The Advocacy Systems for the Elderly

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The Advocacy Systems for the Elderly 韓国の法上における 高齢者権利擁護システムの概要 The Advocacy Systems for the Elderly in Current Korean Laws 2016 淸州大學校 法學科 敎授 白 承 欽

 序論 韓国で障害をもった高齢者の権利擁護は、成年後見制度と発達障害者支援法、障害者福祉法、老人福祉法における虐待防止システム、権利擁護システムなどで構成されている。 それらの法律によって、意思決定の支援、財政的な支援、物理的・精神的な虐待防止、権利擁護が行われている。

高齡者 権利擁護に関する法律 意思決定を支援 2013.7.1-2014.6.30. Ⅰ 成年後見制度の施行 意思決定を支援 * 意思決定に障害がある高齢者の意思決定を支援または代理する制度 ソウル家庭裁判所 成年後見事件の受付推移(2013.7.1~2016.5.31) 2013.7.1-2014.6.30. 前期未済み 金品収受 認容 棄却 その他 処理計 未済 成年後見 364 131 5 74 210 174 限定後見 71 23 2 14 39 32 特定後見 55 8 10 45 任意後見 3 合計 498 162 9 93 264 254

2014.7.1-2015.6.30. 2015.7.1-2016.5.31. 前期未済み 金品収受 認容 棄却 その他 処理計 未済 成年後見 174 588 373 6 129 508 254 限定後見 32 80 48 2 26 76 36 特定後見 45 49 79 1 86 8 任意後見 3 4 合計 720 502 11 161 674 300 2015.7.1-2016.5.31. 前期未済み 金品収受 認容 棄却 その他 処理計 未済 成年後見 254 753 454 12 197 663 344 限定後見 36 111 67 2 30 99 48 特定後見 8 53 10 46 15 任意後見 4 合計 300 921 559 14 239 812 409

事件本人の年齢 事件本人の精神的な制約原因 *以下は全体事件の中で、約1,000件を抽出したデータによる統計である。 - 60歳以上:51.1%、男性比率:56.2%(70歲以上は女性が高く、70歲以下は男性が高い。) 事件本人の精神的な制約原因 頻度(件) 比率(%) 精神的な制約の種類 脳病変(1) 408 41.6 認知症(2) 255 26.0 発達障害(3) 218 22.2 精神障害(4) 73 7.4 その他(5) 27 2.8 合計 981 100.0 (1) 外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、脳性マヒ、脳腫瘍など、脳の病変による精神的障害を含む。 (2) アルツハイマー認知症、血管性認知症、アルコール中毒性認知症を含む。 (3) 統合失調症、精神分裂症を含む。 (4) その他の認知障害(パーキンソン病)、その他の人格障害(ヒステリー性人格障害、演劇性人格障害、病的賭博など)を含む。

Ⅱ 発達障害者権利保障および支援に関する法律 Ⅱ 発達障害者権利保障および支援に関する法律 2014. 4. 29.制定、 2015. 11. 21.施行 ・ 支援対象:児童および成人の発達障害者とその保護者(第2条) ・ 「自己決定権の保障(第8条)」原則 ・ 住居地、医療行為、他人との交流、福祉サービスの利用などについて発達障害者が自ら選択できる権利を認め、保護者の介入を最小限にし、自己決定権の行使が困難な発達障害者のために成年後見制度の利用を支援する(第9条)。 ・ 法令や政策、教育、苦情サービスなどおいて、発達障害者に合った意思疎通を支援(第10条)するとともに自己権利擁護の基盤となる自助団体の結成(第11条)を支援する。

発達障害者の人権侵害の予防および被害救済 刑事・司法手続き上における発達障害者のための補助人制度(第12条 刑事・司法手続き上の権利保障)、発達障害者を担当する検事、司法警察官を指定する(第13条 発達障害者全但調査制)、虐待など発達障害者の人権侵害の事実の通報義務対象者を規定(第15条 通報義務) 捜査機関の外に「発達障害者支援センター」を通報機関として明示、発達障害者支援センターの職員にも関連調査権を付与することによって(第16条 現場調査)、発達障害者の人権侵害と犯罪被害に対する予防と被害の最小化に向けた基盤を整える。

2016年の支援内容 発達障害者の権利保障と保護 ○発達障害者の状況とライフステージに従った必要なサービスの提供  -地域の発達障害者支援センター(17カ所)の新規設置(‘16.2月から。10月現在、7カ所開所)及び自害行動などの治療を行うための行動発達増進センター(2カ所)の設置・運営(’16.6月~)  -発達障害者のための教育機関、職業リハビリ施設など地域社会の支援インフラ拡充の推進 ○子育て負担を緩和させるための心理相談、休息の支援、父母教育等の提供   -相談キャンプ・テーマ旅行などの運営、親の心理相談バウチャーの拡大推進  *発達障害者家族の支援のための予算を5億ウォン(‘15)から10億ウォン('16)に増額(2016年現在)

2016年の支援内容 - 民法上の成年後見制度を利用することが困難な発達障害者の後見人の選任を支援 *  後見審判訴訟費用(1件当たり最大50万ウォン)、公共後見人活動(月10万ウォン)費用の支援 住居、雇用契約、銀行業務、財産管理、医療行為の同意などの意思決定を支援 - 関連機関従事者に通報の義務づけ、専門家の現場調査と保護措置(医療機関、危機発達障害者施設に連携)、発達障害者の全但検事・司法警察官の指定運営 * 地域の発達障害者支援センターを設置し、専門家の現場調査・保護措置などを行い、省庁別に通報義務者の教育および全但検査の指定などの推進計画

Ⅲ 民事訴訟法の改正 2016. 2. 3. 訴訟能力に対する改正 「民法」の改正で、2013年7月1日から禁治産ㆍ限定治産制度が廃止され、成人後見ㆍ限定後見制度などが実施されるようになり、「民法」の改正趣旨に整合するように、被成年後見人・被限定後見人の訴訟能力を拡大して、意思無能力者のための特別代理人制度を設け、社会的弱者の訴訟遂行を支援するために、供述補助制度を導入するなど、現行の制度の運営上に表れる一部の問題点を改善・補完

ア.制限能力者の訴訟能力の拡大(第55条) 1) 従来に訴訟能力がなかった禁治産者に対応する被成年後見人の訴訟能力を原則的に認めないが、例外的に、家庭裁判所が取り消すことができないように範囲を定めた法律行為に対しては訴訟能力を認める。 2) 従来に原則的に訴訟能力がなかった準禁治産者に対応する被成年後見人の訴訟能力を原則的に認めるが、例外的に、家庭裁判所が限定後見人の同意を受けるようにした行為に対しては、訴訟能力を認めない。

イ.法定代理人の訴訟行為に対する監督強化(第56条) 法定代理人が訴訟の取り下げ、和解、請求の放棄ㆍ認諾または第80条による脱退をするためには、後見監督人から特別な権限をもらう必要があり、後見監督人のない場合には、家庭裁判所から特別な権限をもらうようにする。

ウ.特別代理人の選任理由および申請権者の拡大など(第62条) 1)制限能力者のための特別代理人の選任と関連して、法定代理人が不誠実であったり、未熟な代理権の行使によって、訴訟手続きの進行が著しく妨げられる場合を、特別代理人の選任理由として追加する。 2)制限能力者のための特別代理人の選任申請権者の範囲に、地方自治体の長を追加して、裁判所は必要と認めれば、職権で特別代理人を選任または解任できるようにする。

エ.意思決定無能力者のための特別代理人制度の導入(第62条の2) 意思決定能力がない者に対して訴訟行為をしようとしたり、意思決定能力がない者が訴訟行為を行うのに必要な場合、特別代理人を選任することができるようにする意思決定無能力者のための特別代理人制度を導入した。

オ.障害者などのための供述補助制度の度入(第143条の2) 疾病、障害、年齢など精神的ㆍ身体的な制約によって、訴訟で必要な供述が困難な当事者のために、裁判所の許可を受け、法廷で供述を手伝う者とともに出席して供述できるようにする「供述補助制度」を導入した。

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 2016. 5. 29. 精神保健法および精神疾患者福祉サービスの支援に         関する法律の制定 1) 法律の名称を「精神保健法」から「精神健康増進および精神疾患者福祉サービス支援に関する法律」に変更した。 2) 法の適用対象である精神疾患者の定義を「独立的に日常生活を営むことに重大な制約がある者」に限定した(第3条第1号)。 3) 精神健康増進の場を新設し、一般国民や軽度の精神疾患者に対する精神健康サービスの提供に対する根拠を設けた(第7条から第17条まで)。

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 2016. 5. 29. 精神保健法および精神疾患者福祉サービスの支援に         関する法律の制定 4) 福祉サービスの開発、雇用および職業リハビリ、教育支援、文化・芸術・余暇・スポーツ活動支援、地域社会の居住・治療・リハビリなどの統合支援、家族に対する情報提供や教育などの精神疾患者に対する福祉サービスの提供の根拠を設けた(第33条で第38条まで)。 5) 患者本人および保護義務者の同意によって入院を申請し、精神科専門医の診断結果、患者の治療と保護の必要性が認められる場合、72時間の範囲内で退院を拒否することができる「同意入院制度」を導入した(第42条)。

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 2016. 5. 29. 精神保健法および精神疾患者福祉サービスの支援に         関する法律の制定 6) 入院治療の必要性と自・他害の危険性が両方ある場合、2週間の診断入院を経て、精神科専門医2人の一致した所見がある場合にのみ、保護義務者による入院が可能となるように、保護義務者による入院の要件と手続きを強化した(第43条、旧精神保健法第24条)。 7) 市長・郡長・区長による行政入院制度の活性化のため、保護義務者による入院の類型の一つである市場・郡長・区長が保護義務者となる場合を削除して、行政入院申請要請権者に警察官を追加し、行政入院期間を保護義務者による期間と同じく調整した(第44条)。

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 2016. 5. 29. 精神保健法および精神疾患者福祉サービスの支援に         関する法律の制定 8) 国立精神病院内に、入院適合性審査委員会を設置し、保護義務者又は市長・郡長・区長による入院の適合性の有無を1ヵ月以内に判断するようにするなど、入院段階の権利救済手続きを強化した(第45条から第49条まで)。 9) 精神健康審議委員会の決定の類型を退院、臨時退院、処遇改善措置のほかにも外来治療命令、条件付き退院、3ヵ月以内の再審査、他の精神医療機関等への移送、自意入院や同意入院への転換などに多様化した(第59条)。 10)入院患者の回転ドア現象、入院の長期化、繰り返され再入院の問題を統制するために入院、退院などと関連した管理システムを構築するようにした(第67条)。

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 2016. 9. 29. 旧「精神保健法」第24条(保護入院)に対する        「継続適用の憲法不合致」決定 憲法裁判所は、裁判官の全員一致で、違憲法律審判対象条項、つまり保護義務者2人の同意や精神科専門医1人の入院診断があれば、保護入院(強制入院)ができるようにした「精神保健法」第24条第1項第2項は、身体の自由に対する過剰な侵害禁止原則を違反して憲法に合致せず、立法者の改善についての立法があるまで継続適用されるという決定を宣告したが、(「継続適用、憲法不合致」)立法の期限は定めなかった。 (憲裁決2016.9.29.2014憲可9)

Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 Ⅳ 精神保健法の改正および憲法裁判所の不合致判決 しかし、 憲法不合致決定を下す前に、審査対象である「精神保健法」が「精神健康増進および精神疾患者福祉サービスの支援に関する法律」(法律第14224号、全部改正2016.5.29.、施行日2017.5.30.)に全面改正されたが、改正された規定が憲法裁判所が決定文で示したように、身体の自由を過度に侵害する要素を除去して、正しく改善されたかについては判断しない。

Ⅴ 障害者福祉法の改正 2015. 12. 29. 障害者福祉法の一部改正 Ⅴ 障害者福祉法の改正 2015. 12. 29. 障害者福祉法の一部改正 1) 国家機関、地方自治体、「乳幼児保育法」による保育園、「幼児教育法」・「初・中等教育法」・「高等教育法」による各学校などを、障害者に対する認識の改善に向けた教育の実施対象機関として規定した(第25条)。 2) 障害程度に関する精密審査を依頼された公共機関が「障害者福祉法」に基づいた障害の程度に関する審査を行うために、障害者本人の同意を得て、当該医療機関に必要な診療記録などの閲覧や写本の交付を要請した場合には、当該医療機関がそれに応えられるようにし、それによる手数料などの費用は国家などが支援するようにした(32条第7項 新設)。

Ⅴ 障害者福祉法の改正 3) 特別自治市場・特別自治道知事・市長・郡長・区役所長は、障害者の登録過程において、障害等級が変動・喪失された障害者などに障害等級の変動・喪失による支援の変化に対する情報とリハビリや自立に必要な各種情報を提供するようにした(第32条の4 新設)。 4) 国、地方自治体及び大統領令で定める機関ㆍ団体が実施する資格試験や採用試験などにおいて、障害者の受験者に各種の便宜を提供するようにした(第46条の2 新設)。 5) 「国民基礎生活保障法」が改正(法律第12933号、2014.12.30.恐怖、2015.7.1.施行)されることにより、その内容を反映して条文を整備した(第49条第1項)。

Ⅴ 障害者福祉法の改正 6) 国家や地方自治体の障害者福祉団体または障害者自立生活支援センターに対する運営費の支援の根拠を設けた(第54条及び第63条)。 7) 障害者を対象とした性犯罪の通報義務者を拡大した(第59条の2削除及び第59条の4)。 8) 運営者と利用者の権利を保護し、合理的な調査が行われるようにするため、所属の公務員が施設などの運営者や利用者などを調査する際、権限を示す証票だけでなく、調査期間、調査範囲などが記載された書類を提示するようにした(第61条第2項)。 9) 保健福祉部長官は、資格要件を備えた者として、国家試験に合格した者に障害者リハビリカウンセラー資格を出すようにした(第72条の3 新設)。

Ⅵ 老人福祉法の改正 2015. 12. 29. 老人福祉法の一部改正 1) 老人虐待に対する認識を向上させるため、毎年6月15日を老人虐待予防の日に指定して、地上波放送や電光掲示板放送を通じて、老人虐待の関連の広報映像を製作・配布・送出できるようにした(第6条第4項及び第6条の2 新設)。 2) 公正かつ専門的な老人虐待の事例を判定するため、中央老人保護専門機関に中央の事例の判定委員会を、地域老人保護専門機関に地域の事例の判定委員会及び独自の事例会議を運営できるする根拠の規定を設けた(第39条の5)。 3) 老人虐待の通報義務者の範囲に医療機関の長、一人暮らしの高齢者に対する訪問療養サービスや安全確認などのサービス従事者、多文化家族支援センターの場とその従事者、性的暴力被害相談所と性暴力被害者保護施設の長とその従事者、救急救助士及び医療技師を追加した(第39条の6)。

Ⅵ 老人福祉法の改正 4) 老人虐待に関連した犯罪で刑または治療監護を宣告され、確定された老人虐待の関連犯罪の前歴者に対して刑または治療監護の執行終了または執行免除後10年までの間、老人関連機関を運営したり、老人関連機関に就業または事実上、労務を提供することができないようにした(第39条の17 新設)。 5) 老人虐待行為で処罰などを受けた施設と老人福祉施設の長や従事者のリストを公表することができるようにした(第39条の18 新設)。  (1)老人虐待行為と第60条による処罰を受けた法人などが運営する施設について、その違反行為、処罰内容、施設名称、代表者姓名などの事項を公表することができるようにした。  (2)資格の取り消し処分を受けた従事者や老人虐待の関連処罰を受けた者として、老人虐待行為により高齢者の生命・身体又は精神に重大な被害をもたらした老人福祉施設の長と従事者に対して法違反履歴やリストなどの事項を公表することができるようにした。

Ⅵ 老人福祉法の改正 6) 高齢者住居福祉施設・老人医療福祉施設・老人余暇福祉施設または居宅老人福祉施設を廃止・休止する場合、その施設の長は、施設利用者が他の施設を利用することができるように措置計画を作成して履行するなどの利用者の権益保護措置をするように義務化し、市長・郡長・区役所長はそのような権益保護措置の履行を確認するようにした(第40条第5項・第6項 新設)。 7) 市・道知事又は市長・郡長・区役所長は、高齢者福祉施設・老人医療福祉施設・老人余暇福祉施設または居宅老人福祉施設が事業の停止または廃止命令を受けた場合には、当該施設の利用者を他の施設に移すようにするなど利用者の権益保護のための措置をするようにした(第43条第3項 新設)。

Ⅵ 老人福祉法の改正 8) 老人保護専門機関の職員に対して暴行・脅迫または偽計・威力で、その業務を妨害した者に対する制裁を現行の過怠料から5年以下の懲役または1千500万ウォン以下の罰金に強化し、常習的にまたは老人福祉施設の従事者が老人虐待罪を犯した場合、加重処罰規定を置くなど老人虐待関連違反者に対する処罰を強化した(第55条の3、第57条、第59条の2及び第61条の2)。 * 施設での高齢者虐待防止などを柱とする老人福祉法の一部改正法律案2件が国会に上程されている。

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