原発と事故対応 ~技術・エンジニアリングのあり方 化学プラントからみた 川本 幸立・時田 孝二 2014年11月26日 原発と事故対応 ~技術・エンジニアリングのあり方 2014年11月26日 千葉大・都市エネルギー概論 川本 幸立・時田 孝二
■講師紹介 川本 幸立 プラント技術者の会 (http://plantengineer. web. fc2 ■講師紹介 川本 幸立 プラント技術者の会 (http://plantengineer.web.fc2.com/) 建築技術者・電気管理技術者、 元プラントエンジニアリング会社勤務 時田 孝二 NPO法人放射能測定センター (http://www.npo-ousyanousokutei.org/) 電気管理技術者、 元化学メーカー研究所員(電気) 2013.8 K&C Project Support
■話すこと 【川本】 化学プラントからみた原子力プラントの問題点 東電福一事故の「後始末」~組織と技術 NGO,市民技術者の役割(企業、行政セクター に対抗する「市民セクター」の形成) 【時田】 原子力発電所の管理(火力発電所との比較) 放射能汚染の現状 研究所で取り組んだ課題から 技術者として地域でできること 2013.8 K&C Project Support
「プラント技術者の会」は、石油・ガス・化学工場の設計・建設を業務とする企業に勤めていた技術者を中心に、2011年8月に結成されました。現在は原子力発電に関わる技術とそれを取 り巻く社会環境を批判的に議論・追及しています。会則や代表者を設けず、各メンバーの自主性・自立性を重んじるとともに、会員相互の信頼と討議をもとに活動を進めています。 2013.8 K&C Project Support
ストレステスト評価の課題と問題点 新規制基準 事故収束と汚染水対策 ベトナム、トルコへの原発輸出問題 原発再稼働問題 原子力市民委員会「原発ゼロ社会への道」 ~市民がつくる脱原子力政策大綱 2013.8 K&C Project Support
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■故・吉田元所長(2010年6月~所長 昨年7月死去)調書から 「我々のイメージは東日本崩壊ですよ」 15 ■故・吉田元所長(2010年6月~所長 昨年7月死去)調書から 「我々のイメージは東日本崩壊ですよ」 15.7mの津波対策について「当然のことながら一番重要なのはお金。対策費用の概略をずっと(社内幹部に)説明していた」 「スイッチを押せばその通りに動いてくれるという前提でのマネジメント。オールジャパンどこでもそうだと思う」 2013.8 K&C Project Support
■公害裁判の確定判決から 新潟水俣病確定判決(新潟地裁昭和四六・九・二九) 1)生物・人体等に重大な危害を加える物質を発生させるおそれにある化学工場の操業にあたっては、最高の分析検知の技術を用いて調査する義務がある 2)最高技術の設備をもってしてもなお人の生命、身体に危害がおそれのあるような場合には、企業の操業短縮はもちろん操業停止までが要請されることもある 3)生命、健康を犠牲にしてまで企業の利益を保護しなければならない理由はない 2013.8 K&C Project Support
■再稼働にすすむ日本政府・国民はどう見られているか? イタリアの20代の女性の声 「日本人は、人生よりも仕事を大切にする、 人生よりもお金を大切にするのでしょう。 そしてリアルな世界よりもテレビが好きなんでしょう。 だからテレビの言うことを信じるでしょう。 原発がやめられないのは、人生や子どもの命よりもお金が大切なんでしょう。 日本政府が真実を語らないのは皆が知っているし、イタリアも原発事故以降は日本の食材を輸入していない。私は知っているよ。 多くの日本人は真実を知らないし、語らずに仕事とお金のために生きている。」 2013.8 K&C Project Support
■生命の安全は誰に委ねればいいのか?(川本の経験) ~施設からのバイオハザード(生物災害)予防の取組から 【住民の不安】 ・「施設の立地」などについて直接的な規制は何もない ・日常時、非常時に病原体の漏えいによるバイオハザードの危 険性がある ・バイオハザードの特性 ・化学物質、放射性物質による汚染 【参考】原発事故とバイオハザードの比較 ・放射能に相当するのが病原体 ・無色無臭。数年から数十年後に被害が現れる可能性。 ・病原体は、①即時に検出する技術はない。 ②わずかの漏出で一定の条件下で増殖。 ③二次感染の恐れ。 ④生態系に与える影響は不明。 ⑤発生地、感染ルートの解明が困難。 ・「安全神話」「推進行政と規制行政が一体」 ・「情報隠蔽」と「人権蹂躙」 ⇒生命の安全・健康に関わることは他人任せにしない。 2013.8 K&C Project Support
■化学プラントと原子力プラントの比較 化学プラント 原子力プラント 背景・歴史 現場環境 事故対応 技術 実稼働後100年以上 化学プラント 原子力プラント 背景・歴史 実稼働後100年以上 市場原理、「改善運動」 事故や失敗の経験を教訓として進歩 米国軍事技術、「専門家」と秘密主義 実稼働後50年、ターンキー、 「三原則」(自主・民主・公開)よりも「経済性の優先」 現場環境 「整理整頓」「安全第一」 被曝作業と時間制限、使用済核燃料保管 プロジェクト マネージメント 3つ(コスト、スケジュール、品質)の管理のPMへの集中と自由裁量 総括原価方式、 基本設計はGEやWHに、品質管理は規制庁にがんじがらめ、創意工夫の余地なし 全体を統括する一元的な責任体制がない 保守、改善 リーダーによる詳細な現場調査に基づく 交代可能な労働者に現場を確認させ、リーダーはその結果をうのみにして判断する 一旦運転したプラントを大幅に改善することは困難 事故対応 予防原則の適用 人命尊重で避難優先 詳細な現場調査を踏まえた対応 地震、津波基準などは事業者が設定 事故対応は懐具合と相談(事業者トップ権限) マニュアルに頼る対応 技術的課題は協力会社に依存 被曝労働、死を強要する意思決定 現場調査自体が不可能 少数者による情報の独占と意思決定 住民の避難計画無視 技術 基礎的な研究が未完了な技術で、社会そのものの存立の基盤を危うくする技術⇒人間社会と共存できない 2013.8 K&C Project Support
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