SN1006 日本、中国、アラビア諸国、スイス、イタリアSN1054 (かに星雲) 日本、中国、朝鮮、アラビア諸国

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SN1006 日本、中国、アラビア諸国、スイス、イタリアSN1054 (かに星雲) 日本、中国、朝鮮、アラビア諸国 誰が何処で何時、1000年前の超新星をみたか? 1000年前の超新星  何処で SN1006 日本、中国、アラビア諸国、スイス、イタリアSN1054 (かに星雲)  日本、中国、朝鮮、アラビア諸国 SN1181 (3C58)    日本、中国、アラビア諸国  誰が何時 ? 日本の話 (明月記:藤原定家、その他の文献) 陰陽寮(陰陽道・暦道・天文道) 天文博士(1人):天体の異変を観察し、その吉凶を占って密封して   天皇に奏上する(天文密奏)。天文生に天体を観察し吉凶を占う方   法を教える。=安倍晴明の子孫が代々受け継ぐ 天文生(10人)  夜空の定時観測:戌の刻(午後8時)と寅の刻(午前4時)

国宝「明月記」の超新星は1230年11月8日の稿にある。 これを記録した背景は11月4日の彗星?の稿である。 国宝「明月記」の超新星は1230年11月8日の稿にある。 これを記録した背景は11月4日の彗星?の稿である。 夜天は晴れて奇星が見えた。此星は朧々とし て光薄し、其の勢い小からず。二日に泰俊朝臣 (晴明から8代目)の連絡は「一昨日の夜(10 月の最後の日)より織女の東、天津の東北奚仲 (白鳥座)の傍らに奇星が現れた。彗星の疑い があるけれども、未だに光っている。今ご時世 客星が出現しても不思議ではないので上奏い たしません。けれども、定家様には申しあげて おきますので、もし何かあったときはどうぞお 含みおきください」。「私は病気で籠もっており ますので、すぐには対応できせん 夜天晴見奇星此星朧々光薄其勢非小 去二日泰俊朝臣示送自一昨日夜奇星 現辛方在織女東天津艮奚仲傍其体客 彗之疑候未 及光芒如当時者客星之 条無不審客与彗大略雖同体占文各別 其重変候依事恐候不注進本文未蒙密 奏宣旨雖不及披露如此時不出詞近彼 処 不伺見候依無由事内々言上若事 次候者可得御心候、答依病籠居由訖、

藤原定家 明月記(国宝) 客星は一昨日は終日見えた。その2日後には雲に隠 れて見えなくなった。それから後は快晴で、連日見 えていた。この2日間は全く変りない。明け方には北 東の方に見えます。暁と夕べで東と西に現れる様子 は仰天しますね。 ハ日、霜が固まってしまったような晴れた日で、北山の雪は白い。客星事、依不審問泰俊朝臣、返事此暁と夕べで東西に動く様子は驚いて余りある。 藤原定家 明月記(国宝) Teika Fujiwara, 1230, Meigetsuki Vol 52 日本最古の天文学“論文 ” Crab Nebula 1054 3C58 1181 SN1006

明月記:  一條院 寛弘三年 四月二日 葵酉 夜以降 騎官中 有大客星 如螢惑 光明動耀 連夜正見南方 或云 騎陣将軍星本体 増変光 宋史天文志:  景徳三年四月戊寅周伯星見出氐南騎官西一度状如半月 宋会要輯稿:  四月二日夜初更見大星色黄出庫楼東騎官西漸漸光明測在氐三度。 日本(天文密奏)  藤原道長: 御堂関白記(995—1021)  藤原行成: 「権記」(991—1017) 日本紀略(編者不明神代—1036年歴史書) SN1006 SN1006のみが「大客星」という表現が用いられています。 いかに大きく、明るかったかがわかります。 Chandra image of SN1006

日本「最古」の星図 天文成象(1699) 著者は渋川昔尹、父親渋川春海制作 右図 長久保赤水 (1717-1801) らしい? (京大図書館所蔵)。  明月記の超新星 は赤丸 青丸のあたりに奇星が現れた(1230)

寛弘三年四月二日(1006年5月1日)、京都南 巨椋池上空 寛弘三年四月二日(1006年5月1日)、京都南 巨椋池上空 天文密奏:安倍吉昌?(晴明の次男) 「御堂関白記」:寛弘三年四月二日は「時々雨」 火星 アンタレス SN1006 騎陣将軍

明るさの記録 (感覚的で明らかに誇張がある?)        超新星SN1006の千年紀  記録からは史上最高の明るさ?  南天(観測に不利):世界中の記録:30  参考 かに星雲 北天(観測に有利):10    明るさの記録 (感覚的で明らかに誇張がある?) ○中国:   地上の物がはっきり見えた(5日の月-8.5等級) ○エジプト: 1/4の月より少し明るかった ○シリア:  月のようだった。 ○イラク:  月のようだった ○イエメン: 水面がぎらぎら輝き太陽のようだった ○スイス:  目がくらむようだった (アルプスの山々をかすめる)      参考 金星-4.6等級 :  満月 -12.6等級

56Coの半減期 Ia型(核暴走型):標準光源:絶対等級(極大) = -19.5等級 距離 = 7100光年 = 2.2kpc 記録から再現した光度曲線 56Coの半減期  視等級 1006年5月1日からの日にち Ia型(核暴走型):標準光源:絶対等級(極大) = -19.5等級 距離 = 7100光年 = 2.2kpc  視等級 = -8.5等級

1000歳の記念写真から、何がわかったか? 史上最も明るい超新星だったことを科学的に裏付けた(核暴走型=Ia超新星だった)    下図はYamaguchi et al. 2009 ネオン 珪素 X線の強度 硫黄 アルゴン 酸素 鉄 マグネシウム カルシウム X線のエネルギー

Reverse shock (early heating) 2. Ejecta2: Reverse shock (late heating) \ 1. Ejecta1 : Reverse shock (early heating) 2. Ejecta2: Reverse shock (late heating) 3. ISM : Forward shock Yamaguchi et al. 2009 3 1 2 Ejecta 1 Ejecta 2 C O Ne Mg Si S Ca Fe Large Si, S Large Ca, Fe (Nomoto el al. 1984)

かに星雲 (1054) 明月記: 後冷泉院 天喜二年四月中旬以降丑時 客星觜参度見東方孛天関星大如歳星 続資治通鑑 : かに星雲  (1054) 明月記: 後冷泉院 天喜二年四月中旬以降丑時 客星觜参度見東方孛天関星大如歳星 続資治通鑑 : 宋仁宗至和元年五月己丑客星天関東南出 一代要紀: 二年甲午四月大客星 記録は 中国、日本 アラビヤのみ 西洋には皆無 天関星: おうし座ζ星

1054年7月5日、京都の未明 東山上空 すばる カペラ  アルデバラン SN1054

3C58 (1181) 南宋孝宗淳煕八年六月己巳客星出奎宿 犯伝舎星 金史天文志: 金世宗大定二十一年六月甲戌客星華葢 明月記: 高倉院 治承五年六月廿五日庚午戌時客星見北方近王良守伝舎星 吾妻鏡: 治承五年六月二十五日庚午戌時客星見艮方鎭色靑赤有芒角是寛弘三年出見之後無例 九条兼実「玉葉」 治承五年七月七日而近日世間不静、天変相頻之上、客星已出 吉記: 1181年9月26日、まだ見えた 水戸光圀大日本史、治承五年養和元年 宋史天文志: 南宋孝宗淳煕八年六月己巳客星出奎宿 犯伝舎星 金史天文志: 金世宗大定二十一年六月甲戌客星華葢 3C58 (1181) 王良: カシオペア 伝舎星 :キリン Chandra image of 3C58 クォーク星か 日本では2ヶ月ほど、中国では半年ほど見えていた。 奎宿:アンドロメダ、うお 華葢: カシオペア

1181年は養和の大飢饉が発生した年であった。源氏・平氏による争乱期(治承・寿永の乱)の最中であった。定家としては客星どころではなかったかもしれない。彼はこの騒然とした世の中に「世上乱逆追討耳に満つと雖も之を注せず。紅旗征戎吾が事に非ず。」と啖呵を切ったのである。 明月記には「高倉院治承五年六月二十五日」とあるが、高倉天皇は治承五年一月一四日に崩御し安徳天皇の御代になっている。ところが、この記事を書いた1230年はすでに源氏(鎌倉幕府)の世になっていた。源氏は安徳天皇を認めていない。 本文の横に筆跡が違う添え書き「安徳天皇」、「崩御あそばされるか」が書き加えられている(丸点線)(冷泉家時雨亭文庫より:無断転用厳禁)。