トピック9 感染の予防と管理 1 1
学習目標 医療現場の感染予防対策が不十分であったために悲惨な 結果を招いた実例を学生に提示 患者安全を改善するべく汚染及び感染のリスクを最小限に 減らしていく上で医療チームの個々のメンバーがどのよう に貢献できるかを学生に示す 2 2
習得すべき知識 問題の重大性 HCAIの主な原因と種類 医療現場における感染伝播の様式 HCAIの予防対策に関する主な原理と手法 3 3
習得すべき行動内容(1) 標準予防策を実践できる 必要に応じて標準予防策以外の対策も遵守できる 無菌操作の原理を適用できる B型肝炎の予防接種を受ける 防護服と防護具を適切に使用及び廃棄できる 血液やその他の体液に接触した場合の対処方法を知っている 鋭利な器具を適切に使用及び廃棄できる 他の医療従事者にとっての役割モデルとなる 4 4
習得すべき実践内容(2) 感染予防に貢献する方法について地域住民を教育できる HCAIを予防及び管理するため標準予防策を実践するように 他者を促す HCAIによって患者が被る可能性のある社会的,経済的,精 神的負担について理解し,それに基づいて適切に対処できる HCAIについて患者及びその親族と思いやりを持って明確に 話し合うことができる 5 5
事態の緊急性 もはや抗生物質は頼りにならない 院内感染の発生率が増加している 患者が感染すると: 入院期間の延長 死亡 毒性は強く有効性の低い薬剤が投与される 手術創感染が発生しやすくなる 6 6
感染率を低減するためのキャンペーン ― 世界的な対策 WHOの“SAVE LIVES: Clean Your Hands”キャンペーン 医療環境における薬剤耐性菌の発生を防止するための米 国疾病予防対策センター(CDC)のキャンペーン 米国医療の質改善研究所(IHI)の“5 million lives”キャン ペーン 7 7
主な感染原因 医療従事者,患者及び訪問者の手を介した ヒトヒト感染 個人の医療機器(聴診器,PDAなど)や衣服 空気感染 まれに共通感染源によるアウトブレイク 環境の汚染 機器の汚染(カテーテルなど) 病院スタッフが保菌者 8 8
主な感染症の種類 尿路感染症(通常はカテーテル関連) 手術部位感染症 血管内留置器具に関連した血流感染症 人工呼吸器関連肺炎 その他の部位 9 9
主な感染症の種類 10 院内感染の病原体(分離件数) 尿路 感染症 手術部位 感染症 血流 感染症 肺炎 その他の 部位 Source: Burke J Infection control-a problem for patient safety New Eng Journal of Medicine 10 10
環境の清潔度 環境は, 目に見えて清潔にしておく アウトブレイク時には,より一層の清浄化が必要 アウトブレイク時には,次亜塩素酸系消毒剤と界面活性剤を使用する 11 11
感染拡大を最小限に抑えるための手指衛生 WHOの“My 5 Moments for Hand Hygiene”: 患者に触れる前 清潔/無菌手技を実施する前 体液に曝露するリスクが あった後 患者に触れた後 患者の周辺環境に 触れた後 Source:http://www.who.int/gpsc/5may/background/ 5moments/en/index.html 12 12
個人防護具( PPE) 手袋 ガウン フェイスマスク 13 13
鋭い針類の安全な廃棄 取り扱いの機会を最小限に減らす 使用後にキャップを被せたり(リキャップ),針を曲げたり 折ったりしない 注射針は1本使用するごとに直ちに注射針回収容器に入 れる 回収容器に注射針を入れ過ぎない 注射針回収容器を小児の手の届く場所に置かない 14 14
学生に求められること 標準予防策を実践する B型肝炎の予防接種を受ける 個人的な防護法を用いる 曝露時の対処法を把握しておく 標準予防策を講じるように他者を促す 15 15
感染管理に参加するように他者を促す 学生は次のようなスタッフを日常的に目撃するかもしれない: 手指衛生を遵守しない 感染予防対策の推奨策を実践しない 16 16
要約 自身の業務環境で使用されている主なガイドラインを把握し ておく 感染拡大のリスクを最小限に減らすことについて自身の責任 を自覚する 備品が不足又は枯渇している場合はスタッフに報告する 手指衛生と感染伝播について患者とその家族/訪問者を教 育する 予防策の対象となっている患者が以下の点について確実に 他の患者と同水準のケアを受けられるようにする: 入室の頻度 バイタルサインのモニタリング 17 17