シンチレーション法による 顕熱フラックス測定の検討

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シンチレーション法による 顕熱フラックス測定の検討 ~スケールモデルにおける渦相関法との比較実験~ 1053231 小林 謙仁

顕熱輸送:冷たい気塊と暖かい気塊の交換の結果としておこる! シンチレーション法 気塊の温度差→光の屈折率の差→光のゆらぎ(シンチレーション) 偏光面の異なる2本の光→相関の強さ→気塊の渦径の情報 送信機 受信機 顕熱輸送:冷たい気塊と暖かい気塊の交換の結果としておこる! ゆらぎの強度と渦径の2つの情報から熱輸送フラックスを計算する。 送受信機間の空間平均の情報から算出→空間代表性が高い!

渦相関法←超音波風速温度計 シンチレーション法

目的 街区レベルでのヒートアイランド対策効果測定のためには、それに適した顕熱フラックスの測定法が必要である。 シンチレーション法による顕熱フラックス測定の特性の把握。 渦相関との比較ならびにシンチロメータの光路位置が測定値に及ぼす影響。

測定場所 : 都市スケールモデル

解析対象風向はスケールモデル長辺方向±45°とした シンチロメータ4点 超音波風速温度計2点 解析対象風向はスケールモデル長辺方向±45°とした 測定期間 NDA NIT CBU TIT sonic 12/1~1/19 S2H S1.5H R2H 2H・1.5H 1/19~4/3 S1.25H S1H 4/13~5/14 S0.5H S0.77H 2H・0.77H 熱電対鉛直6点 長短波放射計1点 NDA:防衛大学校、 NIT:日本工業大学CBU:千葉大学、  TIT:東京工業大学

屋根面上と街路上の顕熱フラックスの比較 梗概修正 顕熱フラックスの値は概ね一致しており、複雑な地表面を持つ都市街区での測定が可能と考えられる。

シンチレーション法では常に正(大気加熱モード:day)と負(大気冷却モード:night)が計算され、測器自体ではどちらの値を選択するか判別ができない。 均質一様空間では表面温度と気温の大小関係で判別することができるが、複雑な地表面でシンチレーション法を用いる場合は表面温度の代表値が不明のため、符号判別の指標が必要である。 測定したコンクリート地表面では日中の蓄熱が早朝まで放射しきれずに夜間も大気加熱をしている場合が多かった。

数例ではあるが、夜間から早朝にかけて大気冷却(負のフラックス)が起きている日が確認できた。 複雑地表面において符号判別の指標となるパラメーターとして、日射、正味放射量、大気安定度の3つについて検討した。

顕熱フラックスと日射量・正味放射量の関係 日射量・正味放射では日々の変動が大きく普遍性が見れないため指標として適切ではない。

顕熱フラックスと大気安定度の関係 大気安定度が安定から不安定に変わる付近で顕熱フラックスが大気冷却から大気加熱へと移行している。 大気安定度が不安定から安定に変わる付近で、顕熱フラックスが大気冷却に移行すると考えたが、実際には移行せず指標としては十分でないと言える。

シンチレーション法と渦相関法では全体の変化は概ね一致する。 顕熱フラックスが日中ピークになるとシンチレーション法は過少評価となる。 逆に夜間のシンチレーションの顕熱フラックスは過大評価となる。

まとめ 複雑地表面の都市域におけるシンチレーション法の可能性が確認できた。 シンチレーション法での大気加熱・大気冷却の判別において、大気安定度が有効であることが確認できた。 日中の渦相関法との比較による過少評価、夜間の過大評価になる傾向がある。