地域緩和ケア推進のための 情報共有ツールの開発と運用

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1 STAS-J 導入プロセスと 看護師への影響 宮城千秋(沖縄県立精和病院) 神里みどり(沖縄県立看護 大学)
ブルーカードシステムの導入の背景 日田市では医師会を中心に在宅医療連携事業に取り組んで いるが、訪問診療医師の不足やバックアップ病院の未整備 などのため、その目的は達成されていない。 今回在宅患者の情報をクラウド化し、急変時スムーズに救 急病院へ搬送できるような IT 連携ツールとして 「ブルーカードシステム」を導入することを計画した。
社団法人鶴岡地区医師会副会長 三原一郎.  A会員:86名 B会員:99名 準会員:6名  医療機関数 95 (診療所:87 病院:8)  中核病院:市立荘内病院  健康管理センター(健診、臨床検査)、在宅サービスセン ター(訪問看護・訪問リハビリ、訪問入浴)、ケアプランセン ター、地域包括支援センター、准看護学院、湯田川温泉リハ.
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アンケート② 病棟体制.
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資料②-1 資料3 在宅医療を支える   後方支援体制について 地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 地域医療連携室長  中西 賢.
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背景:在宅医療の現状と意義 入院・外来に次ぐ『第三の診療体系』として 入院 外来 在宅 意義 ・多様化する病態や『生き方』への対応
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入退院時の多職種連携 医療機関の立場から 安佐北区介護支援専門員連絡協議会 定例研修会 2019年1月16日(水)
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在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
私のカルテ 発熱性好中球減少に対する予防的G-CSF製剤使用のための地域連携パス(通称:G連携)
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地域緩和ケア推進のための 情報共有ツールの開発と運用 第14回日本緩和医療学会学術大会 地域緩和ケア推進のための 情報共有ツールの開発と運用 OPTIM study鶴岡

背景 実際の在宅緩和ケアの症例を通して、 情報共有ツールの有用性を紹介。 地域的背景 研究背景 人口約16万人、面積1324平方キロ 地区内の医療機関 一般病院:4 診療所:91 中核病院:市立荘内病院(520床) 4年前より院内緩和ケアチームが始動 2008年4月より緩和ケア外来を開設 研究背景 2008年4月より、OPTIM介入地域としての活動開始 地域緩和ケアを進める上での、組織を越えた他職種のコミュ ニケーションと情報共有の必要性 もともと当該地区に存在した地域医療連携ツール「Net4U」 の有効活用 ITが在宅緩和ケアの普及、向上に寄与しえるのか、 実証することが、また、寄与できるのであれば、 それを進めるための提言すること、当地区での責務ではないかと 実際の在宅緩和ケアの症例を通して、 情報共有ツールの有用性を紹介。

地域の様々な医療者が患者情報を共有できるツール 地域医療連携ツール「Net4U」のしくみ 医師会データセンター 荘内病院 (中核病院) 鶴岡地区医師会立 健康管理センター 専用線LAN 検査結果 健診検査サーバー 訪問看護サーバー 専用線WAN Net4Uサーバー 診療情報 民間検査機関 検査結果 インターネットVPN 診療情報 診療情報 診療情報 回復期病院維持期施設 かかりつけ医 在宅医療訪問看護 訪問看護    ステーション セキュリティの保たれたネットワーク上で 地域の様々な医療者が患者情報を共有できるツール

Net4Uを活用した事例紹介(42歳・女性) Net4Uへ記載開始 平成20年6月: 腰痛出現(腰痛圧迫骨折) 平成20年6月: 腰痛出現(腰痛圧迫骨折) 平成20年8月: MRIにて多発性転移性骨腫瘍の診断 (原発不明) 平成20年9月: 荘内病院内科入院、高Ca血症是正や 疼痛コントロールを主体に治療 平成20年12月25日:在宅へ移行 Net4Uへ記載開始

Net4Uの登録は荘内病院地域医療連携室が行う。 荘内病院から在宅主治医へ紹介状を送ることで、カルテの共有が開始される。

退院時にはPDF化した退院カンファレンスシートを添付。

紹介状機能を使った、在宅主治医から、病院内科主治医への問い合わせ 在宅主治医が、病院主治医へ病態について問いあい合わせをしている

病院の内科主治医から在宅主治医への回答。 このように、時間的、空間的の制限なく、問い合わせができることは、在宅主治医の安心感につながる このようなことは、この症例の経過の中で、なんどか行われた

在宅主治医から訪問看護ステーションへ指示書の発行。 訪問看護指示書を訪問看護STへ送信。これ以降、訪問看護師もカルテ共有可能となる。 転記されるので、簡便に作成可能

訪問看護師は、訪問時の所見を記載。

在宅連携医へ不在時の対応を依頼。 在宅連携医が了解すると、カルテが共有できるようになる。

カルテ右欄には投薬内容を記載し、情報を共有できる。 診療所から検査センターに依頼した検査データは、自動的にカルテに添付され、時系列で表示される。 このような在宅主治医が作成した表もPDF化することで、どんなドキュメントもカルテ上で共有することができる。

在宅移行後の経過 12月25日 :退院在宅へ 1月5日 :訪問看護開始 2月5日 :訪問リハ開始 3月 2~4日 :レスパイト入院 12月25日 :退院在宅へ 1月5日 :訪問看護開始 2月5日 :訪問リハ開始 3月 2~4日 :レスパイト入院 3月24日 :病院PCT往診 4月 1~11日 :検査入院 5月27日 :症状悪化にて入院 6月9日 :最期は在宅で迎えたいと退院 6月11日 :在宅で死亡 経過を示すが、2回の入院を経ながら、症状は徐々に悪化、 5月末より在宅でのコントロールが不可となり入院となるも 症状は急速に悪化、家族の最期は在宅でという希望を叶えるため在宅へ 患者家族は、大変満足していた。

「Net4U」共有カルテへの記載数 (12月25日~6月11日) 病院内科主治医(1名) :4件 病院PCT(4名) :17件 在宅主治医(1名) :50件 訪問看護師(3名) :40件 訪問リハ(2名) :13件 述べ記載数 :119件 延べ記載者 :11名

ツール利用者の声~在宅主治医~ 自分には緩和ケアに関するスキルもノウハウも なかったが、「Net4U」があればいつでも相談 できるということで、在宅主治医を引き受ける ことができた。これがなければ不可能だった。 「Net4U」上で様々な相談ができたことで、病 院の主治医、PCTと離れない関係で診療ができ た。 単なる専門家ではなく、病院で診てくれていた 人に訊けるというのは、内容の充実度が違う。

ツール利用者の声~病院PCT医師~ 退院後、その患者さんがどうしているか、誰で も知りたいと思う。 時間がある夜間などに「Net4U」を覗いて、 「輸液が多いんじゃないか」とか、気づいたこ とを書き始めたら、在宅主治医や訪問看護師か らいろいろな質問がきて、よく答えていた。 メールだと一人一人に伝えなければいけないが、 関わっている人(在宅主治医、訪問看護師、 等)皆が見てくれるのが、便利だった。

ツール利用者の声~訪問看護師~ 「Net4U」に病院医師の治療方針が明確に示さ れており、それを受けて在宅主治医から指示が 出ていたので、指示の意図がよく理解でき、ケ アに生かすことができた。 すべてが書かれてたので、ステーション内の情 報共有ができ、他のナースが緊急時に対応する 際も安心だった。 ただ記録が二重になってしまうという負担はあ る。

ツール利用者の声~訪問リハビリ~ 「Net4U」のおかげでPCT医師や病院主治医、 在宅主治医と直接連絡をとりながら、情報を共 有してリハビリを提供することができ、非常に 良かった。これまでは、病院の医師と直接話す 機会はなかった。 私たちが病院に電話をかけて忙しい先生に質問 はできないけれど、「Net4U」に書き込むこと で先生達が時間があるときに直接答えをくれた。 心強くて、本当に助かった。

まとめ 組織を越えて多くの職種が関わる在宅緩和ケア にITツールが果たす効果が示された。 特に、比較的経験の少ない在宅主治医・コメ ディカルにとって、病院主治医や緩和ケア専門 医と絶え間なく密に情報共有できることが、安 心感につながっていた。 今後の課題 利便性、有用性のさらなる検証 Net4U利用者の拡大 在宅主治医 ケアマネ等介護職、調剤薬局への展開 多職種によるチーム医療に有効 病院主治医、専門緩和ケア医とつながることでの安心感 在宅主治医の支援するめたのツールとして有用