第31回鳥人間コンテスト 機体諸元解析
《始めたきっかけ》 私が鳥コンに関わるようになったのは、1980年代に学生チームとして設計・製作に没頭したことがきっかけです。プロペラ機が出場し始めた頃です。 その頃から他チームの諸元が気になってはいたものの、時間に余裕がなく次年度設計への引継ぎにデータベースでの比較解析が出来なかった反省がありました。 OBとなってからも琵琶湖現地での応援はしていたが、参加者とは一線はなれた立場になってこの反省を思い出し諸元を集めるようになったというのがいきさつです。 《興味本位》 最初は自分が興味ある最小限のパラメータしか集めていませんでした。その段階では、上位の記録を残すチームとそれ以外のチームに諸元的な傾向は見出せませんでした。 今振り返ると、海外の世界記録保持機のままでなく鳥コン大会特有の一発勝負でプラットホームから飛び出し風の定まらない琵琶湖を駆け抜けるのに最適な諸元を探っている時代だったのかなと解釈しています。 機体諸元収集は、年々 手探りでパラメータを増やし数値表だけからグラフでの可視化+ゾーン分け+解析を追加しWEB上で公開するようになると、(2ちゃんねるでもたまに話題になっていたようで) 良く飛ぶチームの機体諸元は次第にピンポイントに集約していくようになりました。(手前味噌っていうのはわかってます!) 《空力諸元以外も》 収集パラメータを増加させていくうち機体諸元は似通っているのに記録を残せるチームとそうでないチームの違いは何かということを見付け出したいと思い始めました。 有力な学生チームへの訪問などを繰り返すうち、現在明確になりつつあるのは試験飛行での仕上がり状態が記録を左右するといったことが要因のひとつとして挙げられるのかなと思っています。 そういった意味で後半のグラフは、空力設計とはかけ離れたものになっていますが、最近時の傾向を良く表していると自負しています。 《2つの部門=DSTとTTの比較》 去年はデータ収集さぼったので、部門比較データがまとまるのは今年が初。期待していてください。 《謝辞》 機体諸元収集にご協力して頂いたチームの皆様本当に有難うございました。 今年の大会を振り返り、結果解析に活用したり来年度のコンセプト構築や設計に役立つことを望むばかりです。 尚、追加で集めてほしいパラメータなどありましたら作成者までフィードバックして下さい。 来年以降も機体諸元収集活動を続けるつもりですのでその節はよろしくお願いします。
《グラフの読み方》 ○横軸は、翼幅。 単位;m 縦軸は、機体重量 単位;kg ○実線範囲は、上位記録を残したチームが集中しているエリア ○マークは、 DST部門を ○印と□印 上位を□印(1km以上) TT部門を △印と◇印 上位を△印(3位以上) 以降のページ間でも統一 ○右の凡例は、 上からDST部門のフライト順 下半分がTT部門。 《グラフからわかったこと》 ●右下にいくほど 設計・製作技術が上のチーム。東北大、日大が好バランス ●トレンド ; スパンは、DST部門は、30m前後。TT部門は、24m前後。 ●傾向 ; 少しづつ大型化しているが上位チームはほとんど変えていない。 ●去年(06年)からTT部門に参加していたチームは、すでにトレンドを確立しつつある。 ●DST部門とTT部門の違い ; TT部門は若干スパン短め(6~8m)、旋回+高速化を考慮した結果が現れている
《グラフの読み方》 ○横軸は、翼面積 ;m^2 縦軸は、機体重量 ;kg ○実線範囲は、上位記録を残したチームが集中しているエリア 《グラフからわかったこと》 ●右下にいくほど 設計・製作技術が上のチーム。東北大、日大が好バランス ●トレンド ; 面積は、DST部門は、28m^2前後。TT部門は、19m^2前後。 ●傾向 ; DST部門の上位チームはほとんど変えていない。 ●去年(06年)からTT部門に参加していたチームは、すでにトレンドを確立しつつある。 ●DST部門とTT部門の違い ; TT部門は若干面積小さめ。高速化を考慮した結果が現れている。
《グラフの読み方》 ○横軸は、アスペクトレシオ 縦軸は、翼面荷重 ;kg/m^2 ○実線範囲は、上位記録を残したチームが集中しているエリア 《グラフからわかったこと》 ●左上にいくほど 操縦性が良好といえる。府立大が突出。 ●トレンド ; 翼面荷重は、DST部門は、3.3前後。TT部門は、4.5以上 ●傾向 ; DST部門の上位チームはほとんど変えていない。 ●TT部門は、前出のグラフよりはトレンド的な固まりは緩やか。まだまだ最適解を探っている時代と受け取れる。 ●DST部門とTT部門の違い ; TT部門は翼面荷重が大きめ。高速化を考慮した結果が現れている。 ; アスペクトレシオも旋回を考慮して、小さめな値となっている。
芝浦工大は、 スケール外=8.5/640W
《グラフの読み方》 ○横軸は、飛行速度 ;m/s 縦軸は、翼面荷重 ;w ○実線範囲は、上位記録を残したチームが集中しているエリア 《グラフからわかったこと》 ●右下にいくほど 長距離記録が狙える設計だといえる。 ●トレンド ; 飛行速度は、DST部門は、7.3前後。TT部門は、8.7以上 ●傾向 ; DST部門の上位チームはほとんど変えていない。 ●去年(06年)からTT部門に参加していたチームは、すでにトレンドを確立しつつある。 ●DST部門とTT部門の違い ; 設計速度の高速化はもちろんだが、エンジン=パイロットの持続可能な出力を考慮した結果から必要馬力のトレンドが現れてきつつある。
《グラフの読み方》 ○横軸は、試験飛行延べ距離 ; km 縦軸は、大会記録 ;m ○TT部門は正確な飛距離が不明なため仮計算で入力 府立大は、完走=2100m 首都大は、折り返しまで =1100m 他チームは、飛行時間X設計飛行速度で算出。 《グラフからわかったこと》 ●試験飛行延べ距離が多いほど上位に入れる 好記録を残している といえる。 ●試験飛行をほとんど実施していないチームは、100m以下=ほぼドボン!しか期待できない。 すなわち、ここから抜け出せるかどうかが今後のチーム実力の分かれ目ともいえる。 ●試験飛行実績は府立大と日大が圧倒的。しかしながら上位を狙おうとするチームのギャンブル性が如実に 現れる31回大会であったと感じた。
《グラフの読み方》 ○横軸は、仕上りレベル 但し、自己申告 ○TT部門は正確な飛距離が不明なため仮計算で入力 府立大は、完走=2100m 首都大は、折り返しまで =1100m 他チームは、飛行時間X設計飛行速度で算出。 《グラフからわかったこと》 ●試験飛行での仕上りレベルが高いほど上位に入れるといえる。 ●浮くことすら確認出来ていないチームは、100m以下=ほぼドボン!しか期待できない。 浮くだけでもまだ1000mは超えられない。 真っ直ぐ飛ぶ=前後左右の釣り合いが取れるレベルまで 仕上げて琵琶湖当日を迎えれば、1000m超えが見えてくる。 ●仕上りレベルを各チームに聞き取りで自己申告してもらったが、客観的に仕上りレベルを評価できるようになると チーム力の向上に繋がると感じた。