1-1 地震と断層 1-2 プレートテクトニクスと地震 1-3 日本列島周辺の地震 1-4 地域の活動度 1-5 主な被害地震と教訓

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2. 地震. 2.1 地震と災害 地震災害 濃尾地震の被害写真 地震断層の出現 — 揺れ による圧死 濃尾地震の例 内陸地震。 1891 年(明治 24 年 ) 10 月 28 日午前6時 38 分。深 さ 10 〜 20km 。 M8.0 。震度 7 つ まり激震。死者.
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1-1 地震と断層 1-2 プレートテクトニクスと地震 1-3 日本列島周辺の地震 1-4 地域の活動度 1-5 主な被害地震と教訓 第1回 地震の発生 1-1 地震と断層 1-2 プレートテクトニクスと地震 1-3 日本列島周辺の地震 1-4 地域の活動度 1-5 主な被害地震と教訓

参考書

1-1 地震と断層 (1)断層 岩盤の物理的特徴:力を加えれば変形し (歪み),限度を超えるとせん断破壊する  1-1 地震と断層  (1)断層 岩盤の物理的特徴:力を加えれば変形し   (歪み),限度を超えるとせん断破壊する 地震とは:断層間の岩盤の歪が限度を超え,   せん断破壊してずれ,エネルギを放出する 地震動とは:断層のせん断破壊による衝撃   が地震波として四方八方に伝わる

地震の震源・震央と断層 :地震でずれた断層

阪神大震災の地表地震断層 淡路島の北淡町

断層のタイプ <縦ずれ断層> 地震でのずれが上下方向に発生したもの 逆断層:両側が近づく方向の縦ずれ断層  地震でのずれが上下方向に発生したもの 逆断層:両側が近づく方向の縦ずれ断層 正断層:両側が遠ざかる方向の縦ずれ断層 <横ずれ断層>  地震でのずれが水平方向に発生したもの 右横ずれ断層:向かって右側にずれた断層 左横ずれ断層:向かって左側にずれた断層

断層のタイプ

(2)断層モデル 断層モデル:地震での断層運動を単純化 断層パラメータ:9つ 長さ:L と 幅: W (km) ,平均変位:D0 (m) 傾斜角:δ, 走向:φ, 食い違い方向:λ° 岩盤のせん断弾性係数:μ (kN/m2) 断層の破壊伝播速度: Vr≒3.0 (km/s) 立ち上がり時間:τ(s)

逆断層・左横ずれ型の断層パラメータ 断層の上面

マグニチュード(M):地震規模の尺度 気象庁マグニチュード(M j): 震源からある距離での特定地震計で記録された振幅の常用対数  マグニチュード(M):地震規模の尺度 気象庁マグニチュード(M j): 震源からある距離での特定地震計で記録された振幅の常用対数 モーメントマグニチュード(Mw): 物理的意味が明快な地震モーメントから算定    Log M0 = 1.5 Mw + 16.1 地震モーメント(M0):  岩盤のせん断弾性係数×変位量×断層面積      M0 = μ × D0 × L × W (dyn・cm)

2011年東北地方太平洋沖地震の断層モデル φ=195-180=15° λ=13°低角逆断層 最大変位 Dmax:23m 平均変位 D0:12m

2011年東北地方太平洋沖地震の モーメントマグニチュードの算定 地震モーメント:Mo ←地震によるエネルギー Mo = μ×D×L×W = 3.86 ×1029 (dyn・cm)   μ:岩石のせん断弾性定数:3×1011 (dyn/cm2) D:平均すべり量:12×102 (cm) L,W:長さと幅:510×105 (cm) , 210×105 (cm) モーメントマグニチュード: Mw    Mw =( log10 Mo -16.1 )/1.5       = 9.0

震度:地域の地震動の強さの尺度 気象庁震度:1996年以後の震度は,計測震度計により加速度記録から自動的に算定 計測震度の算定法:   震度:地域の地震動の強さの尺度 気象庁震度:1996年以後の震度は,計測震度計により加速度記録から自動的に算定 計測震度の算定法: 加速度波形(60秒)を1/√fのフィルターをかけて,0.3秒間以上継続する値(a)を求めて,    I = 2×log10 a + 0.94   で求める 1996年気象庁震度階:震度5と6を強・弱に 細分化して,10段階になった

最大加速度・速度の距離減衰特性 2011年東北地方太平洋沖地震の例 1000  ガル 50 カイン

山間地での震度の算定例 最大:580 ガル ローパス・フィルターで約1/4に 130 ガル 0.3秒以上継続する値を見つける 震度 I = 2 × log10 130 + 0.94 = 5.2 → 震度5強(被害小)

平野内での震度の算定例 最大:1000 ガル以上 ローパス・フィルターで約1/2に 450 ガル 0.3秒以上継続する値を見つける 震度 I = 2 × log10 450 + 0.94 = 6.2 → 震度6強(被害大)

震度と古い木造住宅の全壊率 100% 5.2 6.2 0% 5 強 6 弱 6 強 7 7 5 6

(3)断層の破壊と地震動 断層の破壊現象≒せん断食い違い理論: 直交する2つの偶力に近似できる←双偶力 断層の破壊現象≒せん断食い違い理論: 直交する2つの偶力に近似できる←双偶力 断層の食い違いで生ずるせん断波:断層面の平行方向と直交方向に発生 断層の食い違いで生ずる P 波の初動: 断層面の45°方向に押しと引きに分離 ・地震波の距離減衰:    震源域からの距離に揺れの強さが減少

断層の食い違いと双偶力 初動が引き 初動が押し

断層の食い違いによる波動方向 初動が引き 初動が押し

断層破壊のドップラー効果:断層破壊が進行する側で振幅が大きくなり周期が短くなる 地震規模と断層長さ(L):M8で約100km,           M7で約30km,M6で約10km 地震規模と地震波の周期:地震規模が大きいと長周期成分が優勢になり長くなる アスペリティ:震源断層の中の固着域で,地震の際に大きな破壊エネルギーを放出する

阪神大震災のアスペリティ分布 震央

兵庫県南部地震の波形の軌跡 ドップラー効果と アスペリティで大きくなる 震央

東日本大震災のドップラー効果 岩手県の震度より 茨城県の方が大きい 大船渡 震度 4.3 岩沼 震度 6.0 飯館 震度 5.4 大船渡 震度 4.3 岩沼 震度 6.0 飯館 震度 5.4 岩手県の震度より 茨城県の方が大きい 大子 震度 5.6

1-2 プレートテクトニクスと地震 (1) プレートの運動  1-2 プレートテクトニクスと地震  (1) プレートの運動 大陸移動説(1912年Wegener):  約2億年前まで大陸は一つであり,分裂して移動したため現在の大陸になったという説 プレートテクトニクス  (1967年McKenzie & Parker):  マントルの対流によりプレートは移動して海嶺や海溝ができるという説 ・ 地球の内部構成:核(半径約3,500km) ,マントル(厚さ約2,900km) ,プレート(約100km)

地球の内部構造

地球の内部と外核の対流

大陸移動説(ウェゲナー1912年)

プレートテクトニクス理論 (1967年 McKenzie & Parker) 火山帯 プレート 境界地震 海嶺 海溝 海溝

世界のプレート分布

(震源が浅く) 規模の大きな地震分布

世界の新期造山帯(地震帯)

マントル対流とプレートの運動・衝突 溶融鉄 鉄 溶融鉄 マントル

・プレートの構成:リソスフェア(マントル上部が冷えて固まった層)+アセノスフェア(軟らかい層) マントル:地球深部では固体だが表面近くの低圧力下では液体,冷えると固まる(リソスフェア) プルーム:核からマントルが上昇している部分 海溝:海のプレートが大陸プレートと衝突して,屈曲して下降している場所 海嶺(海膨):海洋プレートが移動した場所で,受動的にマントルが湧き出すところ ホットスポット:プルームの上昇により高温のマントルが湧き出すところ

プレートの運動 リソスフェア アセノスフェア マントル ホットスポット 海嶺 海溝 プルーム プルーム

(2)日本列島周辺のプレート 太平洋プレート:東太平洋海膨で生まれ年間 約9cmの速さで西北西に移動している フィリピン海プレート:  (2)日本列島周辺のプレート 太平洋プレート:東太平洋海膨で生まれ年間    約9cmの速さで西北西に移動している フィリピン海プレート:    年間約4.5cmの速さで北西に移動している ユーラシアプレート:    日本列島の南側の陸のプレート    年間約1cmの速さで東南東に移動している 北米プレート:日本列島の北側の陸のプレート    糸魚川―静岡構造線で接している

日本周辺のプレートの動き

プレートの動きと地震のタイプ リソスフェア アセノスフェア

1-3 日本列島周辺の地震 (1) 海の地震 プレート境界地震:海溝沿いにプレートの衝突に伴う圧縮力で起きる地震  1-3 日本列島周辺の地震  (1) 海の地震 プレート境界地震:海溝沿いにプレートの衝突に伴う圧縮力で起きる地震 プレート内の地震:海溝で沈み込んでいる海のプレートの内部で起きる地震

日本列島周辺の被害地震の震源域

日本列島周辺の過去10年間の震源域 出典:防災白書

日本列島の 地体構造 限界地震の 規模  M9.0の地震が 2011年に発生 M9.1に修正 (2012年)

南海トラフの巨大地震の断層域 内閣府 2012年

大規模地震対策地域    防災白書  2010年

・東海地震の発生:1944年東南海地震では破壊しなかったが,歴史上単独での発生はない ・十勝沖地震の発生周期(北海道):     M8級は50~80年(1952年,2003年) ・宮城県沖地震の発生周期(東北):     M7.5級は30~80年(1897年,1978年) ・関東地震の発生周期:     220~415年(878年,1293年,1703年,1923年) ・東海地震と南海地震の発生周期:  90~147年(1605年,1707年,1854年,1944・46年) ・東海地震の発生:1944年東南海地震では破壊しなかったが,歴史上単独での発生はない

十勝沖・宮城県沖地震の震度分布 防災白書  2010年

十勝沖・宮城県沖地震の津波高さ 防災白書  2010年

東海・南海地震の繰り返し M 8.6

東海・南海・関東地震の繰り返し 宝永 M8.6 安政 M8.4 昭和 M7.9

南海トラフでの巨大地震の時間予測 モデル 宝永 M 8.6 大きな地震の後は次の 地震までの間隔が長い 安政 M 8.4 昭和 M 7.9

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東南海・南海連動地震の震度分布 内閣府 2012年

東南海・南海連動地震の津波高さ 防災白書  2010年

東南海・南海連動地震の津波高さ 内閣府 2012年

東南海・ 南海地震の 防災戦略 出典:防災白書

(2) 陸の地震 内陸型地震:陸の活断層で発生する浅い地震。逆断層型で横ずれを伴うものが多い  (2) 陸の地震 内陸型地震:陸の活断層で発生する浅い地震。逆断層型で横ずれを伴うものが多い 活断層:約170万年前から繰返し活動していて,将来また活動すると考えられる断層 活断層の確実度: Ⅰ(地表地震断層が明確にある)Ⅱ,Ⅲに分類 活断層の活動度の年平均変位:A級:1~10mm,B級:0.1~1mm,C級:0.1mm以下) 地震断層の分岐形態:破壊の終端では断層が枝分かれする→震源の位置が分かる

明治以後の活断層による主な内陸地震

過去の地震の断層調査

地層断面図と過去の地震断層 過去の地震断層の跡

内陸型地震の断層調査結果

内陸地震の要注意断層 (1)中央構造線 (2)有馬・高槻・六甲断層帯 (3)阿寺断層 (4)伊那谷断層 (5)糸魚川・静岡構造線 (6)富士川河口断層帯 (7)神縄・国府津・松田断層帯 (8)柳ヶ瀬・鈴鹿断層帯 (9)西関東断層帯 (10)信濃川断層帯 (11)秋田・庄内断層帯

地震断層の分岐とセグメンテーション

1-4 地域の活動度 (1) 関東地方 ・ 元禄地震(1703年):M7.9-8.4, 小田原で死者約2300人,  1-4 地域の活動度 (1) 関東地方 ・ 元禄地震(1703年):M7.9-8.4, 小田原で死者約2300人, 千葉では津波で死者6500人 安政江戸地震(1855年):M7.0   荒川河口付近で発生,死者約1万人   東京東部などで震度6相当の揺れ 関東地震(1923年):M7.9   相模トラフ沿いが震源域,死者約10万人   相模湾沿岸地域では震度7相当の揺れ

(2) 関西地方 慶長伏見地震(1596年): 有馬-高槻断層と六甲・淡路島断層 京都と大阪で被害 1662年の地震: 三方・花折断層 (2) 関西地方 慶長伏見地震(1596年):   有馬-高槻断層と六甲・淡路島断層   京都と大阪で被害 1662年の地震:   三方・花折断層 兵庫県南部地震(1995年):   野島断層と六甲・淡路島断層

(3) 東海地方 天正地震(1586年): 養老―桑名―四日市断層 庄川断層と阿寺断層も? 濃尾地震(1891年): (3) 東海地方 天正地震(1586年):   養老―桑名―四日市断層   庄川断層と阿寺断層も? 濃尾地震(1891年):   根尾谷断層を含む濃尾断層帯   震源域近くで震度7相当 三河地震(1945年):   深溝断層,東南海地震の約1ヶ月後

1-5 主な被害地震と教訓 (1) 明治以降の日本の被害地震  1-5 主な被害地震と教訓 (1) 明治以降の日本の被害地震 内陸型地震:地震規模は小さくても震源が近いため被害が甚大 海洋型地震:M8クラスが多く,津波を伴って広域に被害を与えている 福井地震(1948年)~兵庫県南部地震(1995)  :約50年間,国内では顕著な被害地震は無し

(2) 明治以降の海外の被害地震 建物の耐震化や津波意識が低い地域: 地震の規模や震度が小さくても,構造物に   地震の規模や震度が小さくても,構造物に   甚大な被害が発生し,死者が増大する 唐山地震(1976年):中国河北省,M7.9 死者242,000人と発表 トルコ・コジャエリ地震(1999年):トルコ北西部 M7.4,広域で液状化が発生,死者17,000人以上

インドネシア スマトラ島北西部,M9.0 海洋型地震,死者22万人以上(津波による) ・パキスタン地震(2005年): ・スマトラ沖地震(2004年) :    インドネシア スマトラ島北西部,M9.0 海洋型地震,死者22万人以上(津波による) ・パキスタン地震(2005年):    北東部カシミール地方,M7.6,死者約10万人 ・四川大地震(2008年):    中国四川省,M8.0,死者約87,000人 ・ハイチ地震(2010年):    ハイチ首都付近,M7.0,死者22万人以上