ガウス幾何 宮崎大輔 2002年8月30日(金) CVLセミナー Johann Carl Friedrich Gauss (1777-1855)
本日のお話 微分幾何学 微小回転幾何学 スライドの枚数は68枚 (自己新記録達成ならず) 2
微分幾何学
微分の記号 偏微分記号の省略 ベクトルの微分 ∇はナブラと読み、△はラプラシアンと読む 勾配 発散 回転 ラプラシアン 4
偏微分 定理 C2-級の関数f(x,y)に対して が成り立つ ちなみに法線は、 として表される 5
積分可能性制約 or 可積性制約 (integrability constraint) 計測された法線データが先ほどの条件を満たせば、逆に正しい法線である事が分かる 積分する事によりロバスト性が増す 今、ある領域内で、法線の候補として2種類得られたとしよう どちらが正しい法線かを調べるためにそれぞれの法線データで以下を計算する そして、0に近いほうが正しい法線となる 6
グリーンの定理 Greenの定理 Stokesの定理 Gaussの定理 x,y平面において内部をDとし、そこで定義されたベクトルa(x,y)があるとすると、a=(a1,a2)として、 Stokesの定理 グリーンの定理は平面上を考えるときに使うが、これを3次元まで広げたのがストークスの定理である a=(a1,a2,a3)として、 Gaussの定理 左辺はある物体の内部についての発散を調べたもの div a が発散についての式でdvが微小体積を表す 右辺はある物体の表面の微小面積を積分した式 a・dSは、任意のベクトルaと法線ベクトルの内積 D ∂D 7
定理 定理 円盤(中身がある、有界な平面) から 円(円盤の縁のみ、閉じた曲線) へは連続写像は存在しない 円から円盤へも1対1の 8
ガウス写像(Gauss’ map) 単位法線の終点が単位球面上の点に写るような、曲面から単位球への写像をガウス写像と言う 物体 ガウス写像 (ガウス球) 9
ガウス写像の例 ガウス球 物体 10
オイラーの定理 はじめに 曲面S上の1点をPとし、PにおけるSの単位法線ベクトルnと、PにおけるSの単位接ベクトルXをとっておこう Xとnを含む平面でSを切り、切り口に現れる曲線をcとする 切断面上の平面曲線cのPにおける曲率をκXとする 定理 PにおけるSの単位接ベクトルXをいろいろにとったとき、κXは定数ではないとする この時、2つの単位接ベクトルX1, X2があって、以下が成り立つ κX1はκXの最大値、κX2はκXの最小値 X1とX2は直交する XとX1のつくる角をθとすると 定義 κX1、κX2を点Pにおける主曲率(principal curvatures)、X1、X2を主曲率方向(principal directions)という P S c X n 11
ガウス曲率(Gaussian curvature) 定義 主曲率(最大値)を 、主曲率(最小値)を としたとき、 をガウス曲率という 物体表面上の微小曲片 とそれに対応するガウス球面上の微小曲片 に対して以下をガウス曲率という 定理 上の2つの定義の は等しい 12
ガウス曲率の求め方 2つの主曲率を計算して求める ガウス写像を求めて面積から求める ヘッセ行列の行列式から求める tomのパラメタ推定手法を使って、曲面の局所部分に、楕円放物面と双曲放物面をアラインメントする事により求める その他 ヘッセ行列(Hessian)とは、 ヘッセ行列Hとガウス曲率Kの関係は、 噂によると、ヘッセ行列の固有値が主曲率になり、固有ベクトルが主方向になるらしい 曲面を1次の項までTaylor展開すると曲面は接平面で近似できる事が分かり、2次の項までTaylor展開すると曲面は2次曲面で近似できる事が分かる ←楕円放物面(K>0) 双曲放物面(K<0)→ 13
楕円・双曲・放物 ガウス曲率が正(K>0)の点を楕円的点(elliptic point)という ガウス曲率が負(K<0)の点を双曲的点(hyperbolic point)という ガウス曲率が0(K=0)の点を放物的点(parabolic point)という 14
ガウス曲率と曲面1 楕円面 平面 K>0 楕円的(elliptic) K=0 放物的(parabolic) 円筒面 双曲面 双曲的(hyperbolic) K=0 放物的(parabolic) 15
ガウス曲率と曲面2 K=0 スロープ面 (滑り台面) (ドーナツ面) トーラス面 K=0 K>0 K<0 K=0 K=0 (サルノコシカケ面) モンキーサドル面 K<0 K=0 ベル面 K>0 K=0 16
ガウス写像 17
オイラー数(Euler number) 定義 オイラーの公式 曲面Sのオイラー数χ(S)は以下のように定義される gを種数(genus)としたとき閉曲面Sに対して以下が成り立つ (vertexの数-edgeの数+faceの数) 球とトポロジーが同じ曲面はg=0つまりχ=2 トーラス(ドーナツ)とトポロジーが同じ曲面はg=1つまりχ=0 18
フルネ標構(Frenet frame) 空間曲線(curve)p 接(tangent)ベクトル [速度(velocity)ベクトル] e1=p’(長さ1とする) 主法線(principal normal)ベクトルe2は e’1=p’’を長さ1にしたもの 従法線(binormal)ベクトルe3=e1×e2 e3 e1 e2 19
フルネ・セレの公式 (Frenet-Serret formulas) κ:曲率(curvature) τ:捩率[れいりつ or ねじれりつ](torsion) 20
曲率と法曲率と測地的曲率 曲面上の曲線p 接ベクトルp’ 加速度(acceleration)ベクトル[曲率ベクトル(?)]k=p’’ 測地的曲率(geodesic curvature)ベクトルkg 法曲率(normal curvature)ベクトルkn 測地的曲率κg=|kg| 法曲率κn=|kn| k=kn+kg 曲面に接する:p’、kg 曲面⊥kn p’⊥kg、p’⊥kn、kg⊥kn p’ k kg kn 21
この発表資料における注意点 測地的曲率ベクトルkgの長さはκgとあらわすとしたが、κgの代わりにkgと書いてしまってます 22
ガウス-ボンネの定理 GLOBAL GAUSS-BONNET THEOREM LOCAL GAUSS-BONNET THEOREM Let R⊂S be a regular region of an oriented surface and let C1,…,Cn be the closed, simple, piecewise regular curves which form the boundary ∂R of R. Suppose that each Ci is positively oriented and let θ1,…,θp be the set of all external angles of the curves C1,…,Cn. Then where s denotes the arc length of Ci, and the integral over Ci means the sum of integrals in every regular arc of Ci. LOCAL GAUSS-BONNET THEOREM Let x: U→S be an orthogonal parametrization (that is, F = 0), of an oriented surface S, where U⊂R2 is homeomorphic to an open disk and x is compatible with the orientation of S. Let R⊂x(U) be a simple region of S and let α: I→S be such that ∂R = α(I). Assume that α is positively oriented, parametrized by arc length s, and let α(S0),…,α(Sk) and θ0,…,θk be, respectively, the vertices and the external angles of α. Then where kg(s) is the geodesic curvature of the regular arcs of α and K is the Gaussian curvature of S. 23
ガウス-ボンネの定理(tomの場合) COROLLARY を総曲率(integral curvature)と呼ぶ Let S be an orientable compact surface; then を総曲率(integral curvature)と呼ぶ EGIなどで使われる場合は、主に球面とトポロジーが同じ曲面を扱うため、χ=2としている Integral curvature=4pi 24
ガウス-ボンネの定理(宮崎の場合) kgを測地的曲率(geodesic curvature)と呼ぶ を総測地曲率(integral geodesic curvature)と名付ける事にする(正式名称・不明) 25
大円と小円 定義 球を平面で切った時に切断面上に現れる円に関して、その円の直径が球の直径に等しい時、その円を大円(great circle)と呼び、そうでないとき、その円を小円(small circle)と呼ぶ 小円 大円 26
閉測地線 geodesicの例1 geodesicの例2 定理 球において、任意の大円は閉測地線 球において、2点間を結ぶ、距離最小の曲線は測地線(=大円の一部の円弧) geodesicの例2 楕円球には3つの閉測地線がある 定理 どのような閉曲面にも、必ず3つ以上の閉測地線が存在する 27
全曲率に関する定理 Fenchelの定理(宮崎の場合) 卵形線(oval)とは凸閉曲線(convex closed curve)の事である 空間内の閉曲線p(s)(a≦s≦b)の曲率をκ(s)とすると かつ、等号はp(s)が平面に含まれた卵形線のときにだけ成り立つ 卵形線(oval)とは凸閉曲線(convex closed curve)の事である 上の式の左辺を閉曲線の全曲率(total curvature)という Fary-Milnorの定理(j-taka、もりたくの場合) Knottedな空間内の閉曲線p(s)(a≦s≦b)の曲率をκ(s)とすると Unknotted Knotted 28
等高線(level curve) 定義 物体表面上の曲線が平面に含まれ、かつ、その平面が視線方向に垂直なとき、すなわち、その曲線の各点の高さが等しいとき、その曲線を等高線(level curve)と呼ぶ事にする Rahmann&Canterakis2001より抜粋 29
微小回転幾何学
θの曖昧性 偏光度を計測 偏光度ρから天頂角θが求まる(=法線が求まる) 曖昧性を除去すれば表面形状が求まる 偏光度ρ 天頂角θ 90° 1 1 偏光度を計測 偏光度ρから天頂角θが求まる(=法線が求まる) ρP 曖昧性の問題が発生! θ1P ブリュースタ角θB θ2P 曖昧性を除去すれば表面形状が求まる 31
物体の微小回転 物体を微小な角度だけ傾ける 傾斜角の異なる2つの偏光度データを比較する事により、曖昧性を除去する カメラ 微小回転 物体 32
領域分割 偏光度データを偏光度1の点(ブリュースタ角の点)で分割 領域分割 偏光度画像 偏光度1:白 偏光度0:黒 領域分割結果 3つの領域に分割された 物体の偏光度を計測 33
ガウス写像 N Brewster-Equator領域 Brewster-Brewster領域 Brewster-Northpole領域 ガウス球 赤道 B線 N または 34
領域の分類 Brewster-Equator領域 Brewster-Northpole領域 Brewster-Brewster領域 外縁線(occluding boundary)を含む領域 Brewster-Northpole領域 北極(θ=0の点)を含む領域 Brewster-Brewster領域 上2種以外の領域 35
グローバルな折り返し線と ローカルな折り返し線 定義 1つの領域のガウス球面上の像において、ガウス球面上の領域を囲む曲線のうち、ブリュースタ線と赤道以外の曲線をグローバルな折り返し線と呼ぶ 定義 曲面の局所領域のガウス球面上の像において、ガウス球面上に曲線があり、曲線をはさんで一方の側にだけ写像されるようなとき、その曲線をローカルな折り返し線と呼ぶ 折返し線 B線 折返線 36 グローバルな折り返し線はローカルな折り返し線でもある
グローバルな折り返し線と ローカルな折り返し線 領域の内部にたくさんのローカルな折り返し線が存在する事もありうる グローバルな折返線かつローカルな折返線 ローカルな折返線 ローカルな折返線 B線 37
グローバルな折り返し線と ローカルな折り返し線 ベル面のB-B領域にはグローバルな折り返し線が一本 この形には、ローカルな折り返し線が2本あり、そのうち一本はグローバルな折り返し線を含んでいる B-E領域 K>0 B-N領域 B-N領域 K<0 38 K>0
対応点 グローバルな折り返し線 回転方向を表す大円 この2曲線の交わる点を対応点として用いる 対応点 回転方向 折返し線 B線 39
対応点 対応点[北側]=大円と折り返し線の交わる点 i.e.回転方向に沿った、偏光度最小の点 物体を回転 対応点 物体を回転 40
グリーンの定理と可積性制約 可積性制約では を計算する グリーンの定理より が成り立つ 定理 証明 可積性制約では を計算する グリーンの定理より が成り立つ 定理 ブリュースタ線で囲まれた領域では、 の値が同じになる 証明 の値が、2つの法線の候補では全く同じ値になる というのも、領域の境界∂Dはブリュースタ線なので曖昧性が無く、2つの法線の候補は全く同じ法線になるからである (証明終わり) つまり、(積分の中身を2乗してるかしてないかの違いはあるが)、可積性制約ではブリュースタ線で囲まれた領域の曖昧性を除去する事はできない 41
定理 定理 偏光度の関数は、ブリュースタ角をはさんで、左側の部分は単調増加関数、右側の部分は単調減少関数となっている(ただし屈折率n>1) 証明 簡単のため省略 1 偏光度ρ 90° θB 入射角θ ブリュースタ角 42
定理 定理 証明 回転方向をあらわす大円の上の点は、物体が回転しても大円上にのる 大円上の点p 回転行列R 回転後の点p’=Rp p’を計算するとp’が大円上にのっている事が分かった (証明終わり) 回転軸を(θ=π/2,φ=φr)、回転角をθr 回転方向 回転方向 43 物体を回転
定理 Remark 定理 証明 回転をあらわす大円とグローバルな折り返し線の交点p B-B領域内で大円上にのっている点の中で偏光度最小の点を点pと定義 定理 物体を回転しても点p’=Rpは大円上にのっている点の中で偏光度最小の点 証明 大円上にのっている点でpではない点をqとする このとき、pの偏光度はqの偏光度より小さい p’=Rpとq’=Rqを計算すると、p’の偏光度はq’の偏光度より小さいままである (証明終わり) q q’ p p’ p p’ q q’ 44 物体を回転 物体を回転
折り返し線の定義 ベル面では折り返し線が現れる 45
ベル面以外の場合は? 折り返し線の特別な場合として曲線や点になってしまう事があるが、ガウス曲率の定義と、曲線や点の面積は0である事からK=0 46
ドーナツ面とサルノコシカケ面 折り返し線の定義からはずれるので考えない 47
定理 定理 証明 (ローカルな)折り返し線は放物的曲線(parabolic line)になる s r’ p’ r p s’ q’ q ガウス球面上 物体表面上 48 (証明終わり)
定理 証明2 折り返し線はガウス球面上で臨界点(critical point)になっている 法線は 臨界点では よって ゆえにガウス曲率は0 (証明終わり) 49
定理 定理 証明 ブリュースタ線一本のみによって囲まれた領域において、そのブリュースタ線がガウス球面上で小円になる場合、その領域は北極を含む 物体表面上において、ブリュースタ線一本のみによって囲まれた領域は、円盤と1対1の連続写像が存在する ガウス球面上において、対応する領域が北極を含まないものと仮定 つまり、北極部分に穴が空いた領域となる この領域は、円と連続写像が存在する 円盤から円への連続写像が無いので、矛盾 (証明終わり) 円盤 円 物体表面上の領域 仮定 北極を含まないガウス球面上の領域 50
B線 折返線 定理 定理 ブリュースタ線一本のみによって囲まれた領域において、そのブリュースタ線がガウス球面上で小円にならない場合、その領域は折り返し線を含む 証明 ブリュースタ線がガウス球面上で途中で切れているのが、領域は閉じているため、そこに折り返し線が発生しなければならない (証明終わり) 51
定理 定理 ブリュースタ線一本のみによって囲まれた領域において、その領域内部にグローバルな折り返し線が存在しない場合、その領域は北極を含む 証明 ブリュースタ線がガウス球面上で小円にならないと仮定 先ほどの定理より折り返し線が存在するので矛盾 よって、ブリュースタ線はガウス球面上で小円になる さらに前の定理より、この領域は北極を含む (証明終わり) 複数のブリュースタ線によって囲まれた領域において、その領域内部にグローバルな折り返し線が存在しない場合、その領域は北極を含む Remark 上と同様の証明によって証明される そのような領域があるのかどうかは不明だが・・・ 52
定理 定理 B-B領域は必ず折り返し線を含む 証明 B-B領域の定義より明らか (証明終わり) 53
その領域のガウス像を求める (その際、曖昧性は適当に解除してやる →どっちかに勝手に決める →N側の角度にしてしまう) B-N領域の検出 手法A 手法B その領域のガウス像を求める (その際、曖昧性は適当に解除してやる →どっちかに勝手に決める →N側の角度にしてしまう) 対応点(=回転方向に沿った法線を持つ点のうち、偏光度が最小の点) において、物体を微小回転させたとき、偏光度が変わらず、偏光度が0の場合、その領域はB-N領域である グローバルな折り返し線が存在するか? 偏光度が0 (ρ=0) → θ=0 or θ=π/2 Self-occlusionは発生しないと仮定 外縁線以外ではθ=π/2とはならない よって、θ=0 YES NO 微小回転により 曖昧性を除去 その領域は B-N領域 54
定理 定理 証明 ある領域を囲む全ての領域境界線が閉測地線のとき、その領域の総曲率は2πχとなる ガウス-ボンネの定理より kg=0つまり すなわち (証明終わり) 55
視線 k=kn 外縁線 定理 定理 外縁線が等高線のとき、その外縁線は閉測地線となる 証明 kとknの向きが同じになる なぜならば 等高線は平面上にあるので、kはその平面上にのる 外縁線ではknと視線ベクトルとのなす角がπ/2となり、knはkと同じ平面上にのる k=kn+kgかつknとkgが直交 よってk=kn、kg=0 (証明終わり) 定理 外縁線が全て等高線のとき、北半球に相当する領域の総曲率は2πχになる 証明 左の定理と前のスライドの定理より、証明される 平面や半球とトポロジーが同じ領域の場合はχ=1なので、このとき、北半球に相当する領域の総曲率は2π、つまり、球の面積のちょうど半分になっている 56
未解決の定理 定理 外縁線が等高線でなくとも北半球に相当する領域の総曲率は2πχになる この定理の証明もしくは反例は考え中 57
未解決の定理 定理 ブリュースタ線は決して閉測地線にならない この定理の証明もしくは反例は考え中 58
定理 定理 証明 B-B領域が2つのブリュースタ線で囲まれていて、2つの総測地曲率に以下の関係があるとき、B-B領域の総曲率は0になる 線積分には正負がある よって、2つのブリュースタ線の総測地曲率の和は 総曲率は2πχになるが、χ=0なので総曲率は0になる (証明終わり) 59
定理 定理 B-B領域が2つの滑らかなブリュースタ線で囲まれていて、2つのブリュースタ線が等高線であり、2つのブリュースタ線が卵形線であるとき、B-B領域の総曲率は0になる 60
証明 ブリュースタ線の接ベクトルをrとする 視線ベクトルをvとしたとき、等高線は視線に垂直であり、kは視線と垂直な平面に含まれるので、v・k=0 kとrは直交するので、r・k=0 knはrに直交するので、r・kn=0 knとvとのなす角はθBであるので、 v・kn=|v||kn|cosθB (つづく) 61
証明(つづき) よって、knはkとvのなす平面に含まれ、右図のようになる θB kn kg k よって、knはkとvのなす平面に含まれ、右図のようになる ブリュースタ線は平面に含まれる卵形線であるので、Fenchelの定理から、 もう一方のブリュースタ線p’の総測地曲率も同じ値になる よって、 積分の符号を考慮に入れると、B-B領域の総曲率が0である事が示される (証明終わり) 62
未解決の定理 定理 注意 この定理の証明もしくは反例は考え中 B-B領域が2つの滑らかなブリュースタ線で囲まれていて、それぞれのブリュースタ線が平面に含まれた卵形線であるとき、B-B領域の総曲率は0になる 注意 等高線である必要はない この定理の証明もしくは反例は考え中 63
定理 定理 B-B領域が2つの滑らかなブリュースタ線で囲まれていて、2つのブリュースタ線が等高線であり、一方のブリュースタ線をスケーリングして平行移動したとき、もう一方のブリュースタ線と形状が一致するとき、B-B領域の総曲率は0になる 注意 回転すれば一致する、というのはナシ 64
証明 ブリュースタ線p(t)とブリュースタ線p’(t’)が相似 pとp’ の接ベクトルをr、r’とする 全てのt(0≦t≦t0)においてr=r’となるようにt、t’を決める(0≦t’≦t0) このとき曲率ベクトルはk=k’ 視線ベクトルをvとしたとき、等高線は視線に垂直であり、k、k’は視線と垂直な平面に含まれるので、v・k=v・k’=0 kとrは直交するので、r・k=r・k’=0 knはrに直交するので、r・kn=r・k’n=0 knとvとのなす角はθBなので、 v・kn=|v||kn|cosθB v・k’n=|v||k’n|cosθB (つづく) 65
証明(つづき) よって、knはkとvのなす平面に含まれ、右図のようになる k=k’とkn//k’nが示された θB kn kg k よって、knはkとvのなす平面に含まれ、右図のようになる k=k’とkn//k’nが示された k’=k’n+k’gである事と、k’nとk’gが直交する事から、kn=k’n よってkg=k’g すなわち、 積分の符号を考慮に入れると、B-B領域の総曲率が0である事が示される (証明終わり) 66
未解決の定理 定理 注意 この定理の証明もしくは反例は考え中 B-B領域が2つの滑らかなブリュースタ線で囲まれていて、2つのブリュースタ線が相似であるとき、B-B領域の総曲率は0になる 注意 回転させて一致する場合でもOK。ブリュースタ線が平面に含まれている必要はない この定理の証明もしくは反例は考え中 67
Kleinとparabolic curve Koenderink “Solid Shape” より抜粋 Kleinは胸像”Apollo of Belvedere”にparabolic curveを書き込み、美の法則と数学との間の関係を見いだそうとしたが失敗に終わった Felix Christian Klein (1849-1925) Klein bottle Göttingen大学所蔵 parabolic curveは昔から重要視されてきた! 68
Daisuke Miyazaki 2002 Creative Commons Attribution 4 Daisuke Miyazaki 2002 Creative Commons Attribution 4.0 International License. http://www.cvl.iis.u-tokyo.ac.jp/