大阪府石油コンビナート等地域 地震・津波被害想定調査業務 資料-6 大阪府石油コンビナート等地域 地震・津波被害想定調査業務 大阪府政策企画部危機管理室保安対策課 1
業務の目的 大阪府石油コンビナート等防災本部 における検討支援 ◆ 南海トラフで発生する 巨大地震・津波による被害想定 巨大地震・津波による被害想定 ○ 屋外タンクの津波被害シミュレーションの実施 ○過去に発生した地震・津波による被害情報の整理 ◆ 被害想定を踏まえた減災対策案の作成 ○ 津波災害の予防 ・ 軽減策 ○ 応急活動の充実 など 大阪府石油コンビナート等防災本部 における検討支援 2
調査手法 1 過去の被害事例調査 2 アンケート調査(基礎データの収集) 3 シミュレーション調査 1 過去の被害事例調査 ⇒ 東日本大震災等の過去に発生した地震・津波による被害事例から 調査対象地域ごとの防災対策をとりまとめる 2 アンケート調査(基礎データの収集) ◆ 対象: 浸水地域の『石油類屋外貯蔵タンク 』、 『可燃性高圧ガス球形タンク』 ◆ 項目: タンクの配置図、貯蔵量 など 3 シミュレーション調査 ① 浸水範囲のマップ化 ⇒ 地震動・津波浸水予測データ (浸水深さ、流速) 等は別途委託調査より入手 ② 石油タンクの津波被害シミュレーション ⇒ 「屋外貯蔵タンクの津波被害シミュレーション」(消防庁)により予測 別途、実施する「大阪府地震津波浸水想定検討委託」で津波伝播シミュレーションによる浸水結果 3
1 過去の被害事例調査 ■ 【地震】による事故事例 タンク火災 船舶バースの破損 4 1 過去の被害事例調査 ■ 【地震】による事故事例 タンク火災 船舶バースの破損 LPG(液化石油ガス)タンクが爆発炎上したコスモ石油千葉製油所(千葉県市原市) 当時、タンクには検査のためLPGの2倍の重さがある水が充填され、地震で想定を超える負荷が支柱にかかり、倒れたとみている。 検査を終えたタンクにLPGを充填する際、空気が入らないように水で満たしていた。まず、水を満たしていた1基が倒れ、近くの配管が破損して漏れ出たLPGに引火。最終的にタンク17基が爆発または炎上した。鎮火は発生から11日目の3月21日 4 4
1 過去の被害事例調査 ■ 【地震】による事故事例 配管の折れ曲がり 防油堤の損傷 5 5
1 過去の被害事例調査 ■ 【津波】による事故事例 漂流物の漂着による施設破損 タンクの倒壊・流出 6 6
危険物施設のマップ化・浸水深さと貯蔵量との関係を整理 2 アンケート調査(基礎データの収集) ■ 事業所へのアンケート調査により被害想定対象施設を把握 ◆ 屋外貯蔵タンク(石油類) ●対象:浸水地域内事業所 (特防区域+一般地域) 【約50事業所 ・約1100基】 ●項目:タンクの配置図・許可容量・内径・自重 実液比重 管理上の上限量・下限量 防油堤の構造 ⇒ 危険物施設マップ、被害想定シミュレーションマップの作成 ◆ 高圧ガス球形タンク(可燃性) 【約10事業所 ・約90基】 ●項目:タンクの配置図・貯蔵量 ⇒ 危険物施設マップの作成 危険物施設のマップ化・浸水深さと貯蔵量との関係を整理 7
3 シミュレーション調査 タンクの被害分類 タンク移動の有無による危険物流出量 8 消防庁アンケート 3 シミュレーション調査 消防庁アンケート 「調査津波による屋外貯蔵タンク及び配管の被害分析」 ①浮き上がり ②滑動 ③転倒 タンクの被害分類 タンク移動の有無による危険物流出量 タンク移動が無い場合の 多くは「配管」から流出 8 タンク本体の移動の有無による危険物流出量について容量別に整理した。 なお、当該62 基中タンクの移動があったものの 基数は22 基、移動がなかったものの基数は40 基・タンクの移動を伴う危険物流出事例は22 基で確認されている。危険物流出 量の合計は14,438kl であり、危険物総流出量の約31.4%を占める。なお、 10,000kl 以上のタンクにおいて、タンクの移動を伴う危険物流出事例はな い。 ・タンクの移動を伴わない危険物流出事故の多くは、配管からタンク内の危 険物が流出した事例である。特に、容量が500kl 以上のタンクにおける事 例は全て配管を通じてタンク内の危険物が流出したものである。
3 シミュレーション調査 津波による石油タンクの被害予測 9
屋外貯蔵タンク 津波被害シミュレーションツール 3 シミュレーション調査 屋外貯蔵タンク 津波被害シミュレーションツール (消防庁 H24年7月) ■入力データ項目 ・ 許可容量 ・ タンク内径 ・ タンク自重 ・ 内容物の実液比重 ・ 被災時貯蔵量 ・ 津波浸水深 ・ 津波流速 ■出力データ項目 ・ 浮き上がり安全率 ・ 滑動安全率 ・ 津波水平力 ・ 津波鉛直力 ・ 水平抵抗力 ・ 鉛直荷重 10
浮き上がり安全率=1になる津波浸水深(m) 3 シミュレーション調査(浮き上がり) 浮き上がり安全率=1になる津波浸水深(m) 貯蔵率(%) 津波浸水深(m) タンク許可容量 2804(kl) タンク内径17.045(m) 津波の流速が速い場合 津波の流速が標準的な場合 浮き上がり 11
3 シミュレーション調査(滑動) 滑動安全率=1になる津波浸水深(m) 滑 動 貯蔵率(%) 津波浸水深(m) 12 津波の流速が速い場合 3 シミュレーション調査(滑動) 滑動安全率=1になる津波浸水深(m) タンク許可容量 2804(kl) タンク内径17.045(m) 津波の流速が速い場合 津波の流速が標準的な場合 貯蔵率(%) 滑 動 津波浸水深(m) 12
危険物貯蔵量実態調査の活用例 貯蔵量マップで危険区域を特定することで 事前対策を講じることに繋げる ◆ 危険物施設の被害に係る空間情報を提供 ◇ 津波浸水発生時の状況予測、危険性の認識、 対応の想定を事前に行う 貯蔵量マップで危険区域を特定することで ◇ 油火災の漂流による延焼のおそれ ◇ 避難経路・一時避難場所の優先順位づけ 等 事前対策を講じることに繋げる ◆ より安全な避難手段の確保 ◆ 二次的被害の未然防止 ◆ 救助活動方針の策定(泡放射システム配備等) ◆ 事業所への指導(緊急遮断弁の設置等) 津波火災による類焼 指定避難場所であった大槌小学校 類焼により再避難 13
防災対策のとりまとめ 今回得られた 被害想定調査結果 過去の被害事例 大阪府石油コンビナート等 防災本部における検討支援 ◆ 浸水範囲の想定 今回得られた 被害想定調査結果 ◆ 浸水範囲の想定 ◆ 石油タンクの被害シミュレーション結果 ◆ 調査対象地域の危険物施設の被害整理 大阪府石油コンビナート等 防災本部における検討支援 ■ ハード面の対策案 ・ 危険物施設の改修 ・ 緊急停止手順の確立 ・ 被害軽減策の実施 ■ ソフト面の対策案 地域の危険性を踏まえた ・避難方法 ・防災対策 ・一般地域への影響 など 過去の被害事例 ◆ 東日本大震災等の被害事例 危険物の大量流出を防止することを目的とした場合、緊急しゃ断弁の設置は一定の効果があるものと考えられる。一方、今回の被災事例において常用及び非常用の電源を喪失したことから緊急しゃ断弁の閉止が遠隔操作にて行えなかったなどの課題も抽出されている。緊急しゃ断弁の設置が必要と考えられる屋外貯蔵タンクの範囲、緊急しゃ断弁の予備動力源のあるべき姿について検討する必要があるのではないか。 今回受けたような津波に対し、個別の屋外貯蔵タンクにおける対策により津波による被害を軽減することには限界がある。津波によるタンクの移動についても、これを全くゼロにする対策は難しい。そうした中で、津波によりタンクが移動する条件について事前に検討しておくことは、様々な対策を立案する上において有効な情報になると考える。津波によるタンクの被害評価ツールの構築を考えた場合、考慮すべき点について検討する必要があるのではないか。 14