分断化
BMI(body mass index) BMI = 体重÷(身長×身長) 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95kg 1.55 21 23 25 27 29 31 33 35 37 40 1.60 20 21 23 25 27 29 31 33 35 37 1.63 19 21 23 24 26 28 30 32 34 36 1.67 18 20 22 23 25 27 29 30 32 34 1.70 17 19 21 22 24 26 28 29 31 33 1.73 17 18 20 22 23 25 27 28 30 32 1.76 16 18 20 21 23 24 26 26 29 29 1.80 15 17 19 20 22 23 25 26 27 29 1.83 15 16 18 19 21 22 24 25 27 28 1.86 14 16 17 19 20 22 23 25 26 27 1.90 14 15 17 18 19 21 22 24 25 26
体重と重症度の関連
自覚症状の評価(ESS) 以下の状況になったときを想像して、眠さの程度を判断して下さい。 0 =眠くはならない 1 =ときに眠ってしまう 0 =眠くはならない 1 =ときに眠ってしまう 2 =しばしば眠ってしまう 3 =ほとんど眠ってしまう ☆ 座って読書をしているとき 0 1 2 3 ☆ テレビを見ているとき 0 1 2 3 ☆ 会議、劇場などで積極的な発言をせずに座っている時 0 1 2 3 ☆ 乗客として1時間程度、車に乗っているとき 0 1 2 3 ☆ 午後に何も考えずに横になった時 0 1 2 3 ☆ 座って人と話をしているとき 0 1 2 3 ☆ 昼食後、静かに座っているとき 0 1 2 3 ☆ 運転中に信号待ちや渋滞などで数分停車した時 0 1 2 3 合計 点 0~6点: 正常、7~10点: 軽症、11~15点: 中等度、16~24点: 重症。
OSAS患者の予後
交通事故との関連 1993年1月 米国睡眠障害研究国家委員会が「Wake up America」と題する 報告書を提出 報告書を提出 1993年6月 国立睡眠障害研究センター設立
SASの合併症
SASと肥満
SASと高血圧
覚醒時に血圧上昇が見られる
Stroke患者のSAS合併率
無呼吸指数もstroke患者が高い
SASの治療 CPAP療法 マウススプリント療法 外科的治療
CPAPの原理
CPAP療法 保険適応基準 無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障をきたしている症例 睡眠ポリグラフィー上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深い睡眠が著しく減少し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィー上、睡眠の分断化が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例
マスクの種類
CPAPは心不全に有効
CPAPで 予防ができる 非致死的事象 心筋梗塞 脳卒中 急性冠不全 (インターベンション)
スプリント
スプリントの効果
手術療法 口蓋垂口蓋咽頭形成術 レーザーによる口蓋垂口蓋形成術 高周波焼灼術 顎顔面手術