茨城大学公開講座 素粒子物理学入門 -基本的な考え方から超弦理論まで-

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[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
超弦理論の非摂動的効果に関する研究 §2-超弦理論について §1-素粒子論研究とは? 超弦理論: 4つの力の統一理論の有力候補
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茨城大学公開講座 素粒子物理学入門 -基本的な考え方から超弦理論まで- 超弦理論の発展 2006年6月25日 13:00-15:00   東 武大 (高エネルギー加速器研究機構(KEK)) azumat@post.kek.jp http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~azuma/index.html 目次 標準模型の物理    p4 重力について      p8 超弦理論について   p17 まとめ           p43

超弦理論の発展 マンガ超ひも理論 -我々は4次元の 膜に住んでいる- ISBN: 4062691957 川合光、高橋繁行 はじめての“超ひも理論” ISBN: 4061498134 川合光、高橋繁行

Dブレイン 高次元時空 次元の秘密 ISBN: 4875932626 竹内薫 4次元以上の空間が見える ISBN: 4860641183 小笠英志

§1-標準模型の物理 素粒子論 ⇒ 物質と力を微視的に理解する学問 紀元前からの問い:物質は何から出来ているか? ギリシア時代⇒『4元素論』 素粒子論 ⇒ 物質と力を微視的に理解する学問 紀元前からの問い:物質は何から出来ているか? ギリシア時代⇒『4元素論』 空気 火 土 水 19世紀:原子が物質を構成 原子核 電子

特殊相対論 ⇒ 光速に近い速さの運動 光速度不変の原理 ⇒ 光の速度は一定      c=(光の速度)=3.0×108[m/s] 4次元時空 ⇒ 時間と空間の絡み合った「時空」は4次元 質量エネルギー ⇒ 光速に近づくと加速しにくい     質量エネルギー : E[J]=mc2[J]

F[N]=力、m[kg]=質量、a[m/s2]=加速度 エネルギーの単位について ニュートンの運動方程式:F=ma F[N]=力、m[kg]=質量、a[m/s2]=加速度 静止 加速度1[m/s2] 1秒後、秒速1[m/s] 1[N] ⇒ 1kgの物体に1[m/s2]の加速度を与える力 1[J] ⇒ 物体が1[m]走る間、1[N]の力をかけて得られる        エネルギー =0.24[cal]

自然界の4つの相互作用 重力、弱い力、強い力、電磁力 重力以外 ⇒ 標準模型で記述 物体 クォーク [フェルミオン] ⇒ 3世代構造 重力以外 ⇒ 標準模型で記述 物体 ゲージ粒子 クォーク [フェルミオン] ⇒ 3世代構造                     物質の最小構成要素 ゲージ粒子 [ボゾン]     ⇒ 力を媒介

§2-重力について 17世紀: ニュートンによる万有引力の発見 「ぐんまフラワーパーク」にある ニュートンの林檎の木の写真

地球 質量M 物体(林檎)と地球の間に、万有引力が働く。 万有引力 ⇒ 距離の2乗に反比例 g=[地球上の重力加速度] 重力F 質量m 万有引力 ⇒ 距離の2乗に反比例 G=(万有引力定数) 重力F 質量m g=[地球上の重力加速度] R 地球 質量M

[参考] 地球以外の重力定数の値 重力の強さ ⇒ 地球上とは異なる 地球 月 火星 金星 1 0.27 0.53 0.95 0.01 [参考] 地球以外の重力定数の値 重力の強さ ⇒ 地球上とは異なる 地球 月 火星 金星 半径 (地球比) 1 0.27 0.53 0.95 質量 0.01 0.11 0.82 重力加速度g[m/s2] 9.80 1.63 3.69 8.87 余市宇宙記念館のサイトより引用 「月と火星の重力を体験」

アインシュタインの「生涯最高のアイディア」 (glücklichste Gedanke meines Lebens) 1916年 : 一般相対論 アインシュタインの「生涯最高のアイディア」 (glücklichste Gedanke meines Lebens) 【落下する箱の中では、重力は消える。】 重力 慣性力と重力は打ち消しあう 【等価原理】 慣性力と重力は等価  慣性力

等価原理 ⇒ 重力によって光が曲がる ロケットが加速 ⇒光の軌道が曲がる もし、重力と慣性力が等価なら 重力が光を曲げる! ロケットの内部 等価原理 ⇒ 重力によって光が曲がる ロケットが加速 ⇒光の軌道が曲がる もし、重力と慣性力が等価なら ロケットの内部 重力が光を曲げる! 光の進み方 http://homepage2.nifty.com/einstein/einstein.html より引用

1919年:アーサー・エディントンの実験 重力が光を曲げることを実証 重力は「空間の歪み」が引き起こす力 実際の位置 見かけの位置 太陽 地 星 星 太陽 地 http://homepage2.nifty.com/einstein/einstein.html より引用 重力が光を曲げることを実証 重力は「空間の歪み」が引き起こす力

1948年: ガモフによるビッグバン宇宙論 宇宙の始まり⇒ビッグバン(約137億年前の高温高密度の大爆発) http://www.kek.jp/kids/class/cosmos/bigbang.htmlより引用 宇宙の始まり⇒ビッグバン(約137億年前の高温高密度の大爆発) 宇宙の終わり⇒ビッグクランチ(宇宙の収縮)

宇宙初期では、力は元々一つだった 宇宙誕生 宇宙誕生の謎 ⇒ 重力を含んだ統一理論 A B C 年齢(秒) 10-43 10-36 重力相互作用 強い相互作用 宇宙誕生 C 電磁相互作用 A B 弱い相互作用 A B C 年齢(秒) 10-43 10-36 10-11 大きさ(m) 10-35 10-30 1010 温度(K) 1032 1028 1015 宇宙誕生の謎 ⇒ 重力を含んだ統一理論

重力の統一理論を構築する試み 重力相互作用 ⇒ 重力子の交換 林檎 重力子 地球 重力の点粒子による記述 ⇒ 無限大の発散

§3-超弦理論について 超弦理論: 4つの相互作用を統一的に記述 標準模型:広がりを持たない点粒子 超弦理論:1次元の紐 粒子 ⇒ 超弦の振動 (音階 ⇒ バイオリンなどの弦の振動) q クォーク g ゲージ粒子 超弦理論の「超」⇒超対称性

超対称性 フェルミオン ボゾン 超対称パートナーのリスト。http://www.kek.jp/newskek/2004/mayjun/supersymmetry.htmlより引用。

超対称性標準模型⇒強い、弱い、電磁相互作用を統一 超対称パートナー ⇒ 未発見 ⇒次世代加速器に期待 力の大統一 giga(109) electron volt http://www.kek.jp/kids/class/particle/ より引用 超対称性標準模型⇒強い、弱い、電磁相互作用を統一 超対称パートナー ⇒ 未発見 ⇒次世代加速器に期待 LHC : スイスにある周長27kmの巨大加速器。最高のエネルギー 1.4×104GeV

1eV(electron volt) = 1.602×10-19[J] 電子に1Vの電圧をかけて得られる エネルギー エネルギーの単位 電圧1V 電子(1.602×10-19C) 1eV(electron volt) = 1.602×10-19[J] 電子に1Vの電圧をかけて得られる エネルギー 電子の質量: 5.11×105eV = 9.1×10-31kg とは? アインシュタインの質量公式: E=mc2 (c=(光の速度)=3.0×108m/s) 換算公式 : 1ev = 1.78×10-36kg

閉弦 ⇒ 重力子など 開弦 ⇒ 重力子以外の ゲージ粒子など 超弦理論 ⇒ 4種類全ての相互作用 光子 [電磁相互作用] 開弦 ⇒ 重力子以外の        ゲージ粒子など 光子    [電磁相互作用] グルーオン[強い相互作用] W,Zボゾン[弱い相互作用] 閉弦 ⇒ 重力子など 超弦理論 ⇒ 4種類全ての相互作用

弦理論の世界面 ⇒ 弦が運動する2次元面 点粒子 ⇒ 4次元時空の粒子 1次元的な弦 ⇒ tとxの2つの方向が必要 弦理論の世界面 ⇒ 弦が運動する2次元面 空間 時間 点粒子 ⇒ 4次元時空の粒子 点粒子の軌跡 t=0 t=1 t=2 t=3 t=4 t t=0 世界線 : tの数直線 1次元的な弦 ⇒ tとxの2つの方向が必要 t=0 t=1 t=2 t=3 t=4 x=0 x=1 x=2 tとxの掃く領域 ⇒ 世界面をなす

2つの閉弦 ⇒ 1つにくっつく ⇒ 再び2つに分離 弦の反応過程 ⇒ 滑らか 重力エネルギーの発散が無い

日常的な弦との比較 バイオリン ストリング 長さ 32.5cm 10-35m 0.7g 1024kg 振動の速さ 290m/s 振動エネルギー 10-3J 108J 地球の重さ 光の速さ (バイオリンは、A440「ラ」の音階の数値)

数学的整合性を拠り所に研究 実験に基づかない 加速器実験による、超弦理論の実証は困難 弦の振動エネルギー108J 108J=1018GeV >> (通常の素粒子の質量) 1018GeV ⇒ (重力相互作用) ≒ (他の相互作用) 弦の長さ: [プランク長] 加速器実験による、超弦理論の実証は困難 (冥王星の軌道よりも大きい加速器) LHC :最高のエネルギー1.4×104GeV 数学的整合性を拠り所に研究 実験に基づかない

1. ハドロンのモデルとしての弦理論 (1960年代後半) 長さ10-15mの弦 (現代の超弦は10-35m) (ハドロン ⇒強い相互作用をする粒子) π+中間子と、p(陽子)を加速器で衝突 π+ p(陽子) u d u u d dはdの反粒子(電荷の正負 が逆の粒子)

2種類の反応過程: t p π+ Δ++ p π+ ρ s-チャネル t-チャネル Δ++ = u+u+u

反応における物理量の計算 理論計算≠実験値 s、t-チャネルを二重に足しあげ 両者は「双対」 弦理論で双対性を説明 t-チャネル

当時の弦理論の「問題点」 邪魔な粒子を取り除けない 弦理論は一旦挫折 この粒子は、実は『重力子』だった

超弦理論 ⇒ 10次元 標準模型 ⇒ 4次元 2. 超弦理論による重力の統一(1980年代) 1984年 (J.シュワルツ等) 超弦理論 ⇒ 閉弦(重力子) 物理量の発散が無い 超弦理論 ⇒ 重力を含めた統一理論の候補 時空の次元 超弦理論 ⇒ 10次元 数学的整合性 標準模型 ⇒ 4次元 観測事実

時空が4次元 ⇒ 残りの6次元がコンパクト化 4次元時空の宇宙 6次元がコンパクト化 10-35m 虫 虫から見た図 時空が4次元 ⇒ 残りの6次元がコンパクト化 4次元時空の宇宙 6次元がコンパクト化 10-35m 虫 虫から見た図 野プリン様 http://wild-pd.hp.infoseek.co.jp/ より虫の絵を引用

どれが本当の時空なのか分からない より基本的な定式化が必要 10次元の超弦理論 4次元時空 無数に存在 タイプI タイプIIA タイプIIB SO(32)混成弦 E8×E8混成弦 ?? 無数に存在 どれが本当の時空なのか分からない より基本的な定式化が必要

3. Dブレインの発見 1995年 : J.ポルチンスキー D0ブレイン(点) D1ブレイン(紐) D2ブレイン (膜=membrane) 開弦 固定端 (Dirichlet) Dブレイン D0ブレイン(点) D1ブレイン(紐) D2ブレイン (膜=membrane)

Dブレイン ⇒ 孤立波 Dブレイン ⇒ エネルギーの塊 運河の盛り上がった水の進行。http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0848.htmlより引用 Dブレイン ⇒ エネルギーの塊

超弦理論における双対性 巻き付き数 ⇔ 速さ T-双対性 巻き付く半径 : R ⇔ lp2 /R S-双対性 相互作用の強さ : 大きい ⇔ 小さい

M理論 M理論について 5種類の超弦理論 ⇒ 繋がっている M理論の「M」とは? ⇒ matrix? mother? mystery? 5種類の超弦理論 ⇒ 繋がっている 11次元超重力 E8×E8混成弦 SO(32)混成弦 タイプI タイプIIA タイプIIB M理論 M理論の「M」とは? ⇒ matrix? mother? mystery? 次の課題 ⇒ より基本的な定式化

4. 行列模型による超弦理論の定式化 (1990年代) IIB行列模型(1996年) 超弦理論のより基本的な定式化の候補 物質、時空の生成 茨城県つくば市のKEKで生まれた (石橋、川合、北澤、土屋) N×N行列 ⇒ 弦、時空、相互作用 Nが大きい極限 ⇒ 超弦理論を再現 (*) 2×2行列 :          時空                   物質            相互作用 KEKの写真。http://pyon.x0.com/Photo/36.htmより引用。 超弦理論のより基本的な定式化の候補 物質、時空の生成

1990年代前半: 時空が1次元以下の弦理論 ⇒ 行列模型で記述 + + … 行列模型 ⇒ より基本的な定式化?

IIB行列模型の特徴 超対称性の構造 ⇒ 重力子の存在 D1ブレイン間の相互作用 r 1 / r6 に比例 ⇒ 超弦理論の結果を再現 弦の相互作用を再現

行列模型 ⇒ 何故4次元時空? 6次元 4次元 時空の分布 ⇒ 4次元に潰れる? 4次元時空が出る状況証拠

現在進行中の行列模型の研究 行列模型 ⇒ 自然界の相互作用の対称性 曲がった時空 [重力] ゲージ粒子の対称性 行列模型 ⇒ 4次元時空 行列模型 ⇒ 自然界の相互作用の対称性    曲がった時空 [重力]      ゲージ粒子の対称性 行列模型 ⇒ 4次元時空 KEK内部で数値シミュレーションに用いているクラスターマシンシステム

この格差を自然に説明出来るか? ⇒ 余剰次元の体積 5. ブレインワールドシナリオ ー我々は4次元の膜に住んでいるー 4次元時空 ⇒ 高次元時空中のD3ブレイン 余剰次元 D3ブレイン 階層性問題の解決案 100GeV : 電磁力+弱い力 1018GeV : 重力  +(その他3つの力) この格差を自然に説明出来るか? ⇒ 余剰次元の体積

§4-まとめ これまでの重力理論・弦理論の発展の年表 17世紀 : ニュートンによる万有引力の発見 1916年:アインシュタインによる一般相対論の提唱 1919年:エディントンによる重力が光を曲げる効果の実験的検証 1948年:ガモフによるビッグバン宇宙論 1960年代後半:強い相互作用の理論としての弦理論 1980年代前半:超弦理論による重力の統一 1990年代後半:Dブレイン、行列模型

菅原寛孝 (前KEK機構長) 小林誠 (前KEK素 核研所長 ) 益川敏英 石橋延幸、川合光、北澤良久、土屋麻人 "Grand cosmos & Elementary domain" (池邊教氏)。KEKの年次報告の表紙より抜粋。 KEK4号館の壁のレリーフ。

今後の課題 4つの相互作用を統一出来るか? 宇宙の始まりと終わりの謎を解けるか? ビッグバン ビッグクランチ 超弦理論 ⇒ 4次元時空、クォークの3世代、素粒子の質量、 その他諸々の物理量・・・