2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
2013 現代文明論 第4回第4回 1492 年 世界システムの始まり. 世界地図を描いてみよう.
Advertisements

日下部絵美 中村里沙 田中理絵 金日成とは? 1912.4.5 金日成(本名金成桂)誕生 1929抗日運動に参加 名前 金日成に改める 1932~1941頃 抗日パルチザン運動展開 1941 ソ連に渡る 1942 金正日誕生.
制度経済学Ⅰ ①. 制度経済学とは何か 制度 institutions 最も根本的な制度は・・・・ 言語、法、貨幣 いずれも経済、そして経済学に関係する それらなしに、経済は成立しない.
1.欧州. 特許会社  特許会社とは …. 経営権が国に保留されている事業の、 一部または全部の経営権を、法律などに より付与された会社。  世界で最初の特許会社 モスクワ会 社.
第9回(11/20)  立憲制度と戦争.
ひでき 平成17年4月12日 「日本教」モデルを ネットワーク分析する ひでき 平成17年4月12日.
24・クリスマスとお正月  青山・文化人類学.
ECの成立へ マーストリヒト条約の成立 通貨統合
トルコ及び中欧からの人の移動とそのEU加盟問題に与える影響
生活と文化 Ⅰ 民族と宗教の視点から 太田達也.
情報社会とガバナンス 歴史的経緯から 吉田寛.
1 生命倫理学とは何か 倫理学Ethicsは哲学の1部門 善、道徳を追求する学問 規範倫理学normative ethicsとメタ倫理学
実存主義-1 「はじめに」 (1) 実存主義とは (2) キルケゴール (3) ニーチェ.
統一原理 総 序 よ う こ そ.
23A[再]・クリスマス  青山・文化人類学.
哲 学 大阪芸術大学 芸術学部教授 純丘 曜彰 博士
アンゴラ内戦 ~武装解除の具体例.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
場所1 空間分析批判と場所の概念化 政治地理学の理論と方法論 第4週.
新学期にあたって 作花 一志.
現代のグローバル化を考える 冷戦体制解体 民主主義とグローバル化.
近代国家における社会福祉・ 保育所の役割 土俵にのらない 哲学をもって臨む.
世界に広がるフランス語: 5大陸で話されるフランス語ーその経緯と現実
女性参政権獲得の歩み 19世紀から20世紀半ばまで (第1派フェミニズム)
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
戦争と平和 戦争は不可避か 正義の戦争はあるか.
2節 なぜ消費者行動が重要になってきたか(市場の変化)
2013 現代文明論 10 3つめの原理 資本主義.
著者名が「澤田昭夫」の本を検索すると: ・ Webcat Plus では35冊ヒットする。 ・ NDL-OPAC では32冊ヒットする。
フランスと日本 -第6位と第2位の先進国の違い- 参考文献
現代文明論 11,12 イスラーム世界とわたしたち (シチリア化する現代 高山博インタビュー).
複言語・複文化状況における日本語教育 -ことばの教室で私たちがめざすもの
外国文化との交流 〜信徒発見につながった外国人居留地 「居留地とキリスト教」〜
同時性とは何であろうか? ある時代に起こったこと ほとんど同じ型の歴史過程が 後の時代に反復 同型の螺旋上.
2 科学とは何か・技術とは何か ラファエロ「アテネの学堂」.
トランプ政権の 一年を「評価」する 情報パック2月号.
創造原理Ⅳ.
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 【 社会科 】 小中一貫教育系統図 地理的分野 歴史的分野 公民的分野 13 【小学3年】 【小学4年】 【小学5年】
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
選抜と教育・人生選択 選抜のメッセージ.
2017  現代文明論 10 3つめの原理 資本主義.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
現代マス・メディア、マス・コミュニケーションの成立の歴史をたどる 参考文献
文化戦争の世紀末 文化戦争の世紀末 文化戦争の世紀末 1990年代.
「人間機械論」と教育 「コンピュータ利用教育」への過剰反応(過度の反発と期待)の背景を考える。 時代を創る(epoch making)技術
ベトナム戦争 戦争の正義・勝者の苦悩.
国家構築の際におけるタイの「標準化」、 国民の統一化
ソーシャルワークの価値と倫理 ~国際ソーシャルワーカー連盟の議論を踏まえて~
2017 現代文明論 8、9 近代の2つめの原理 科学革命.
「政府には人々のために様々な役割がある」
道徳教育論 価値観は教えられるのか.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
第2章・補足 ソシュールの言語学 構造主義と記号論 記号の恣意性.
Common Sense           No.21 2011.4.19 日本社会に「戦争を選択しない」という「戦争観」は確立されたか。
オランダ社会(2) 柱社会の特質.
「リゾーム」 ドゥルーズ、ガタリ そして今田高俊
2017年度 現代文明論 (浜名優美) 第1回 9月20日 問題提起と今年の予定(シラバスの一部修正を含む)
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
統一原理 総 序 よ う こ そ.
2017 現代文明論 第5回 1492年 世界システムの始まり.
メディア社会学6-7回? 2017年5月23日(火).
2012‐06‐14 まい ヒトラーの政策.
戦争と平和 正義の戦争は 戦争で利益を得る者は.
国際教育論1 オリエンテーション.
教育行政・財政 導入説明.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
Presentation transcript:

2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照) 2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照) 佐伯啓思『人間は進歩してきたのか』(PHP新書、2003)による3つの革命 科学革命 市民革命 産業革命

近代の3つの原理 浜名優美による 1)宗教改革(16世紀)

1)宗教改革(16世紀) 2)科学革命(17世紀、デカルトに始まる心身二元論:機械論)

1)宗教改革(16世紀) 2)科学革命(17世紀、デカルトに始まる心身二元論:機械論) 3)資本主義(16世紀に始まる)

宗教改革 ルターLuther(1483-1546)による「贖宥状」の否定(16世紀) サン・ピエトロ大聖堂修復工事の費用捻出 1517年 「95カ条の論題」-信仰によってのみ救われる(宗教改革500年) 宗教改革3大文書(1520)(日本語訳2017、講談社学術文庫) 「ドイツ国民のキリスト教貴族」 「教会のバビロニア捕囚」 「キリスト者の自由」 中村雄二郎『21世紀問題群』p.19, p.20

1524年 ドイツ農民戦争(「神の前に万人が平等である」 →個の自覚 万人司祭主義 「われらはただ信仰によってのみ義とされる」という信仰の内面性にもとづく「義認論」⇒修道院を否定し、日常的、社会的な世俗生活、とりわけ日々の職業労働が重視される 聖書のドイツ語訳 1522年 騎士戦争(ルターの改革を支持する) 1524年 ドイツ農民戦争(「神の前に万人が平等である」 →個の自覚

1546-47年 シュマルカルデン戦争(旧教派とプロテスタント) 1555年 アウクスブルクの宗教和議(ルター派の信仰を認める→領主の宗教がその領土で行なわれるという原則)

カトリックによる高利貸借禁止(中世以来) 厳しい経済倫理⇒プロテスタントの宗教改革によっていっそう徹底 禁欲的なプロテスタンティズム イギリス:ピューリタニズム 北アメリカ:ピューリタニズム オランダ:カルヴィニズム フランス:カルヴィニズム 「現世的に禁欲して、ひたすら職業労働に励むことが神に嘉せられる道である。」

宗教改革の意義 神中心の世界から人間中心への世界の転換(佐伯、71ページ) 「宗教改革こそが、結果として近代的な、世俗的な社会秩序を生み出した」(同上、72ページ)

宗教改革が生み出した 「国家」意識 1 領邦領主が神聖ローマ帝国の権力に反旗を翻し、世俗主体が自立 1 領邦領主が神聖ローマ帝国の権力に反旗を翻し、世俗主体が自立 2 ルター派が迫害されることで信徒がヨーロッパじゅうに拡がる→北のプロテスタントと南のカトリックの対立(フランスの宗教戦争) 3 信仰の拠り所は聖書のみ。聖書がラテン語から各言語に翻訳される。民族集団が形成され、「国民」が誕生(グーテンベルクの印刷機の役割が大きい) 4 宗教と政治の混乱→(1618から1648の30年戦争、1648ウエストファリア条約で終結)

「重要なことは、ヨーロッパの「近代」は、宗教的なもののなかからーまさに宗教的なものの原点へ復帰しようとする動きのなかから生まれ出てきたということです。宗教改革という名のキリスト教の原理主義的な回帰から、宗教から自立した近代的国家が成立し、世俗の領域が確立したということなのです。」(佐伯、81ページ)

ファーガソン『文明』による プロテスタントの意義 プロテスタントは西洋の人びとに働くことを奨励しただけでなく、節約し、読書することを勧めた。産業革命は技術革新と消費性向が作り出したものだ。だがそれは、貯蓄と投資によって資本を蓄積し、労働に没頭させ、労働時間の延長を要求した。とりわけ、人的資本の蓄積に依存していた。プロテスタントが推進した識字率の向上は、すべての面においてきわめて重要だった。」(423頁)

宗教改革関連の参考文献 オリヴィエ・クリスタン「宗教改革」創元社 リュシアン・フェーヴル「マルチン・ルター」キリスト教新聞社、2001  オリヴィエ・クリスタン「宗教改革」創元社  リュシアン・フェーヴル「マルチン・ルター」キリスト教新聞社、2001 山本義隆「16世紀文化革命」上下、みすず書房