Quantitative Insulin Analysis Using Liquid Chromatography–Tandem

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Quantitative Insulin Analysis Using Liquid Chromatography–Tandem Mass Spectrometry in a High- Throughput Clinical Laboratory LC-MS法を用いたインスリンの ハイスループット臨床検査用定量分析 Z. Chen, M.P. Caulfield, M.J. McPhaul, R.E. Reitz, S.W. Taylor, and N.J. Clarke September 2013 www.clinchem.org/content/59/9/1349.full © Copyright 2013 by the American Association for Clinical Chemistry

背景 患者のインスリン耐性を診断する場合、 空腹時ブドウ糖濃度を測定するという選択肢がある 現在、インスリンの測定には免疫学的方法が 広く使われている 今回、免疫測定の代わりにルーチン検査に導入 できる、質量分析に基づいたインスリン測定方法の 開発に成功した

背景 免疫測定法には様々な制限がついている 抗体の交差反応性が原因で、手法間の標準化が 進んでいないため、結果の比較が難しい 自好性・異好性抗体により、バイアスが生じることも 内因性インスリンとインスリン類似体の識別が 不可能な場合がある

質量分析が今までインスリン等の臨床検査に応用されてこなかった理由 背景 質量分析が今までインスリン等の臨床検査に応用されてこなかった理由 内因性インスリンの濃度は低いため、分析感度が 相当高くなければならない 基質が複雑なため、分析特異性も相当高くなくてはならない スループット・ロバスト性ともに高くなくては、臨床では応用できない サンプル調製(濃縮)で抗体を使うのは望ましくない

背景 ヒトインスリン 分子量 5808 Da 2本のペプチド鎖(A鎖とB鎖)と、 2か所のジスルフィド結合

背景 インスリンB鎖に焦点を絞る利点 B鎖を分離するのは簡単(還元剤を加えるだけ) B鎖はA鎖に比べると質量測定に向いている 基質による影響を減らすことが出来る 還元剤により酵素消化よりシンプルで、速く、よりロバストに分離できる

方法 手順 2次元的LC-MS/MS法 患者の血清150 µLをエタノール基礎液に添加 上澄みに還元剤を加える 「Turbo-flow Aria TLX」 (Thermo Fisher社製) 「Thermo Fisher TSQ Vantage」 三重四極質量分析計を使用

結果: 患者の血清中のインスリン 牛インスリンB鎖 ヒトインスリンB鎖 ヒトインスリンB鎖(内部標準) 結果: 患者の血清中のインスリン RT: 0.00 - 0.60 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 Time (min) 20 40 60 80 100 Relative Abundance RT: 0.24 AA: 65415 SN : 161 BP: 738.30 RT: 0.22 AA: 22211 95 BP: 753.20 RT: 0.23 AA: 137231 159 BP: 756.20 牛インスリンB鎖 ヒトインスリンB鎖 ヒトインスリンB鎖(内部標準) 図1: 患者の血清のクロマトグラムの例(40.6 μIU/mL、243.6 pmol/L) RT: 保持時間(Retention Time); AA: ピーク面積; SN: 信号対雑音比(Signal to Noise Ratio); BP: 基準ピーク(Base Peak)

結果: 分析性能 感度 精度 回収率 表1: LC-MS/MS法インスリン測定の分析性能。 一回の分析で使用されるサンプル量は150μℓ 結果: 分析性能 感度 精度 処理済み血清中インスリン濃度 回収率 血清中インスリン濃度 平均回収率(%)(n=3) 表1: LC-MS/MS法インスリン測定の分析性能。 一回の分析で使用されるサンプル量は150μℓ

結果: 図2: LC-MS/MS法インスリン測定と、USFDA承認のICMA測定の89人の患者の血清サンプルの測定結果のデミング回帰による方法比較

Insulin (µIU/mL) 図3: 健康な血清提供者97人のサンプルでLC-MS/MS法インスリン測定を行い、算出された基準範囲

臨床検査法としてのLC-MS/MS法インスリン測定 考察 臨床検査法としてのLC-MS/MS法インスリン測定 測定所要時間: 1サンプル当たり2分 96穴のサンプルトレイなら4時間以内で終わる ハイスループット、完全自動 低い変動係数(7.1-14.0%) 低濃度でも高感度(定量下限: 3.0 µIU/mL) NIBSC基準を満たす(66/304) 内因性ヒトインスリンのみを検出し類似体を無視 抗体使用なし

質問 この手法のサンプル調製段階で、免疫キャプチャーを使うのは望ましくないのは何故か この測定で高解像度質量測定は使用できるか 糖尿病予備群や糖尿病の診断に、インスリン測定を使う利点および難点には(特に他の手法を使う場合に比べると)どういったものがあるか

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