一人がみんなのために みんなが一人のために

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6.食品衛生活動のしくみと 働き 1.食品の安全性と行政の役割 2.食品製造過程における衛生管 理.
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危害の発生: 調理、摂食、ならびに汚染拡大の要因 Robert V Tauxe, M.D., M.P.H. 病原体低減のための意見交換
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人類集団の歴史的変遷 出典:Mascie-Tailor CGN (1993) The Anthropology of Disease, Oxford Univ. Press.
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社会問題 食品偽造問題 (参考)
衛生委員会用 がんの健康講話用スライド.
○ 大阪府におけるHACCP普及について S 大阪版 評価制度を設ける 大阪府の現状 大阪府の今後の方向性 《従来型基準》
Presentation transcript:

一人がみんなのために みんなが一人のために 分業社会の絆を大切に! 一人がみんなのために みんなが一人のために 子供の頃の「競争と 思いやり」を大切に! 市民講演会 農場から食卓までの安全性確保 鹿児島県食肉事業協同組合連合会 2007年10月23日 鹿児島市民文化センター 鹿児島大学教授 岡本嘉六 農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室

食品の表示・偽装問題 2007年 1月11日: 期限切れ原材料使用問題(不二家 ) 食品の表示・偽装問題 2007年 1月11日: 期限切れ原材料使用問題(不二家 ) シュークリーム製造の際に使用していた牛乳の「賞味期限」 切れ。「洋生菓子の衛生規範」に反する事態もあったが、「消費期限」切れという誤報など報道の誇張表現が問題となった。 6月20日: 「COOP牛肉コロッケ」(北海道、ミートホープ、北海道加ト吉) JAS法による表示違反: 納入した牛肉ミンチに豚肉を混入した品質表示偽装。 農林水産省宛の改善報告書 加ト吉(9月28日): 工場での原料受入時に、外観確認、細菌検査を実施していたが、他品種の混入を発見することができず、また、ミートホープ社からの原材料証明書も偽装であったため、牛肉として使用した ⇒ 新たにDNA検査設備を導入 8月14日: 白い恋人(北海道 ) JAS法による表示違反: 回収製品の「賞味期限」付け替え。期限設定基準が曖昧。 バウムクーヘンから 黄色ブドウ球菌、アイスクリームから大腸菌群 ⇒ 食品衛生法 10月12日: 赤福(三重県) JAS法による表示違反: 回収後冷凍保存された原料を使用した際の「賞味期限」。 「消費期限切れの赤福餅は使っていない」と、食品衛生法上の違法性は否定。

製造年月日: 包装年月日の表示義務(食品衛生法とJAS法)は1995年まで。 消費期限 期限を過ぎると、健康障害が発生するおそれがある。 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日 製造日を含めて概ね5日以内に急速な品質の低下が認められる食料品: パン、生菓子、弁当、惣菜、刺身など 賞味期限 期限を過ぎると、美味しさや風味が損なわれるおそれがある。 定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であつても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。 「品質保持期限(食品衛生法)」廃止に伴う移行措置: 2003年2月~2005年7月 以前は製造日が表示されていたため、消費者の中には、製造日に一定の期間を加えたものが賞味期限だと考えている人が多く、製造者が回収した製品に新しい賞味期限を付けて再販売することに批判が集まることがある。しかし、元々、賞味期限は製造者が保証する期限を、製品の統計的なバラツキと十分な余裕を考慮して判断しているもので、回収した製品の状態を検査して、賞味期限を付け直すことは合理的で問題のあるものではない。 出典:  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

安全性に係るものではない。 美味しさや風味に係る品質問題である。 今年マスコミを賑わせた「食品の表示・偽装問題」は、 安全性に係るものではない。 美味しさや風味に係る品質問題である。 「24金」と称した商品が「金メッキ」だったという類の問題であり、商道徳上許されないことではあるが、健康への悪影響とは関係しない。 こうした事件を必要以上に大げさに取上げ、安全性が確保されていないかのように触れ回る 「タカリ屋評論家」 に騙されてはいけない。彼らに「アブナイ本」で儲けさせてはいけない。彼らが出演する番組を見てはいけない。「言論の自由」を盾にした「詐欺師」だから・・・

患者数 事故数 死者数 食中毒事故の推移 5 患者数(万人) 事件数(千件) 4 3 2 20 死者数(人) 1 10 1981 1983 境市事故前 境市事故後 5 患者数(万人)   事件数(千件) 4 患者数 3 2 20 事故数 死者数(人) 死者数 1 10 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 食中毒事故の推移

2002年 病因物質別月別食中毒発生状況 原因物質 事件数 患者数 死者数 細菌 ウイルス 化学物質 自然毒 その他 不明 計 1,377 2002年 病因物質別月別食中毒発生状況 原因物質 事件数 患者数 死者数 細菌 ウイルス 化学物質 自然毒 その他 不明 計 1,377 269 9 123 2 70 1,850 17,533 7,983 154 372 25 1,562 27,629 11 7 18 細菌11名: サルモネラ 2名、腸管出血性大腸菌 9名(病院給食施設、原因食品不明、摂食者数876名、患者数123名、致命率7.3%) ハイリスク集団:病人、高齢者、年少者、妊婦 自然毒 7名: フグ(家庭 5名、飲食店 1名)、トリカブト(家庭 1名)

事故数では細菌、患者数ではウイルス、死者数では自然毒が最多 農薬や添加物などの化学物質による健康障害は極めてまれ 2006年 病因物質別食中毒発生状況 (Link) 事故 患者 死者 原因物質 件数 % 人数 % 人数 % 総数 細菌 ウイルス 化学物質 自然毒 その他 不明 1,491 774 504 15 138 7 53 100 52 34 1 9 4 39,026 9,666 27,696 172 511 23 958 100 25 71 1 2 6 2 4 100 33 67 事故数では細菌、患者数ではウイルス、死者数では自然毒が最多 農薬や添加物などの化学物質による健康障害は極めてまれ

食中毒患者数の推移 細菌 40,000 自然毒 35,000 化学物質 細菌 100 200 300 400 500 600 30,000 100 200 300 400 500 600 30,000 25,000 自然毒 20,000 15,000 化学物質 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 食中毒患者数の推移

原因物質別にみた食中毒による死者数の推移 20 :総数 18 :細菌 16 :自然毒 14 化学物質による死亡者はいない 年間死亡数 12 10 8 6 4 2 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 原因物質別にみた食中毒による死者数の推移

自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面 文化(Culture;耕す) ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン 50%致死量 μg/kg mouse 産生・保有 ボツリヌス毒 破傷風毒 ジフテリア毒 パリトキシン テトロドトキシン サキシトキシン 0.00003 0.0001 0.3 0.6 8.7 10 細菌 イソギンチャク類 フグ、ヒョウモンダコ 二枚貝 文化(Culture;耕す)  人間が改良を加えてきた物心両面の成果、とくに西洋では精神的生活に関わるものを「文化」とし、「文明」と区別する。危害を取り除いて<安全に食べる>ことが文化であり、「ナチュラル=非文化」は危険です。 青酸カリ 10,000 ギンナン中毒: 国内で過去約80人の患者が学会報告され、うち約30人が死亡 ボツリヌス毒の1億倍食べないと死なない 青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科) ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ) 青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ

日本で約30種自生: ハナトリカブト、カワチブシ、ハクサントリカブト、センウズモドキ、ヤマトリカブト、レイジンソウ、タンナトリカブト、エゾリカブト、ホソバトリカブト、ツクバトリカブト、 ダイセツトリカブト、キタダケトリカブト 「トリカブト」を山菜の「ニリンソウ」と見誤って誤食 有名な有毒植物。主な毒成分はアルカロイドの一種、アコニチンで、全草(特に根)に含まれる。このため、食べると嘔吐や下痢・呼吸困難などから死に至ることもある。経口から摂取後数十分で死亡する即効性がある。漢方ではトリカブト属の塊根を附子(ぶし)と称して薬用にするが、素人は絶対に試みてはならない。

原因食品別にみた食中毒死亡者数 25 20 累積死亡者数 15 10 5 卵 フグ 貝類 不明 キノコ その他 野菜及び その加工品 卵 フグ 貝類 不明 キノコ その他 野菜及び その加工品 複合調理食品 原因食品別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)

食事場所別にみた食中毒死亡者数 40 30 累積死亡者数 20 10 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 家庭 病院 学校 旅館 飲食店 事業所 その他 老人ホーム 食事場所別にみた食中毒死亡者数 (1996~2002)

食中毒患者数および死者数の年齢別割合 死者数 人口 患者数 20 40 60 80 100% 50歳 15歳 :0~4 :5~9 20 40 60 80 100% 食中毒患者数および死者数の年齢別割合 :0~4 :5~9 :10~14 :15~19 :20~29 :30~39 :40~49 :50~59 :60~69 :70~

年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 累積死亡者数 年齢 (1996~2002) 4 2 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 累積死亡者数 0~4 5~9 10~14 15~19 20~29 ハイリスク者への特別対策 12 :動物性自然毒 :植物性自然毒 :大腸菌 :サルモネラ :ぶどう球菌 :腸炎ビブリオ 10 衛生教育 8 6 4 2 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ 年齢 年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数 (1996~2002)

日本における人口構成の変化 昭 和 25 年(1950) 平 成 12 年(2000) :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 年齢 昭 和 25 年(1950) 総人口: 84,114,574 平 成 12 年(2000) 総人口: 126,925,843 :女性 :男性 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 600 400 200 200 400 600 万人 日本における人口構成の変化

「農場から食卓まで」を通したリスクの変動 A: 細菌、ウイルス、寄生虫、害虫などの 生物学的危害因子 B: 重金属やカビ毒などの 加熱によっても失活しない危害因子 リスク・レベルのモデル 衛生検査 加熱調理 生産過程 処理・加工過程 流通過程 消費過程 危害因子の種類による 「農場から食卓まで」を通したリスクの変動

食肉の安全性に関わる社会システム(1) リスクが減るのは2箇所だけ リスク・レベルのモデル 食用に供するニワトリやブタは、生成熟前の子供であり、養鶏場や養豚場は「大規模な保育園」に相当する。衛生環境が整った保育園でも感染症の流行は避けられず、医者に掛らずに子育てをすることは不可能である。まして、トイレを使用しない家畜においては・・・・ 調理時の加熱は細菌を殺滅する。 しかし、食材や料理を室温での放置すれば、菌は増殖する。 輸送距離が延びるにつれ、細菌増殖に必要な時間も長くなる。 温度管理等の法的基準もない。 病気 動物薬残留 食中毒菌 薬剤耐性菌 と畜検査員による法律に基づく検査 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(1)

? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(2) リスク・レベルのモデル GAP QAP HACCP リスクは 残る! 農場 食肉センター 農場における 適正な衛生管理 病原体低減/HACCP Pathogen Reduction / HACCP リスク・レベルのモデル 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP 消費者は ? ? HACCP リスクは 残る! 流通過程が 変わらなければ 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(2)

? ? 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 食品輸送衛生法 (米国、1990) Sanitary Food Transportation Act 台所のHACCP Kitchen HACCP 適正取扱い規範 Good Handling Practice リスク・レベルのモデル GAP QAP 消費者 教育 流通過程の 衛生基準 ? ? HACCP 農場 食肉センター 流通過程 消費過程 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実施することによって、初めてリスクが小さくなる。 素畜 飼料・飲水 畜舎環境 動物薬 食肉検査 解体 カット 出荷 輸送 市場 問屋 小売店 調理 保存 喫食 食肉の安全性に関わる社会システム(3)

2001年: 英国における牛の流行が収まり、人の流行もピークを過ぎていた 世界の飼育牛におけるBSE発生報告数 (動物衛生研究所) 2001年: 英国における牛の流行が収まり、人の流行もピークを過ぎていた 2000年 28名 BSE 40000 vCJD確定患者 1992年 37280頭 8年遅れ 35000 総計 161名 30000 5 10 15 20 25 30 25000 20000 2006年 114頭 5名 15000 10000 5000 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 ~1987 英国におけるクロイツフェルト・ヤコブ病統計(動物衛生研究所) 世界の飼育牛におけるBSE発生報告数 (動物衛生研究所) INCIDENCE OF VARIANT CREUTZFELDT-JAKOB DISEASE DEATHS IN THE UK

世界における変異型ヤコブ病(vCJD)の発生状況 1980~1996年の6ヶ月間以上英国に滞在していた患者数 原発患者数 (生存者数) 輸血による患者数 (生存者数) 国 英国 フランス アイルランド イタリア 米国 カナダ サウジアラビア 日本 オランダ ポルトガル スペイン 計 162(4) 22(2) 4(1) 1(0) 3(0) 1(1) 2(0) 2(1) 200(7) 3(0) ー 165 1 2 171 サウジアラビア生 24日間の滞在 VARIANT CREUTZFELDT-JAKOB DISEASE CURRENT DATA (JUNE 2007)

● 国際基準の30ヶ月齢は、 発症年齢に基づくものではない 英国におけるBSE発生の若齢牛と高齢牛 (動物衛生研究所HPより) 年 ● 国際基準の30ヶ月齢は、 発症年齢に基づくものではない 年 最若齢(月) 2番目に若齢(月) 2番目に高齢 (年.月) 最高齢 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 30 24 21 24(2頭) 20 29 30(2頭) 37(7頭) 34 39(2頭) 40 45 47 56 49 36 48 81(2頭) 33 31 27 24(4頭) 26 26(3頭) 30(3頭) 31(2頭) 32 38(3頭) 41 42 48(2頭) 52 38 58 88 5.03 9.09 10.02 12(2頭) 13.03 14.02 15.02 14.1 14.05 14.09 15.07 14.07 13.07 17.08 16.01 18.04 18.07(2頭) 17.04 18.01 17.05 5.07 10 11.01(2頭) 15.04 14 16.02 18.1 16.07 15.05 17.02 15.01 13.1 19.09 20.08 22.07 20.06 19.04 17(3頭)

OIEとBSE関連の国際基準について (小澤義博OIE名誉顧問講演資料) ● 精密検査は、牛における発生状況を確認するためのものであり、安全性確保とは関係しない。 ● サーベイランスは、30ヶ月齢以上について、約50万頭に1頭の割合である。

OIEとBSE関連の国際基準について (小澤義博OIE名誉顧問講演資料) ● 食肉の安全性は、特定危険部位(脳、脊髄、眼、小腸遠位部)の除去によって達成される。 ● 微量では感染しない(異常プリオンが10万個集まって初めて感染最小単位ができる)

BSE問題に関する調査検討委員会報告 我々の身の回りにある危害は、食品だけではない! BSEによる20年間の死亡者数=196名 厚生労働大臣及び農林水産大臣の諮問機関 平成14(2002)年4月2日 リスク分析手法の導入 科学技術の進展により様々な科学的知見が明らかになってくるにしたがい、食品の安全性は、「シロ」か「クロ」かで論ずることが不可能となってきている。食品の安全には「絶対」はなく、リスクは、「食品中のハザードが存在する結果として生ずる健康への悪影響の確率とその程度の関数である」とされるにいたっている。 「安全な食品」と「危ない食品」があるのではない! 我々の身の回りにある危害は、食品だけではない! 様々なリスクを制御するためには、リスク管理の方法の確立、そのための人員の養成・確保、ならびに、経費の捻出(税負担)が必要となる。 BSEによる20年間の死亡者数=196名 様々な新興感染症、再興感染症が世界で流行しており、それらによる死亡者数はBSEを遥かに上回る。その対策経費は、BSE予算に比べて微々たるものでしかない。これで「安心」できるのか?

2.自然界では鳥類との間でウイルスが維持されている。 3.ヒトや馬は感染し、発病しても、ウイルス血症を起さない終末宿主である。 ウエストナイル熱 1.蚊が吸血する際に運ばれる。 2.自然界では鳥類との間でウイルスが維持されている。 3.ヒトや馬は感染し、発病しても、ウイルス血症を起さない終末宿主である。 ヒト 蚊 鳥類 ウマ その他の動物

ウエストナイルウイルス(赤)と 日本脳炎ウイルス(緑) の分布地域 1999年8月、ニューヨークにウエストナイル熱が突然流行 日本脳炎ウイルス(緑) の分布地域  密輸された野鳥? 2XXX年? ヒトでの主な流行 1950-54年 イスラエル 1950年代 エジプト 1963年 フランス 1974年 南アフリカ 1996-97年 ルーマニア インド西部には 両方が分布する クンジンウイルス 1999年8月、ニューヨークにウエストナイル熱が突然流行 ウエストナイルウイルスは、1937年にウガンダのウエストナイル州で分離された

1999年 ニューヨークに突然流行、患者62名、死者7名 2000年 隣の州に飛び火、患者21名、死者2名 2004年 本土の1州以外に蔓延、患者2539名、死者100名 2005年 本土の全州に蔓延、患者3000名、死者119名 2006年 本土の全州に蔓延、患者4269名、死者177名 2003年 本土の2州以外に蔓延、患者9862名、死者264名 2002年 西部一部を除いて蔓延、患者4156名、死者284名 1999年 ニューヨークに突然流行、患者62名、死者7名 2000年 隣の州に飛び火、患者21名、死者2名 2001年 東部の州に広がる、患者66名、死者9名 CDC: Statistics, Surveillance, and Control

CDC: Statistics, Surveillance, and Control 米国におけるウエストナイル熱の流行 12000 9862 264 合計 患者数 24001名 10000 死者数 963名 致命率=4.0% 8000 4156 284 4269 177 3000 119 6000 2539 100 300 4000 200 66 9 62 7 2000 21 2 100 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 CDC: Statistics, Surveillance, and Control

輸入感染症例(平成18年) フィリピンで感染し、日本に帰国後発症死亡 狂犬病 (Rabies) 輸入感染症例(平成18年) フィリピンで感染し、日本に帰国後発症死亡  60歳代 男性(横浜市)  11月20日狂犬病と診断  12月7日死亡  60歳代 男性(京都市)  11月16日狂犬病と診断  11月17日 死亡 両名ともフィリピン滞在中(8月)犬に手を咬まれが、現地における暴露後のワクチン接種は受けていない。 治療:発病後の有効な治療法なし。 予防:事前または咬まれた場合に、ワクチンを接種する。 Wikipedia より  ヒトの場合、潜伏期間は9日~数年(通常20~60日)で、発病した場合は100%死亡する。症状は発熱、頭痛、嘔吐等に始まり、筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れる。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死亡する。

フィリピンにおける発生状況(WHO、2000年から2004年) 2001年 2002年 2003年 2004年 死亡者数 359人 293人 269人 258人 248人 犬の発生数 不明 2,550頭 2,365頭 1,901頭 1,546頭 世界の発生状況(WHO、2004年) 年間の暴露後ワクチン接種者数推計: 1千万人 年間の死亡者数推計 アジア地域 アフリカ地域 55,000人 31,000人 24,000人 野生動物(アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリ等)の間で流行し、犬や猫が巻き込まれ、さらに人が感染する。

United States rabies surveillance data(CDC) 米国における動物の狂犬病の発生数の推移:1955~2001年 野生動物の中に狂犬病ウイルスが潜むと、根絶することは困難 例数 全体 野生動物 家畜・伴侶動物 United States rabies surveillance data(CDC)

水色で示された発生がない国は、ほんの数カ国にすぎない! 中国衛生部の統計によれば、2006年9月の1ヶ月間で319名が狂犬病を発病して死亡した。同年1月~9月にかけての死者も2200名を超え、5月~9月にかけては中国における感染症死亡者数の第1位となって、大流行している。 水色で示された発生がない国は、ほんの数カ国にすぎない!

日本における食中毒発生の年次推移 患者数 死者数 10万人当り罹患率 10万人当り死亡率 1960 37,253 218 39.5 0.2312 1965 29,018 139 29.2 0.1401 1970 32,516 63 31.1 0.0602 1975 45,277 52 40.4 0.0465 1980 32,737 23 28.0 0.0196 1985 44,102 12 36.4 0.0099 1990 37,561 5 30.4 0.0040 1995 26,325 21.0 2000 43,307 4 34.1 0.0032 2004 28,175 22.2 0.0039 食品の安全性向上

糖尿病による人口10万人当り死亡率 ● 健康を維持するために「安全に食べる」 ● 健康を維持するために「安全に食べる」 ● 「食育基本法」が3年前から施行されており、生命をいただく感謝の念を育成しようとしている。安全性を盾にして、他人を攻撃する風潮を改めなければならない! 男 女 1960 3.2 3.6 1965 5.1 5.3 1970 7.4 1975 8.0 8.2 1980 7.1 7.5 1985 7.3 1990 1995 11.7 11.2 2000 10.7 9.1 2004 10.9 9.2 飽食による健康障害

様々な危害要因について専門家によるリスク査定 リスクが相対的に高い危害に対する施策を優先 リスクと安全性確保について理解しよう リスク = 障害発生の頻度 × 障害の重篤度 罹患率 致命率 様々な危害要因について専門家によるリスク査定 リスクが相対的に高い危害に対する施策を優先 社会的判断: 費用対効果、利便性 危害要因に対する複数の施策がある場合 利便性が危害を上回る場合 安全性水準(法的基準)の決定

法的規制 リスク管理と経費負担のモデル 衛生教育に掛かる費用 低 リスク・レベル 高 商品価格 国民経済として 無駄な経費 税金 個人衛生 低  リスク・レベル   高 衛生教育に掛かる費用  法的規制の水準を上げると、その分、衛生対策費と監視業務の経費を税金で賄わねばならない。赤字国債が問題となっている現状で、実行できますか? 法的規制 自主衛生管理 商品価格 HACCP等の費用 国民経済として 無駄な経費 法的規制 税金 一般健康成人 ハイリスク集団 リスク管理と経費負担のモデル

安心立命 安全性 宗教 科学 世界観 生命観 科学と宗教は 車の両輪 生 き る 仏教 キリスト教 自然科学 イスラム教 社会科学 人文科学 仏陀釈迦牟尼の教え キリスト教 イエスの教え 自然科学 生物学、医学、農学、工学、・・・ 宗教 科学 イスラム教 マホメットの教え 社会科学 法学、経済学、・・・ 人文科学 歴史、心理学、文学、・・・ 現実によって動く心の世界の解明と導き 2000年変わらぬ世界 世界観 現実にある事象の解析と解決方法の提示 日進月歩の世界 生命観

一人がみんなのために みんなが一人のために 分業社会の絆を大切に! 一人がみんなのために みんなが一人のために 子供の頃の「競争と 思いやり」を大切に! 市民講演会 農場から食卓までの安全性確保 鹿児島県食肉事業協同組合連合会 2007年10月23日 鹿児島市民文化センター 鹿児島大学教授 岡本嘉六 農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室