2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照) 2017現代文明論 7 近代化=西欧化(16-18世紀)←1492年に始まる世界システム(前回の講義参照) 佐伯啓思『人間は進歩してきたのか』(PHP新書、2003)による3つの革命 科学革命 市民革命 産業革命
近代の3つの原理 浜名優美による 1)宗教改革(16世紀)
1)宗教改革(16世紀) 2)科学革命(17世紀、デカルトに始まる心身二元論:機械論)
1)宗教改革(16世紀) 2)科学革命(17世紀、デカルトに始まる心身二元論:機械論) 3)資本主義(16世紀に始まる)
宗教改革 ルターLuther(1483-1546)による「贖宥状」の否定(16世紀) サン・ピエトロ大聖堂修復工事の費用捻出 1517年 「95カ条の論題」-信仰によってのみ救われる(宗教改革500年) 宗教改革3大文書(1520)(日本語訳2017、講談社学術文庫) 「ドイツ国民のキリスト教貴族」 「教会のバビロニア捕囚」 「キリスト者の自由」 中村雄二郎『21世紀問題群』p.19, p.20
1524年 ドイツ農民戦争(「神の前に万人が平等である」 →個の自覚 万人司祭主義 「われらはただ信仰によってのみ義とされる」という信仰の内面性にもとづく「義認論」⇒修道院を否定し、日常的、社会的な世俗生活、とりわけ日々の職業労働が重視される 聖書のドイツ語訳 1522年 騎士戦争(ルターの改革を支持する) 1524年 ドイツ農民戦争(「神の前に万人が平等である」 →個の自覚
1546-47年 シュマルカルデン戦争(旧教派とプロテスタント) 1555年 アウクスブルクの宗教和議(ルター派の信仰を認める→領主の宗教がその領土で行なわれるという原則)
カトリックによる高利貸借禁止(中世以来) 厳しい経済倫理⇒プロテスタントの宗教改革によっていっそう徹底 禁欲的なプロテスタンティズム イギリス:ピューリタニズム 北アメリカ:ピューリタニズム オランダ:カルヴィニズム フランス:カルヴィニズム 「現世的に禁欲して、ひたすら職業労働に励むことが神に嘉せられる道である。」
宗教改革の意義 神中心の世界から人間中心への世界の転換(佐伯、71ページ) 「宗教改革こそが、結果として近代的な、世俗的な社会秩序を生み出した」(同上、72ページ)
宗教改革が生み出した 「国家」意識 1 領邦領主が神聖ローマ帝国の権力に反旗を翻し、世俗主体が自立 1 領邦領主が神聖ローマ帝国の権力に反旗を翻し、世俗主体が自立 2 ルター派が迫害されることで信徒がヨーロッパじゅうに拡がる→北のプロテスタントと南のカトリックの対立(フランスの宗教戦争) 3 信仰の拠り所は聖書のみ。聖書がラテン語から各言語に翻訳される。民族集団が形成され、「国民」が誕生(グーテンベルクの印刷機の役割が大きい) 4 宗教と政治の混乱→(1618から1648の30年戦争、1648ウエストファリア条約で終結)
「重要なことは、ヨーロッパの「近代」は、宗教的なもののなかからーまさに宗教的なものの原点へ復帰しようとする動きのなかから生まれ出てきたということです。宗教改革という名のキリスト教の原理主義的な回帰から、宗教から自立した近代的国家が成立し、世俗の領域が確立したということなのです。」(佐伯、81ページ)
ファーガソン『文明』による プロテスタントの意義 プロテスタントは西洋の人びとに働くことを奨励しただけでなく、節約し、読書することを勧めた。産業革命は技術革新と消費性向が作り出したものだ。だがそれは、貯蓄と投資によって資本を蓄積し、労働に没頭させ、労働時間の延長を要求した。とりわけ、人的資本の蓄積に依存していた。プロテスタントが推進した識字率の向上は、すべての面においてきわめて重要だった。」(423頁)
宗教改革関連の参考文献 オリヴィエ・クリスタン「宗教改革」創元社 リュシアン・フェーヴル「マルチン・ルター」キリスト教新聞社、2001 オリヴィエ・クリスタン「宗教改革」創元社 リュシアン・フェーヴル「マルチン・ルター」キリスト教新聞社、2001 山本義隆「16世紀文化革命」上下、みすず書房