母分散が既知あるいは大標本の 平均に関する統計的検定 標本平均は標本の大きさが十分に大きければ,正規分布に従う 例: A農場で出荷する桃の重さの標準偏差σは20gである.桃の重さの平均が150gとなるように出荷する.ある日の調査では100個の桃の重さを量ったところ,平均145gであった.桃の重さの母平均は150gではないのかを検定せよ. 帰無仮説H0: 「桃の重さの母平均は150gである」 平均に関する統計的検定を学びます.今回はある決まった平均に対する検定で,標本数が100以上の時に利用する検定です(z検定ということもあります).実際には次回に学ぶt検定を使用することがほとんどですが,基本的な検定ですので,今回取り上げます. 例題です.A農場で出荷する桃の重さの標準偏差σは20gです.桃の重さの平均が150gとなるように出荷します.ある日の調査では100個の桃の重さを量ったところ,平均145gでした.桃の重さの母平均は150gではないのかを検定しましょう. まず帰無仮説を立てます.この場合の帰無仮説は「桃の重さの母平均は150gである」です.次に帰無仮説が棄却されたときに採用する対立仮説を立てます.対立仮説は,「桃の重さの母平均は150gでない」です.帰無仮説はそれを元に確率を計算する仮説ですから,=で結ばれた式を使います.一方,対立仮説は帰無仮説を否定しますから,≠で結ばれた式を使います.≠で結ばれた式では確率計算しようがないことに注意しましょう. 対立仮説H1: 「桃の重さの母平均は150gでない」
p-値:今回のデータの得られる確率 次に帰無仮説が成り立つとすると今回のデータが得られる確率(有意確率,p値)を計算します.第5回検定タブにある計算シートを使ってp-値を計算できます.標本数,標本平均,標本標準偏差,母平均を代入するだけです.母平均は帰無仮説で示した値のことです.
検定結果 したがって,帰無仮説 が成り立つとき,今回の標本 が得られる確率は0.012である. 有意水準(危険率)5%では帰無仮説は棄却される (有意水準5%で有意である) 有意水準5%で桃の重さの母平均は150gではない この場合,p値は0.012となります.したがって,有意水準(危険率)5%では帰無仮説は棄却され,すなわち有意水準5%で有意であるといえます,したがって,有意水準5%で桃の重さの母平均は150gではないという結論になります. 有意水準(危険率)1%では帰無仮説は棄却できません,すなわち有意水準1%では有意ではないということです.結論は有意水準1%で桃の重さの母平均が150gでないとはいえないとなります. 帰無仮説が棄却できないときの表現に注意しましょう. 有意水準(危険率)1%では帰無仮説は棄却されない (有意水準1%では有意ではない) 有意水準1%で桃の重さの母平均が150gでないとはいえない
予習問題 C村は塩分の濃い食事で有名であり,寿命が短いといわれる. 村民の平均寿命は100人調べたところ,70.2歳,標準偏差は 0.9歳だった.平均寿命が70歳であるかを有意水準5%で検定せよ それでは予習問題をやってみましょう.予習は「生物統計学第4回宿題と第5回のための予習2013 」の提出用タブ欄に入力して提出してください.