私たちにできる国際協力 プラン ジャパン 成城学園高校2年生のみなさん 華井・仲野・三石 17th Oct , 2007 こんにちは、今日の講演を担当する、プラン・ジャパンのボランティア講師で華井・仲野・三石といいます。 今日は、成城学園の先生方から、「私たちができる国際協力」というテーマでの講演を依頼されてやってきました。
プランとは? 途上国の子どもたちを支援する 国際NGOです 私たちプランは、途上国の子どもたちを支援する国際NGOです。 NGOとは、Non-Governmental Organizationの略で、「非政府組織」つまり、民間の支援団体です。
世界66カ国にわたるグローバルな組織 支援国:17カ国 活動国:49カ国 活動国:49カ国 支援国:17カ国 プランは、正式名称を「フラン・インターナショナル」といい、世界66カ国にわたる組織を持っています。 日本のように支援をする国が17カ国、東南アジア、インド、アフリカ、 中南米のようにプランが援助の活動を行っている国が49カ国あります。 今日は、最初に、この地図の緑で塗られている途上国での問題をみなさんに紹介し、 次に、途上国の問題を解決するために国際機関はどのような取り組みをしているか、 最後に、一市民である私たち個人は何ができるか、という3つの話をしていきたいと思います。
「もう一枚の世界地図」 飢餓率(栄養不足人口の比率) 2.5~4% 5~19% 20~34% 35%以上 2.5%未満 ここに、世界の問題をあらわした一枚の地図があります。題して「もう一枚の世界地図」です。 これは何をあらわした地図だかわかりますか? 緑で塗られている国は、日本、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカとカナダ、アルゼンチン。 オレンジや赤で塗られている国は、モンゴル、インドやアフガニスタン、アフリカ。 これは、飢餓率といって、栄養不足で飢餓の状態に陥っている人がどれくらいいるかをあらわした地図なのです。 世界食糧計画という国連の機関がつくった、「ハンガーマップ」といいます。 緑や黄緑の地域では栄養不足の人は少ないのですが、 黄色の地域では5~19%、オレンジは20~34%、赤になると35%以上の人が栄養不足だということになります。 飢餓率(栄養不足人口の比率) 2.5%未満 2.5~4% 5~19% 20~34% 35%以上 WFP(世界食糧計画)「ハンガーマップ」より
アフリカの国々は飢餓率が高い リビア 3% エチオピア 46% ガーナ 13% コンゴ民主共和国 71% 特にひどいのは、アフリカ大陸ですね。ほとんどの地域が黄色、オレンジ、赤です。 北のほうの緑は、エジプト、リビア、チュニジアです。例えばリビアの飢餓率は3%です。石油が取れるので、比較的豊かなのですね。 でも、南に下ると、黄色の地域でも、例えばガーナでは13%の人が栄養不足です。 この教室には今、300人近くがいますから、ここがガーナだったら、このうち36人は栄養不足ということになりますね。 それでもまだ黄色はましな方です。東の赤い地域に行くと、例えばエチオピアの飢餓率は46%です。約半分の人が栄養不足です。 さらにひどいのは、コンゴ民主共和国です。なんと、71%もの人が栄養不足です。この教室でいうと、213人は栄養不足です。 WFP(世界食糧計画)「ハンガーマップ」より 2000-2002年のデータ
コンゴ民主共和国の場合 生まれてからの平均余命 44才 20% 5歳未満で死亡する子ども 飢餓率が高いというのはどういうことなのか、飢餓率71%のコンゴ民主共和国で見てみましょう。 コンゴ民主共和国の平均余命、つまり、人々が平均的に何才まで生きるかというと・・・なんと44才なのです。 日本の平均余命は82才。女性は86才なので、コンゴの人は日本人の約半分しか生きられない計算になります。 じゃあ、コンゴの人がみんな若いのかというと、そうではないのです。 子どものうちに死亡してしまう率が高いから、平均余命が低くなるのです。 コンゴでは、5歳未満で死亡する子どもは20%。さらに、その大半が、生まれて1年以内に死亡しているのです。 栄養不足で死ぬ子どももいるし、栄養不足であるがために、簡単な病気で死にいたってしまう子どもも多いのです。 生まれてからの平均余命 44才 20% 5歳未満で死亡する子ども ユニセフ「世界子ども白書」より
飢餓の原因 自然災害 紛争 砂漠化 病気 農地の荒廃 自然災害 砂漠化 生産力の低下 難民の発生 紛争 労働力不足 病気 では、なぜそんなにも飢餓率が高いのか、飢餓の原因をいくつか見ていきたいと思います。 ・第一に、砂漠化があります。アフリカ大陸の36%は砂漠で農業に向きません。その上に、近年では今まで砂漠ではなかったところも砂漠になっていく現象が進んでいます。この写真を見ると、木が立ち枯れていますね。ここは、数年か数ヶ月前までは、こんな大木が生えられるような草原だったはずなのです。アフリカでは、サハラ砂漠が年々南へ拡大するという問題が起きています。 ・第二に、自然災害が挙げられます。干ばつ、洪水、イナゴ被害など、ひとたび自然災害が発生すると、ただでさえ弱い農村地帯は大打撃を受けてしまうのです。この写真は、2005年ニジェールでのイナゴ被害のときの写真です。緑が食べつくされ、家畜に食べさせる牧草がなくなってしまったために、この親子は荒野で藁くずを拾っているのです。 ・第三に、紛争という問題もあります。ソマリア内戦、コンゴ内戦、ルワンダ内戦など、アフリカでは紛争が多発しています。先ほど、飢餓率が71%であるといったコンゴ民主共和国は、実は1995-97年は55%でした。それでも相当多いですが、その後飢餓率が一気に悪化しているのは、1994年からはじまった内戦が泥沼化して国土を荒らしてしまったからなんです。 ・第四に、病気というのもあります。アフリカでは、はしか、ポリオ、マラリアなどの病気で死に至る人が多くいますが、特に深刻なのは、HIV・エイズの蔓延なのです。アフリカでは、2500万人がHIVに感染していると考えられています。この写真の親子は、母親がエイズで寝たきりになり、子どももすでに母子感染しています。この子は、いずれエイズ孤児になり、自分もエイズを発症する可能性があります。 ・こういった原因によって農地が荒廃し、生産力が低下し、大量の難民が発生したり、農村の労働力が不足したりすることで、飢餓率が高まっていくのです。 ・ですが、飢餓の原因として、もうひとつ大きな問題があります。じつは、もしもみなさんがアフリカの上空を飛行機で通過したら、必ずしも荒涼とした砂漠ばかりが続いているわけではありません。もちろん赤道付近には熱帯林もありますが、こんな風景も目にするでしょう。
プランテーション コーヒー豆 カカオ豆 これが何だかわかりますか? これは、全部コーヒーの畑なんです。こういう風に、同じ作物を栽培する大農場を、プランテーションといいます。 アフリカが飢餓に苦しんでいるからといって、何も農作物が取れないかというと、そうじゃないのです。 みなさんがよく口にする食べ物で、アフリカでたくさん作られているものがありますよね? ひとつは、これから冬になるとお菓子コーナーにたくさんの種類が並ぶもの。食べ過ぎるとにきびができてしまうもの。 チョコレートの原料のカカオ豆です。 もうひとつは、先ほどのプランテーションで出てきた、コーヒーです。 カカオ豆
農業生産物を見ると・・・? エチオピア 46% ウガンダ 19% 世界のカカオ豆生産量 世界のコーヒー生産量 国名 比率 1 コートジボワール 33.9% 2 ガーナ 18.8% 3 インドネシア 15.5% 4 ナイジェリア 9.3% 5 ブラジル 5.5% 6 カメルーン 4.6% 7 エクアドル 3.5% 8 コロンビア 1.4% 9 メキシコ 1.2% 10 パプアニューギニア 1.1% その他 5.2% 合計 100% 世界のコーヒー生産量 国名 比率 1 ブラジル 28.2% 2 ベトナム 12.8% 3 インドネシア 9.9% 4 コロンビア 8.8% 5 メキシコ 4.0% 6 インド 3.6% 7 エチオピア 3.4% 8 グアテマラ 2.8% 9 ホンジュラス 2.5% 10 ウガンダ 2.4% その他 21.6% 合計 100% エチオピア 46% ウガンダ 19% では、カカオやコーヒーの生産量を見てみたいと思います。 ・カカオ豆を生産している世界の上位10カ国を見ると、1位はコートジボワール、2位はガーナ。この2カ国で、世界の52%を占めています。 そして、4位にナイジェリア、5位にカメルーン。いずれも、ハンガーマップで黄色とオレンジの地域です。(コ14、ガ13、ナ9、カ25) ・コーヒーを生産している世界の上位10カ国を見ると、中南米とアジアが多いのですが、7位にエチオピア、10位にウガンダが入っています。 じつは、コーヒー豆はエチオピアが原産地で、エチオピア領だった「モカ」の港から積み出されたコーヒーを「モカ」と呼びます。 タンザニアにあるキリマンジャロの山の周辺で栽培されたコーヒーを「キリマンジャロ」と呼びます。 でも、エチオピアは栄養不足人口が46%、ウガンダは19%です。コーヒーをつくっている場合じゃありませんよね。 なぜ、人々が食べる食糧作物をつくらないで、コーヒーをつくっているのでしょうか? 世界国勢図会をもとに作成
なぜ食糧作物を作らずコーヒー・カカオを? コーヒーやカカオは・・・ お金になる商品作物 政府・経営者は・・・ 外貨が獲得できる 住民にとっては・・・ ・食糧作物のための土地がなくなる ・大量生産でコーヒー・カカオの価格が下がる ・生活のための設備が後回しになる それは、コーヒーやカカオが、お金になる商品作物だからです。 コーヒーやカカオを大量に生産して海外に輸出すれば、政府や農場経営者にとっては、外貨、つまり外国のお金を稼いで、 国家予算にしたり、家を建てたりするための現金収入を得られるので、とても貴重な収入になるのです。 だから、政府や経営者はどんどんプランテーションをつくって、コーヒーやカカオ豆を生産して、どんどん外国に輸出したがります。 でも、その一方で、住民にとっては,コーヒーやカカオ豆をつくるプランテーションのために、自分達の食糧作物を栽培するための農地がなくなってしまいます。しかも、プランテーションをつくるために森林が伐採されると、森林というのは、たくさんの動物が生息する食料の宝庫だったのに、森林からも食べ物を得られなくなります。さらに、同じ作物ばかりをたくさん栽培すると、病気になりやすくなるので、たくさんの農薬を使って、土や水が汚染される原因にもなります。 それに加えて、政府が水道を整備したり、学校を建てたりして国民の生活のための設備を後回しにすることで、住民の生活は悪化してしまいます。
エチオピアの場合 コーヒーの実1kgで農 民が受け取る額 約15円 安全な水を飲める人 22% 販売価格の 約5% 先日、スーパーで「100%エチオピア産」というコーヒーを買ってきました。これ、200gで約400円だったので、1kgだと2000円になります。コーヒーの実6kgからコーヒー豆1kgが取れるらしいので、計算すると、私が買ったコーヒーのわずか5%しか、生産者の手には渡らないことになります。 これっぽちしか収入が入らないわけですから、エチオピアの公共事業は全然進みません。エチオピアでは、安全な水、つまり、水道、井戸などの設備から水を飲める人は、わずか22%しかいないのです。78%の人は、川や池の水を飲んでいます。 コーヒーを生産しているエチオピアの人たちがきれいな水さえ飲めないというのは、皮肉な話です。 安全な水を飲める人 22% JICA報告書およびユニセフ「世界子ども白書」より
コーヒーを飲んでいるのは・・・? では、コーヒーを飲んでいるのは誰なのでしょう?コーヒーの消費国を見てみましょう。 第一位はアメリカ、二位はドイツ、三位は日本、イタリア、フランス、イギリス、と続きますが、いずれもハンガーマップでは緑色の、豊かな先進国です。 栄養不足に苦しむアフリカの国々で生産された農作物が、先進国の人々の口に入っているわけですね。 最初に、飢餓の原因として、砂漠化、紛争、病気だけじゃないもうひとつの大きな問題があるといいました。実は、これが世界の問題のひとつなのです。途上国のなけなしの生産物を豊かな先進国が消費している、そんな矛盾が、世界では起きているのです。
途上国の問題を解決するための 国際協力とは? 途上国の問題を解決するための 国際協力とは? では、このような途上国の問題を解決するために、私たちは何ができるのでしょうか? 国際協力のあり方を考えてみましょう。
プランの取り組み ①緊急援助 災害のとき…できるだけ早く、必要な物資を届ける 2006年東ティモール騒乱 2006年ジャワ中部地震 プランの取り組み ①緊急援助 災害のとき…できるだけ早く、必要な物資を届ける 2006年東ティモール騒乱 2006年ジャワ中部地震 まず、途上国の問題を解決するために、国際協力機関は何をしているのか、プランの活動を例にして紹介します。 一般的に、国際協力機関の取り組みは、大きく分けて2種類あります。 ひとつは、緊急援助です。これは、災害のときの援助です。 先ほど、ニジェールでのイナゴ被害の話しをしましたが、地震、津波、洪水などの災害が起きたときには、その災害でけがをした人の手当てをしたり、食料を確保するために、できるだけ早く、なるべくたくさんの必要な物資を届ける必要があります。 2006年の例を見ますと、4月にインドネシアのお隣・東ティモールで、政府のいざこざをきっかけに略奪や焼き討ちが起きて、住民が非難しました。この写真は、治安を守るためにオーストラリアから派遣された軍です。このとき、プランは住民の避難生活に必要な給水タンク、トイレを設置したり、東ティモールの主食であるお米や麺を大量に提供しました。 5月にジャワ島の中部で地震が発生したときには、仮説テントをつくるための防水シートなどを届けると同時に、医療チームを派遣して、地震でけがをした人の治療に当たりました。 このようにして、災害時にはとにかく物資を届けることが先決ですが、災害以外のときには、違う形の援助をします。
プランの取り組み ②開発援助 住民の自立を支援するとき… できるだけ長く、住民と一緒に活動する 住民に必要なものを提供する プランの取り組み ②開発援助 住民の自立を支援するとき… できるだけ長く、住民と一緒に活動する 二つ目のプランの取り組みは、どちらかというとプランはこちらに力を入れているのですが、開発援助です。 開発援助というのは、住民が自分たちで食糧を生産して、生活に必要な環境を整えて、自立した生活をすることができるように支援する援助です。この場合は、できるだけ長く、住民と一緒に活動することが大切になります。 まず、プランは、援助をする地域の人たちと、一緒に話し合って、この地域の問題は何か、解決のためには何が必要なのかを、住民中心で決めます。 そして、住民が本当に必要とするものを提供します。例えばこの写真はザンビアの農村地域の例なのですが、プランが提供したのは、雌牛2頭です。私たち日本人の感覚だと、牛じゃなくて畑を耕すトラクターとかを提供した方がいいのでは?なんて思いがちですよね。でも、この牛、畑では鋤を引いて耕作の助けになるし、この写真のように、たくさんの薪を運ぶ助けにもなるし、さらに、牛乳を取ることで、子どもたちの栄養改善にも役立つ、一石三鳥のお役立ちの動物なんです。この牛を使って、地域の人たちは食糧を生産したり、物を運んだりして、自分たちで生活を改善することができます。 住民と一緒に考える 住民に必要なものを提供する
学校菜園をつくる 学校へ通える子どもが増える 給食を配る もうひとつ、プランだけではなく、先ほどのハンガーマップをつくった世界食糧計画・WFPやユニセフも行っているのが、学校菜園や給食の取り組みです。 これはアフリカ各地で広く行われているのですが、まず、学校の敷地に菜園をつくります。そして、そこで収穫した野菜で学校給食をつくれば、材料費をかけないで給食がつくれますよね。みなさんは毎日お弁当を持ってきたり、学食でお昼を買って食べていますが、この子どもたちの家には、お昼ごはんを買ったり、給食費を払うゆとりがないわけです。さらに、学校に行っているヒマがあったら、仕事を手伝って、食費を稼いでくれ、ということになってしまうわけです。ところが、学校で無料で給食を出すと、子どもたちの栄養が改善するのはもちろんのこと、親にしてみれば、子どもの食費が1食分浮くわけですから、給食をめあてに、子どもを学校へ行かせます。おかげで、学校へ通うことができる子どもが増えるのです。 このようにして、多くの国際組織やNGOは、途上国の人々の生活が改善するように、いろんな活動を行っています。
私たちにできる国際協力とは・・・? ①国際協力の組織へ支援・参加すること 援助への寄付 ボランティアへの参加 知る・考える では、私たちのような、日本で暮らす一人ひとりの市民は、いったい何ができるでしょうか? まずひとつは、国際協力をしている組織へ支援をしたり、参加したりすることです。 ユニセフ、世界食糧計画のような国連の組織、プランのようなNGOなど、途上国の問題を解決するために活動している組織が日本にもたくさんあります。そういった組織に寄付をしたり、募金活動、チャリティーバザーなどのイベントにボランティア参加したり、小さな協力をするチャンスはいくらでもあります。 成城では、文化祭の飲食店の売り上げは寄付をすることになっていますよね。それだって、大きな国際協力です。プランに寄付してくださいとは、別に言いません。世の中のために役立つ活動をしている団体は、プランのほかにも、たくさんあります。ただ、みなさんにお願いしたいのは、寄付をするときに、どんな団体がどんな活動をしているのか、ぜひよく調べて、クラスで話し合いをしてから、寄付をして欲しいということです。単に「ユニセフでいいよね」と決めるのではなく、安全な水を提供するユニセフのプログラムに賛同するから、ユニセフに寄付をする、というように、考えて欲しいので須。知ること、考えること、話し合うことも、大切な国際協力の入り口です。 援助への寄付 ボランティアへの参加 知る・考える
私たちにできる国際協力とは・・・? ②賢い消費者になること ・フェアトレード =「公平な取引」 (生産者・労働者の権利を守る取引) (生産者・労働者の権利を守る取引) =「公平な取引」 フェアトレードの認証マーク (国際フェアトレード認証ラベル機構) もうひとつ、私たちにできる国際協力は、賢い消費者になることです。実は私は、こちらの方が重要だと思っています。 高校生のみなさんは、まだ投票権を持っていませんし、日本人の私たちは、アフリカの政府の政策にああしろこうしろということができません。でも、私たちはほとんど毎日、ものを買ったり食べたり使ったりします。この消費活動というのは、とても大きな影響力を持っているのです。 例えば、フェアトレードという言葉を聞いたことがありますか?これは、このまま訳すと、公平な取引を意味していて、何でも安く買いたたこうとしないで、商品を生産した生産者や労働者の権利を守るような取引をしよう、という取り組みです。 最近、日本でも注目されていて、ちゃんと生産者の権利を保護する取引が行われている商品には、このようなフェアトレード認証マークがつけられたりしています。
フェアトレードの例:コーヒーの場合 生産者:コーヒーを森林栽培する 流通業者: コーヒーを 高く買い取る 生産者の収益が 保障される 流通業者: コーヒーを 高く買い取る 生産者の収益が 保障される 価格が高くなる 森林・生活環境が守られる コーヒーの 収穫量が減る 食糧作物を作れる コーヒーの場合のフェアトレードの例をちょっと見てみましょう。 コーヒーの場合、最初に写真で見たように、プランテーションで大量生産をすると、生産地の人々の生活を破壊することもあります。 そこで、生産者は、コーヒーを森林の日陰で栽培するようにします。もともとコーヒーは、あまり日光が当たらない方がいいのです。 そうすると、森林が守られて、地域の住民は森の動植物を利用したり、他の食糧作物をつくったりすることができます。 ただ、問題点としては、このような生産方法では収穫量が減ってしまうので、今までと同じ値段で取引していたら、収入が激減してしまいます。 そこで、フェアトレードに理解を示す流通業者は、森林栽培されているコーヒーは高く買い取ってあげるのです。そうすれば、収穫量が少なくても、生産者の収益は保障されます。 ただ、今度は、コーヒーの原材料費が高くなるわけですから、コーヒーの販売価格が高くなります。 そこで、消費者の理解が必要なのです。たとえ他の商品より高くても、フェアトレードの認証商品を選んで買うことで、フェアトレード商品を支持するのです。 コーヒーの場合は、このフェアトレードのマークよりも、コーヒーと森と鳥を描いた、バードフレンドリーのマークが使われることもあります。 実はこのマーク、少しずつ取り扱う店が増えているのですけれども、まだまだ認知されていないようで、メンバーの三石さんが今回、フェアトレードチョコレートを探してあちこちの店で「フェアトレードチョコレートの扱いはありますか?」って聞いてくれたのですが、店員が知らなくて、「それは何ですか?」って聞き返されたこともあったようです。みなさんもぜひ、近所のお店で探してみてください。そして、お店の人にも聞いてみてください。それが、「あ、消費者は気にかけているんだな」という意識を企業の側にも持たせることにつながって、フェアトレードを促進する力になります。 消費者: フェアトレードの 認証商品を選ぶ
フェアトレードマークのついた商品を集めてみました。コーヒーは262円、チョコは不明ですが、バナナは高級バナナなので1本200円、サッカーボールはたくさん種類があって、この写真のボールは2500円でした。 サッカーボールの場合は、ボールをつくる工場での児童労働が問題となっていたために、児童労働をさせない工場でつくられたサッカーボールにはこのようにフェアトレードマークがつけられて、値段の15%は、工場の環境改善に使われるのだそうです。
私たちにできる国際協力とは・・・? ②賢い消費者になること ・フェアトレード =「公平な取引」 ・身近なものを大切にする 途上国の問題を (生産者・労働者の権利を守る取引) =「公平な取引」 ・身近なものを大切にする 途上国の問題を 解決することにつながる このようにして、フェアトレードの商品を選ぶと、一つひとつのものの値段が高くなりますから、たくさんのものが買えなくなりますね。 それなら、一度手に入れたものを大切にすればいいのです。安いものをたくさん買って、たくさん捨てるような生活をやめて、多少高いけれど途上国の人々の生活を守るものを選んで買って、その分、長く大切に使えばいいのです。そんな地味な行動が、途上国の問題を解決することにつながるのです。
Think Global, Act Local あなたの毎日の暮らしも 国際協力の一部です よく言われることですが、それこそがやっぱりいちばん大切なことなのです。 あなたの毎日の暮らしも、国際協力の一部です。 世界じゅうの人が幸せに暮らせる日が来るように、小さなことからはじめてください。 ご清聴ありがとうございました。