岐阜市内路面電車の 再生に向けての提案 NPO法人 交通ビジネス研究会 平成17年2月1日
はじめに 便利でかつ環境にやさしい交通システムをビジネスとして実現させる仕組みを調査研究 素晴らしい理念も、ビジネスとして成立せねば世の中で実現しない ビジネスの視点で現状を分析、再生策を提案、そして実行したい
路線図 至黒野 揖斐線 岐阜 市内線 美濃町線 至関 田神線 岐阜駅前~新岐阜駅前は休止中
現在までの経緯 名鉄:走行環境改善を地元に求めても実現せず、赤字続きで事業継続を断念、平成17年3月末で撤退 地元自治体:税金投入による存続を模索したが、社会的合意まとまらず 市民:路面電車が廃止されてもあまり困らず、存続運動盛上らず
岐阜路面電車の現状 営業収入6.7億円、費用19.6億円 利用者10,000人/日 赤字12.9億円、収支係数293 鉄道と軌道を別計上すると16,000人/日 片道換算5,000人/日 市の人口40万人の1/80 市民80人中79人が利用せず 80人中2人の利用のみで、利用倍増
現状に対する評価 路面電車のある他都市と比較して、 マーケットとしては有望 あまりに利便性が低く、 利用者が少ない 収益性が悪い 人口は比較的多い 路線も中心市街地を経由 あまりに利便性が低く、 潜在需要を取りこぼし
利便性の低さの具体的内容 運転本数が少ない 速度が遅い JR岐阜駅へ乗入れていない 電停が車道上に塗色されただけ 市内線朝5~15分、その他15~30分ヘッド 速度が遅い 路線バスにすら追抜かれる JR岐阜駅へ乗入れていない 名古屋や首都圏への玄関口はJR岐阜駅 電停が車道上に塗色されただけ 乗降りに大きな不安、電停を見つけにくい
事業としての有望性 再調達価額400億円の資産を低額で取得可能 国交省も総合的支援制度を整備 新たな事業開始なので、 15方策により、 運賃体系とコスト構造を大幅に変更可能 15方策により、 利用者増と客単価向上により収益性を改善 既存制度以上の公的補助受けず健全経営
(1) 運転系統整理と大幅増発 至黒野 至関 10分おき 急行:朝5分、他10分おき 普通:終日10分おき 当座は休止 将来は復活 朝夕のみ運行
(2) JR岐阜駅への乗入れ 岐阜 市内線 名鉄 各務原線 名鉄 名古屋本線 将来は 延伸 9
(3) 軌道敷自動車乗入れ禁止 市内線区間は渋滞せず、現行でも車はあまり乗入れていない 1車線当り通過人数が車より電車の方が多くなれば、市民も納得 駐車脇のわずかの進入で電車進めず ⇒ポールで物理的境界を明確化 右折車のため電車進めず ⇒右折車線を工夫
(4) 交差点優先信号 電車の交差点接近を検知し バスでは導入例多く、岐阜もあり 電車利用者増えれば、市民も納得 青信号を継続 赤から青信号への切換えタイミングを早く バスでは導入例多く、岐阜もあり 電車利用者増えれば、市民も納得 将来は、信号サイクルに電車の通過タイミングを予め組込み
(5) 運賃収受工夫し停車短縮 現行、運転士が各乗客と運賃収受 電停に自動券売機を設置、車内の自動改札と精算機で運賃収受 所要時間を伸ばす 運転士と車両を遊ばす 電停に自動券売機を設置、車内の自動改札と精算機で運賃収受 将来は、電停を柵で囲い自動券売機・改札・精算機・遠隔監視カメラ設置
(6) 電停の嵩上げ 電車床面と同じ高さのホーム設置 香港の路面電車
(7) 戦略的価格設定 運賃体系是正⇒客単価向上と需要喚起 ハイテク運賃収受により 通学定期割引:鉄道78、軌道49、バス40% 鉄軌道またぎ及び軌道の短距離は割高 軌道の長距離は割安 将来は、通学定期割引に税金投入 ハイテク運賃収受により 距離制運賃(初乗り50円)、時間帯別運賃、多頻度利用割引、家族割引、グループ割引
(8) 法人会員制で地元と提携 車社会進展で中心市街地が地盤沈下 地価高く駐車場用意しにくい 法人会員は、 来店客等へ無料券や割引券を配布 駐車場より低コストに来客を確保 法人会員、利用者、鉄道事業者は、三方一両得のWin-Win関係
(9) Park & Ride, Cycle & Ride 郊外電停近くに駐車場や駐輪場 全区間マイカー・自転車を利用するより “お買い得感” を 地価の高い中心市街地の非効率な土地利用を防ぎ、渋滞・駐車場不足・放置自転車の解消へ資す
(10) Bus & Ride, Taxi & Ride 路面電車が幹の輸送、バスが枝葉の輸送を担う, 岐阜大・岐阜大病院・岐阜高専・東海女子大等の大口需要を開拓 小口の輸送は乗合タクシーと提携 特に美濃町線は主要施設が駅から遠く、フィーダーサービス充実が重要
(11) 最高速度の向上 交通システム最大の魅力は速達性 電車待ち・渋滞・信号待ち・運賃収受による時間ロス解消の他に最高速度も向上 軌道運転規則では最高速度40km/hだが、安全性等を確保すれば速度向上可能との国交省回答 西野町-早田は、車道との間にガードレール敷設して60km/h走行
(12) 初電早く、終電遅く 現行、JR及び名鉄本線の早朝深夜帯の数本に接続できず 早朝深夜割増とし収益性確保 タクシー料金を考慮すると、2倍の運賃設定としても充分に競争力あり 現時点では早朝深夜の利用は極めて少ないので、基本的利便性向上の次
(13) 経路案内分かりやすく バス・マイカー・レンタカーと比べた路面電車の強みは、 電停の位置が良く分かるよう明確に 分かりやすい 安心して利用できる 電停の位置が良く分かるよう明確に 電停や車内に地図を掲出する等して、居住者にも来街者にも分かりやすく
(14) 自転車の車内持込み 電車の最大の弱点は、出発地と目的地を直結できないこと 自転車を車内に持込めば、発側・着側の両方で自転車を使える 割増料金により収益性確保 駐輪場スペースも節約
(15) 超高価な新車導入せず 欧米の成功例紹介では、 大きな曲面ガラス・超低床・豪華な内装・独自デザイン デザインと快適性に優れた車両を強調 大きな曲面ガラス・超低床・豪華な内装・独自デザイン ⇒それ相応のコスト 生産両数が少なく、LRT新車は高価 現行車両の大半は性能・快適性とも充分に高く、新車導入は不要
ビジネスモデルの展開 現行の収支係数は約300なので、 各地で路面電車新設の動き 有望マーケットで赤字経営の鉄道 収入2倍、費用1/1.5で黒字経営 各地で路面電車新設の動き 宇都宮、横浜、池袋 有望マーケットで赤字経営の鉄道 南海貴志川線、日立電鉄 鉄道黒字経営のビジネスモデルを構築できれば、各地で展開可能