Table 1. Variety of experimental conditions 19 超音波を用いた環境技術開発と評価 Evaluation and development of environmental technique using an ultrasonic wave 参加登録学生指名:半田 美沙子 (Misako Handa),田原 裕太 (Yuta Tahara) 指導担当教員名:関口 和彦 (Kazuhiko Sekiguchi) [プロジェクト概要] 超音波はその周波数を適切に選択することにより、物理的作用及び化学的作用が生じ、撹拌、反応、霧化などの機能を発現させることができる。本プロジェクトでは、この超音波を環境技術へ応用することを考え、反応活性霧による大気汚染ガスや排水の浄化、また、セルロース系バイオマスを原料に用いた新規なバイオエタノール(バイオマスエネルギー)の高効率合成手法への応用などを検討する。 [Summary of the project] An ultrasonic wave have a physical action and a chemical action by selecting the frequency appropriately. As a result, it causes some functions, such as stirring, radical reaction and atomization. In this project, we considered that a reactive ultrasonic mist generated by the ultrasonic wave applied to an environmental technique for the treatment of atmospheric pollution and waste water. And also, it applied to a new highly efficient process for bioethanol (biomass energy) synthesis from cellulosic biomass. 光触媒を併用した水中有機汚染物質のUS (超音波)分解 US(超音波)を用いた糖化プロセスの開発 セルロース系バイオマスの糖化 超音波分解実験(以降US) セルロース系バイオマスの糖化は、グルコースを生成し発酵することでガソリンの代替物質であるバイオエタノールの生産に繋がるため、現在注目を集めている。 そこで本プロジェクトでは、超音波を照射しながら固体酸などを用いたバイオマスの酸糖化を行う。 catalyst cellulose glucose 水溶液 : ベンズアルデヒド水溶液, ホルムアルデヒド水溶液 各8.2×10-4 mol/L ,180 mL 超音波 : カイジョー製TA4021, 周波数 : 200 kHz, 出力 : 200 W 水温: 25 ℃一定(水浴) 分析 : HPLC- UV (2,4-ジニトロフェニルヒドラジン溶液を加えて、12時間以上 暗中保存することで誘導体化後) Fig. 4. Saccharification reaction of a cellulosic biomass . セルロース系バイオマスの糖化反応 光触媒を併用した超音波分解実験(以降US+UV+TiO2) セルロースの硫酸糖化 上記の条件に以下の条件を追加 TiO2粉末光触媒 : 日本アエロジル製, P25 : 0.3 ~ 2 g/L 紫外線ランプ : 三共電気製, 主波長 : 365 nm, 出力 : 6.3 W 攪拌 : マグネチックスターラー (超音波照射無し(以降UV+TiO2)の条件時) 超音波 : 周波数 : 50, 200, 600 kHz 分析 : HPLC- UV (USと同様に誘導体化させ、遠心分離機で触媒を分離後) サンプリング時間は45、90、135、180分である。各サンプルを採取した後に直ちに分析を行っている。分析方法は、全糖濃度を測定するフェノール硫酸法、グルコース濃度を測定するムタロターゼGOD法、ラムノース、フコース、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース濃度が測定可能なHPLC分析の3つである。 Table 1. Variety of experimental conditions 実験条件 UV lamp Main wavelength : O2 purge Sampling port Aqueous solution Ultrasonic transducer ( 365 nm) TiO 2 powder cellulose (g) sulfuric acid (ml) acid concentration (%) temperature (℃) sonication entry 1 1.7 170 80 without US entry 2 30 Fig. 1. Schematic of sonophotocatalytic reactor . 超音波光触媒反応器の概略図 ベンズアルデヒドのUS実験結果 ・ベンズアルデヒドの分 解に伴い、ホルムアルデヒ ドとUnknown (1.7)*が中間生成物 として生成 * Unknown (1.7) : HPLC-UV にてRetention time 1.7に 検出される物質 Fig. 5. Conceptual diagrams of saccharification reaction. 糖化反応の概念図 → 今後GC-MSで定性 ・80 %硫酸を用いた場合、最終的な全糖濃度は約4 g / Lとなり、30 %硫酸の場合は約1 g / Lであった。反応系における初期気質濃度が10 g / Lであるため、収率はそれぞれ約40、10%である。従って、全糖濃度は硫酸濃度に依存することが分かる。 ・グルコース濃度を算出できるムタロターゼGOD法は、呈色反応が進行しないため、分析が不可能であった。考えられる要因は、呈色反応に用いられる酵素が、サンプル内に残存する硫酸によって死滅してしまった事が挙げられる。よって、硫酸イオンの除去が必要である。 ・中間生成物として生成したホルムアルデヒドは、親水性のため、生成しても分解され難く、長時間溶液中に残存 Fig. 2. Time dependence of aldehyde Conc. and HPLC-UV Height of Unknown (1.7) at condition of US (US : 200 kHz). アルデヒド濃度の経時変化 ベンズアルデヒドのUS+UV+TiO2実験結果 ・Unknown(1.7)の生成が抑制 ・低濃度域における、ベンズアルデヒドの分解低下が抑制 ・ホルムアルデヒドはUSより高濃度で生成し、短時間で分解 Fig. 5. Time courses of total sugar concentration. 全糖濃度の経時変化 ・ 疎水性・ 親水性の両物質が効率的に分解 ・多成分の糖の一斉分析が可能なHPLC分析では、ゴーストピークやウォーターディップが検出されるため、HPLC内のラインの洗浄及びインジェクションの洗浄を行った後に、検量線の作成を行う。 ・ベンズアルデヒドの中間体の低分子化 今後の展望 今後の展望 ・ホルムアルデヒドのUS+UV+TiO2実験を行い、触媒量による影響及び周波数による影響を調査する。 Fig. 3. Time dependence of aldehyde Conc. and HPLC-UV Height of Unknown (1.7) at condition of US+UV+TiO2(US : 200 kHz, TiO2 : 1 g/L). アルデヒド濃度の経時変化 ・サンプルの保存及び硫酸イオンを除去するために、クエンチ方法を確立する。 ・セルロースをモデル物質として使用し、超音波照射を併用した硫酸による酸糖化を行う。超音波の周波数は直接照射の20kHz、間接照射の50、200、600 kHzを使用する。