河川を用いたモーダルシフトに関する考察 流通情報工学科 高野 智貴

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河川を用いたモーダルシフトに関する考察 流通情報工学科 0423060 高野 智貴 0423060 高野 智貴 流通情報工学科の高野智貴です。今から、河川を用いたモーダルシフトに関する考察について発表を行いたいと思います。

モーダルシフト 貨物輸送量の分担率でみると、自動車の分担率は1990年の50%から増加しており、逆に鉄道、船舶の分担率は合計して1990年の43%から減少している。 近年、地球温暖化が問題となっており、物流部門ではCO2排出量削減対策としてモーダルシフトの推進が呼ばれています。モーダルシフトとは貨物輸送をトラックから鉄道・船舶に切り替えることをいい、物流部門の地球温暖化対策のひとつです。モーダルシフトの進み具合を示す指標としてはモーダルシフト化率があります。モーダルシフト化率は2010年までに50%を目標としていますが、現状では40.4%と低い数字です。また、図から貨物輸送の分担率を見ますと、自動車の輸送量は1990年の50%から増加しているのに対し、逆に鉄道、船舶の輸送量は1990年の43%から減少しており、現状ではモーダルシフトは進んでいるとはいえない状況です。 近年、地球温暖化が問題となっており、物流部門ではCO2排出量削減対策としてモーダルシフトの推進が呼ばれている。 しかし、モーダルシフト化率は平成16年度では40.4%と平成22年度の目標値50%に比べ低いままである。 また貨物輸送量の分担率でみると、自動車の輸送量は増加せず、逆に鉄道、船舶の輸送量は減少しており、モーダルシフトは進んでいない。

輸送距離帯別輸送量 (トン/年)(平成15年~17年の平均) 近距離輸送 100km未満 77% 輸送距離帯別輸送量 (トン/年)(平成15年~17年の平均) 国土交通省 総合政策局情報管理部情報安全・調査課交通統計室 貨物旅客地域流動調査 

河川  本研究では短距離のモーダルシフトの方法として河川輸送を考えます。理由は河川は短距離輸送の多い都市圏内にあること。物流の発生量が多い地域が河川に近いことです。本研究では関東圏を対象として荒川、江戸川、墨田川で河川輸送が可能だと考えます。また、河川輸送で使用する船舶は河川通行が可能な艀、台船を考えます。河川で荷役を行うための港としてリバーステーションを考えます。

目的 本研究では河川を用いたモーダルシフトの可能性について考察することを目的とする。 また、費用、時間の要素を変化させ、どの要素がモーダルシフトを行うとき重要かを検討する。

ネットワーク図  本研究で使用するネットワークについて説明します。貨物ネットワークは、荷主や交差点、港を表すノードが全部で約550個、そして一般高速道路、水路を表すリンクが全部で1450個となる。  ノードの種類は道路の交差点、高速道路のIC、JCT(ジャンクション)、水路では港、港の沖や河口などの分岐点、荷役の発着点が挙げられる。ノードの色は黒色は道路の交差点、茶色は高速道路のIC、JCTを青丸は港を、緑丸は水路の分岐点を、赤丸が発着点を表します。  リンクの種類は道路、高速道路、水路があります。道路は黒色、高速道路はオレンジ色、水路は青色で分けてあり、荷役の発着点、IC、港湾などつながる道路はそれぞれ赤色、黄色、紫で分けてあります。荷役のリンクはここでは表記しませんが港のノードに含まれます。  道路、高速道路のノード、リンクについては橋などの交わっているが実際には行き来が不可能な場合ノードではなく、リンクの交わりとして表現されます。水路のノード、リンクについては港湾の船舶の通行は小型、雑種船については特に航路は定まっていないのでそれぞれの港沖、河口からほかのすべての港沖、河口までリンクを引いてあります。港はノードですがここに荷役を表現するリンクが含まれます、港としては河川ではリバーステーション、臨海部では公共埠頭を考えます。発着地は本来は工場、倉庫などが当たりますが、本研究では貨物輸送のODデータが市区単位でしか取得できなかったので、各市区の役所を考えることとします。

計算モデル 高速道路 IC IC 道路 道路 道路 発地 交差点 交差点 着地 水路 港 港 港 港

犠牲量モデル  犠牲量モデルは交通機関別交通量を推定される際に用いられるモデルで、利用者は犠牲量が最小になる交通機関を選択するというものです。主たる要因として費用と所要時間があります。  犠牲量は貨物を運ぶときに必要となる費用と、必要となる時間に時間価値をかけた数字から計算されます。本研究では費用は物流センサスからトンキロ当たりの費用を輸送機関別、品目別に求め、各リンクの距離とかけることにより求めます。時間は各リンクの自動車の平均速度を求め、各リンクの距離を速度で割ることで求めます。時間価値は過去の研究室の論文「時間価値分布による船舶へのモーダルシフトについての検討」から数値を計算します。  ただし、港湾の荷役の費用、時間の計算は他と異なり、荷役費用は港湾の荷役料金から品目別に計算します。荷役時間は港湾の荷役能率から求めます。

輸送費用は物流センサスのデータから品目別時間価値別に求める。 輸送費用設定 輸送費用は物流センサスのデータから品目別時間価値別に求める。

輸送時間の設定 距離については地図ソフトから各リンクごとに求めた。 道路、高速道路の速度は道路交通センサスから求めた。 水路の速度は河川輸送で使用可能な船舶のデータから10km/hとする。

荷役の費用、時間の設定

荷役は船舶から岸壁まで貨物をクレーンで運搬し、 作業員5人でトラックに運搬すると仮定する。 荷役時間の設定 荷役は船舶から岸壁まで貨物をクレーンで運搬し、 その後貨物をフォークリフト1台、 作業員5人でトラックに運搬すると仮定する。

時間価値の設定 物流量のデータは東京都市圏物資流動調査を使用する。 使用する河川は江戸川、荒川、隅田川を考える。 船舶は上記の河川を通航できる艀、台船(速度5ノット、積載量20トン)を考える。 輸送費用のデータは物流センサスを使用する。 輸送時間は道路交通センサスの速度と地図ソフトの距離から求める。 荷役費用は港湾料金を元に品目別輸送機関別に求める 荷役時間は港湾の荷役能率から求める 犠牲量が最小となる経路はダイクストラ法を用いて求める。

検討の一覧 まず、河川輸送によるモーダルシフトが効果的か考察する。 次に要素の検討として港湾荷役の費用・時間の感度分析を行う。 3番目に水路輸送の費用・時間の感度分析を行う。

河川によるモーダルシフトの検討  貨物を河川輸送に使用した場合と河川を貨物輸送に使用しない場合を比較すると、CO2排出量は全体で1553g-CO2/日削減できる。これは年間に直すと、約0.57トンであり国土交通省で募集・公開しているモーダルソフト事例公表制度の数字と比べると。公開されている事例は削減量が年間数重から数百トン見込まれており、それに比べると効果は小さいといえる。また、輸送量で見るとモーダルシフトできた量は0.4トン/日でした。 河川輸送により削減可能な量は1553(g-CO2/日)で年間に換算すると約0.57(トン-CO2/年)となる。 この数値はモーダルシフトの事例公表制度から考えると小さい数値だと考えられる。

港湾の要素の感度分析  水路の輸送量は荷役の費用、輸送の時間を変化させたときが変化量が大きく、モーダルシフトの効果が認められる。荷役時間、輸送費用を変化させたときは効果が小さくモーダルシフトが進むとは考えられない。ここから、港湾荷役の費用や船舶の輸送速度の改善がモーダルシフトを促進させるために重要だと考えられる。また、効果が認められる 水路の輸送量は荷役の費用、輸送の時間を変化させたときが変化量が大きく、モーダルシフトの効果が認められる。 荷役時間、輸送費用を変化させたときは効果が小さくモーダルシフトが進むとは考えられない。

水路の要素の感度分析

要素の検討

結論 河川によるモーダルシフトの効果は小さい。 モーダルシフトの推進には港湾の荷役費用、水路の輸送時間の改善が効果が高い。 以上のことからモーダルシフトの推進するために河川輸送は効果が小さい。しかし、船舶の速度改善や、コンテナ荷役の導入などによりモーダルシフトを推進させることが可能であると考えられる。 現状では河川輸送はモーダルシフト推進に大きく貢献するとはいえない。河川を貨物輸送に活用するためには港湾費用の削減や艀等の速力の向上等、更なる改善が必要である。 今後の課題として、今回使用しなかった河川を使用した場合、域外からの貨物を考慮した場合では数値がどれくらい変化するかを考察したいと考える。

ご清聴いただきありがとうございました

平成17年度 基幹的広域防災拠点のネットワーク化に資する河川舟運の活用に関する調査研究 報告書 平成17年度 基幹的広域防災拠点のネットワーク化に資する河川舟運の活用に関する調査研究 報告書 災害時に使用可能と考えられる船舶のデータの内、表3-1に艀、台船のデータ、表3-2にそれを引くための曳航船のデータを示す。この中から上記の河川が航海できる最大船舶から、この条件に当てはまる艀、東光7号(全長12m、型幅6m、満載喫水0.9m、積載重量40トン)と曳航船大光2号(全長9m、型幅2.6m、満載喫水0.7m、速度9k’not)を今回の研究では参考し

ダイクストラ法(Dijkstra法)  ネットワーク上の最短路を求める方法としてダイクストラ法がある。これは2地点間の最短路を求める手法で各節点への最短路を、始点の周辺から1つずつ確定し、徐々に範囲を広げていき、最終的にはすべての節点への最短路を求めるもので、次のようなアルゴリズムとなる。 始点につながっている節点の、始点-節点間の距離を求め最小の値を持つ節点に印をつけて確定する。 印をつけた節点につながる節点までの距離を求め、この時点で計算されている節点(印のついていない)の距離の中で最小の値を持つ節点に印をつけて確定する。 これらすべての節点に印がつくまで繰り返すと、各節点に得られる値が、始点からの最短距離となる。

4.4.3 東京都市圏物資流動調査 この調査は平成15年に第4回目が東京都市圏交通計画協議会によって行われた調査で、東京都市圏の物流の実態を把握することを目的に行われた。この調査からは地域間の品目別、輸送手段別の物流量や、地域ごとの事業所数、一事業所当たりの物流の発生量、大型トラックの走行ルートなどが分かる。本研究では発着地間のODデータにこの調査のデータを使用する。表4-3に内容の一部を示す。

全国貨物純流動調査(物流センサス)とは、5年に1回国土交通省が行っている調査であり、全国的な貨物の純流動を捉えることを目的として、荷主側から貨物の動きを捉えた統計調査である。この調査は昭和45年から行われており、最近の調査は平成19年の第8回調査です。  本研究では貨物の輸送費用を物流センサスの全国表、表Ⅱ-11、品類品目別・代表輸送機関別輸送単価から求めた。表4-5にその一部を示す。計算で使用する数値は、道路のリンクの費用を営業用トラックの計の数値、水路のリンクの費用を海運の計の数値から求める、さらに品目別に費用の数値を求める。  上記の東京都市圏物資流動調査の品目と物流センサスの品目で一致しない物については東京都市圏物資流動調査の事業所機能調査(本体調査)の分類内訳表と物流センサスの品類・品目分類表を参考にして費用を考察した。 (ただし、混載の品目は項目が無いので道路のリンクでは宅配便など混載の全品目の合計の数値、水路のリンクは全品目の合計の数値を使用する。不明の品目は道路、水路ともに全品の合計の数値を使用する。)

ロットサイズは品目ごとに決められたロットサイズだが、今回は品目ごとに調べられなかったので艀に平均で満載積載量の半分まで積み込むものと仮定して、河川輸送で使用する艀の満載積載量の半分として20トンをすべての品目に設定した。荷役速度は表4-14に示す荷役能率を元に、艀から岸壁までクレーンで荷物を運び岸壁からトラックまでフォークリフトと作業員5人で貨物を運ぶものとして計算した結果求められた数値を荷役速度とする。 表 4-14 作業能率単位 K/T作業員1人1時間当たり9.45フォークリフト1台1時間当たり21.4クレーン1基1時間当たり59.2

品目

地域間

港湾料金

物流センサス

品目分類

竹柴ふ頭A,B日の出ふ頭A,B,E芝浦ふ頭A,B,品川ふ頭(内貿)A品川ふ頭(コンテナ) 大井コンテナふ頭 大井水産物ふ頭A,B大井食品ふ頭A,B大井建材埠頭D中央防波堤内側ばら物ふ頭D,E青海コンテナふ頭 お台場ライナーふ頭A,C,E10号地ふ頭A,E10号地ふ頭A,Eフェリーふ頭A10号地その1多目的ふ頭A15号地木材ふ頭C若洲内貿ふ頭 若洲建材ふ頭D辰巳ふ頭A,E豊洲物揚場 晴海ふ頭A,E晴海ふ頭(客船) 朝潮ふ頭C月島ふ頭A,B,E市川ふ頭D船橋中央ふ頭E船橋東ふ頭A,D,E千葉中央ふ頭・出洲ふ頭A,C市原ふ頭A,D八幡・五井地区A,D袖ヶ浦地区D袖ヶ浦地区D袖ヶ浦地区D東扇島A千鳥町荷さばき地A出田町ふ頭A,B山内ふ頭 新港埠頭 大桟橋ふ頭 山下ふ頭A本牧ふ頭 南本牧ふ頭 金沢ふ頭C,D大黒ふ頭A長浦ふ頭A,D新港埠頭A平成ふ頭 久里浜ふ頭 

CO2排出量

輸送トンキロ