Zikaウイルス感染症 1947 年: 科学者がウガンダの Zika 森のアカゲザルから新たなウイルスを 特定し、ジカウイルスと命名。 1948 年: Zika森で捕獲したヒトスジシマカ( Aedes africanus )から分離。 フラビウイルス科ジカウイルス
2007年: ミクロネシアのヤップ島のヒト集団における最初の大規模なジ カウイルス流行。これ以前に、全世界で14 例のみが報告されていた。 アカゲザルは、黄熱病の歩哨動物として樹冠に設置したケージで飼育されていた。マウス脳内接種によって感染し、神経親和性が非常に高く、マウスの脳以外の組織からはウイルスは回収されなかった。マウス脳内接種株を皮下接種したサルは不顕性感染を示し、接種後第1週に ウイルス血症が認められ、野生サルの血清で抗体も見つかった。このウイルスは20 世紀前半に、ウガンダから西アフリカとアジアへ波及し、異なる2系統(アフリカおよびアジア)がある。 1952年:ウガンダとタンザニアでジカウイルスの最初の症例。 1960年代~1980年代: 血液検査によってヒト症例が確認された。このウイルスへのヒトの暴露が常時広範に起きて いるが、死亡や入院の報告はなく、症状は軽い。 1969~1983年: ジカウイルスがインド、インドネシア、マレーシア、パ キスタンを含む赤道アジアの媒介蚊で検出された。 2007年: ミクロネシアのヤップ島のヒト集団における最初の大規模なジ カウイルス流行。これ以前に、全世界で14 例のみが報告されていた。
Zikaウイルス感染症の病態 Zikaウイルス感染症は、死亡や入院がなく、黄熱やデング熱など他のフィロウイルスよりも軽症であり、それが長年注目されなかった理由である。2015年以降に症例が急速に増えたのは、ウイルスの伝播力に変異が起きたものと思われるが、病態については軽症のままであり、余り気にしなかった。 ところが、2016年になって、母親の感染によって小頭症およびその他の中枢神経系奇形が起きている可能性が報告され、 8 月 3 日現在、14の国と領に及んだ。ブラジルが1479 例と突出しており、コロンビア 21例、カーボベルデ 9例、仏領ポリネシア 8例と続いている。米国も19例報告しているが、母親がどこで感染したかは発表していない(プライバシー保護)。 さらに、ギラン・バレー症候群の発生率が増加しており、 Zikaウイルス感染との関係が濃厚になりつつある。感染に伴う免疫疾患とされ、現在因果関係がはっきりしているのはサイトメガロウイルス、EBウイルスなどのウイルスや、マイコプラズマ、カンピロバクターの4つである。 これらは、患者数が増えたため表在化したのか、ウイルスの変異による病原性の変化なのか判っていない。
アフリカ・東南アジア地域の報告は相対的に少ない。抗体保有者が多いことを反映していると思われる。 WHO地域別にみたZikaウイルス伝播を報告した国、領土および地域の数 (2007~2014年の累積数および2015年1月から2016年8月までの月別報告数) アフリカ・東南アジア地域の報告は相対的に少ない。抗体保有者が多いことを反映していると思われる。 感染が突然広がった原因は未だ判っていない。この段階ではサルの関与はなく、ヒト・蚊・ヒトの感染環ができている。さらに、性感染も報告され、感染した男性は半年間禁欲または・・・・。
Zikaウイルスの国際的広がり、2013~2016年 2013年 仏領ポリネシア 2015年7月 サモア 2015年12月 仏領ギアナ 2013年 仏領ポリネシア 2015年7月 サモア フィージー 2015年12月 仏領ギアナ ホンジュラス、パナマ、プエルトリコ、・・・・・ 2014年 バングラディッシュ クック諸島 2015年10月 コロンビア カーボベルデ 2015年1月 ニューカレドニア 2016年1月 ニカラグア、カリブ海の諸島・・・ 2015年2月 ブラジル ソロモン諸島 2015年11月 メキシコ エルサルバドル グアテマラ、パラグアイ スリナム、ベネズエラ 2016年2月2 エクアドル、 ペルー、ジャマイカ、 ・・・・・・ 2015年4月 バヌアツ 2015年5月 パプアニューギニア 2016年2月 WHO: 国際保健規則(IHR 2005)に基づく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」 : エボラに次いで2例目。 太平洋の島々から始まり、2015年以降に63の国や地域に広がった。アフリカのカーボベルデの発生とカリブ海との関係は? Zikaウイルスの国際的広がり、2013~2016年
蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針 平成27年4月28日 我が国においては、平成26年8月デング熱に国内で感染した患者が、昭和17年から20年までの間にかけて報告されて以来、約70年ぶりに報告された。・・・ デング熱、ジカウイルス感染症及びチクングニア熱については、いずれも日本国内に広く分布するヒトスジシマカが媒介することが知られている。また、平成27年には、インド、台湾等でデング熱の流行が、ブラジルを始めとする中南米地域でジカウイルス感染症の流行が報告されており、いずれも海外で蚊媒介感染症にかかった者が帰国又は入国する例(以下「輸入感染症例」という。)を起点として国内での感染が拡大する可能性が常に存在する。蚊媒介感染症としては、これら以外にも、マラリア、ウエストナイル熱、日本脳炎などがある。マラリアについては、媒介蚊であるハマダラカが国内の人口が密集している地帯には生息していない。ウエストナイル熱については、発症している際の人の血中におけるウイルス量が少なく、媒介蚊のみを介した人から人への感染環が成立しないことから、デング熱、ジカウイルス感染症及びチクングニア熱と比して、輸入感染症例を起点として国内感染症例が発生する可能性は低い。 なお、これら以外の蚊媒介感染症(ウエストナイル熱、黄熱、西部ウマ脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎、マラリア、野兎と病及びリフトバレー熱)についても、共通する対策は必要に応じて講じるものとする。 ヤブカ属(Aedes) <日中> :デング、 ジカ、チクングニア、黄熱、リフトバレー ハマダラカ属(Anopheles)<夜間> :マラリア イエカ属(Culex) <夜間> :日本脳炎、ウエストナ イル熱 、リンパ性糸状虫症