G:赤外スペクトル  G:赤外スペクトル.

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G:赤外スペクトル  G:赤外スペクトル

G.1.赤色巨星の赤外スペクトル G.1.1.M型巨星の近赤外スペクトル G:赤外スペクトル

フーリエ分光によるλ=1.2-3.3μスペクトル Johnson,Mendez 1970 AJ 75、785 フーリエ分光によるλ=1.2-3.3μスペクトル RGB, AGB星 μGem M3III K H J L CO 1st Overtone 波数 2500 4000 6000 8000 ρPer M3III R Lyr M5III G:赤外スペクトル

水蒸気吸収 ミラ型変光星 οCet M6IIIe 水蒸気吸収端 波数 οCet M6IIIe 水蒸気吸収 R Hya M7IIIe 4000 οCet M6IIIe 水蒸気吸収端 波数 4000 6000 8000 οCet M6IIIe 水蒸気吸収 4000 6000 8000 R Hya M7IIIe G:赤外スペクトル

ミラ型変光星 R Cas M7e 水蒸気吸収 水蒸気吸収 波数 χCyg Mpe S CO 1st Overtone R Cas M7e 水蒸気吸収 水蒸気吸収 波数 4000 400 6000 8000 χCyg Mpe S CO 1st Overtone CO 2nd Overtone 4000 6000 8000 G:赤外スペクトル

M型超巨星 水蒸気吸収なし αSco M1-2Ia 波数 μCep M2Ia μCep M2Ia CO 2nd Overtone 4000 αSco M1-2Ia CO 2nd Overtone 4000 波数 6000 8000 μCep M2Ia μCep M2Ia G:赤外スペクトル

赤色矮星と赤色巨星のスペクトルの違い:水蒸気 G:赤外スペクトル

G.1.2.C型星の近赤外スペクトル W Ori C5,3 CN Red System Δv=1 CN Red System Δv=0 W Ori C5,3 CN Red System Δv=1 CN Red System Δv=0 C2Ballik-Ramsey CO 1st OT CO 2nd OT 6000 7000 G:赤外スペクトル

分子吸収と炭素星 Y Hya との比較 J H K G:赤外スペクトル

UU Aur C5,3 W Ori C5,3 Y CVn C5,4 Ballik-Ramsey HCN、C2H2 UU Aur C5,3 Ballik-Ramsey 4000 400 6000 8000 HCN、C2H2 W Ori C5,3 CO 1st Overtone 4000 6000 8000 Y CVn C5,4 Ballik-Ramsey G:赤外スペクトル

X Cnc C5,4 L K H J 19 Psc C6,2 T Lyr C6,5 HCN、C2H2 Ballik-Ramsey 4000 X Cnc C5,4 L K H J 4000 6000 8000 HCN、C2H2 19 Psc C6,2 Ballik-Ramsey T Lyr C6,5 G:赤外スペクトル

1960年台に星間吸収にアイス吸収を探して、3μの観測が盛んに行われた。 ――>Johnson, Mendez 1970、 炭素星3μm吸収帯 1960年台に星間吸収にアイス吸収を探して、3μの観測が盛んに行われた。 ――>Johnson, Mendez 1970、       炭素星(W Ori, C Cnc, TX Psc, T Lyr)に3μ吸収を発見した。        Noguchi,Maihara, Okuda,Sato,Mukai 1977 PASJ 29, 511  上松1mPbS単素子+CVF(Circular Variable Filter)      上松天体赤外線観測室       1972-2000 長野県木曽郡上松町にあった。 京都大学宇宙線研究室を中心に日本の赤外線研究者が育っていった。 G:赤外スペクトル

M型星 C型星 G:赤外スペクトル

野口らは3.1μmバンドがM型星には存在せず、炭素星のみに現れることを確認した。 しかし、左の図に示すように氷の粒による吸収と炭素星との比較を行っている。 全C型星 しかし、炭素星大気に氷はあり得ないので氷説は棄却され、 SiC粒子、グラファイト粒子も3μmに吸収を持たない。 C3は弱そうである。 C2Hはよさそうだが詳細不明。 浅い吸収 結局、比較的多くありそうな、 NH3, HCN,C2H2 のどれか、またはそれらの組み合わせ が原因かも知れない。 高分解能観測が必要。 深い吸収 G:赤外スペクトル

Ridgway, Carbon, Hall 1978 ApJ 225, 138-147 キットピーク4m+フーリエ分光器  キットピーク4m+フーリエ分光器      TX Psc      Noguchi et al 1977      TX Psc      4.0μm      3.0μm      G:赤外スペクトル

炭素星の3μmバンドはC2H2とHCNであることが確定した。 T Lyr      IRC+10216      炭素星の3μmバンドはC2H2とHCNであることが確定した。      G:赤外スペクトル

G.1.3.M型星の中間赤外スペクトル IRAS(1983)は12,25,60,100μmでの測光データとともに数千の赤外天体の低分散赤外スペクトルLRS(Low Resolution Spectra)を与えた。 その約10年後、ISO(1995-1998)はより高精度のSWS中間赤外スペクトル観測を事前に選ばれた星に対して行った。     それらの多くは、後に述べるように質量放出星で厚いダストシェルに覆われている。しかし、ここではダストシェルがついていない、裸の星の赤外スペクトルを示す。それらは、 1.N  熱い、温かい星 1.NO M型星 1.NC C型星 1.NE 輝線星 の4種に分けられる。 G:赤外スペクトル

ISO Supectra βAnd M0III   CO fundamental , SiO G:赤外スペクトル

R Lyr M5 III   CO fundamental , SiO ISO Supectra G:赤外スペクトル

G.1.3.C型星の中間赤外スペクトル TX Psc C6,4 ISO Supectra 3μm帯、CO fundamental , SiO ISO Supectra CO fundamental C2H2, HCN  3μm帯 G:赤外スペクトル

ISO Supectra TT Cyg  CO fundamental C3 C2H2, HCN  3μm帯 G:赤外スペクトル

G.2.分子層 G.2.1.準静的分子層(CO) Hinkle,K.H., Hall,D., Ridgway,S.T. G.2.分子層  G.2.1.準静的分子層(CO) Hinkle,K.H., Hall,D., Ridgway,S.T. 1982、ApJ 252, 697-714  χCyg  脈動と大気ショック面の動きに伴う視線速度変化        CO 1.6 (Δv=3) 、2.3 (Δv=2) 、4.6μ(Δv=1)ラインの          視線速度変化の観察            KPNO 4m + フーリエ分光           1.5ー5μスペクトル(分解能=5万)  1976-1979 3周期 1.6μ Δv=3 10  0  視線速度 (km/s) -10  -20  +5  V等級 +10 +15 G:赤外スペクトル

λ=2.3μ Δv=2 (1st overtone) 下の順位の高さで、 高励起線 J“=79-87 中励起線 J“=30-40   高励起線 J“=79-87   中励起線 J“=30-40   低励起線 J“= 0-24 と分けると、        励起温度  視線速度 高励起線 4000-2200 30km/s変動 低励起線 800     星の速度 λ=4.6μ Δv=1  (Fundamental)  励起温度  視線速度 300      7.8km/s        =シェルの膨張速度 G:赤外スペクトル

G:赤外スペクトル

COΔv=3 ラインの視線速度(左) 点は前原(1970)によるλ=8000A CNライン 速度積分による半径(右) COΔv=3 ラインの視線速度(左) 点は前原(1970)によるλ=8000A CNライン 速度積分による半径(右) 周期運動になっていない。 G:赤外スペクトル

(A)前回の脈動が終わり落ちてくるガスと現在の脈動で広がるガス の衝突でショックが生まれる。ショック面背後(4000-2000K) 結論として、 (A)前回の脈動が終わり落ちてくるガスと現在の脈動で広がるガス    の衝突でショックが生まれる。ショック面背後(4000-2000K)    から  CO Δv=3 (2nd overtone λ=1.6μm)、             Δv=2 (1st overtone λ=2.3μm High)    が生ずる。 (B)星半径の10倍くらいの高さに、定常的な層が存在する。    温度はT=800Kで    COΔv=2 (1st overtone λ=2.3μm Low)が存在する。    ライン幅はかなりの強さの乱流を予想させる。 (C)星の静的な大気モデルでは(B)のようなガスの存在はあり得な    い。 非常にダイナミカルな現象が原因となっているのではな    いか。その寿命は数周期と思われる。 (D) この層はマスロスの基盤となり、同時にSiOメーザーの舞台でも    あるだろう。 G:赤外スペクトル

G.2.2.準静的分子層(ISO) 辻、大仲、青木、山村. 1997 AA 320, L1-L4 ISO SWSスペクトルのモデルフィット ISO SWSスペクトルのモデルフィット β Peg M2III G:赤外スペクトル

彼らは、(a)-(b)がH2Oの放射で良く説明できることに注目した。 辻らはISO SWSスペクトルをモデルでフィットした。1-30μmで5%以内に収まったが、2.4-3.5μmが前ページの図で見るようによく合わない。 彼らは、(a)-(b)がH2Oの放射で良く説明できることに注目した。 H2O層のパラメターを単純な1層モデルで決めた結果、 H2O         Texc(K)     N(H2O)(cm-2)     R/Rs     βPeg    1250       7・1018            2     g Her    1250       2・1019            2     SW Vir   1250       3・1019            3 4-4.5μm波長帯にも同様の考察を行い、さらに以下の結果を得た。 CO2         Texc(K)     N(CO2)(cm-2)     R/Rs     SW Vir    750       1.2・1017          3     RT Vir    1000       1.5・1018           2 辻は1988年にSW Virに対して、T=2000K、N(CO)=1020/cm2のCO層を示唆している。以上の分子が同じ領域に異なる励起温度で共存しているのか、星からの距離で住み分けているのかは今後の課題である。 G:赤外スペクトル

星から離れた分子層の放射が吸収線を埋めたと考えると自然に説明される。 青木、辻、大仲. 1998 AA 340, 222-231 SWS炭素星スペクトル モデルとの比較で注意すべきは、 CS 1s overtone4μm     fundamental 7.3μm CO fundamental     bandhead 4.6μm が異常に浅い点である。 これは、M型星と同じく 星から離れた分子層の放射が吸収線を埋めたと考えると自然に説明される。 この様に分子層の存在は最近強く示唆されているがその成因、構造など多くが今後の課題として残されている。 G:赤外スペクトル