資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチ. マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチの 特徴 内外資産が不完全代替( ← 為替リス ク) 分散投資(ポートフォリオ)によって リスクを軽減可能。 経常収支黒字累積 → 外国資産流入 → 国 際ポートフォリオ → 為替相場.
Advertisements

経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
第5章 活性化する国際分散投資 と 日本経済の影響. ネットとグロスの違い 資本移動の場合 日本 外国 100 億円 50 億円 ネットの資本移動 100-50=50億 円の黒字 グロスの資本移動 100+50= 150 億 円.
証券取引所の 再編方法のあり 方 立教大学 北原ゼミナール. 2 本論文の構成 第1章 証券取引所の必要性 第3章 日本の取引所の現状と問題点 第4章 海外の証券取引所 第2章 証券取引所を取り巻く環境変化 第5章 証券取引所の再編方法.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
第5章 どのように 国際的に 資金が 流れるのか 加藤 栞.
有斐閣アルマ 国際経済学 第4章 生産要素の供給と   貿易パターン 阿部顕三・遠藤正寛.
第2章競争戦略 梶田 真邦 桑原 雪乃 斉藤 晋世.
第6章 3節 2011/7/1 09BC053J  新井友海.
二、高度経済成長期 神武景気 年代後半の民間設備投資 岩戸景気 2 2 国民所得倍増計画 オリンピック景気 いざなぎ 景気.
社会人基礎 II 第6回授業.
第1章 国民所得勘定.
デフレの正体 第11講 「労働者ではなく外国人観光客 ・短期定住客の受入を」
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
なぜ貧しい国はなくならないのか 第2章 貧困は減っているのか
第5章 東アジアから何を学ぶか?.
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
トウモロコシの動向 2班.
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
EU統一金融監督機関設立の是非 肯定派 神野 光祐 工藤 祐之介 長谷川 雄紀 山下 真弘.
04w750 林涛 12月4日                 中国の石油戦略 12月4日 経済学部国際経済学科 04w750林涛 課題5.
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
第1章 地域の政治力学と日本 ~東亜共同体への動き~
三、安定成長期(1973年~1986年) 1 高度成長の挫折 2 産業構造の変化 3 円高と貿易摩擦 4 逆輸入と内需拡大.
自動車の現状と未来.
電力自由化の是非 肯定派.
公共政策大学院 鈴木一人 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
~「日本の奇跡」の背景を知ろう~ (3時間) 1 戦争直後の日本経済 2 高度経済成長 (本時) 3 高度経済成長のその背景
関西学院大学産業研究所所長・経済学部教授 伊藤 正一
第一生命株式会社化の是非 否定派 新井 上原 山村 新井.
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
日中自動車産業と環境問題 第一章 中国自動車企業の発展 01w713 コウシュンエン 第二章 日本自動車メーカーの中国戦略
公共政策大学院 鈴木一人 第7回 政治と経済の関係 公共政策大学院 鈴木一人
東アジア文化論(11/6) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
現代資本主義分析 前期の復習 藤女子大学人間生活学部 内田博.
国際貿易の外観.
経済入門 ⑦ 西山 茂.
総合商社 について 04w193 ハンフンス 04w178 野村朋克 04w122 田中学
中国の石油戦略 張世鎬.
V. 開放経済のマクロ経済学.
V. 開放経済のマクロ経済学.
財市場 国際班 .
現代世界の貿易と貿易圏.
各化石燃料の輸入先とホルムズ依存度(2013年)
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
9 応用:国際貿易.
管理的側面 管理者に必要な経営知識 経営学の基本 ②環境と戦略と競争優位.
①新規の需要を求めた海外展開(自国内展開 →EU域内展開 →EU域外展開) ②収益性の高い事業への参入・集中(再エネ電源への投資 等)や、
ビジネスチャンス① ‐物流形態‐ ● 従来の物流パターン ● 近年の物流パターン
業種レベルでのCAGEの枠組み ○国ごとの差異のインパクトは業種ごとに違う ⇒企業は自分の業種を考慮すべき ①文化的な隔たり・・言語、宗教性、民族性 ②制度的な隔たり・・関税、国内調達規制 ③地理的な隔たり・・物理的な隔たり ④経済的な隔たり・・所得水準.
産業空洞化と低賃金化 ● 企業活動の国際化 → 先進国の産業空洞化→先進国での低賃金化 ● 日本企業の利益額: 国内生産 ≒ 海外生産
経済の状況と投資のチャンス.
様々な主体や取組みを「つなぐ」仕組みの構築
日本のエネルギー資源 2008-09-13 MK6328 白石 彩奈.
書評報告 “トウモロコシ”から読む世界経済 光文社新書  江藤隆司著 06A2100H 谷澤 佑介.
石油産業の発展 2003年6月19日 1)石油産業とは……………・・・・ 2)ロックフェラーの登場………・ 3)世界の石油…………………・・
国際経済の基礎9 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年11月22日
労働市場 国際班.
アメリカのプロパテント政策 2002.10.11.
サハリン開発と天然ガス 新聞発表 5月14日 上野 雅史 坂中 遼平 松崎 翔太朗 河原塚 裕美 .
跡見学園女子大学マネジメント学部 国際経済学
2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
80年代のアメリカ経済 現代資本主義分析.
c 仲野謙心 エネルギー安定供給.
東アジア文化論(11/20) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
Presentation transcript:

資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀

◆資源ナショナリズムとは 主として天然資源に対する支配権拡大の主張と、それを実現するための諸活動のこと。 資源の生産・輸出に際して、自国の利益や国内への供給を優先するなどの様々な政策を打ち出す。

◆第1次資源ナショナリズム 1950年頃:資源業界は欧米企業による 寡占状況にあった 1959年に石油メジャーが産油国の了承なく                 寡占状況にあった 1959年に石油メジャーが産油国の了承なく             原油価格の引き下げを発表 ⇒産油国の反発が強まり、産油国による自国の資源          ならびに利益の保護に対する意識が高まる

◆第1次資源ナショナリズム 国際社会における資源の重要性が認められ、 資源国の存在感が高まる! 1960年:中東を中心としたOPEC(石油輸出国機構)が設立 1962年:「天然資源に関する恒久主権の権利」を国連が宣言 1971年:「リマ憲章」の採択 1973年:第一次石油危機  国際社会における資源の重要性が認められ、              資源国の存在感が高まる!  資源国において、第1次資源ナショナリズムが高揚!

◆第1次資源ナショナリズム 第1次資源ナショナリズムの内容 *資源産業の国有化(中東・南米・アフリカ諸国) *資源ごとの組織的連携化による価格カルテルの形成 1970 年代における OPEC 主要産油国の               石油事業国有化の動き

◆第1次資源ナショナリズム 産油国の資源奈ナショナリズムによって、 欧米資源メジャーの世界シェアは大きく低下した セブン・シスターズの埋蔵量シェア(1949 ) メジャー各社の生産量の推移 産油国の資源奈ナショナリズムによって、   欧米資源メジャーの世界シェアは大きく低下した ⇒その後は沈静化へと向かった

◆第2次資源ナショナリズム 2000年代に入り、再び資源価格が上昇し始めた。 【資源価格高騰の要因】 *新興国の経済成長とそれによる資源需要の拡大 *地政学的リスクの高まり *商品市場への投資資金、投機資金の流入 *国際的な資源関連企業による寡占化 メジャー各社の生産量の推移

◆第2次資源ナショナリズム 再び資源ナショナリズムの動きが みられるようになった! 自国の資源の希少性と価値に目覚めた産油国は、「ロイヤルティーの引き上げ」、「法人所得税の引き上げ」、「外国石油資本の排斥」などを行うようになる。  再び資源ナショナリズムの動きが           みられるようになった! 主な資源ナショナリズムの動き 石油資源の所有者

◆第2次資源ナショナリズム また、近年の資源ナショナリズムにおいては、新興国の成長という点で新たな側面がみられている。 ⇒中国やインド、東アジアを中心とした新興国は、 急速な経済成長をとげている反面、消費エネルギー量も 急増しており、その中で、こうした新興国においても 次第に資源の不足が懸念されるようになった。 主な資源ナショナリズムの動き 主な資源ナショナリズムの動き

◆第2次資源ナショナリズム こうした状況から、近年では中国を中心に資源獲得のための消費国による資源ナショナリズムが拡大 している。  している。 第2次資源ナショナリズム=消費国におけるナショナリズムでは、従来型の自国の資源を自国で開発・管理するといった動きよりも、国家が自国以外に対して資源の獲得を求めるといった動きが拡大している 【先進国の資源獲得の動きと異なる点】 *民間企業ではなく国営企業を通じて行われる *国営企業のため税制面・資金面などで優位にある *政府が国営企業の海外資源確保を支援している

◆第2次資源ナショナリズム 自国の発展のための資源獲得競争が展開されている 新興諸国等による資源獲得の例 中国国営石油企業の海外展開状況

論点 中国によるレアアース輸入規制について