ピ ス ト ンで見る 「ディーゼルエンジン」 と 「ガソリンエンジン」 の違い ‘ 機械設計製図 Ⅱ 資料

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 容積率緩和の便益: 一般均衡論的分析 唐渡 広志 ( 富山大学経済学部 ) 八田 達夫 ( 東京大学空間情報科学研究セン ター ) 2003 年 9 月 19 日.
Advertisements

土木基礎力学2・土質 圧密現象と圧密試験.
内燃機関と外燃機関.
2009年6月25日 熱流体力学 第11回 担当教員: 北川輝彦.
今後の予定 7日目 11月 4日 口頭報告レポート押印 前回押印したレポートの回収 口頭報告の進め方についての説明 講義(4章),班で討論
20. ショットの跳返りを利用した機械部品内面への ショットピーニング加工法の開発
Kumamoto University ペットボトルロケットの力学 自然科学研究科機械知能システム 森 和也.
工学研究科機械系 航空宇宙工学分野博士前期課程1年 辻川研究室 永田 研太郎
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 換気設備 演習問題
wheel jet bar 12ヶ月 8-18 l/min 70 l
PF-ARフロントエンド部における冷却水流量計に関する評価
高分子電気絶縁材料の撥水性の画像診断に関する研究
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
本時の目標 エネルギーを有効に活用するにはエネルギー変換効率を髙める必要があることを知る。
第6章 モータの基礎知識 サーボモータ ステッピングモータ ソレノイド ●モータ(アクチュエータ)の種類と特徴 ●モータの動作原理
資源の空間的不均一性がプランクトン群集の共存に与える影響: 格子モデルシミュレーションによる予測
高流動コンクリート コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
スパッタ製膜における 膜厚分布の圧力依存性
「次世代モビリティパワーソース研究センター」 研究内容紹介
風レンズ(風の局所集中効果)による 風力発電の高出力化
環境に優しい車 38番 宮本 晃成.
新しい自動車排出ガス処理システムの試作と検証
名古屋市の自動車から排出される CO2を削減するには
名古屋市の自動車から排出される CO2を削減するには
Click 技術研究発表会 ロ ド ー テ ィ ン グ 制 御 の 調 整 ヒ 小谷受変電設備工事 あきら.
配合とは?配合設計とは? コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートの強度 (構造材料学の復習も兼ねて)
省燃費運転の励行について (取組みの要点)
コンクリートの強度 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
株式会社 ケー・イー・エム.
高剪断力による含有水分の脱水技術と 予熱噴霧技術の組合せによる 褐炭の高効率利用
輸入・発売元 電源開発株式会社 東京都中央区銀座6-15-1
製剤技術Q&Aプレゼンテーション システムのご紹介 のご紹介 株式会社パウレック 営業本部  高野 優介.
舶用大型低速ディーゼル機関の CO2削減技術の研究開発 平成21年度成果
環境触媒:最近の開発動向とリサイクル技術
プロセス制御工学 7.多変数プロセスの制御 京都大学  加納 学.
循環式に関して より微粒化が求められる昨今、ビーズミルを複数回通過させる粉砕、分散処理が多くなっている。
自然通風時の室内風速分布に関する研究 ー噴流理論を応用した簡易予測手法の検討ー
高出力Nier型イオン源の開発 環境計測学研究室 清水森人 高出力Nier型イオン源開発の報告を始めます。
住宅用調理レンジを対象とした 排気フードの廃気捕集率に関する研究
燃焼の流体力学 4/22 燃焼の熱力学 5/13 燃焼流れの数値解析 5/22
基礎製図Ⅱ 機械工学とは 「ものを作る」 「機械を作る」.
これらの車はどんな特長があるでしょうか?
<燃料電池車の現状と今後> May 7th, 2003 飯塚、大矢、加藤、深井
宇宙線ミューオンによる チェレンコフ輻射の検出
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
DPFのマスモジュールにおける残留ガス雑音の研究II
第9章 機械システム設計 ★機械設計では,常に「兼ね合い」が重要! ★機械を「システム」として組み立てる重要性.
電気電子要論個別課題 M17-P29中村圭一.
ハイブリッドカー 2FG4172 らく.
2009年7月2日 熱流体力学 第12回 担当教員: 北川輝彦.
流速ベクトル.
【事故セミナー】 1.バルブの構造1(3/8NPT,POL),シリンダーレイアウト 2002年11月佐賀
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
公共経済学 22. 租税の帰着と中立性.
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
環境触媒グループ ガソリン車と比べて ディーゼル車の利点 現在ディーゼル車の走行台数が増加している ディーゼル車排ガス中での汚染物質 危害
電子システム専攻2年 遠藤圭斗 指導教官 木下祥次 教授
日産シビリアン・LPG バイフューエル車 表紙の原紙としてお使い下さい。.
LPガスのこれまでの政策 LPガス 天然ガス・都市ガス LPガス備蓄政策 備蓄政策 石油政策 石油産業政策 石油諸政策 需要を促進する政策
容積形ポンプの取り扱い ① 1.容積形ポンプの起動 容積形ポンプは、吐出弁を開けた状態で起動する。
設計工学 内容 目的 ★もの作りのための設計 ★実際の現場で役立つ設計 ★機械設計や機械作りの楽しさを知る。 ★工学的な理屈を考える。
スケールモデルサイトにおける 「風の道」の野外実験
ステンレス多段深絞り容器の表面粗さの低減
1.光・音・力.
2009年5月14日 熱流体力学 第5回 担当教員: 北川輝彦.
長岡技術科学大学 大学院 工学研究科 機械創造工学専攻 髙山 誠 指導教員 小林 泰秀 准教授
ディーゼルエンジンについて 尾崎文香 基礎セミナー発表.
Presentation transcript:

ピ ス ト ンで見る 「ディーゼルエンジン」 と 「ガソリンエンジン」 の違い ‘08.4.10. 機械設計製図 Ⅱ 資料 ‘08.4.10.   機械設計製図 Ⅱ 資料     ピ ス ト ンで見る  「ディーゼルエンジン」 と          「ガソリンエンジン」 の違い 三菱重工㈱ 汎用機・特車事業本部 エンジン技術部(MSH)  嶋 田 泰 三

ディーゼルエンジンの高出力化には 1.高出力化は、エンジンへの燃料供給量 増大 2.ネックは空気量だが、スロットル弁無いので充分存在 出力性能 と ピストン(燃焼室) 1.高出力化は、エンジンへの燃料供給量 増大 2.ネックは空気量だが、スロットル弁無いので充分存在 3.しかし、燃料量がある範囲を超えるとスモーク排出 4.ディーゼルは「燃焼(=スモーク)改善」が最大課題

ガソリンエンジンの高出力化には 1.高出力化は、エンジンへの燃料供給量 増大 2.燃料量と空気量は、一定の比率;理論空燃比 出力性能 と ピストン(燃焼室) 1.高出力化は、エンジンへの燃料供給量 増大 2.燃料量と空気量は、一定の比率;理論空燃比   でないと着火せず(=スロットル弁で空気量抑制) 3.燃料増のためには、その分の空気量必要 4.ガソリンエンジンは、「吸気量増大」が最大の課題

ディーゼルエンジン の ピストン 燃焼室

ガソリンエンジン の ピストン 燃焼室

1.燃焼室 「すきま容積」の 一部 2.バルブリセス バルブとの干渉の「逃げ」 ピストン の 頭頂部

ピストン の 頭頂部 1.燃焼室 (燃焼空間) 2.バルブリセス (バルブの「逃げ」) ディーゼルエンジン ガソリンエンジン 浅い凹み  (燃焼空間) 2.バルブリセス (バルブの「逃げ」) ディーゼルエンジン ガソリンエンジン  浅い凹み (ヘッド側に 大きい燃焼室) 傾斜 水平  深い「タコ壺」 (高圧縮比で  すきま容積小、燃焼室に集中) ピストン の 頭頂部

ディーゼルのピストン頭頂部 1.圧縮比が高く、「すきま容積」小 2.「すきま容積」を、徹底的に「燃焼室」に集中させ、 燃焼(=スモーク)改善   燃焼(=スモーク)改善 3.従って「バルブリセス」は、ピストン頂面に 水平

ガソリンのピストン頭頂部 1.圧縮比が低く、「すきま容積」大 2.「すきま容積」の大半をシリンダヘッド側に設け、  「三角形(ペントルーフ)」に 4.従って、「バルブリセス」は、ピストン頂面に傾斜 3.バルブを傾け、バルブ径を増大し、空気量増大

ピストン の 全体形状 1.圧縮圧力 形状 2.燃焼室 (頭頂部の厚み) ディーゼルエンジン ガソリンエンジン 大 (厚く、頭でっかち)    形状 2.燃焼室 (頭頂部の厚み) ディーゼルエンジン ガソリンエンジン    大 (厚く、頭でっかち) 高 (Max.150at)  高剛性=重量大  (高回転 不可)  低 (Max.80at)  接触面少、軽量  (高回転 可能)      小  (薄く、シンプル)

参考資料 ディーゼルエンジンの燃焼室の設計 引用文献 1) 山海堂:宮下他著「自動車用ディーゼルエンジン」p.38    ディーゼルエンジンの燃焼室の設計 引用文献 1) 山海堂:宮下他著「自動車用ディーゼルエンジン」p.38 2) 山海堂:内燃機関1983-9臨時増刊Vol.22No.284 「内燃機関の燃費低減とトレードオフ」p.68、p.92

ディーゼルエンジンの燃焼改善の方策 ・「空気」、「燃料」、「混合・燃焼」に対応する下記の3系統が、燃焼改善の三大要素 ・「燃焼室系」は、燃焼改善の三大要素の一角を占める重要な部位 (1) 給排気系 体積効率 スワール強さ (3) 燃焼室系 空 気 空気流動 燃焼室形状 (2) 燃料噴射系 混 合 燃 焼 出 力 排ガス 燃料分布 容積比 スモーク 燃 料 噴霧運動 燃料性状 噴霧形状 噴射圧・率

ディーゼルエンジンの燃焼方式 直接噴射式 渦流室式 予燃焼室式 間接噴射式 主燃焼室 噴射ノズル ・「副室」からのガス噴出で混合する「間接噴射式」(燃料噴射装置が小型で済む)もあるが、 ・現在は、殆どが燃費率の良い「直接噴射式」。「渦流室式」が小型の一部に残るのみ。 間接噴射式 出典 1)

直噴式ディーゼルエンジン 燃焼室 の 役割 噴霧・火炎 燃焼室壁 “中央突起“ ピストン頂面 スワール流  直噴式ディーゼルエンジン 燃焼室 の 役割 噴霧・火炎 燃焼室壁 “中央突起“ ピストン頂面 スワール流 燃料・空気を混合、燃焼する重要な部分 1.燃料、空気、火炎の混合・分布を制御 2.ライナーへの噴霧・火炎の接触防止 3.燃焼室壁に噴霧衝突させ、混合促進 4.スワールを流入、加速させ、混合促進 5.ピストン下降時スワール保持し、混合 6.スキッシュ流で燃料・空気の混合促進 7.“中央突起“で中央部無駄容積削除 スキッシュ流 ピストン上昇

直接噴射式ディーゼルエンジンの燃焼室 d/H 小 d/H 大 深皿燃焼室 浅皿燃焼室 トロイダル燃焼室 リエントラント燃焼室 バスタブ燃焼室 “中央突起”付き “中央突起”無し 壁が内側に傾斜 壁が垂直 d/H 大 d/H 小 深さ H 燃焼室入口径 d    出典 2)

エンジンの大きさ と 燃焼室開口比 d/D d = 燃焼室入口径、 D =ボア径 d/D D 0.50 C B 0.61 A 0.67 ボア径 D mm 0.50 0.82 0.67 0.61    出典 2)

リエントラント(壁傾き角θ)の効果 排煙濃度 DI-N/A 2L単気筒 Ne = 2200rpm NOx濃度 燃費率   リエントラント(壁傾き角θ)の効果 ・ リエントラント燃焼室は、噴射時期遅延時(NOx低減対策時)に、性能優位になる ・ 燃焼後期(ピストン下降時)、燃焼室内にスワールを保持、混合が促進されるため 排煙濃度 NOx濃度  燃費率 燃料噴射時期 °ATDC Bosch ppm g/kWh DI-N/A 2L単気筒 Ne = 2200rpm  リエントラント角θ 0°         20° θ    出典 2)

燃焼室形状 まとめ 1) 燃焼室は燃焼改善方策として、しばしば、手が加えられ る重要要素。各社に、ノウハウあり。 1) 燃焼室は燃焼改善方策として、しばしば、手が加えられ   る重要要素。各社に、ノウハウあり。 2) 一般に、大型エンジンの方が「浅皿(d/D大、d/H大)」、   また、スワール無しエンジンの方が「浅皿」の傾向 3) 排ガス(NOx)低下に伴い、ピストン下降時の燃焼改善   を狙って、リエントラント燃焼室採用の傾向 4) 燃焼室中央の突起は、噴霧・火炎分布が少ない中央部   の無駄容積削減 および スキッシュ流の整流が目的 燃焼室形状 まとめ