生命科学基礎C 第3回 神経による筋収縮の指令 -ニューロン 和田 勝 東京医科歯科大学教養部
神経系 ・いろいろな動物の神経系 ・脊椎動物では神経細胞は神経管から分化する
脊椎動物の神経系 大脳、間脳、中脳、 小脳、延髄 脳 中枢神経系 脊髄 脳神経系(ヒトでは12対) 末梢神経系 脊髄神経系(ヒトでは31対)
脊椎動物の神経系 末梢神経系は機能面から分類すると 感覚神経 (脊髄では後根へ入る) 体性神経系 運動神経 (脊髄では前根から出る) (求心性・末梢から中枢に向かう) 運動神経 (脊髄では前根から出る) (遠心性・中枢から末梢へ向かう) 交感神経 自律神経系 副交感神経 (遠心性)
自律神経系 黒:交感神経 赤:副交感神経 内蔵や血管へ 両方が分布し、拮抗的にはたらく 中枢から神経節までの神経繊維を節前繊維、神経節から先の神経繊維を節後繊維
神経細胞とグリア細胞
神経細胞の形態 大脳皮質の錐体細胞 小脳のプルキンエ細胞 運動神経細胞 一つの単位と考えて、ニューロンと呼ぶ
ニューロン各部の名称と機能
ニューロン各部の名称と機能 シナプスは、シナプス前膜、シナプス間隙、シナプス後膜から構成されている
浸透圧 興奮性伝導膜の性質を理解するために、 水のⅠからⅡへの浸透と(ⅡーⅠ)の圧力が釣り合う。この圧力を浸透圧という。
平衡電位 ⅠにKClを加える 1)KイオンがⅠからⅡへ移動 2)ⅡからⅠへ電気的に引き戻す力 1)と2)が釣り合う
平衡電位 この時、ⅠとⅡの間に平衡電位が生じる [X]はモル濃度、Rはガス常数、Tは絶対温度、FはFarady常数、zはイオンの価数 上の例では、Kイオンは1価、その他の定数を入れて、常用対数に変換するとカリウムイオンの平衡電位は、、
平衡電位 単位はボルト (18℃) 上の例では、Kイオンの濃度を代入すると ⅠとⅡの間に58mVの電位差が生じることになる。
静止電位 細胞内と細胞外のイオン濃度には偏りがある この濃度差は、エネルギーを使ってつくり出している Na+-K+ ATPase 細胞内(mM) 細胞外(mM) Na K Cl K Cl イカgiant axon 49 410 40 440 22 560 カニ神経 52 26 510 12 540 カエル縫工筋 15 125 1.5 110 2.6 77 この濃度差は、エネルギーを使ってつくり出している Na+-K+ ATPase
静止電位 興奮性膜を持った細胞が興奮していない(静止時)ときは、膜はK+に対する透過性のみ存在し、その他のイオンに対する透過性は極めて小さい (K+に対するチャンネルのみが開いている)。 となる(18℃)。
静止電位 イカのgiant axonでは、表の値を代入して、
静止電位 ガラス電極を使って実際に測定してみると、
活動電位
活動電位
活動電位 オシロスコープを使わないと記録できないような、早い経過をたどる。
電位依存型ナトリウムチャンネル この早い電位変化は、電位依存性ナトリウムチャンネルのためにおこる。
電位依存型ナトリウムチャンネル
電位依存型ナトリウムチャンネル 前ページの動画からわかるように電位依存性ナトリウムチャンネルは、3つの状態をとる。 チャンネル閉、反応性あり この回復過程は時間がかかる チャンネル開 チャンネル閉、反応性なし 不応期
活動電位の伝導 無髄神経 ジワジワと這うように伝わっていく
活動電位の伝導 有髄神経 ランビエ絞輪を飛び飛びに伝わる
実際のニューロンでは 2)軸索を伝導して 3)ここから伝達物質を放出 1)ここで活動電位が発生
神経伝達物質の放出 神経軸索末端まできた電気的信号によって、神経伝達物質放出がおこる。 神経軸索末端まできた電気的信号によって、神経伝達物質放出がおこる。 電気的信号が、どうして伝達物質の放出につながるかは、次回へつづく!!