21世紀の日本の高齢社会と年金問題 テーマ設定について パネルの手法 パネルの議論の流れ 香川研究会 パネル・ディスカッションE 「環境と福祉」班 21世紀の日本の高齢社会と年金問題 テーマ設定について 「環境」=「社会環境」と広義的にとらえ、「高齢社会」に設定 「福祉」=高齢者の生活を支え、現役世代が負担する「年金」の問題を扱う パネルの手法 「先進諸国との比較」の観点で(プレゼンテーション方式、マトリックス作成) パネルの議論の流れ 1.日本の高齢社会の現状、見通し。「年金問題」の重要性、位置づけ 2.日本の年金制度の概要、問題点。年金改正の目的、ポイントと論点 3.先進諸国の高齢社会の現状と年金制度、問題点。改正の取り組み →スウェーデン・アメリカ・ドイツの3国の事例から 4.マトリックスの提示(日本と先進諸国との比較)と、「日本の高齢社会と年金制度の改善の方向性」についてのフリー・ディスカッション (担当:総合政策学部3年 鈴木健二郎)
「将来の現役世代が負担の重さに耐えられるか?」 「世代間の給付と負担の不均衡が大きすぎるのでは?」 日本の高齢社会における「年金問題」 現在65歳以上の人口は総人口の16.7%、2050年には32%になる見込み(日本の高齢化率は世界1位) →年金の給付は必然的に増加 年金は高齢者の消費生活の60%以上を支えるが、まだ額は不十分 出生率の低下に伴い、年金を負担する現役世代の数の低下(2050年には現役世代2人で1人高齢者を支える) 経済成長の鈍化による現役世代の所得の伸び悩み 増加する社会保障給付費をまかなう必要 →現役世代の年金負担の増加は不可避(現在の約2倍) 「将来の現役世代が負担の重さに耐えられるか?」 「世代間の給付と負担の不均衡が大きすぎるのでは?」 (担当:総合政策学部3年 鳥養珠)
日本の年金制度及び論点 1階部分の未納者が3分の1いるため国庫負担の割合を現在の3分の1→2分の1とするか 確定拠出型を導入するか 年金支給開始年齢を 65歳に引き上げて本当にいいのか (担当:総合政策学部2年 佐々木牧子)
スウェーデンの年金制度 1960~98年:「高福祉高負担」 定額基礎と所得比例の2階建て・確定給付型年金 1999年:年金改正へ 少子・高齢化の進行 経済成長率や賃金上昇率の年金財政への影響 1999年:年金改正へ 確定拠出型(掛金建て)へ→定額基礎は「最低保障年金」に 所得比例は賦課方式(16%)・積立方式(2.5%)の二分化 平均余命スライド給付 経済調整スライド制度(賃金スライド) 保険料は引き上げない。労使折半に(賃上げで相殺) 年金受給年齢自由化と平均余命による減額・増額年金制度 国民負担率の引き下げ(最低保障年金などに限定) 年金総費用の抑制(実質的一人当たり給付額引き下げ) (担当:環境情報学部3年 小林勝憲)
アメリカの年金制度 高齢社会環境 高齢化:現在12.7%→2030年には約20%に 労働環境:「雇用における年齢差別禁止法」、退職年齢低下、労働の流動化、若年労働者の失業のほうが深刻 年金制度:政府の個人生活への不干渉(自己責任の精神) 公的年金制度(Social Security System) -社会保障税(所得の12.4%)が財源、物価スライド、65歳から 私的年金(企業・個人年金)←発達 -確定給付(DB)型プラン:連邦政府によって保障 -確定拠出(DC)型プラン:年々比率が高まっている (例)401k 自己責任による拠出と運用、税制面での優遇措置、高フレキシビリティ、ポータビリティ (担当:総合政策学部3年 塚田優子)
ドイツの年金制度 ドイツも日本と同様、少子高齢化が進む。失業・財政赤字の深刻な経済問題 (2035年までには現役世代1人で高齢者一人を支える) ドイツは、賦課方式プラス社会保険方式、 そして、全ての被用者がA)労働者年金保険 B)職員年金保険 C)鉱山労働者年金保険のいずれかに強制加入 支給開始年齢は原則65歳だが、保険料払い込み期間が35年以上の者は63歳、女性と失業者は60歳 ↓ 1)年金保険料率を年収の20.3%から19.3%に下げる 2)高齢短時間労働を促進し、失業退職年金を削減→同時に失業者数を半減させる 3)失業者退職年金や女性に対する老齢年金などの支給開始年齢を60歳から65歳へと段階的に引き上げる 4)年金給付率をリタイア直前の収入の70%から64%まで引き下げる 5)国庫負担を下げる 6)パートタイマーの社会保険加入の促進、副業による賃金収入も保険料賦課体制に (担当:総合政策学部2年 中野玲香)