* 兵庫県 企画県民部 (統計課・ビジョン課) 兵庫県立大学政策科学研究所 芦 谷 恒 憲

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* 兵庫県 企画県民部 (統計課・ビジョン課) 兵庫県立大学政策科学研究所 芦 谷 恒 憲 07/16/96 経済統計データの見方・使い方 兵庫県 企画県民部 (統計課・ビジョン課) 兵庫県立大学政策科学研究所 芦 谷 恒 憲 *

地域データ利用をめぐる変化 ・平成大合併(2005年~10年)基礎的自治体エリアが拡大(兵庫県:91市町→41市町)  →まちの実感(旧市町)と新市町集計データ(合併後市町)にズレ ・地域データの集計、分析により課題を可視化できる  →課題がデータで共通認識となれば、新たな発想で議論可能

兵庫県・2市データ(特化係数:国=1)比較  3

1 経済統計から見た兵庫県経済 1 鉱工業指数(毎月作成) 製造業等の生産・出荷・在庫等の活動状況を推計 1 経済統計から見た兵庫県経済 1 鉱工業指数(毎月作成)   製造業等の生産・出荷・在庫等の活動状況を推計 2 景気総合指数・景気動向指数(毎月作成)   景気循環のサイクル(景気基準日付)を推定 3 県内GDP(毎年作成)    付加価値額、経済成長率を推計 4 産業連関表(5年毎作成)    経済効果分析ツールの提供

兵庫県鉱工業指数 (H21年、急速に低下、H22年~H23年上昇,H24年~H25低下の後、H26上昇、横ばい)

兵庫県鉱工業指数の推移(国・兵庫県)

兵庫県鉱工業指数(生産活動はH21年急速低下、H22~H23年上昇,H24年~H25低下の後、上昇,H27やや低下)

景気動向コメント用語 1上昇の場合:微増傾向、緩やかな上昇傾向、上昇傾向 2横ばいの場合:停滞、横ばい傾向 3低下の場合:  ①低下傾向が拡大:弱含み傾向、低下傾向、引き続き低下傾向、一段と低下傾向、急速に低下  ②低下傾向が縮小:底固めへの動き、底固い動き、持ち直しの動き

景気動向コメント用語 ・反動減:ある月において大型プロジェクトなど一時的な要因となる大きな増加要因、翌月、その要因がなくなる。その分大きな減少要因としてはたらくことをいう。 ・弱含み:明確に弱いとは言い切れないものの、これまでの増加傾向とは違い動きが下向き加減になっている状態。(低下に向かう初期)

GDP統計から地域を読む ・県GDP確報(1~2年前) →地域統計資料をもとに推計、簡易推計(毎年度遡及改定) ・県GDP速報(足元) * 07/16/96 GDP統計から地域を読む ・県GDP確報(1~2年前)  →地域統計資料をもとに推計、簡易推計(毎年度遡及改定) ・県GDP速報(足元)  →推計データの制約から統計的手法(回帰分析等)により推計 ・県GDP将来推計(5~10年)  →複数の前提条件をもとに経済モデル(生産関数等)により推計 10 * ##

兵庫県民経済計算(実質GDP) (H22増加、H23減少,H25増加の後横ばい)

兵庫県民経済計算(H13年度以降 実質>名目)

四半期別県内GDP速報(兵庫QE) 対前期比比較

四半期兵庫県内GDP速報

四半期別県内GDP速報(兵庫QE)需要項目別寄与度

兵庫県景気動向指数(兵庫DI) (H25年2月を景気の谷として上昇局面、足元は足踏み)

景気総合指数(国・県一致指数 H22年=100) 兵庫CI 全国CI 兵庫CI 全国CI 景気の谷 ▼ 景気の山 景気の谷 ▼ ▼ 景気の谷   ▼                景気の山 景気の谷    ▼        ▼     景気の谷   ▼                景気の山 景気の谷    ▼        ▼     景気総合指数(国・県一致指数 H22年=100)

景気動向指数(基調判断の推移) H27年前半:改善、後半:足踏から悪化

CIを用いた景気の基調判断 CI一致指数前月差は一時的要因に左右され安定しないため次により判断する →3か月移動平均 前月差(足下の基調の確認)   7か月移動平均 前月差(基調判断の確認) 基調判断 ①明確:改善、悪化 ②変化:弱含み・下げ止まり、局面変化 ③不明確:基調判断は変えず、横ばい(一進一退)   

新規自動車登録台数の推移1 更新需要の波(平均約7年)、近年は平準化 新規自動車登録台数の推移1    更新需要の波(平均約7年)、近年は平準化

新規自動車登録台数の推移2 政策(エコカー補助金)の影響(特需と反動) 新規自動車登録台数の推移2    政策(エコカー補助金)の影響(特需と反動)

2011年兵庫県産業連関表 (Input-output table)の概要

23

(事例)神戸マラソン経済効果推計結果 ①59.3億円、②63.5億円、③65.9億円、④74.3億円 24

神戸マラソン経済効果調査概要 25

2 観光指標作成のためのデータ収集 ・経済的観点からデータ  観光客入り込み客数(日帰り、宿泊別)  1人当たり観光消費金額(交通費、宿泊費等)  部門別付加価値率(飲食・宿泊業等)  経済効果(販売先、仕入先地域別割合等) ・社会的観点からデータ  観光地満足度(印象、おもてなし、景観等)

需要側(観光客)の現状・課題把握 ・調査地点:観光施設、集客施設(道の駅等)、地域イベント等 観光需要の季節変動を考慮   需要側(観光客)の現状・課題把握  ・調査地点:観光施設、集客施設(道の駅等)、地域イベント等  観光需要の季節変動を考慮  平日(月~金)、休日(土日祝祭日)別 ・観光地シーズン別・客層変化(夏・秋季)を考慮  ・調査サンプル(目標数約300)  フェイス項目(住所、性別、年齢)  調査対象情報を比較、標本の偏り程度確認 

   需要側(観光客)調査のポイント ・アンケート回答者に偏りの程度の確認 対面調査:回答が得られやすい者が偏る傾向 回答者属性(年齢、性別等)と比較し偏りの程度を確認 ・調査方法の統一が必要(統一的調査基準、Q&Aの作成) ・アンケート項目の設定:有効数字の設定 回答者が回答しやすく、分析を考慮すると、百円単位) 交通費の計算方法(自家用車:1km当たり10円で設定) ・一定数の標本の確保が必要 ・標本数300が目安(統計的有意な標本数250~400程度)

データ収集のためのアンケート調査 (需要側) 29

供給側(ホテル、観光施設等事業者)事業所向け調査の概要 ・売上・仕入状況把握  事業所向け・消費者向け比率、販売先比率、金額変化、販売先・仕入先変化 ・地元産の取扱やサービス提供状況把握 ・詳細情報把握:土産種類(農水産物、菓子類、衣料品、玩具等)把握、販売比率・オリジナルグッズ(衣料、雑貨等)の有無等把握

供給側(事業者)調査のポイント  ・地域内観光事業売上総額の80%程度のカバーが重要 回答事業者数ではなく、地域内カバー率が重要 ・複数回調査、近隣地域での結果、行政統計調査との比 較によりアンケートの精度が評価可能 ・アンケート項目設計では、事業者への配慮が必要 仕入先、人件費等集計作業を伴うデータ収集は難しい 経験豊富な担当者から割合による回答など工夫が必要 ・公的機関、団体の協力が有効(調査実施主体へ参加) 回収率アップや未回答者への協力が期待できる

データ収集のためのアンケート調査 (供給側) 32

3 地域分析システム(RESAS)の概要 内容 産業マップ:「経済センサス」、「工業統計」等 ※一部、利用規約により公表禁止  ※一部、利用規約により公表禁止 農林水産業マップ:「農林業センサス」等 観光マップ:流動人口データ(民間ビッグデータ)等 人口マップ:「国勢調査」、「人口動態調査」、「住民基本台帳移動報告」等 33

RESASの特徴 データをマップやグラフにより可視化することにより異なる視点から地域経済の特性や変化を探る ・鳥の目:全体を俯瞰 ・虫の目:細部に着目 ・魚の目:潮目を読む ※地域産業の全体像を見る   産業ごとのシェアを把握する 34

構造分析のポイント 1構造変化が見るためには10年以上は必要 2構造変化に寄与した項目は何か 寄与項目の細分化:寄与度、寄与率など  寄与項目の細分化:寄与度、寄与率など 3地域特性の指標:特化係数など 4構造変化の原因となる経済事象があるか 5施策化の視点:強みを伸ばす、弱みの克服

自治体比較 経済構造(地域経済の特色):企業数・事業所数、従業者数、製造品出荷額等、年間商品販売額等 企業活動(地域企業の現状):創業比率、黒字赤字企業比率 労働環境(地域労働環境):有効求人倍率、一人当たり賃金等 地方財政(地域財政状況):一人当たり地方税等 36

地域経済分析システム概要と課題 ・産業マップ:地域産業の全体像や特性把握 利用規約による制約あり(ログイン不可等)   利用規約による制約あり(ログイン不可等) ・農林水産業マップ:販売構造、就業構造把握 ・観光マップ:人の流れの見える化(2014年)   データ蓄積がない(データ拡充は有料) ・人口マップ:人口構成、流出・流入の実態把握  市町単位で把握(小地域把握はデータ収集必要) ・自治体比較マップ:市町単位で経済活動の把握 37

まとめ(地域分析に向けて) ・産業別地域の実情把握が可能 集計データ:事業所数、従業者数、売上高等  集計データ:事業所数、従業者数、売上高等 ・全数調査では小地域の集計データが利用可能  秘匿データ項目(売上高等)でデータ利用に制約 ・長期時系列データはデータ接続が必要  大分類は概ね接続、H17年以降中分類(情報通信業等)は断裂、サービス業細分化 ・集計区分の変更:市町合併前後比較、産業分類組替え等加工が必要