ユビキタス・ネットワーク -Ubiquitous Network-

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ユビキタス・ネットワーク -Ubiquitous Network-              知的システムデザイン研究室             ○輪湖 純也               吉田 武史

What’s Ubiquitous Network? すべてのデバイスが ネットワークにつながる Ubiquitous Network ・いつでも ・どこでも ・何からでも ・ユビキタスとは,「同時にいたるところに存在する,遍在する」という意味. ・ユビキタスネットワークは,   メインフレーム → クライアントサーバ → ウェブコンピューティング と続いてきた情報技術の発展の延長にある. ・ユビキタスネットワークは,携帯電話,PDA,情報家電,ゲーム機器,マルチメディアキオスクなどの様々なデバイスが  つながったネットワークで,このユビキタスネットワーク環境が実現すれば,ユーザは  いつでも,どこでも,何からでもネットワークにアクセスでき,必要なサービスを利用することができる. 時代

Ubiquitous Network が生まれた背景 リアルワールド(現実世界)指向へ  現実世界に浸透し,人間の活動を支援しよう Ubiquitous Network Virtual Reality ・このユビキタスネットワークというパラダイムが生まれた背景には,  「リアルワールド指向」と「所有から利用へ」という2つの原理が働いていると考えられます. ・リアルワールド指向というのは,Virtual Realityというパラダイムが現実世界をコンピュータの中に仮想的に実現しようとするのに対して,  コンピュータが現実世界の中に浸透して行く方向性を持っている. ・所有から利用へという方向性は,システムを所有することから,サービスを利用することへと移行していることを意味しています. つまり,機器は前提にあってその上で提供されるサービスが今後重要になってきます. 「所有」から「利用」へ  システムを「所有」→ サービスを「利用」する形態   機器の上で提供されるサービスが重要

ユビキタス環境を実現する携帯電話 Ubiquitous環境を最初に 実現する機器は携帯電話 携帯電話の広範な普及 スマートフォンの機能の拡大   インターネットの利用     - e-mail,web閲覧   各種アプリケーションソフトの利用     - Javaアプレットのダウンロード ・現在,ユビキタス環境を実現できる可能性が最も高いのは携帯電話です.  それは,  昨今の携帯電話の広範な普及により機器はすでにいたるところに存在していることと  iモードやiアプリに代表されるスマートフォンの機能の拡大により,パソコンの役割を果たせるようになってきた.  などの理由が挙げられます. ////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// ・特に,スマートフォンは,e-mailの送受信やwebブラウジングだけでなく,最近では,  アプリケーションソフトをダウンロードして,単体で動作できるようになっている.  これは,スマートフォンがパソコン端末になったといってもいい.  このように,携帯電話は,ユビキタスネットワークにアクセスするためのプラットフォームとして不可欠の要素である.  ここからは,携帯電話におけるユビキタス環境を担う最新の技術について紹介します.

電子財布としての携帯電話 KDDI,JCBなど5社 クレジットカード会社 カード情報は 暗号化して送信 赤外線通信(IrFM) UIMカード POS端末 クレジットカード会社 カード情報は 暗号化して送信 従来のクレジット決済   ネットワークを利用 赤外線通信(IrFM) KDDIやJCBなど5社は携帯電話でクレジットカード決済を行うための実験を始めました. 携帯電話には,個人情報やクレジットカードアプリケーションを搭載したUIMカードを組み込むことができる. 実際の店舗での支払いの際には,携帯電話とPOS端末との間で暗号化されたカード情報をIrFMと呼ばれるプロトコルを用いて 赤外線通信を行い,POS端末とクレジットカード会社との間では,従来の決済ネットワークを利用できるのが特徴. これにより,携帯電話に新たに「財布」としての価値を埋め込めることができる. 携帯電話に「財布」として新たな「価値」が加わる

VoiceXML Motorola,IBM など - VoiceXML Forum XMLの標準規約の一部 音声サービス + データサービス 音声サービス + データサービス 「声」で Internet にアクセスできる - ex.   天気案内,チケット予約,ニュース,株価案内など もうひとつの携帯電話の可能性として,VoiceXMLという技術がある. これは,音声サービスとデータサービスを統合した技術であり,XMLの標準規約のひとつとして取り入れられている. 京都市 午前11時京都市の天気は快晴です.

VoiceXMLの仕組み Ex.天気案内 その仕組みは, まず,ユーザがVoiceXMLブラウザに対して電話をかける. VoiceXMLデータに変化した後,その要求をWebServerに対して投げる. WebServerでは,DBに照会し,結果を返してくる. VoiceXMLブラウザは,音声合成エンジンで声に変換して,ユーザの受信部に届ける.

VoiceXMLの利用例 コンピュータの音声 ユーザの声のデータを埋め込む Web Serverにデータを渡す <vxml> <form id="weather_info"> <block>天気情報サービスにようこそ.</block> <field name="city"> <prompt>何市ですか?</prompt> <grammar src="city.gram" type="application/x-jsgf"/> <block> <submit next="/servlet/weather" namelist="city"> </block> </form> </vxml> これが実際のVXMLデータです. これは,フライトの予約をするためのプログラムの一部なのですが, まず,「いらっしゃいませ.同志社航空チケット予約サービスです. 」という, 音声の後,「出発はどちらの空港でしょうか? 」という<prompt>タグに対し, <grammar>タグで,ユーザの声をモニタリングします. 空港.gramというのが,空港名がいっぱい入ったりストみたいなもので ユーザの声のデータとその空港名を照会します. 照会できたら,次,「到着は?」というように同じような処理が続いていきます. 最後,データを登録して終了. その他にも,天気予報やニュース,交通情報などの提供が考えられます.

VoiceXMLの仕組み その仕組みは, まず,ユーザがVoiceXMLブラウザに対して電話をかける. VoiceXMLデータに変化した後,その要求をWebServerに対して投げる. WebServerでは,DBに照会し,結果を返してくる. VoiceXMLブラウザは,音声合成エンジンで声に変換して,ユーザの受信部に届ける.

Ubiquitous Network を構成する枠組み ・機器を持ち歩く ・いたるところに情報機器が設置 ・どこから利用しても  同じデータにアクセスできる環境 拡張現実感 ・センサーを  あらかじめ様々な場所に埋め込む,  または自らが持つ ・ここで,UbiquitousNetoworkを構成する枠組みについて整理したいのですが,  これまで携帯電話を中心とした,機器を持ち歩くMobileという枠組みをみてきました.  現在このMobileが最も実用的なUbiquitous環境であると考えられます. ・さらに次の3つの枠組みもUbiquitousの概念で捕らえることができます. ・Augmented Reality(拡張現実感)  ビーコンと呼ばれるセンサーを道路に埋め込み,車を自動制御したりする. ・衣服のように 身に付けられるコンピュータ

NON-Mobile Ubiquitous の実現例 X-Window System   - ネットワーク透過性    どこから利用しても同じデータにアクセスできる     画面環境も同様の使用感で利用できる  非モバイル・ユビキタスの実現例として,UNIXにおけるX-Window Systemがある. これは,三木研でもよく使われているシステムで, ユーザはXを利用できるUNIXマシンを持つことで, リモートホストから常に同じGUI環境を手に入れることができる. これは,ネットワーク透過性と呼ばれ,どこから利用しても・・・・ このX Window Systemは,NON-Mobile Ubiquitousにも共通する考え方で, 情報家電・・・ 情報家電,マルチメディアキオスク などでも同様の環境の普及が期待される

最新の研究事例 いたるところに設置されたタグで情報提供 - Sony CSL CCDカメラでカラーコードをSense カラーコードを認識 メッセージを生成 HMDに重ね合わせ

各パラダイムの位置関係 これまで挙げたきた4つの枠組みをを先ほど上げた,「リアルワールド指向へ」と「所有から利用へ」という2つの軸で整理すると, このようになります. 現在最も実現の可能性が高いものとして,携帯電話を中心としたMOBILEという枠組みがあり, 初期のユビキタスネットワークでは,このMobileが中心になる. その後,もっと現実世界に関わろうとするAugmentedRealityやWearableの方向と いたるところにある機器を「利用」する非モバイルユビキタスの方向に ユビキタス環境は進化するものと考えられる.

Ubiquitous Network進展のシナリオ

Virtual Reality と Ubiquitous Network の違い

リアルワールド指向へ オンライン取引 + 現実世界の店舗 成功するビジネスモデル RealなCommunicationへの欲求 ex. e-Commerce では,   オンライン取引 + 現実世界の店舗 成功するビジネスモデル RealなCommunicationへの欲求 - Chat などで知り合った人々は,   オフラインで会うことを繰り返す リアルワールド指向へという方向性の例を挙げると, E-Commerceでは,オンラインで取引を完結させるよりも, オンライン取引と現実世界の店舗を組み合わせたビジネスモデルが成功する と考えられるようになった. つまり,「eとリアルの融合」が今後活発になっていくと考えられる.

「所有」から「利用」へ ex. ASP(Application Service Provider) 所有から利用へという方向性の例を挙げると, ASP(Application Service Provider)という考え方が多くの企業に受け入れられている. ASPとは,アプリケーションソフトを自社で所有しないで,ネットワーク経由で使用料を払いながら サービスを利用するという形態である. 他にも,ISP(Internet Service Provider)やMSP(Management Service Provider)などxSPと総称される サービスプロバイダーは今後さらに普及していくものと考えられる.

Augmented Realityの例 Ex. ITS(高度道路交通システム)    - 走行支援道路システム

最新の研究事例2 ユビキタス環境では, マウスに変わって「指」を使う – MIT Media Lab. ①Sense ③Act ②Judge ここで,オーグメンティッドリアリティとウェアラブルコンピュータを組み合わせたの最新の研究事例について紹介します. これは, Finger-trackingと呼ばれるもので,「指」をマウス代わりに使うことで, ユビキタス環境での新しいポインティングデバイスとして利用価値がある. その仕組みは,まずHMDを使用し,HMD上のディスプレイが 指の動きをセンスし,それをウェアラブルコンピュータがジャッジします. それを,HMD上に結果としてアクトします. ここでは,「なぞる」動きを実行しています. さらに,HMDを利用した,オーグメンティッドリアリティの例をもうひとつ紹介します. とにかくビデオを見てください.

Ubiquitous Computingと Ubiquitous Networkの違い Ubiquitous Network は Ubiquitous Computing を含んでいる.

MobileとUbiquitous何が違うか? ・Ubiquitousという言葉が提唱されたとき,  「Mobile Computing」と「Ubiquitous Computing」  は異なるものとして扱われていた. ・携帯電話の   ①広範な普及   ②スマートフォンの機能の高度化  により,携帯電話がUbiquitous環境を担える可能性がある. 「Ubiquitous(遍在)」と「Mobile(移動)」                の境界はなくなりつつある. ・ただ,これは初期のユビキタス環境における話で,  将来的には,ユビキタスは利用型へシフトするものと考えられる. 「ユビキタス」という言葉が提唱されたとき,ユビキタスコンピューティングとモバイルコンピューティングは,異なるものとして扱われていた.  しかし,昨今の携帯電話の広範な普及と,「iモード」に代表されるスマートフォンの機能により,  ユビキタス(遍在)とモバイル(移動)の境界をなくしている.

Ubiquitous環境実現のための課題 プロトコルの標準化   - 機器と機器の間の通信が重要 セキュリティの確保  - 個人情報の漏洩を防ぐ サービスの拡充が必要

すべての人にITの恩恵を i-pot インターネットにつながるポット - 象印 インターネットにつながるポット - 象印   離れて暮らす家族の安否をポットで確認  お年寄りは意識せずにITの恩恵を受けられる i-pot

Ubiquitous Networkの進展シナリオ  「所有」型ユビキタス 「利用」型ユビキタス 「利用」型ユビキタスが実現すると, 自分で機器を所有する必要がない サービスに対して利用料を払う 最後に,ユビキタスネットワークはどのように進化していくのかそのシナリオを示したいと思います. まず,先ほどユビキタス環境における携帯電話の重要性について述べましたが, 初期のユビキタスネットワークではモバイルが主流になると思われます. また,モバイルからPCの小型化としてウェアラブルの方向に進化していくことがまず考えられる. センサーを使うオーグメンティッドリアリティへシフトすることも考えられる. そして,大きな流れとして モバイル機器を使用する,所有型ユビキタスから,遍在する機器を利用する利用型ユビキタスへと進化するものと考えられます. 利用型ユビキタス環境が実現したときには, 自分で機器を買う必要はなく,無料もしくは定額の利用料を払えば使えるようにすれば, いつでも,どこでも,何からでもネットワークにつながるだけでなく, 貧富の差や国を越え,障害を持った人も,老人も子供も「誰もが」ITの恩恵を受けられる時代になる. 「誰もが」ITの恩恵を受けられる時代になる