小諸市上水道課からの状況報告 平成28年10月16日こもろ水道シンポジウム 上水道課課長補佐経営改革係長 土屋哲也
1.水道行政の現状と課題
え~!!100%じゃないの? 1.日本の水道事業の現状 1.水道行政の現状と課題 1.日本の水道事業の現状 平成16年度版「日本の水資源」(国土交通省)によると、水道水が飲める国は世界で13カ国しかなく、高い普及率と安全性を誇る日本の水道事業は、世界のトップレベル! 現在の水道法が制定された昭和32年時点の水道普及率は、全国で約41%でしたが、高度経済成長期を中心に飛躍的な拡張を遂げ、平成25年度末には97.7%まで向上しました。 ちなみに、小諸市の水道普及率は平成27年度末で99.5%です。 え~!!100%じゃないの?
しかも、水道普及率を世界基準で見ると、なんと日本の順位は40位! 1.水道行政の現状と課題 地方では未だに井戸の水などを使っているところもあり、しかも、水道普及率が90%を超えたのは、1980年代に入ってから! しかも、水道普及率を世界基準で見ると、なんと日本の順位は40位! WHOの発表では、イギリスやオーストリア、ベルギーなど、27ヶ国が水道普及率100%! でも、水をそのまま飲める国が十数ヶ国しかないのに、普及率100%の国が27ヶ国っておかしくない?
日本のように、全国どこでもそのまま水が飲める国は非常に少ない! 1.水道行政の現状と課題 水道はあっても、飲料水には適していない国も多く、さらに都市部など一部の地域の水道だけは飲めるという国もあります。 ちなみに、地元の人は気にしないで飲んでいるという国もある・・・ 日本のように、全国どこでもそのまま水が飲める国は非常に少ない! こんな優れた水道があるのに、飲料水はペットボトルを買ったり、ウォーターサーバーを入れたり・・・ なぜ、日本人は水道水を飲まないのか・・・ 水道水に対して正しい知識を持っていない!
1.水道行政の現状と課題 2.人口減少と水道事業 水道事業における人口減少問題は料金収入の減少に直結する問題で、単純に現在と同じ料金収入を確保しようとした場合、人口が1/5減れば25%の料金アップ、人口が1/3減れば50%の料金アップが必要となります。 出展:厚生労働省 平成24年度水道技術者研修会資料
人口が1/3減ってしまった場合の料金水準の計算例 ○総給水収益を9億円、給水人口を9万人とした場合 1万人当たりの負担額1億円 1.水道行政の現状と課題 人口が1/3減ってしまった場合の料金水準の計算例 ○総給水収益を9億円、給水人口を9万人とした場合 1万人当たりの負担額1億円 9万人 ÷ 3 = 3万人減 残った給水人口は6万人 9億円 ÷ 3 = 3億円 が減収 ・減収した3億円を残りの6万人が負担(総給水収益は同じ) 9億円 ÷ 6万人 = 1.5億円/万人 1万人当たりの負担額1.5億円になる
1.水道行政の現状と課題 3.普及率の向上から維持管理へ 日本の水道施設は、昭和50 年前後と平成10 年前後をピークとして整備され新規の投資は減少傾向だか、拡張期の水道施設が耐用年数を迎え始めたことにより、施設の維持や更新が大きな問題となっています。 しかし、更新には多額の費用を要することから、現行の料金水準を維持したまま、全ての水道施設の更新を行うことは非常に困難な状況にあります。
1.水道行政の現状と課題 4.水道事業が抱える今後の課題 施設の老朽化や人口減少の問題などから、将来も健全な水道事業を継続していくためには、水道料金の値上げは避けられない状況です。 しかし、無計画に更新を行っていっては、水道料金は何倍も必要になります。 こうした課題は、多くの水道事業が抱える共通の課題で、特に給水人口が10万人未満の小規模事業体は、人口密度が低いことから財政基盤が脆弱な上、人口減少は早く進行するといった傾向にあることから、特に大きな問題です!
2.小諸市の水道事業の状況
1.小諸市の水道事業について 平成28年4月現在 水道普及率:99.5% 給水人口は:44,309人 2.小諸市の水道事業の状況 1.小諸市の水道事業について 旧御牧ヶ原水道組合 小諸市上水道 小諸市水道事業給水範囲 東御市 佐久市 小諸市の水道事業は、近隣市町村に先駆けて大正13年に給水を開始、平成28年で92年を経過します。 平成27年度より小諸市外二市御牧ヶ原水道組合を統合し、佐久市、東御市の一部にも給水を開始しました。 平成28年4月現在 水道普及率:99.5% 給水人口は:44,309人 ※旧御牧ヶ原水道組合の給水人口を含む
現在は、20箇所の水源と40箇所の配水池を基本とし、浅麓水道企業団からの受水を含めて安定した供給を行っています。 2.小諸市の水道事業の状況 昭和30年代には多くの簡易水道施設が整備され、農村部における生活環境の向上と近代化が図られ、昭和50年代から徐々に上水道へ統合されてきました。 平成27年4月に小諸市外二市御牧ヶ原水道組合が統合されたため、簡易水道は菱野簡易水道のみとなりますが、運営は小諸市で行っているため、運営上は全ての簡易水道が上水道へ統合されたことになります。 現在は、20箇所の水源と40箇所の配水池を基本とし、浅麓水道企業団からの受水を含めて安定した供給を行っています。 御影配水池
近年は給水人口が減少する半面、給水戸数は増加傾向にありますが、賃貸集合住宅等の増加により、単身世帯が増えたことによるものと思われます。 2.小諸市の水道事業の状況 平成27年度末の給水戸数は18,979戸、給水人口は44,309人で、前年度比では給水戸数が1,143戸、給水人口は2,161人の増となりましたが、ほとんどが御牧ヶ原水道統合によるもので、全体的に給水人口は減少傾向にあります。 近年は給水人口が減少する半面、給水戸数は増加傾向にありますが、賃貸集合住宅等の増加により、単身世帯が増えたことによるものと思われます。 ◎給水人口及び給水戸数の推移 給水人口(百人) 給水戸数(千戸) 年度 年度
2.小諸市の水道事業の状況 配水量は節水型社会情勢の影響や給水人口減少の影響などから、年度毎に多少の増減はあるものの、全体的には緩やかな減少傾向で、こうした傾向は今後も続くものと思われます。 ◎配水量の推移 配水量(千㎥) 年度
2.小諸市の水道事業の状況 2.小諸市上水道事業基本計画について 上水道基本計画の策定に先立ち、アセットマネジメントによる長期の経営見通しを試算したところ、更新基準を耐用年数の1.5倍にし、料金改定を複数回行った場合でも、40年後には現行の約1.8倍の料金水準が必要という結果。 料金改定を行わなかった場合 料金改定を行った場合
配水管だけの更新を考えた場合、一般的な配水管の耐用年数は40年のため、毎年総延長の2.5%の更新が必要となります。 2.小諸市の水道事業の状況 配水管だけの更新を考えた場合、一般的な配水管の耐用年数は40年のため、毎年総延長の2.5%の更新が必要となります。 しかし、小諸市の平成20年度~25年度の5年間の平均の更新率は0.75%と基準値の3割にも満たない状況です。 耐用年数40年から逆算すると年2.5%の更新が必要!
緊急に10件以上の断水等を要した水道事故の原因別件数(H21~25) 2.小諸市の水道事業の状況 緊急に10件以上の断水等を要した水道事故の原因別件数(H21~25) 明らかな老朽化に よる事故は0件! 布設替えにより撤去した90年前の配水管 サビの塊が出来ているところはあるが、管の状態は非常に良い。
小諸市上水道事業基本計画の策定に着手 使用者に大きな財政負担を強いてまで、全ての水道施設の予防更新が本当に必要なのか? 2.小諸市の水道事業の状況 使用者に大きな財政負担を強いてまで、全ての水道施設の予防更新が本当に必要なのか? 施設の更新に優先順位を設け、財政見通しに合わせた適切な更新計画に則った施設整備が必要 時を置けば、現在より予算も人員も状況も厳しくなる 小諸市上水道事業基本計画の策定に着手
2.小諸市の水道事業の状況 各計画等の位置付け
更新計画においては、更新のペースと料金水準の見通しのバランスを取ることが重要になります。 2.小諸市の水道事業の状況 上水道事業基本計画策定における最大の課題は、老朽化施設の更新とその財源確保であるため、更新施設等の優先順位の設け方、また将来の料金水準の考え方について方針付けすることです。 更新計画においては、更新のペースと料金水準の見通しのバランスを取ることが重要になります。
状況に対応できる「生きた計画」を目指します! 2.小諸市の水道事業の状況 5.上水道事業基本計画は新しい水道事業のスタート地点です! 上水道事業基本計画は、将来も持続可能な水道事業のスタート地点です。計画を作って終わりではありません。 さらに、現在も基本調査を行っている水道施設や管路もあり、状況に合わせて計画の修正も必要になります。 状況に対応できる「生きた計画」を目指します! 小諸市では、今後も使用者の意見を継続的に取り入れながら、基本計画に基づく事業を進めていきたいと考えています。
平成28年度末までに上水道事業基本計画を策定 2.小諸市の水道事業の状況 6.今後の予定(平成29年度以降) 平成28年度末までに上水道事業基本計画を策定 平成29年度に基本計画に基づく実施計画を作成 平成29年10月を目標に窓口業務を中心に民間へ業務委託 平成30年度から実施計画に基づく事業を実施 平成32年度(予定)に計画と実施状況(委託含む)の検証を実施
ご清聴ありがとうございました。