楽しい磁石星たちの物語 第一章 地球を飛びだそう! 第二章 太陽系を飛び出そう ! 柴田 晋平(しばた しんぺい) 山形大学理学部

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楽しい磁石星たちの物語 第一章 地球を飛びだそう! 第二章 太陽系を飛び出そう ! 柴田 晋平(しばた しんぺい) 山形大学理学部 柴田 晋平(しばた しんぺい) 山形大学理学部 NPO法人 小さな天文学者の会 今日の物語に登場する望遠鏡は 2008年6月に打ち上げられ、昨年からつぎつぎに新しい結果を出し続けている「フェルミ宇宙ガンマ線望遠鏡」です。この望遠鏡によって研究が進んでいる「パルサー」と「マグネター」とよばれる「強力磁石星」が今日の主人公です。 第一章 地球を飛びだそう! 地球一周4万キロメートルを4メートルに縮尺した地球ふうせんで地球の大きさ、太陽系の大きさを実感してみましょう。この地球にたいして太陽は直径140メートルの大ガスタンク、地球太陽間の距離は15キロメートルになります。地球のモデルを使いながら太陽系の大きさを実感しましょう、 第二章 太陽系を飛び出そう ! 右の図はフェルミ宇宙ガンマ線望遠鏡の打ち上げの様子と望遠鏡の構造です。ガンマ線は温度に換算すると10兆度にも達するエネルギーの高い光のことです。 ガンマ線で見た空は、目で見える光(可視光線)で見た夜空と負けないくらいにぎやかでした。 可視光線でみた夜空 ガンマ線で見た空

第三章 パルサーは宇宙発電所 終章 光の不思議な分布について ガンマ線で光る星の中には「パルサー」や「マグネター」とよばれる磁石星がありました。これらの星は、サイズは10キロメートルと町や市のサイズですが、重さは太陽と同じくらい、そして強力な磁石になった星でした。星の種類で言うとこれらは「中性子星(ちゅうせいしせい)」と呼ばれます。 パルサーもマグネターも光の強度が周期的に変化します。これはこれらの星が自転しているためです。自転周期は速いものだと一秒間に600回の自転、おそくても数秒の自転周期です。 「パルサー」が光るためのエネルギー源はパルサー自身の自転エネルギーです。一方、「マグネター」のエネルギーは磁場(磁石)です。エネルギーが放射されるとパルサーでは自転周期が遅くなり、マグネターでは磁石が弱くなります。 第三章 パルサーは宇宙発電所 ネオジム磁石という強力磁石で実験をしましょう。ネオジム磁石に電池をつなぐと磁石は回転を始めます。逆に、ネオジム磁石を回転させると電気が発生します。発電機です。パルサーもマグネターも強力な宇宙発電機です。何兆ボルトという電圧が発生します。 発電量から逆に、星の持つ時が強度が推定できます。 磁石の強さ 1000ガウス          1兆ガウス            100兆ガウス ネオジム磁石 パルサーの想像図 マグネターの想像図 終章 光の不思議な分布について 右の図は日本の年収別の人口のグラフで、国税庁のホームページに公開されている表から作りました。この棒グラフをどう解釈するかというと、一つ山の分布と直線分布の二つの重ね合わせと解釈します。

やまがた天文台 おしまい 詳しくは: http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/yao/ 一つ山の分布は、「なかよし分布」といいましょうか、平均的な年収の人が大多数で、それより極端に貧しいひととか大金持ちがいない、平和な分布です。一方、実際には、千万、億といった収入の人がいます、スターと呼ばれる人や大会社の社長さんなどでしょう。この人たちの分布は直線です。(高校で習いますが、縦軸、横軸ともに「対数」目盛りで直線で、 f(x)=xa の形です。)これはべき分布と呼ばれます。 星からやってくる光は、つぶつぶの粒子として観測されます。なので、その光の粒、一粒のエネルギーをお金に見立て、光子の粒の数を人数に見立てると、横軸が光のエネルギー、縦軸が光子の数として、年収のグラフと同じようなグラフが作れます。これは星からやってくる光のエネルギー分布グラフ、あるいは、光のスペクトルといいます。 そこで、パルサーやマグネターからやってくる光についてエネルギー分布、お金の分布のようなもの、を作ってみました。そうすると、どうでしょう、私たちの社会の収入のグラフとそっくりではありませんか。光にもサラリーマン分布を示すものと、大金持ちの直線分布をもつものがありました。 パルサーやマグネターにはどうもスターや社長さんを生み出す仕組みがあるようです。つまり、すごく高エネルギーの粒子を生み出す仕組みがあるのです。それには、磁石が関係しています。電気と磁気の力がそのような高エネルギーの粒子や光の原因なのです。実際にどのような仕組みでエネルギーが高くなるかはまだ不明な点がたくさんあって、物理学の中でももっとも難しい問題の一つです。みなさんも、ぜひこの難問に挑戦してみてください。 おしまい やまがた天文台 立体映像で宇宙を楽しめる、4次元宇宙シアターがあります。宇宙の仕組みの理解だけでなく、音楽や文学を楽しみながら立体宇宙を楽しみます。 星のソムリエによるガイドツアーがあります。 さまざまな天体や星座の解説、望遠鏡での観察などを少人数のグループでガイドツアー方式で案内します。とてもあったかい雰囲気で宇宙が楽しめます、 (晴れていなくてもどんな天気でやってます!) ■毎月最終土曜日 (夏時間 4-9月 ) 一回目:19:15~、二回目:20:15~ (冬時間 10-3月 ) 一回目:18:15~、二回目:19:15~ 上映時間は約30分です。 ■事前予約が必要です。 電話 023-628-4050 (月-金 9:00-17:00) 上映月に入りましたら受付を開始します。 ■参加料 高校生以上 500円、小中学生 300円 ※対象学年は小学4年生以上です。 ■毎週土曜日 ■時間 4月~9月(夏時間)午後7:00~9:15まで入場 10月~3月(冬時間)午後6:00~8:15まで入場 ■参加料 小学生以上 200円 詳しくは: http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/yao/