イノベーションケーススタディ: (レジリエンス工学特別演習) 工学系研究科 技術経営戦略学専攻教授 元橋一之 http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp/
科目の目的 コースの目的 イノベーションマネジメントとは? リスク対応・レジリエンスの重要性 最終レポートの課題
ビジネスの世界 唯一確かなのは、確実なものはないということである。 意思決定においては確率についてよく考えるべきである。 不確実であるにも関わらず、我々は行動しなければならない。 意思決定を評価するには、結果だけでなく、その過程も考慮すべきである。 (ロバート・ルービン元財務長官)
ビジネスと工学的思考 「工学や数学で培った分析的な考え方は企業のトップに求められる資質として非常にプラスです。工学や数学では常にある仮説を立て、それが正しいことを証明しなければなりませんが、その思考がビジネスにも生きています。」 (ラマニ・アイアー氏:ハートフォード生命保険CEO)
コースの目的 イノベーションマネジメントに対する実体験 「ビジネスは不確実であること」の体験(理論と現実の乖離、想定外の事態…) 企業の経営戦略立案:ATカーニー 金融・ファイナンス:三菱UFJ信託 グローバルインフラビジネス:JIC(JR東日本) 技術取引サービス:ナインシグマ 「ビジネスは不確実であること」の体験(理論と現実の乖離、想定外の事態…) 一方で、「不確実性」をそのままに留めない。意思決定のプロセスについて考察を深める。
シャープの株価推移
シャープの決断(堺工場) 2007年7月プレス発表(シャープ片山社長・当時) 同社の建設するのは、世界初となる第10世代の液晶パネル工場と太陽電池工場。いずれも2010年3月の稼働を目指す。敷地面積は最大約127万m2と、同社の三重・亀山工場の4倍程度になる見通し。 巨額の投資を行うことについて、有機ELなど新しい技術の攻勢に対するリスクヘッジはどう考えているか、との質問には、「液晶技術が今のまま止まるつもりは全くない。これからも技術革新を行い、真の壁掛けテレビを目指していく」と回答。液晶テレビの将来的な優位性に自信を示した。
液晶テレビ価格推移 日経新聞2012年4月15日
リーマンショック後の世界経済
グローバルインフラ戦略研究PJ 中国水ビジネス 台湾高速鉄道 ニムラナ 工業団地 ソーラー IPP インド道路PPP バンコク郊外高速道路 デリー メトロ ダウェイプロジェクト タイ高速鉄道プロジェクト
バンコク高速道路プロジェクトの組織 工学部システム創成学科:伊藤薫氏卒論より
現実として何が起きたか?
不確実性とリスクの違い 未知 予見性小 確率分布 既知 予見性大 (リスク) 頻度少 頻度多 政治リスク クーデター 行政リスク 土地収用 案件認可 商業リスク乗客数 等 自然災害リスク 技術リスク (工事・オペレーション) 確率分布 マクロ経済要素 為替レート・インフレ率 等 既知 予見性大 (リスク) 頻度少 頻度多
不確実性とその影響度 事前対策 事後対応性 レジリエンス リスク評価 複雑性 モデル システムアプローチ 影響度・明確 影響度・不明確 (予見性大) 商業リスクや経済リスクなどがインフラプロジェクトに与える影響 為替レートの変化が日本経済に及ぼす影響 不確実性 (予見性小) 政治的リスク・行政リスクがインフラプロジェクトに与える影響 政権交代とエネルギー政策の変化 事前対策 事後対応性 レジリエンス リスク評価 モデル 複雑性 システムアプローチ
コースの概要 企業からのプレゼン+演習の2回ワンセット グループ分けを行うため事前登録:4月8日(金)までに、TA・毛君まで ATカーニー(コンサル):企業経営環境リスク ナインシグマ(技術仲介業):技術経営リスク 三菱東京UFJ信託:金融リスク 味の素(BOPビジネス):国際化リスク グループ分けを行うため事前登録:4月8日(金)までに、TA・毛君まで
次回に向けた課題 ATカーニー、山本講師から以下の課題の提示あり。 課題1: 「経営」とは何か。自分の言葉で定義してください 課題2: 今後10年間で、日本の企業が大きな影響を受ける事が予想される環境変化を3つ挙げてください
最終レポートの課題 授業で取り上げられた事例の一つを取り上げて A4:1ページでまとめて7月15日中に提出すること(TA:毛君あて) ビジネスにおけるリスクファクター(不確実性)の抽出 そのリスクがビジネスの成否に与える影響について「不確実性とその影響度」マトリックスの4象限のどこにあたるか? その上でどのような対策が有効と考えるか A4:1ページでまとめて7月15日中に提出すること(TA:毛君あて)