特定保健指導値の血糖100mg/dl、HbA1c5.2以上適用後のインスリン測定の意義 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック 半村 亜由美 大前 利道 大前 由美 沼本 美由紀 田村 美香子 村山 利恵子 佐藤 由紀子
目的 インスリン測定をしている受検者と空 腹時血糖・HbA1cのみを測定して いる受検者群の間に糖尿病の早期発見 目的 インスリン測定をしている受検者と空 腹時血糖・HbA1cのみを測定して いる受検者群の間に糖尿病の早期発見 につながる有効性はあるのかを検証す ること。
対象者⇒10,916名(人間ドック・ 健康診断・特定健診受検者) A群 空腹時血糖測定者 10,711名 (うちHbA1c同時測定者 7,952名) B群 インスリン・血糖 HbA1c測定者 205名 (うちOGTT実施者 114名) 目的は、インスリン測定をしている受検者と空腹時血糖・HbA1cのみを測定している受検者群の間に、糖尿病の早期発見につながる有効性はあるのかを検証することです。 対象期間は、平成20年4月1日から1年間の人間ドック、健康診断、特定健診受検者 10,916名を対象(205名は採血なし)とし、空腹時血糖測定者 10,711名 うちHbA1c同時測定者 7,952名をA群 インスリン、血糖、HbA1c測定者205名 うちOGTT実施者 114名をB群に分け調査しました。
A群 (2760名) 空腹時血糖値のみ測定者 方法は、まずA群からFPG100mg/dl以上とFPG100mg/dl未満のケースに分けて表にし円グラフを作りました。
① ② FPGのみ測定した受検者が2760名いその中の18.2%がFPG100mg/dlでした。
A群 (7949名) 血糖値とHbA1c測定者 こちらの表は、FPGとHbA1cを測定した受検者7949名の一覧です。
① ② ③ ④ 今の表を元に円グラフを作成しました。 ①はFPG100mg/dl以上、HbA1c5.2以上 13.88% ①はFPG100mg/dl以上、HbA1c5.2以上 13.88% ②はFPG100mg/dl未満、HbA1c5.2以上 13.25% ③はFPG100mg/dl以上、HbA1c5.2未満 8.21% ④はFPG100mg/dl未満、HbA1c5.2未満 64.66%
B群 (90名) FPG・インスリン・HbA1c測定者 B群 (90名) FPG・インスリン・HbA1c測定者 B群のケースのうち、FPGとインスリンとHbA1cを測定した受検者90名の表です。HOMA-R(インスリン抵抗性の指標)も計算し2.5以上と以下で分けました。
いまの表を円グラフにしました。①から④の分類は前の円グラフと同じ分類です。 そのうちの赤○が、それぞれの分類の中のHOMA-R2.5以上の受検者のパーセントです。
B群 (114名) FPG・HbA1c・糖負荷試験実施者 B群 (114名) FPG・HbA1c・糖負荷試験実施者 この表はB群のFPGとHbA1Cと糖負荷試験実施者114名の表です。
①から④の分類は同じです。 そのなかでも赤○はHOMA-R2.5以上かつインスリン分泌指数0.4未満のパーセントです。 ④のFPGとHBA1Cの基準値に該当しない受検者62.3%中にインスリン分泌指数が0.4未満で初期分泌低下のある受検者が12,2%(14名)見つかりました。
B群の該当しない 12.2% (14名) インスリン初期分泌低下 今後糖尿病に移行する 可能性が高い! B群の該当しない 12.2% (14名) インスリン初期分泌低下 今後糖尿病に移行する 可能性が高い! B群の12.2%の14名はインスリン抵抗性が高く、インスリン初期分泌低下がみられることから、今後糖尿病に移行する可能性が高いことが考えられます。 この14名中で糖尿病歴がある受検者は1名だけでした。
約1285名にも糖尿病予備軍の可能性が考えられる?! ということは・・・ A群ー10,711名中12.2% 約1285名にも糖尿病予備軍の可能性が考えられる?! A群もB群も当院全受験者数の一部であり、インスリンを測定すること以外では作為的に抽出したものではありません。 A群の10,711名の中でも12,2%の約1300名は、糖尿病予備軍の可能性が考えられ、超早期発見による生活指導が行えますが、、、。 2007年の特定保健指導の数値改定によって糖尿病既往歴のない受検者も多く該当するようになりました。
A群 21.5%増 FPG110mg/dl以上 FPG100mg/dl以上 A群の受検者を数値改定前のFPG110以上と改定後の100以上で分けたグラフです。 濃い色の糖尿病治療歴のない受検者の数が21.5%(約2249名)の増加になりました。 FPG110mg/dl以上 FPG100mg/dl以上
B群 13.9%増 FPG110mg/dl以上 FPG100mg/dl以上 B群の受検者もA群同様に特定健診数値改定前と後で分けました。 数値改定後は糖尿病既往歴なしの受検者が13.9%(約26名)増加しました。 FPG110mg/dl以上 FPG100mg/dl以上
境界型糖尿病の早期発見に! インスリン測定の導入 特定保健指導の数値改定 糖尿病発症前の早期発見率増加 インスリン測定の必要性は低い 2007年の特定保健指導にてあらたに空腹時血糖とHbA1c値が改正されたことで、インスリン値を測定しなくても1年後・2年後の糖尿病発症前に発見される人数が増え、糖尿病予備軍を見つけるに十分な数値であると考えられます。また、インスリン検査の費用対効果を見ても、 一次健診でのメリットは少ないと考えられます。
結語 特定保健指導が始まる前に、以前当院 では空腹時血糖だけでなくインスリン値 を測定することでより多くの境界型糖尿 病を見つけられるのではと考え、インス リン値測定の導入をしてきたが、上記の ことからインスリン値測定の必要性は低 いといえることが分かった。 特定保健指導が始まる前に、以前当院では空腹時血糖だけでなくインスリン値を測定することでより多くの境界型糖尿病を見つけられるのではと考え、 インスリン値測定の導入をしてきましたが、上記のことからインスリン値測定の必要性は低いといえることが分かりました。