佐藤病院 リハビリテーション科 マネージャ 石光 靖史 大腿骨頚部骨折地域連携パス 事例検討 佐藤病院 リハビリテーション科 マネージャ 石光 靖史
事例紹介 氏名:A・H 性別:女性 年齢:75歳 傷病名:右大腿骨転子部骨折 既往症: 交通事故(H16頃 日赤→佐藤病院) KP:夫(=主介護者:80代)~2人暮らし~
転院までの経過 受傷日:H23.2.17(自宅で転倒)→2.18頃より食欲不振・全身倦怠感 初診:2.22(日赤病院心療内科受診)→整形外科紹介受診 診断名・・・右大腿骨転子部骨折(CTにて指摘)→2.22入院 OP:2.24・・・観血的固定術(髄内釘、Imtertan) 経過:問題なし(認知症で歩行訓練は困難) ゴール設定・・・立位保持、移乗 (紹介状より) H23.2.24の画像(術直後)
転院時のレントゲン画像・リハビリ開始 4/14入院、リハビリ開始。しかし、疼痛・熱感ともに強い(右画像参照)。 骨密度 腰椎 T 50%、Z 69%・左股 T 35%、Z 48% 右下肢挙上不能、左下肢すり足ROM可能。FIM 51点、BI 25点 右踵皮膚皮下組織圧迫壞死。テガダーム保護。寝返りで痛み。 4/14の画像:骨折固定部にずれあり、骨癒合不良→過重不可。
転院後のリハビリ状況① 「起居・移乗:要監視レベル」との情報→実際には全介助レベル 「認知症著明」との情報→コミュニケーション・指示理解ともに問題なし(認知症は感じられなかった) その後HDS-R再検:22点/30点満点 リハビリ進み1/2WB指示(5/18:右画像参照)。 5/18の画像:仮骨の出現(-)・骨片肢位はよくなっている。骨癒合不明。
転院後のリハビリ状況② Dr.・PT所見:ゴール設定=「歩行獲得不可」「トランスファー監視レベル」 家族・本人の希望=「伝い歩きレベルまでの改善を」→本人・家族への説明はどこまでされていたのか? 入院予定=1ヶ月。しかし、3ヶ月の入院後骨折部安定(右画像参照)。家屋訪問実施も、結局在宅ではなく老人保健施設への入所となった(7/19)。 7/5の画像*日赤病院転院・再OP勧めるも、本人・家族とも希望されず。
看護師の視点から 転院時:リハビリ・排泄・食事=床上で実施(全介助)。長期臥床により右踵部褥瘡形成あり。立位保持・移乗の獲得→下肢の尖足・拘縮が進行:現状では困難。 転院後1ヶ月:褥瘡治癒。終日臥床→トイレ移乗訓練開始。 転院後2ヶ月:疼痛改善。移動・移乗:軽介助へ。食事:ベット上で自力摂取。出棟リハ開始。 転院後3ヶ月:自宅退院に向けた意欲的な歩行訓練実施。しかし、独力での移乗・移動・立位保持は不完全→リハビリ継続のため老人保健施設入所。
MSWの視点から 転院初期:創部のX-Pで骨癒合不良の所見。Dr.・リハビリ・Ns.・MSW・本人・KPとで今後の方向性の見直しを実施→入院期間:2~3ヶ月の予定。 入院~2ヶ月:抑鬱気分・疼痛及び将来(退院後の生活)の不安、状況の受容が難しく意欲低下著明。→目標の確認を繰り返し、本人のメンタルサポート(不安解消・具体的な在宅生活をイメージできるような情報提供)をリハ・Ns.・MSWにて繰り返し実施。 入院3ヶ月目:疼痛改善・荷重許可。意欲向上にて家屋訪問実施…①屋内外の移動:車椅子(可能であれば歩行器)・②トイレ動作(立位保持・下衣脱着の軽介助化)・③移乗動作(夫の介護負担軽減)必要→改善の可能性高く、生活リハビリ継続後、課題再抽出の必要性あり、併設老人保健施設への入所支援実施。
問題点 パス記載内容と実際の状況が異なっている ①疼痛の記載なし。 ②ADL能力が異なっている。 今後の方針について ①疼痛の記載なし。 ②ADL能力が異なっている。 今後の方針について :病状説明及び障害・疾患の理解 連携パスを使用した情報共有の意義
終わりに 併設老人保健施設から再度家屋訪問(9/22・・・歩行器移動見守りで可)→10/20自宅退院。 総入院・入所期間 日赤病院 52日 日赤病院 52日 佐藤病院 97日 併設老人保健施設 94日 合計 148日間 10/17の画像:骨折部位の経過良好