より多くのコンテンツを 機関リポジトリに集めるために 教員を理解する

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Presentation transcript:

より多くのコンテンツを 機関リポジトリに集めるために 教員を理解する  より多くのコンテンツを  機関リポジトリに集めるために  教員を理解する 2005年1月 D-Lib Magazine Nancy Fried Foster Susan Gibbons ロチェスター大学 リバー・キャンパス図書館 これは2005年1月に発表された記事で、ロチェスター大学リバー・キャンパス図書館がInstitute of Museum and Library Services博物館・図書館サービス研究所の2003年度National Leadership助成金を得て行った調査の報告である。

機関リポジトリの利点とその問題点 成功のカギは コンテンツの収集 である MIT図書館 DSpace 学術研究成果を展示する <機関リポジトリの利点> 学術研究成果を展示する 価値あるデジタルドキュメントの集中化 管理の効率化とデータの保存 学術コミュニケーションの危機に応える 成功のカギは コンテンツの収集 である <問題点> 著者やコンテンツの所有者からは便利なものとは見られていない     ・・・事例として  MIT図書館 DSpace      約4,000アイテム      年間経費 約285,000ドル(1アイテム年間71ドル) MITではDSpaceの利用者支援担当者にコンテンツの収集を担当させたり、マーケティング専門家の手腕を求めたりした。このように世界的に知名度の高いMITといえどもコンテンツの収集に苦しむということは何かやり方が間違っているに違いない。そこでロチェスター大学図書館では教員の研究活動を理解し教員が機関リポジトリに求めているものは何かを知るという調査を始めた 2007/5/22

教員の研究行動の調査 「ワーク・プラクティス調査法」 出版済資料や灰色文献などのデジタル形式の研究成果をどのように発見、使用、配布しているか 調査のコアチームは様々な専門家が参加した 構想から発表に到る研究サイクルのストーリーボードを  作成した 教員が何を望み、何を必要としているか、あるいはDspace ソフトウェアの機能を拡張するなど数多くのアイデアを得た 「ワークプラクティス法」は人類学で従来から行われている参与観察法に基づいて作業中の人々を詳細に観察し記録するという方法である。調査チームは研究室でビデオ撮影を行い、出版済み資料や灰色文献などのデジタル形式の研究成果を研究者がどのように発見、使用、配布するかを観察したりインタビューした。調査チームは2名の図書館員、コンピュータ科学者、人類学者、プログラマ、グラフィックデザイナーなど様々な専門家がコアとなり、数名の図書館員が作業の補助をした。そして、構想から発表に到る研究サイクルのストーリーボードを作成した。この記録の分析を行った結果、教員が何を望み何を必要としているか、といったアイデアやDSpaceの機能を拡張する具体的なアイデアまで、150以上のアイデアを得た。 2007/5/22

緑は理解を、 赤は誤解、理解の欠如、無関心を表す この表は、教員にDSpaceを売り込んだときに説明したDSpaceの特徴と、それに対する教員側の反応や興味を緑と赤で表している。様々なフォーマットをサポートすることやデジタル保存をすることには少し説明をすれば理解を示す。アクセス権の管理ということにはすべての教員が理解し望む。機関リポジトリやメタデータ、オープンソースウェアという言葉には全く無関心である。 DSpaceの特徴と教員・研究者による要望との間の齟齬。 緑は理解を、 赤は誤解、理解の欠如、無関心を表す 2007/5/22

調査結果~教員が望んでいるもの 共著者と作業すること 同一論文の様々な版を管理すること MacとPCといった異なるコンピュータを使って異なる場所で作業すること 研究成果を他人に利用できるようにすること 他の研究成果に簡単にアクセスすること 研究分野の動向を把握すること 自分のやり方で資料を整理すること 所有権、セキュリティ、アクセスを管理すること 文献の永続的な閲覧・利用を保証すること サーバやデジタルツールの管理を他人に任せること 著作権問題を侵害しないことを保証すること コンピュータに関するあらゆることを簡単かつ完全に保つこと 混乱状態を無くすこと、少なくとも新たに作り出さないこと これ以上忙しくならないこと 調査の結果、研究者が望んでいることは、研究を行うこと、研究に関する読み書きを行うこと、研究を共有すること、研究分野の動向を常に把握することというごく当たり前のことを望み、研究や執筆の時間を削るようなあらゆる活動を不快に思っていることもあきらかになった。 2007/5/22

調査結果の分析 教員がIRに無関心な理由 教員が教員の側から見た機関リポジトリの利点を認識していない 機関リポジトリが個人のニーズや目標ではなく、機関のニーズや目標を支援・達成するために設計されたシステムである 機関リポジトリが個々の研究者の業績ではなく、機関の業績を強調するものである 教員が必要としている執筆支援システム バージョン管理機能--共同執筆、複数のコンピュータ 研究成果の共有--他の研究機関 図書館員がコンテンツを集めるためにIRを宣伝する際、機関リポジトリを構築・運営する人々が使う言葉で表現されていた。その結果、教員は機関リポジトリに関心を示さず、このような印象を持っているのではないかと分析された。 また、教員は他の研究者を共同研究する際や複数のコンピュータを使って執筆する際にはバージョン管理が重要になる。また、教員が研究成果を共有したいと考えるのは多くの場合、同一研究分野の他の機関に所属する研究仲間であり、そういった研究者が研究成果を検索・発見・利用できるようなコレクションである必要があると述べている。 2007/5/22

短期的目標のための2つの戦略 教員の立場に立って彼らにアプローチし、教員の言葉を使って対話すること 教員が資料をIRに簡単に投稿でき、その研究を展示できるようにDSpaceを拡張すること 研究者のための パーソナル・ショーケース・ページ 調査チームは調査を終えて、短期間のうちにより多くのコンテンツを集めることが最優先課題であることを理解した。教員の原稿執筆や共同執筆のためのシステムに対する要望については先送りとした。 長期的には、まずなにより、教員が「研究を遂行する」ための尽力、すなわち、資料の組織化、原稿の執筆、共著者との共同作業などを支援するシステムを想定している。 そのシステムを構築する際には、作業フォルダからIRへ文書を移す簡単なメカニズムを付け加えるつもりである。 2007/5/22

L 研究者ページでは、研究者がセルフパブリッシュした研究成果を見ることができ、主題リポジトリや電子ジャーナルに掲載された研究成果へのリンクを含めることも可能。 研究者ページ 2007/5/22

このページは研究者が実際にセルフパブリッシュやセルフアーカイブをする場所であり、教員がコレクションの配置や命名のすべてを管理する。また、原稿執筆や共著作業のためのホームページを提供したり、研究者が様々なコミュニティで行う活動を支援するものになるだろうと述べている。 研究ツール 2007/5/22

機関リポジトリにおける研究者ページの位置づけ ロチェスター大学のIRではDSpaceに元々存在するコミュニティとコレクションに加えて、 研究者ページというコミュニティメンバーとその個人的コレクションを表現する階層をもつことになる予定。 2004年現在、小さな学科の4人の初期協力者グループと共同でDSpace拡張のプロトタイプの評価を行ったり、ユーザビリティのテストを行い、そのグループの経験をモニターする予定である。 初期協力者のいるこの学科は、学内の異なる分野の2つの学科と、学外の同じ分野の多くの学科と密接な関係を持っており、 彼らを通してネットワークが広がることを期待している。 機関リポジトリにおける研究者ページの位置づけ http://dspace.lib.rochester.edu/index.jsp 2007/5/22

体制の構築~ライブラリーリエゾンの活動 研究成果をWeb上でGoogle検索やIR自身の検索機能により他の人が容易にアクセスできるようにすること デジタルアイテムを将来にわたって、消失や破損がないよう 安全に保存すること ファイルを探したりメール添付で送付したりするために時間を費やす必要がないように、研究成果へのリンクを割り当てる こと 研究成果の所有権を保持し、研究成果を閲覧できる人を管理すること サーバを管理する必要がないこと 面倒なことを何もする必要がないこと 「ライブラリーリエゾン(橋渡し)」は訓練を受けた主題図書館員が務め、コンテンツ収集担当者を支援して教員と個人的に会ったり、部局の会議に出席してIRの利点や IRがどのようなものであるかを紹介したり、目録担当者が作成するメタデータを補完したり、投稿された研究成果を適切なコレクションに配置したりする予定。 ライブラリーリエゾンの活動は、各個人に合わせたオーダーメードのガイダンスを行うことがベストである。たとえば、教員と会う前に教員の最近の論文を読み、研究について2,3質問をするなど、教員の研究に関心を持っていることを示したり、教員とのインタビューから得た言葉を使ってIRを説明している。 決められたフォーマットを使えばそのフォーマットが使われなくなっても投稿したファイルが永久に利用できること、さらにIRが保管する学術研究成果を Googleで検索できる機能や研究ツールページ機能をIRが持っていることも説明する。 著者は 我々は作業フォルダからIRへ文書を移す簡単なメカニズムを付け加えるつもりである。我々が研究過程全体を支援し、IRが教員の要望にマッチし、彼らの研究の方法に合えば、教員はIRを利用し、「自然と」より多くの研究成果をIRに投稿するようになると確信している。 と述べている。 2007/5/22

IRを越えて 研究者ページと研究ツール 新しいページを使って利用者がどの程度自分でIRに研究成果をデポジットする か 研究者ページと研究ツール  新しいページを使って利用者がどの程度自分でIRに研究成果をデポジットする か 研究成果の発信のために研究者ページと研究  ツールがどの程度うまく働くか 試行運用協力者からその同僚へとネットワークを  広げることができるかどうか 2004年の時点でロチェスター大学では研究者ページと研究ツールをJavaで開発中であり、少人数の教員グループにより試行運用を行う予定である。 また、今回の調査を行った「ワークプラクティス調査法」を使って、学部学生を対象とした調査も行っている。 IRの成功を測る尺度としてコンテンツの量は明確で単純な測定基準であり、その収集がうまくいっていないということは失敗という印象を与えるかもしれないが、教員の既存の活動にうまく合わせれば、IRは現在かなえられていない多くの期待に応える可能性を持っていると最後に述べている。 2007/5/22

より多くのコンテンツを  機関リポジトリに集めるために  教員を理解する 2005年1月 D-Lib Magazine Nancy Fried Foster Susan Gibbons ロチェスター大学 リバー・キャンパス図書館 2007/5/22