/労働基準法からの発見 「あぁ、そうなんだ」 新しく執行部になったあなたへ 第4章労働時間、休憩、 休日及び年次有給休暇 学習のねらい Common Sense ryo発信 2017 .3 新しく執行部になったあなたへ 「あぁ、そうなんだ」 /労働基準法からの発見 学習のねらい ❐労働組合の活 動に必要な力 量を高める。 ❐「あぁ、そう なんだ」を確 信に交渉に臨 む。 第4章労働時間、休憩、 休日及び年次有給休暇 NPO労働相談・組合づくりセンター 札幌市白石区菊水3条2丁目1-10 ☎011-561-8808 📠011-398-7871 eメール moiwaryo@gmail.com url http://kumiaizukuri.jimdo.com
第4章 労働時間 私の「第4章 労働時間」の学習は、「マルクスは労働時間を最も重視した」「労働時間は資本と労働者の攻防の中心である」「労働時間は人間としての生活のあり方にかかわる」(不破哲三)という指摘に導かれています。同時に、労働相談を通じて感じている、若い労働者の労働時間に対する権利意識があまりにも乏しい現実に対する、変革のためのサポートです。 「時間は人間の発達の場である。いかなる自由な時間を持たない者、睡眠や食事などによる単なる生理的中断を除いて、その全生涯が資本家のための労働に吸い取られている人間は、役畜にも劣る。彼は単に他人の富を生産するための機械にすぎないのであり、体は壊され、心は荒れ果てる。だが、近代産業の全歴史が示しているように、資本は、阻止されないかぎり、しゃにむに休むことなく労働者階級全体をまさにこのような最大限の荒廃状態に投げ込むことだろう」 (「賃金、価格および利潤) 第32条(労働時間)使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間につ いて40時間を超えて、労働させてはならない。 2 使用者は1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日 について8時間を超えて労働させてはならない。 労働基準法は戦前の「請負労働」から「時間労働」を基本とする考え方への転換である。8時間労働制は進歩である。8時間労働制の「変更(変形)」と「例外」は後進制である。 (「労働基準法の話」、松岡三郎、労旬新書) 元来労働者保護立法は、労働時間制限をその中心課題としてきた。労基法 における労働時間に関する規定も、また、8時間労働制という形で、労働時間の 制限を図ったものといい得るのあるが、この原則的なあり方に対し、例外的規 定が余りも多く、労働時間の変形(32Ⅱ)、時間外労働(33Ⅰ、36)、労働時間の 命令による延長(40)などの措置により制度的意義が著しく薄れているといわな ければならない。 (詳解・法学便覧24 「労働基準法改訂版」評論社、昭和32年初版)
第一インター(1866年)から労基法(1947年)まで120年。それから70年! 〔江戸時代の時間〕 ・日の出から日没を基準に昼、夜を6等分した。単位を一 (いっとき) とし12干支を割り振った。最小単位は「四半刻」(30分)で分や秒の観念はなかった。 ・2時間を4っにわけて一つ時、二つ時、三つ時、四つ時といった。 「草木も眠る丑三つ時」は2時から2時半である。 〔文明開化で太陽暦を導入〕 ・明治7年、国家祝日を制定。 旧慣にもとづく祭礼や農休日を減らし、富国の勤勉が強いられる。 ・明治8年、官庁が日曜休日。 ・明治10年、官庁の土曜半休。 労働時間のメモリアル 1802年 イギリス 「徒弟の保健及風紀に関する法律」で12時間労働が立法的制限の初め。 フランス 1848年 12時間法 アメリカ 1868年 合衆国政府雇員の8時間制 1866年 国際労働者協会 8時間労働制を世界の労働運動の目標に定める。 1886年 5月1日 メーデーの起源 8-hour day movementの統一ストライキ。 1916年 日本の工場法の施行(1911年、明治44年公布) 製糸業では14時間労働、紡績業では女子深夜営業が認められていた。 1917年 ロシア革命 8時間労働制の公布。世界に大きく影響を与える。 1919年 ILO 第1号条約を採択 (労働基本権にもとづく、労働時間の短縮と週休制の原則、1日8時間1週48時間) 日本政府の未批准の理由 ①時間外労働の限度は公機関が定めるべきである。 ②変形労働時間の限度が日本の労働基準法と異なる。 1929年 ナチスが2週間の欧州周遊旅行 1936年 フランス人民戦線内閣 週40時間、2週間の有給休暇法 (バカンスの起源) 1947年 労働基準法制定 (本則は1日8時間、1週48時間) 1987年 労働基準法改正 (本則は1日8時間、1週40時間) 参考 「労働基準法を骨格とする労働者保護法制の推移」https://kumiaizukuri.jimdo.com/upテストページ/
〔明治中頃〕 工場生産(産業革命)とともに時間に縛られる生活に入る。 (「時間の社会史」中公新書) 18世紀後半のイギリス 労働時間の突然の延長は「産業革命」とともにやってきた 19世紀初- 「1日12時間、週70時間の労働を強いられた」 〔動力、機械の導入〕←疲れない。 ●生産量を飛躍的に増やした。 ●熟練を不要とした。←安価な労働力として女性、子どもが働かされた。 ●技術は労働を軽減し、時短を可能とした。 〔生産工程の管理権は工場主に移った〕 ●時間、労働強度が引き上げられた。 ●償却を早めるため、深夜労働が登場する。労働時間 〔明治中頃〕 工場生産(産業革命)とともに時間に縛られる生活に入る。 (「時間の社会史」中公新書) 明治末には「過労死」が発生していた 「1日の労働時間は短きも12~3時間下ることなく、長きは17~8時間に達するものもあり」 「年期満了し帰郷するときは、気抜けと工場における過度の労働の結果、多くは病気を惹起し、甚だしきは死に至るもの往々これありき」 (農商務省まとめの「職工事情」(1903 ) 結核に冒され、兄に背おわれ、野麦峠から、ふるさとを見る。 主演・大竹しのぶ 「過労による結果の衰弱や頓死」 「今や労働運動は賃金問題でも権利問題でもなく、生命問題である」 (「労働世界」 労働組合期成会1991)
そもそも、法第32条の「週40時間」「1日8時間」の働き方は「完全週休2日制」に相当する! -具体的に労働時間と労働日を見る- -具体的に労働時間と労働日を見る- 政府はOECDに日本の労働時間は1,746時間と報告している。 (2012年) 方程式は2,018時間(一般労働者の年間総労働時間)×70.6%+1,093時間(パート労働者の年間総労働時間)×29.4%=1,746時間というもの。29.4%とはパート労働者の比率で残りが一般と厚労省が発表。 1,746時間は加重平均であり、日本の労働時間は二極化し、過労死するほどの長時間労働が隠されている。 2,018時間を229日で割ると8.8時間。つまり、一般労働者は毎日0.8時間残業である。 フランス並みの週35時間では年間18,24.9時間(=35×52.14週)となる。 1年は365日、1週間は7日、1年は52週(365÷7=52.14週) ❐「週40時間」なので年間の労働時間の上限は、2085.7時間(= 40×52.14) 2,085時間と押さえる。 これは、1年間、祝祭日に関係なく、週40時間、1日も休まず働く場合である。 ❐「1日8時間」なので年間の労働日数の上限は260.7日(=2085.6÷8) 260日と押さえる。 休日は自動的に105日と決まる。求人票の「105日」とは、週休2日、年間休日が105日ということである。 会社は「36協定」を結び、①1日8時間を超えて、さらに、②休日出勤で労働時間と労働日を延長することになる。
週60時間以上働いている労働者の割合(「労働力調査」総務省) 全国より長く働いている北海道の労働者 道内の労働者 (2015年度) 正規労働者 127万人 非正規労働者 86万人 (40.4%) 2015年度 北海道 全国 年間総労働時間 1,768時間 1,734時間 所定内労働時間 1650時間 1602時間 時間外労働 125時間 132時間 規模5人以上、パートを含む。(「毎月勤労者統計調査」総務省) 万人 % パート 44 51.2 派遣 15 17.4 契約 4 4.7 嘱託 13 15.1 アルバイト 6 7.0 その他 計 86 週60時間以上働いている労働者の割合(「労働力調査」総務省) ❐全国9.2%、道内13.5%(2012年度) ❐政府は全国で週60時間以上働いている労働者の比率を10.0%。これを2020年には5%削減する方針を閣議決定した。(2010.6.18) 週休2日制の実施状況 2014年度 北海道 全国 完全週休企業 34.6% 46.9% なんらかの週休2日制※ 38.6% 37.4% ※隔週、月2回連休など。規模30人以上の企業と事業所調査。 「就業条件総合調査」(厚労省)、「労働福祉調査」(道) (「労働力調査」、総務省)
2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。 第32条の2(変形労働 1ヵ月以内) 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第 1項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。 2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。 〔解釈〕 ▶例えば、1ヵ月をとって週の平均が「40時間」を超えていなければ、ある週に「40時間」を超え、ある日に「8時間」を超えて働かせることができる。 ▶「労使協定」(=36協定)を労働基準監督署に届出なければならない。 1ヵ月単位の変形労働時間制の具体例 URL https://kumiaizukuri.jimdo.com/時間外労働と残業代/時間規制の-例外/
「変形」の論理は、「1日8時間」の原則に対して「平均して週40時間以内に収まっていれば、いろんなバリエーションがあって8時間を超えてもよい」というもの。政府は「弾力運用」というが、人間は‶伸び縮み〟はしない。 労働基準法の 変形労働バージョン ❶1ヵ月単位の変形労働時間制 → 第32条の2 ❷フレックスタイム制 → 第32条の3 ➌1年単位の変形労働時間制 → 第32条の4 ➍1週間単位の非定型的変形労 働制 → 第32条の5 ❺裁量労働みなし制 → 第38条の3 ❻企画業務裁量労働制 → 第38条の4 使用者の立場から労働時間の「弾力運用」を見ると‥ 業務に繁閑が少ない 休日が週に2日程度確保できる 完全週休2日制度(32条) 1日に所定時間が短縮できる。 土曜半日。月~金が7時間20分。土曜日が3時間20分など。(32条) 業務に繁閑がある。 月初め、月末など特定週がいそがしい。 1ヵ月単位の変形(32条の2) 季節的にあるいは特定の月がいそがしい。 1年単位の変形(32条の4) 繁閑がわかるのは直前 「明日」がいそがしい。 1週間単位の非提携的変形(35条の2) 残業代を減らしたい。 フレックス制(32条の3) 「柔軟」に働いてもらう 営業など外勤 事業場外みなし制(38条の2) 研究開発など11業務 裁量労働皆姿勢(38条の3) 企画業務 企画業務型裁量制(第38条の4)