Astro-E2搭載用X線CCDカメラ XISの軟X線領域での較正 (III) 並木 雅章 林田 清、鳥居 研一、勝田 哲、東海林 雅幸、松浦 大介、宮内 智文、常深 博 (阪大理)、 片山 晴善 (JAXA)、幸村 孝由 (工学院大)、 Astro-E2 XISチーム
XIS (X-ray Imaging Spectrometer) Astro-E2衛星に(計4台)搭載するX線CCD (24 mm 角; 1k×1k) 各入射X線光子の 位置を測定 → Imaging (XRT: HPD ~ 2分角) エネルギーを測定 → Spectroscopy (ΔE/E = 2.2%@5.9keV) 表面照射型(FI)CCDカメラ3台に加え、低エネルギー領域で感度の良い裏面照射型(BI)CCDカメラ1台 XIS2 Astro-E2 30cm 5m
XISの較正 0.2-2.2 keV ‥ 大阪大学 1.5-12.0 keV ‥ 京都大学が、それぞれを担当 機能・性能試験: 2003/12 -- 2004/09 FI-CCD: 4台 (FI-0, FI-1, FI-2, FI-3)、BI-CCD: 2台 (BI-0, BI-1) EU: 1台 (FM同等品; Engineering Unit) *黄色は搭載用 測定内容 地上データ処理の最適化 (W26b 山口、 W28b 宮内) 単色X線に対する応答波高分布 (W26b 山口) X線エネルギーと出力波高の線形性 X線エネルギーとエネルギー分解能の関係 X線エネルギーに対する量子効率 (W27b 松浦) 検出器の構成物質による吸収端での微細構造 電荷注入機能 (W25b 中嶋)
XIS のデータの流れ Onboard DE On the ground Grade 定義 フレームデータ / 8 sec ダークレベルの差し引き イベント抽出 PH(E) > Event Threshold 5x5, 3x3 or 2x2 モード イベントデータ Charge Trail Correction ~ CTI; PH(E) → PH(5), (7) Grade 判定 S PH(i) (> Split Threshold) select grade = 0,2,3,4,6 バッドコラムのフィルタリング データ解析 スペクトル、イメージ、 ライトカーブ Onboard DE On the ground Grade 定義 ⓪ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
Charge Trail Correction Pixel Level のピークのズレの量と転送回数の関係 ~ 相関あり 1転送あたりの電荷の取りこぼし量/中心PH(E) = 電荷転送非効率(CTI) = (4.5±0.3)×10-6 [ Transfer-1 ] at 5.9 keV (BI-1) PH(E) vs. 縦転送方向CTI 同じエネルギーでも検出位置によりスペクトルのピークが系統的に変化 → 要補正 実効的な検出効率: 最大10~20%増加 ← Grade7の減少 エネルギー分解能も良化 ← Low Energy tail の減少 横転送、FI についても同様 原因は電荷トラップか 温度依存性 ~ トラップ⇔ 再放出 (温度↑ CTI ↓) BI-1 VCTI = 1.5E-04× PH(E)-0.5
較正実験概要 イベント抽出画像 Silicon-K Edge Spectrometer SES分散スペクトル - ブレーズド回折格子 - グレーティング ~ E @ O-K, Si-K edge SES分散スペクトル イベント抽出画像 O-Ka輝線 C-Ka輝線 ① 比例計数管の絶対検出効率を測定(斜入射較正法) ② XIS-EUを比例計数管に対して 相対的に較正(同時測定) ③ XIS-FMを、EUに対して相対的に較正 2003/12 EU&PCEUS2PCS3S2EUS0S1S0EU S0EUBI0BI1EUBI1EUEU&PCBI0EU 2004/09
単色X線に対する応答 (1) メインピーク:空乏層での吸収 (2) サブピーク:Sp-th以下の取りこぼし PH [ch] Counts FI-1 O-K 0.525keV BI-1 輝線プロファイル (Astro-E1 vs. E2) (1) メインピーク:空乏層での吸収 (2) サブピーク:Sp-th以下の取りこぼし (3) 三角成分:チャンネルストップ (4) 定数成分:空乏層と絶縁層の境界(SiO2層) S1: 4.7ch~7.7%(FWHM) T2: 0.039 T3<1.8e-3 T4=6.5e-3 S1:5.1ch~9.0%(FWHM) T2: 0.030 T3<2.9e-4 T4=1.1e-2 FI-2 BI-1 O-Ka 輝線 FI、BIともに上記モデルで良く再現 三角成分は1号機の ~1/80 以下なので、3成分でも可 高エネルギー側では、+Si エスケープ成分
入射X線エネルギーと PH、FWHM FI-0 BI-1 入射エネルギーと波高値 FI, BI ともに、ほぼ良い線形性 直線モデルで約 8eV の再現性 PH = 0.28*E +3.05 (FI) 0.26*E -1.36 (BI) 入射エネルギーと エネルギー分解能 FIが、1.5 keV 付近で悪化 ← Al K-Edge (filter) FWHM@ 1 keV ~57 eV (BI) ~53 eV (FI)
X線強度の変化と相対検出効率 E エネルギーEでの相対検出効率 K(E)倍 Counts/8sec y=at+b y=K(E)×(at+b) 同条件で測定した分散スペクトル 入射X線強度の時間変化 エネルギーEでの相対検出効率 2004.4.5 (EU) 2004.4 (EU) 2004.2.4 (FM) K(E)倍 2003.12.30(EU) 2004.2 (FM) DE 2004.2 (EU) Counts/8sec y=at+b y=K(E)×(at+b) E 2003.12(EU) 繰り返し同じ条件で測定 X線発生装置からのスペクトルが稼働時間の関数として変化 稼働時間 [h] 260時間使用後 ターゲット: Ag フィラメント(W)からの蒸着が原因か
相対検出効率と絶対検出効率 FI-1 BI-1 系統誤差: 5%以下 K(E) K(E) ~ 80@0.28 keV ~ 10@0.6 keV K(E) ~ 1.1@0.6 keV Best Fit Estimates HfO2 0.005mm fixed Ag 0.001mm fixed SiO2 0.000±0.0005mm Si depletion 45.7±0.7mm Constant 0.934±0.003 Best Fit Estimates SiO2 0.443±0.039mm Si 0.181±0.029mm Si3N4 0.000±0.016mm Si depletion 68.9±1.7mm Constant 0.857±0.003
XAFS のモデル化 XAFS (X-ray Absorption Fine Structure) - XANES (X-ray Absorption Near Edge Structure - EXAFS (Extended X-ray Absorption Fine Structure) X線不感層 電極 (Si) 保護膜 (SiO2) BI FI エネルギー範囲を分割 ⇒ モデルフィッティング ⇒ エネルギーの関数 ⇒ 量子効率への組み込み
XAFSの量子効率への組み込み FI-2 Si –Kedge XAFS もモデルを作成中 モデル関数 (ref. Astro-E1) Eedge = 0.532 ±0.001 keV red. c2 = 1.3178 (d.o.f. = 418) Si –Kedge XAFS もモデルを作成中
Si-Ka 吸収端付近のXAFS O-Ka edge 領域と同様にモデル化
Si-Ka 吸収端付近のXAFS Eedge = 1.840 ±0.001 keV red. c2 = 0.727 (d.o.f. = 29)
まとめと現状 2003/12-2004/09 XISカメラ(FI 4台、BI 2台、EU 1台)についてデータ取得 解析パラメータの最適化(for XIS-2号機) → 再解析 電荷転送に伴う漏れ出し(電荷転送非効率)を定量的に見積もり、補正方法を確立 - 検出X線イベント数 ~ 10-20%増加 FI, BI CCD の量子効率モデルを作成 - BI の量子効率については、再検討、再解析が必要 ← PCの量子効率の見直し、再解析 O-Kedge の XAFS をモデル化し、量子効率へ組み込み 京都大学(高エネルギー)側との整合性チェック → 応答関数の構築